Artist: J. Cole
Album: KOD
Song Title: 1985
概要
J. Coleの2018年のアルバム『KOD』の最後を飾る本楽曲「1985」は、タイトルがCole自身の生まれ年を示している通り、当時33歳のベテランラッパーとしての視点から描かれた一曲である。当時、Lil PumpやSmokepurppといった若手SoundCloudラッパーたちが「Fuck J. Cole」と名指しでディスを放つなど、世代間のギャップと対立が表面化していた。Coleは彼らに怒りやビーフで応じるのではなく、ストリートの先輩(OG)として「大人の返答」を突きつけた。黒人のトラップラッパーが白人の若者たちにステレオタイプなアイコンとして消費されている構造的な闇を指摘し、トレンドに乗っただけの浪費家は数年で消え去るという冷酷な現実を説き伏せている。批判と愛が入り混じったこのスタンスは、ヒップホップコミュニティにおいて「最も洗練されたアンサーソング」として絶賛され、シーンにおけるColeの揺るぎない知性と地位を証明することとなった。
和訳
[Verse]
1985, I arrived
1985年、俺はこの世に生まれた
33 years, damn, I'm grateful I survived
33年か、クソ、生き残れたことに感謝してるぜ
We wasn't s'posed to get past 25
俺たちは25歳を越えられないはずだった
※黒人の若者が暴力や抗争で若くして命を落とすというゲットーの厳しい現実を指している。
Joke's on you motherfucker, we alive
ざまぁみろ、クソ野郎ども、俺たちは生きてるぜ
All these niggas popping now is young
今ブレイクしてる連中はみんな若い
Everybody say the music that they make is dumb
あいつらの作る音楽はバカげてるって誰もが口にする
※当時のLil PumpやSmokepurppに代表される、いわゆる「マンブルラップ」や「SoundCloudラップ」に対する世間の批判。
I remember I was 18
俺が18歳だった頃を思い出すよ
Money, pussy, parties, I was on the same thing
金、女、パーティー、俺も同じことに夢中だった
You gotta give a boy a chance to grow some
ガキには成長するチャンスを与えてやらなきゃな
Everybody talkin' like they know somethin' these days
最近じゃ誰もが分かったような口を利く
Niggas actin' woke, but they broke, umm
意識高い系を気取ってるが、あいつらは一文無しだ、うーん
※「woke」は社会問題に意識が高いことを示すスラング。口先だけで実態が伴っていないベテランや評論家たちへの皮肉。
I respect the struggle but you all frontin' these days
もがいているのはリスペクトするが、お前ら最近見栄を張ってばかりだな
Man, they barely old enough to drive
おい、あいつらは車を運転できる年齢になったばかりだぞ
To tell them what they should do, who the fuck am I?
そんな奴らに「こうすべきだ」なんて説教する俺は、一体何様なんだ?
I heard one of 'em dissed me, I'm surprised
その中の一人が俺をディスったって聞いた時は、驚いたよ
※Lil PumpがSNSや自身の楽曲でColeをディスったことへの直接的な言及。
I ain't trippin', listen good to my reply
俺は怒ってない、俺からの返答をよく聞きな
Come here lil' man, let me talk with ya
こっちへ来いよ若いの、少し話をしよう
See if I can paint for you the large picture
お前のために全体図(大きな視点)を描いてみせてやるよ
Congrats 'cause you made it out your mama house
まずは実家を抜け出せたこと、おめでとう
I hope you make enough to buy your mom a house
母親に家を買ってやれるくらい稼げるといいな
I see your watch icy and your whip foreign
お前の時計はアイスでピカピカだし、車も外車だ
※「icy」はダイヤモンドなどの宝石で飾られていること、「whip foreign」は高級な輸入車に乗っていることを示すストリートスラング。
I got some good advice, never quit tourin'
一つ良いアドバイスをやる、絶対にツアーをやめるな
'Cause that's the way we eat here in this rap game
それがこのラップゲームで俺たちが食っていくための手段だからな
I'm fuckin' with your funky lil' rap name
お前のそのファンキーで可愛らしいラップネーム、嫌いじゃないぜ
※「Lil 〇〇」といった、当時の若手ラッパーにありがちな名前を小馬鹿にしつつも受け入れるOG(ベテラン)としての余裕。
I hear your music and I know that rap's changed
お前の音楽を聴いて、ラップが変わったってことは分かってる
A bunch of folks would say that that's a bad thing
多くの連中はそれを悪いことだと言うだろうな
'Cause everything's commercial and it's pop now
すべてが商業的で、ポップになってしまったからだ
Trap drums is the shit that's hot now
トラップのドラムが今のトレンドだからな
See, I've been on a quest for the next wave
いいか、俺はずっと次の波を探求してきた
But never mind, that was just a segue
いや気にするな、今のはただの繋ぎ言葉だ
I must say, by your songs I'm unimpressed, hey
正直に言うと、お前の曲には全く感銘を受けないよ、なぁ
But I love to see a Black man get paid
でも、黒人が金を稼ぐのを見るのは大好きなんだ
And plus, you havin' fun and I respect that
それに、お前が楽しんでいるのはリスペクトする
But have you ever thought about your impact?
