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Theme Music to a Drive-By - Lupe Fiasco 【和訳・解説】

Artist: Lupe Fiasco

Album: Lupe Fiasco’s Food & Liquor (5th Anniversary Edition)

Song Title: Theme Music to a Drive-By

概要

シカゴ出身のリリシスト、Lupe Fiascoの非公式ミックステープに収録され、その後デビューアルバム『Food & Liquor』の流出アドバンス版などに収録されたことでコアなファンの間でカルト的な人気を誇る隠れた名曲である。正式なアルバムトラックからは漏れたものの、後に5周年記念盤などにボーナストラックとして収録された。プロデューサーのProlyficは、The Spinnersの「We Belong Together」をサンプリングし、哀愁漂うソウルフルなビートを構築している。タイトルの「ドライブバイ(車からの銃撃)のテーマ音楽」とは裏腹に、Lupeはギャングスタの暴力を美化するのではなく、ストリートの悲惨な現実、奴隷制の歴史のメタファー、刑務所内での宗教的覚醒などを極めて高度なワードプレイで描き出している。『ミュータント・タートルズ』や『バットマン』といったポップカルチャーの引用から、イスラム教の祈りまでをシームレスに繋ぐ彼のリリシズムの真髄が凝縮された、ヒップホップファンの間で神格化されているマスターピースである。

和訳

[Intro: Lupe Fiasco & The Spinners]

No one does it better
誰にもこれ以上うまくはやれない

(I said do it, do it) No one does it better
(やれって言ったんだ、やれ)誰にもこれ以上うまくはやれない

What down Charlie?
どうした、チャーリー?

How you doing? Good, hey what up Joe?
調子はどうだ? いいぜ、ヘイ、調子はどうだジョー?

I'm just chilling, know what I'm saying chilling, ain't nothing, yo
ただチルしてるだけさ、言ってる意味分かるだろ、チルしてる、何もないさ、ヨゥ

I said nah man, there's people out there better than me
俺は言ったんだ、いや兄弟、世の中には俺より優れた奴らがいるってな

I just do what I do, you know what I'm saying? Yeah aight
俺はただ自分のやるべきことをやるだけさ、分かるだろ?ああ、分かったよ

[Verse 1]

Uh, I can't feel a field nigga pain
アー、俺はフィールド・ニガーの痛みを感じることはできない
※「field nigga」はマルコム・Xの有名な演説からの引用。農園で過酷な肉体労働を強いられた奴隷のこと。現代を生きる自分には、祖先たちの本当の痛みは分からないという告白。

Devious skill that make a strong willed nigga wane
意志の強い黒人をも衰えさせる、邪悪なスキルさ

Since a lil nigga hang with the killers and distributers of 'caine
ガキの頃から人殺しやコカインの売人たちとつるんでいたからな

They dismemberers of swishers then refill it with the Jane
奴らはスウィッシャーを解体し、ジェーンで詰め直す
※「Swisher」は安価な葉巻ブランド。「Jane」はマリファナ(Mary Jane)のスラング。葉巻の中身を抜いてマリファナを詰める(ブラントを作る)ストリートの日常風景。

Then they tilt it and they lit it with a flame
そしてそれを傾け、炎で火をつける

Then they took a pull of killer to the brain like (inhale noise) ah
そして脳を殺す煙を吸い込むんだ、こんな風にな(吸い込む音)アー

Evil minded like Krang they became
奴らはクランゲのように邪悪な思考を持つようになった
※「Krang(クランゲ)」はアニメ『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』に登場する、脳みその姿をした悪役。前の行の「brain(脳)」と掛かっている。

They deranged like the Rover that I rode
俺が乗っていたローバーのように、奴らは狂っていた
※「deranged(狂った)」と「the Range Rover(レンジローバー)」の極めて秀逸な掛詞。

That was the Range that I drove when I was a little bit older, mayne
あれは俺がもう少し大人になってから運転したレンジローバーだったがな、兄弟

Declaring war on the deck like they The Joker
まるでジョーカーのように、デッキの上で戦争を宣言する
※「deck」はトランプの束と、路上(ポーチなどのデッキ)のダブルミーニング。『バットマン』のジョーカーとトランプのジョーカーを掛けている。

