Artist: Kid Cudi
Album: Man on the Moon: The End of Day
Song Title: Cudi Zone
概要
Kid Cudiの2009年の傑作デビューアルバム『Man on the Moon: The End of Day』において、第4幕「Act IV: The Transformation(変容)」に位置づけられる本楽曲は、Emile Haynieがプロデュースを手掛けた壮大なアンセムである。シンセサイザーとストリングスが交差する浮遊感のあるビートに乗せ、Cudiは急激に手にした名声、地元を離れたことへの罪悪感、そしてヘイターからの批判といった現実のプレッシャーと対峙する。しかし、前幕までの抑うつや悪夢に怯える姿はここにはなく、彼は「Cudi Zone」という自身の内面世界(精神的な聖域)に没入することで、平和と完全な自己肯定を獲得している。当時のヒップホップにおけるステレオタイプな男らしさから脱却し、スリムジーンズを履きこなし、自身の脆さと創造性を武器にした彼のペルソナは、Travis Scottらを筆頭とする次世代のアーティストたちに多大な影響を与えた。自己受容と精神的独立を高らかに歌い上げた、Cudiのキャリアを代表する名曲の一つである。
和訳
[Verse 1]
Soarin', is this allowed?
高く飛んでいる、これは許されることなのか?
I sure bet my daddy proud
親父もきっと誇りに思ってくれているはずだ
A little nigga with a Shaker smile
シェーカーのスマイルを浮かべた、小さな黒人のガキがな
※「Shaker」はCudiの出身地であるオハイオ州クリーブランド郊外のシェーカー・ハイツ(Shaker Heights)のこと。地元の誇りを胸に抱いている。
On top of the dreams is where I'm found
夢の頂点、それが俺の今の居場所だ
Some figured I was Satan bound
俺がサタンの元へ落ちる(地獄行きだ)と思った奴らもいた
Until I came back with a style I found
俺が自分自身のスタイルを見つけて戻ってくるまでは
Then all of a sudden they fixed their faces
そしたら急に、奴らは態度を変えやがった
'Cause of who I know and the trail of places
俺が誰と知り合いか、そして俺が歩いてきた場所の軌跡を知ったからさ
That I've stepped
俺が踏み入れてきた場所をな
※Kanye WestのレーベルであるGOOD Musicと契約し、Jay-Zらヒップホップ界の大物たちと肩を並べるようになったCudiの成功に対する、周囲の手のひら返しを皮肉っている。
How many niggas wanna hate 'cause I left?
俺が地元を出たからって、どれだけの奴らがヘイトしたがってる?
How could you blame me and my plan of attack?
俺と俺の攻撃計画を、どうして責められるんだ?
'Cause I'm risking my soul intact, now I'm heard all over the map
魂を丸ごと危険に晒してきたからこそ、今や俺の音楽は世界中で聴かれているんだ
Only rule of thumb
唯一の経験則を教えてやる
It don't really matter just where you from
どこから来たかなんて、大して重要じゃないってことだ
All that really matter is where you gon' go
本当に大事なのは、お前がどこへ向かうかだ
Maybe upstate for some
ある奴らにとっては刑務所かもしれないが
※「upstate」はニューヨーク州北部のこと。そこには有名な刑務所(シンシン刑務所など)が多く存在するため、ヒップホップのスラングで「刑務所行き」を意味する。
But you can’t rule out these cats for gone
でも、そいつらが完全に終わったと決めつけることはできない
Second chances given out for some
セカンドチャンスが与えられる奴だっているんだ
All you gotta do is take advantage
ただ、その機会をしっかり掴み取ればいい
Then maybe you can get yourself a horse and carriage
そうすれば、お前も馬と馬車を手に入れられるかもしれない
※おとぎ話(シンデレラなど)の隠喩。ストリートの過酷な環境から抜け出し、夢のような成功と富を手に入れることを意味している。
Done pimpin', you can think about marriage, until then, get it
遊び歩くのをやめたら結婚を考えることもできる、それまではとにかく稼ぐんだ
Then find yourself and let's begin
そして自分自身を見つけ出せ、さあ始めよう
I'ma tell you how in a minute
その方法を今から教えてやる
I'ma show you how I be livin'
俺がどうやって生きているかを見せてやるよ
From a long time ago, a young nigga, he was timid
ずっと昔、ある若き黒人の少年は臆病だった
Now I'm zoned, see things so vivid
今、俺はゾーンに入って、すべてが鮮明に見える
Hide my soul? Nah, homie, not even
魂を隠すだと? いや、兄弟、ありえないね
I'ma zone out 'til I lose feeling, remember
感覚を失うまでゾーンに入り込むんだ、覚えておけ
※「zone out」はマリファナなどで意識が飛ぶこと、そしてアスリートが極限の集中状態(ゾーン)に入ることを掛け合わせた表現。
I'ma be gone way past November
11月をずっと過ぎた頃まで、俺は遠くへ行く
※Wyclef Jeanの1997年のヒット曲「Gone Till November」のリファレンス。少しの間ではなく、遥か先まで戻らないという決意を示している。
Even, stay up there, up there
そうだ、あの高い場所にとどまるんだ
Floatin', floatin', hopin'
浮かんで、浮かんで、願いながら
I can find peace somewhere
どこかで平和を見つけられるようにと
[Chorus]
In my mind
俺の心の中では
It sounds like oooooooh
ウーって響くんだ
When I'm gone
俺が遠くへ行くと
It feels like oooooooh
ウーって感じるんだ
When I'm zoned, I'm feeling alright
ゾーンに入っている時、俺はいい気分だ
I'm feeling alright, I'm feeling alright
いい気分だ、いい気分なんだ
When I'm zoned, I'm feeling alright
ゾーンに入っている時、俺はいい気分だ
I'm feeling alright, I forget about it all
いい気分だ、すべてのことを忘れられる
[Verse 2]
Ballin', is this allowed?