だが、お前が与える影響について考えたことはあるか?
These white kids love that you don't give a fuck
白人のガキどもは、お前が何も気にしない態度を愛してるんだ
'Cause that's exactly what's expected when your skin black
なぜならそれこそが、肌が黒いお前に期待されていることだからさ
They wanna see you dab, they wanna see you pop a pill
奴らはお前がダブをするのを見たいし、錠剤をキメるのを見たいんだ
※「dab」は当時流行したダンスムーブ。「pop a pill」はザナックスなどの処方薬の乱用。黒人がステレオタイプな消費財として扱われている構造への鋭い指摘。
They wanna see you tatted from your face to your heels
顔からかかとまでタトゥーだらけのお前を見たいんだ
And somewhere deep down, fuck it, I gotta keep it real
そして心の奥底では、クソ、正直に言わせてもらうぜ
They wanna be black and think your song is how it feels
奴らは黒人になりたがっていて、お前の曲を聴いてその気分を味わったつもりになってるのさ
So when you turn up, you see them turnin' up too
だからお前がブチ上がれば、奴らも一緒にブチ上がる
You hit the next city, collect your money when it's due
次の街へ行き、期日が来たら金を回収する
You gettin' that paper, swimmin' in bitches, I don't blame you
札束を稼ぎ、ビッチに囲まれる、お前を責める気はないよ
You ain't thinkin' 'bout the people that's lookin' like me and you
お前は、俺たちみたいな肌の色をした人々のことなんて考えてないんだ
True, you got better shit to do
確かに、お前には他にやるべき良いことがあるんだろう
You coulda bought a crib with all that bread that you done blew
お前が吹っ飛ばしたその金で、家だって買えたはずだ
I know you think this type of revenue is never endin'
お前はこういう収入が永遠に続くと思っているんだろう
But I wanna take a minute just to tell you that ain't true
だが少し時間を割いて、それは違うってことを教えてやりたいんだ
One day, them kids that's listening gon' grow up
いつか、今お前の曲を聴いているガキどもは大人になる
And get too old for that shit that made you blow up
そして、お前をブレイクさせたそのくだらない音楽を聴くには年を取りすぎるんだ
Now your show's lookin' light cause they don't show up
奴らが来なくなるから、お前のショーはガラガラになる
Which unfortunately means the money slow up
それは残念ながら、金の巡りが悪くなることを意味する
Now you scramblin' and hopin' to get hot again
今になって焦り出し、もう一度ブレイクすることを願う
But you forgot you only popped 'cause you was ridin' trends
だがお前は忘れてる、自分がブレイクしたのは単にトレンドに乗ったからにすぎないってことを
Now you old news and you goin' through regrets
今やお前は過去の人になり、後悔の日々を送ることになる
'Cause you never bought that house, but you got a Benz
なぜなら家は買わなかったのに、ベンツは持っているからな
And a bunch of jewels and a bunch of shoes
それに大量の宝石と、大量のスニーカー
And a bunch of fake friends, I ain't judgin' you
そして大勢の偽物のダチだ。俺はお前をジャッジしてるわけじゃない
I'm just tellin' you what's probably gon' happen when you rappin'
俺はただ、お前がラップしているようなことについてラップしていると
'Bout the type of shit you rappin' 'bout
おそらくどういう末路を辿るかを教えてやってるだけだ
It's a faster route to the bottom
それはどん底への一番の近道だぜ
I wish you good luck
せいぜい幸運を祈るよ
I'm hoping for your sake that you ain't dumb as you look
お前のためにも、見た目ほどバカじゃないことを願ってる
But if it's really true what people sayin'
だが、もし人々の噂が本当で
And you call yourself playin' with my name
お前が俺の名前を使って遊んでいるというなら
Then I really know you fucked, trust
お前は本当に終わってるぜ、信じろ
I'll be around forever 'cause my skills is tip-top
俺は永遠にここに居続ける、俺のスキルは頂点だからな
To any amateur niggas that wanna get rocked
打ちのめされたい素人のクソ野郎ども全員によ
Just remember what I told you when your shit flop
お前の曲がコケた時、俺が言ったことを思い出せ
In five years, you gon' be on Love & Hip-Hop, nigga
5年後、お前は「ラブ・アンド・ヒップホップ」に出演してるだろうよ、ニガ
※「Love & Hip-Hop」は、落ち目のラッパーや関係者が出演するリアリティ番組。キャリアが終わったラッパーの行き着く先として引用し、強烈な皮肉で締めくくっている。