All while, ducking from Bruce Wayne
ブルース・ウェインから身を隠しながらな
※バットマンの正体であるブルース・ウェイン。ここでは警察や権力の暗喩。

While they polka with the devil in our moonlitten ghetto
月明かりに照らされた俺たちのゲットーで、奴らが悪魔とポルカを踊っている間

Hello My Name stickers on the stickers of the veins
血管に刺さる針の上に貼られた、「私の名前は」のステッカー
※「sticker」は注射針(刺すもの)と、名札シール(ステッカー)のダブルミーニング。ドラッグ中毒者の痛々しい描写。

In rehab, remembering the feelings when they used to get mellow
リハビリ施設で、かつてメロウな気分になっていた時の感覚を思い出している

When they was all back of a nickel like Monticello
奴らが皆、モンティチェロのようにニッケルの裏側にいた時にな
※「nickel」は5ドル分のドラッグと、5セント硬貨(ニッケル)のダブルミーニング。5セント硬貨の裏側(back)にはモンティチェロ(トーマス・ジェファーソンの邸宅)が刻印されている。ドラッグの裏側に囚われていた状態の比喩。

When the underworld had to be smarter than Donatello
裏社会がドナテロよりも賢くならなきゃいけなかった時さ
※ドナテロは『タートルズ』の頭脳派キャラクター。「underworld(裏社会)」は、下水道(地下)に住むタートルズに掛かっている。

No honor amongst fellows
仲間の間に名誉などない

It's harder than sitting with a blind man and
盲目の男と一緒に座って

Trying to describe yellow
黄色を説明しようとするよりも難しいんだ
※ゲットーの道徳の欠如を、見えない者に色を説明する不可能性に例えている。

Got me feeling like killer Joe
キラー・ジョーのような気分にさせられるぜ
※ジャズのスタンダード曲、または映画の登場人物。

My life the album, know the classics by heart
俺の人生はアルバムだ、クラシック曲は完全に暗記している

And exactly how the filler go
そして捨て曲がどんなものかも正確にな
※「filler」はアルバムの数合わせの曲。人生の素晴らしい瞬間(クラシック)も、退屈で無駄な時間(捨て曲)もすべて把握しているということ。

Repeat it on my way to the liquor store, Charlie
酒屋へ向かう道すがら、それをリピートするんだ、チャーリー

[Interlude]

What's up? what's down, what down
調子はどうだ? どうなってる、どうなってるんだ

You know, true, how are you, when yo cousin getting out? what you in for? (..) stupid niggas
なあ、本当にな、元気か、お前のいとこはいつ出てくるんだ?お前は何で捕まったんだ?(…)馬鹿な奴らだ

You know I'm sayin, it's why I do what I do
俺の言ってること分かるだろ、だから俺は俺のやるべきことをやってるんだ

I be aight, we all be aight
俺は大丈夫だ、俺たちはみんな大丈夫さ

We just gotta learn how to stay in our lane
俺たちはただ、自分の道を外れない方法を学ばなきゃいけない

And do what we know how to do, you know
そして、自分たちがやり方を知っていることをやるだけだ、分かるだろ

[Verse 2]

'Cause, I can't feel the field nigga chains
なぜなら、俺はフィールド・ニガーの鎖を感じることはできないからだ
※1バース目の「pain」と対になる「chains」。かつての奴隷が繋がれていた物理的な鎖のこと。

Though I covet mine, so I covered mine in bling
俺は自分の鎖を欲しがったから、それをブリングで覆い隠したんだ
※奴隷の象徴である「鎖(chains)」と、ラッパーの成功の象徴である「ゴールドチェーン(chains)」のダブルミーニング。現代の黒人が自ら進んで物質主義という名の「鎖」に縛られていることへの痛烈な風刺。

Then I bumped into a bum and covered mine in shame
そして浮浪者に出くわし、俺は恥ずかしさで自分のチェーンを隠した

Then I bumped into a hun and uncovered mine again
その後、いい女に出くわし、俺は再びチェーンを露わにした
※貧しい者の前では良心が咎めて隠すが、異性の前では見栄を張って見せつけるという、人間の滑稽な偽善性と葛藤。