贅沢に遊んでいる、これは許されることなのか?
Without feelin' like Shallow Hal
『愛しのローズマリー』みたいに感じることなく
※2001年のコメディ映画『Shallow Hal(邦題:愛しのローズマリー)』からの引用。外見や物質的な豊かさ(Shallow=浅はか)だけに囚われることなく、内面の充実を保ちながら成功を享受していることを示している。
Diamonds on the Jesus piece for style
スタイルとして、ジーザス・ピースにダイヤモンドを散りばめる
Back in Cleveland City we ride around
故郷のクリーブランドに戻って、俺たちは車を走らせる
Greetin' my niggas with dap and pound
仲間たちとダップして拳を合わせて挨拶する
So if I fall, I won't hit the ground
だから、もし俺が落ちても、地面には叩きつけられない
※名声から転落したとしても、地元の仲間たちが支えてくれるという信頼関係と安心感を歌っている。
These are the things that'll make me smile
こういうことが、俺を笑顔にしてくれるんだ
Knowin' this blunt might burn a while
このブラントが、しばらく燃え続けることを知っている
I keep myself so lifted
俺はずっと高く浮き上がり続ける
I am accustomed to new heights
新しい高みにもすっかり慣れたよ
I feel perfect though they think it's worthless
奴らは無価値だと思っているが、俺は完璧だと感じている
See without my flight, man
なあ、俺の飛翔がなければ
Everybody wanna be a critic
誰もが批評家になりたがるのさ
I have my life and I will live it
俺には俺の人生がある、俺はそれを生きるだけだ
Shut your mouth before I fuck it
俺にヤられる前に、その口を閉じな
Ha, my jokes, they will love it
ハッ、俺のジョーク、あいつらも気に入るだろうさ
※直前のラインの過激な下ネタを、あえて「ジョークだ」と笑い飛ばす余裕を見せている。
If I'm seen on the scene with my slim cut jeans
スリムカットのジーンズを履いて俺がシーンに現れたら
※2000年代後半、ダボダボのバギーパンツが主流だったヒップホップ界において、CudiやKanye Westがスキニー/スリムジーンズを履きこなし、ファッションのパラダイムシフトを起こした歴史的背景に言及している。
More than likely I am faded, man
十中八九、俺はハイになっているよ
You are not the shit if everywhere you go
どこへ行ったとしても、お前はたいした奴じゃない
Niggas ain't sitting, standing 'round hating, so
奴らが座り込んだり、立ち尽くしてヘイトしていないのならな
※「アンチ(ヘイター)がいることこそが、自分が特別で成功している(the shit)証明である」という、ヒップホップにおける強気なハスラー・マインドの表れ。
My vice is when the lights start flashin'
俺の悪癖は、フラッシュが焚かれ始めた時だ
I'll be zonin', all alone then
その時、俺は一人きりでゾーンに入るんだ
※パパラッチのカメラのフラッシュや名声の光を浴びた時、それに飲み込まれないよう、彼は自分だけの内面世界(Cudi Zone)へと引きこもる。
And the place where my mind is goin'
そして俺の心が行き着く場所は
Filled with songs that no one's knowin'
誰も知らない歌で満ちているんだ
And the Devil in a hot pink dress
そして、ショッキングピンクのドレスを着た悪魔が
Tryna ask me for one dance
俺に一度のダンスを申し込んでくる
※悪魔(誘惑、名声、ドラッグ、あるいはグルーピー)を魅力的な女性の姿に例えている。Kanye Westの楽曲「Devil In A New Dress」にも通じる、美しいが破滅的な誘惑のメタファー。
He think he slick
奴は上手くやっているつもりだろうが
※悪魔(サタン)は一般的に男性(He)として扱われるため、ドレスを着た女性として誘惑してきても、その本質的な邪悪さをCudiは見抜いている。
But my guardians protect me from his wrath
俺の守護天使たちが、奴の怒りから俺を守ってくれる
So, in my place no hate shall enter
だから、俺の場所にはどんなヘイトも入り込めない
Livin' high up there, up there
あの高い場所で生きている
Copin', copin', floatin'
対処して、やり過ごして、浮かんで
I will find peace somewhere
どこかで平和を見つけるんだ
[Chorus]
In my mind
俺の心の中では
It sounds like oooooooh
ウーって響くんだ
When I'm gone
俺が遠くへ行くと
It feels like oooooooh
ウーって感じるんだ
When I'm zoned, I'm feeling alright
ゾーンに入っている時、俺はいい気分だ
I'm feeling alright, I'm feeling alright
いい気分だ、いい気分なんだ
When I'm zoned, I'm feeling alright
ゾーンに入っている時、俺はいい気分だ
I'm feeling alright, I forget about it all
いい気分だ、すべてのことを忘れられる
[Instrumental Bridge]
[Chorus]
In my mind
俺の心の中では
It sounds like oooooooh
ウーって響くんだ
When I'm gone
俺が遠くへ行くと
It feels like oooooooh
ウーって感じるんだ
When I'm zoned, I'm feeling alright
ゾーンに入っている時、俺はいい気分だ
I'm feeling alright, I'm feeling alright
いい気分だ、いい気分なんだ
When I'm zoned, I'm feeling alright
ゾーンに入っている時、俺はいい気分だ
I'm feeling alright, I forget about it all
いい気分だ、すべてのことを忘れられる
