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Thisniggaugly - Earl Sweatshirt (feat. Travis Bennett & Tyler, The Creator) 【和訳・解説】

Artist: Earl Sweatshirt (feat. Travis Bennett & Tyler, The Creator)

Album: Earl

Song Title: Thisniggaugly

概要

2010年に無料配信でリリースされたEarl Sweatshirtのデビューミックステープ『Earl』のオープニングを飾る本作は、当時のOdd Future(OFWGKTA)の粗削りでアンダーグラウンドな空気感をそのままパッケージングしたスキット(寸劇)である。Tyler, The CreatorとTaco(Travis Bennett)による絶え間ない容姿イジりと悪趣味なジョークの応酬は、ロサンゼルスのスケートカルチャーで培った彼らの「悪ガキ的」なアティチュードを象徴している。本作でTylerはEarlを「サクラメントから来た母親の連れ子」という架空のバックストーリーを用いてファンに紹介しており、コレクティヴ特有のダークな世界観の土台を構築している。仲間の激しい口撃に対して「No」としか答えないEarlの静けさと、「あいつはラップできるんだ」と必死に庇うTylerの対比が、直後のトラックで投下されるEarlの圧倒的で狂気的なリリシズムへの極めて効果的な前フリとして機能しているヒップホップ史に残る名イントロである。

和訳

[Intro: Taco & Tyler, The Creator]

What up, Tyler?
調子はどうだ、タイラー?

(God damn)

What up, nigga? How you doing?
調子はどうだ?元気にしてたか?

Where you been at?
どこ行ってたんだよ?

Shit, fuckin', shit
いや、クソ、適当にやってたわ

You been fuckin' shit?
適当にやってただと?

Hahaha

Who the fuck is this?
こいつは一体誰だよ?

Oh, uh, this nigga?
ああ、こいつのことか?

(God damn)

Look at his forehead
このデコを見てみろよ

[Verse: Tyler, The Creator, Taco & Earl Sweatshirt]

This my little brother on my mother's side, our father died
こいつは俺の母親の連れ子の弟だ、親父は死んだ
※TylerがEarlを紹介する際にでっち上げた架空のバックストーリー。Odd Future初期の作品では、こうした架空の家族関係やオルターエゴを用いた猟奇的な世界観の構築が頻繁に行われていた。

He was living with my grandmother on the north side
ノースサイドで俺のばあちゃんと住んでたんだ

Of Sacramento, but this fag ain't just visiting
サクラメントのな、でもこのオカマ野郎はただ遊びに来たわけじゃない
※「fag」は同性愛者に対する蔑称だが、2010年代初期のOdd Futureはポリティカル・コレクトネスに反逆するショック・バリュー(意図的に過激な表現をして世間の耳目を集める手法)としてこうした差別用語を単なる罵倒語として多用していた。のちにTylerは自身のセクシュアリティをオープンにし、この言葉の使用を控えるようになる。

He's settling in, he can't wait to start meddling
こっちに住み着くんだよ、お節介を焼きたくてウズウズしてる

And doin' the evil shit we do
俺たちがやってるようなヤバい悪事を働くためにな

Does he skate?
こいつもスケートするのか?
※Odd FutureのルーツであるLAのスケートボードカルチャーを端的に示している。Supreme周辺のスケーターキッズたちのコミュニティから彼らのムーブメントは始まった。

Yeah, he skate, too
ああ、スケートもするぜ

Man, this nigga ugly
おい、こいつマジでブサイクだな
※曲名「Thisniggaugly」の回収。黒人同士の身内ネタ的な容姿のイジり合い(Roasting)のカルチャー。

And he raps, ooh (God damn)
しかもラップもするんだ、おぉ (God damn)

This the newest Wolf Gang member and he—
Wolf Gangの最新メンバーで、こいつは—
※Wolf GangはOdd Future Wolf Gang Kill Them All(OFWGKTA)の略称。

What's his name?
名前は何て言うんだよ?

Earl (God damn)
アールだ (God damn)

[Outro: Taco, Tyler, The Creator & Earl Sweatshirt]

Nigga, this nigga's forehead is so fuckin' big
おい、こいつのデコ、マジでデカすぎだろ

This nigga, look at this fuckin' nigga's lips, dog
なぁ、こいつの唇を見てみろよ

This nigga's lips look like a split sundae
割れたサンデーみたいな唇してやがるぜ
※バナナスプリットやアイスクリームサンデーのように、大きく分厚い唇であることを揶揄するクリエイティブな悪口。

That's fucked up
そりゃひでえな

(God damn)

Yo this nigga's line is bended
おい、こいつの生え際曲がってんぞ
※「line」とはヘアライン(額の生え際やもみあげのライン)のこと。黒人のバーバーカルチャーにおいて、ラインナップ(Line up)が真っ直ぐに整っていないことは格好のイジりネタ(Roast)となる。

That's fucked up
マジでひでえな

Yo, this nigga, this nigga look like a African poet (God damn)
おい、こいつ、アフリカの詩人みたいな顔してんな (God damn)
※Earlの独特の顔立ちや、無口で思慮深そうな佇まいを「アフリカの詩人」と形容してイジっている。結果的に、後にヒップホップシーン随一のコンシャスで哲学的なリリシストへと成長していく彼のキャリアを予言していたかのような興味深いパンチラインとなっている。

Earl, Earl, say somethin'
アール、おいアール、何か言えよ

Yo, this nigga's forehead looks like a fuckin' big-ass moose
おい、こいつのデコ、マジでクソデカいヘラジカみたいだぜ

Nigga, don't be a bitch, nigga, say somethin'
ビビってんじゃねえよ、何か言えって

Trust me guys, he's—he can—he can rap
信じてくれよお前ら、こいつは—ラップできるんだ

He a bitch
ただのビッチじゃねえか

Just say somethin'
とにかく何か喋れよ

Nigga, don't be a bitch, nigga
おい、女々しいことしてんじゃねえよ

Nigga, say somethin'
おい、何か言えってば

No
嫌だ
※散々イジられ、煽られた挙句にEarlが発する唯一の言葉。この不気味なまでの静けさと拒絶感が、次の瞬間から始まるタイトルトラック『Earl』での猟奇的でスキルフルなラップの爆発力を何倍にも引き立てている。

Nigga, rap, you fuckin' suck probably
おい、ラップしろよ、どうせクソ下手なんだろ

Trust me guys, he can—he can rap
信じてくれってみんな、こいつはマジでラップできるんだ

Just—just say somethin'
ただ—ただ何か言ってくれよ