UGMKM

Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

UGMKM ARCHIVE

Find Music By Artist, Genre.

和訳・解説記事を、アーティスト名・ジャンルから探せます。

Ghetto Boys and Girls (Fuel Interlude) - Black Thought (feat. C.S. Armstrong) 【和訳・解説】

Artist: Black Thought (feat. C.S. Armstrong)

Album: Streams of Thought, Vol. 3: Cane & Able

Song Title: Ghetto Boys and Girls (Fuel Interlude)

概要

The Rootsの絶対的フロントマン、Black Thoughtが2020年にリリースしたソロEPシリーズ第3弾『Streams of Thought, Vol. 3: Cane & Able』に収録されたインタールード的トラック。客演に迎えたC.S. Armstrongの土臭くソウルフルなボーカルと交差しつつ、ゲットーに生きる若者たちへ向けた祈りとアメリカ社会の暗部への警鐘が込められている。T.S.エリオットの詩を引用してストリートの空虚さを文学的に表現しつつ、ファストフード店のチキンサンドイッチを巡る実際の殺傷事件を引き合いに出し、資本主義の罠に踊らされて同胞同士で命を奪い合う現状を痛烈に批判。フィラデルフィア特有のスラング("bul"や"jawn")を織り交ぜながら、警察の暴力や貧困から抜け出そうとあがく少年少女たちの姿を、短くも鮮烈に描写したコンシャス・ヒップホップの真骨頂である。

和訳

[Intro: C. S. Armstrong & Black Thought]

I, I came from the bottom up
俺は、俺は底辺から這い上がってきた

I know a lot of boys, you stop 'em on that street (Yeah)
俺は多くの奴らを知っている、お前がストリートで呼び止めるような奴らをな(イェー)

Goddamnit! (Ay, ay)
クソッ!(エイ、エイ)

They askin' where you from
奴らはどこから来たのかと尋ねてくる

My family never had enough
俺の家族は常に満たされていなかった

Every time you quittin' (Ayo)
お前が諦めるたびに(エイヨォ)

I never had enough
俺には常に足りなかった

I be like, "I'm from nowhere"
俺は「どこでもない場所の出身だ」って答えるのさ

Listen, everything I leave to this world
聞け、俺がこの世界に残すものすべては

Still movin' onward, you say you from nowhere now (Uh)
今も前進し続けている、お前は今、どこでもない場所の出身だと言う(アー)

Is for these ghetto boys and girls (Ayo, ayo)
ゲットーの少年少女たちのためのものだ(エイヨォ、エイヨォ)

Right now I'm with the young boys
今、俺は若え奴らと一緒にいる

[Verse: Black Thought & C. S. Armstrong]

Ayo, and they convince us to adopt lies 'til the stock rise
エイヨォ、奴らは株価が上がるまで、俺たちに嘘を受け入れるよう説き伏せる

While the vultures try and push the culture counter-clockwise
ハゲタカどもがカルチャーを反時計回りに後退させようとする一方でな
※ハゲタカ(Vultures)はブラックカルチャーや労働者を搾取する業界人や資本家のメタファー。

Got us lickin' shots at one another for Popeyes
ポパイズのために、俺たちに互いを撃ち合わせやがる
※「Popeyes」は全米展開するフライドチキンチェーン。2019年、同店のチキンサンドイッチを巡って客同士の殺傷事件が起きた。消費主義に踊らされ、同胞同士で無意味に命を奪い合う悲惨な現状への嘆き。

Niggas rock-climb, try and come out on the top side (Listen)
黒人たちはロッククライミングをして、頂上へと出ようとする(聞け)

I mean the top of the food chain, fuck a top five
つまり食物連鎖の頂点ってことだ、トップ5なんてクソくらえだ
※ラッパーの格付けである「Top 5」よりも、ゲットーにおける生存競争(食物連鎖の頂点)を生き抜くことの方が切実であるという主張。

My fears is fuelin' my mood swings like the Mach Five
俺の恐怖は、マッハ号のように気分の浮き沈みを加速させる
※「Mach Five」は日本のアニメ『マッハGoGoGo(Speed Racer)』に登場する車。猛スピードで気分が変化する(情緒不安定)ことの比喩。

What's the reason I just got high? I forgot why
なぜ俺はハイになったんだ?理由を忘れちまった

Another day, another Glock fired like we're not tired
また別の日、まるで俺たちが疲れを知らないかのように、またグロックが火を吹く

Hollow men in the wasteland like T. S. Eliot
T.S.エリオットが描くように、荒地をさまよううつろな男たちさ
※20世紀を代表する詩人T.S.エリオットの代表作『荒地(The Waste Land)』と『うつろな人たち(The Hollow Men)』の引用。ゲットーの精神的・物理的な荒廃と、そこに生きる人々の虚無感を文学と結びつけている。

Spear stickin' out of the flesh of a fresh elephant
新鮮な象の肉に突き刺さった槍

News comin' out in the press and they just relish it
プレスからニュースが飛び出し、連中はそれをただ楽しんでいる
※黒人が暴力の犠牲になるニュースを、メディアや大衆がただのエンターテインメントとして消費し、楽しんでいる構図。

When your hope's shattered in stress, you say, "To hell with it"
ストレスで希望が打ち砕かれた時、お前は「知ったことか」と吐き捨てる

This is for my young buls in them gun wars
これは銃撃戦の真っ只中にいる、俺の若い奴らのためのものだ
※「buls」はフィラデルフィア特有のスラング「young bull(若者)」のこと。

Out here on their going dumb jawn on the front lawn
前庭でバカ騒ぎしている連中のためにな
※「jawn」もフィリーの万能スラング。ここでは「事態」「行動」などを指す。

Tryna break the long arm of the law, that hunt for 'em
奴らを狩ろうとする、法の長い腕をへし折ろうとしている
※「long arm of the law」はどこまでも届く警察や司法の権力(不当な逮捕や暴力)。

Bettin' lives on the luck of that draw, we want more, nigga
そのクジの運に命を賭けてな、俺たちはもっと多くを求めているんだ

[Outro: C. S. Armstrong & Black Thought]

Everything I leave to this world
俺がこの世界に残すものすべては

Still movin' on aboard, nigga
今も船に乗り込んで前進し続けているんだ

We not human, we at war, nigga (Ow!)
俺たちは人間じゃない、戦争状態にあるんだ(アウ!)
※ゲットーにおいては基本的人権すら保障されず、生きるか死ぬかの戦争を強いられているという悲痛な叫び。

Is for these ghetto boys and girls
ゲットーの少年少女たちのためのものだ

Listen, listen, listen, listen
聞け、聞け、聞け、聞け