Diamonds then under minded mayne
ダイヤモンドが俺の心を蝕んでいたんだ、兄弟

They give a nigga with no mack another kinda game
マックの才能がない黒人に、別の種類のゲームを与えてしまう
※「mack」は女性を口説くスキルやポン引き。話術がなくても、宝石(富)があれば別の力でストリートを渡り歩けてしまうということ。

See money talks in another kinda slang
ほら、金は別の種類のスラングで語るんだ

Detectives can't decipher as they listen through the wire
刑事たちはワイヤー越しに聞いていても、それを解読できない
※「wire」は盗聴器。ストリート特有の隠語は警察には理解できない。

As I accept the call and listen to the lifer
俺はコレクトコールの電話を受け、終身刑の囚人の言葉に耳を傾ける
※「lifer」は終身刑囚。

Getting religion, making wudhu in the sink of your cell
宗教に目覚め、独房のシンクでウドゥーを行う
※「wudhu(ウドゥー)」はイスラム教の礼拝前に手足や顔を水で清める儀式。刑務所内でイスラム教に改宗する黒人受刑者のリアルな描写。

Reciting Al-Fatiha in the kitchen
キッチンの仕事中にアル・ファーティハを暗唱する
※「Al-Fatiha」はコーランの第1章(開端の章)。刑務所の厨房での労働中も信仰を忘れない姿。

Indeed on his deen and in addition to doing dishes
まさに皿洗いをしていることに加え、自身のディーンに基づいているんだ
※「deen」はアラビア語で「信仰・生き方」。

Listen as I get schooled to the rules to rule
支配するためのルールについて、俺が教え込まれるのを聞け

The fuel of fools, the obstacles, the cool
愚か者たちの燃料、障害物、そしてクールさを

Had to slow it down homie
スローダウンしなきゃならなかったのさ、兄弟

Chopped and screwed, he said blow it down for me
チョップド・アンド・スクリュードのようにな、彼は俺のためにそれを吹き消してくれと言った
※「Chopped and screwed」はレコードのピッチを極端に落とす(スローダウンさせる)テキサス発祥のヒップホップの手法。「blow it down」はマリファナを吸うことの隠語。

Sticks and stones make the homes
棒と石が家を作る
※童謡の「Sticks and stones may break my bones(棒や石は骨を折るかもしれないが、言葉は私を傷つけない)」の引用を捩っている。

Only God's words can stop the wolves
神の言葉だけが、狼たちを止めることができる

And don't fraternize with pigs those kids'll think your stool
そして豚と親しくするな、あいつらはお前をスツールだと思い込むぜ
※「pigs」は警察のスラング。「stool(スツールピジョン)」は警察の密告者のこと。

Not at the bar but trying to put him behind the bar like a bartender
バーにいるわけじゃないが、奴らはバーテンダーのようにあいつをバーの向こうに入れようとしている
※「bar」のトリプルミーニング。酒場の「バー」、刑務所の「鉄格子(behind bars)」、そして法律の「法廷・弁護士会(the bar)」。警察が彼を刑務所(鉄格子の向こう)に送り込もうとしている。

He laid the law like the bar so I put it in a bar for dude
彼はバーのように法を説いたから、俺は彼のためにそれをバーに込めたんだ
※刑務所の彼が法律家(the bar)のように真理を語ったので、Lupeはそれをラップのリリックの小節(bar)に書き記したという、先ほどから続く「bar」の超絶的な言葉遊び。

He said, borrow my jewels and bar the fools
彼は言った、俺の宝石を借りて、愚か者たちをバーしろと
※「jewels」は宝石と、ストリートの知恵(ドロップ・ジュエルズ)のダブルミーニング。「bar」は締め出す、防ぐこと。

'Cause they'll play ya like the space bar in Tools
なぜなら奴らは、ツールズのスペースバーのようにお前をプレイするからだ
※「Tools」は音楽制作ソフトの業界標準であるPro Toolsのこと。Pro Toolsではスペースバーを押すことで音楽を再生(プレイ)する。他人に都合よく利用(プレイ)されるなというストリートの知恵と音楽制作を掛けた圧倒的なパンチライン。

Theme music to a drive-by, put it in your car and cruise, uh, uh
ドライブバイのテーマ音楽、これを車にかけてクルーズしな、アー、アー