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Hurt Me Soul - Lupe Fiasco 【和訳・解説】

Artist: Lupe Fiasco

Album: Lupe Fiasco’s Food & Liquor

Song Title: Hurt Me Soul

概要

Lupe Fiascoのデビューアルバム『Food & Liquor』(2006年)に収録された、彼のリリシズムとコンシャスなスタンスを象徴する名曲である。The Neptunesがプロデュースを手掛け、メロウで感傷的なソウル・サンプリング(Tony Camillo's Bazuka「Dynomite」のブレイクなどを巧みに再構築)の上で、Lupeはヒップホップ・カルチャーが抱える矛盾との葛藤を赤裸々に吐露する。女性蔑視、ドラッグ、ギャングスタ・ライフを美化するラップミュージックを批判しながらも、同時にその魅力に惹かれてしまう自分自身の偽善性を告白し、最終的には世界中の社会問題、政治的陰謀、宗教的対立から日常の悲劇までを圧倒的なワードプレイと押韻で羅列していく。ヒップホップという音楽がいかに「ストリートの痛み」から生まれ、そしてそれが時に世界中の痛みとどう共鳴するかを描き出した、ファンコミュニティで今なお最高傑作の呼び声が高いアンセムである。

和訳

[Intro]

Astaghfirullah
アスタグフィルッラー
※アラビア語で「アッラーに赦しを乞う」という意味。ムスリムであるLupeが、自身の過去の矛盾や罪に対して祈りを捧げている。

Yeah
イェー

Yeah
イェー

This one right here, ha
今ここにあるこの曲を、ハッ

I dedicate this one right here
俺はここにいる

To everybody out there…
世界中のすべての人々に捧げるよ…

You dig?
分かるか?

Uh-huh
アーハ

Check it out
聞いてくれ

[Verse 1]

Now I ain't trying to be the greatest
俺は史上最高(グレイテスト)になろうなんて思ってない

I used to hate hip-hop—yup, because the women degraded
昔はヒップホップが嫌いだった—ああ、女性を侮辱していたからだ
※90年代のヒップホップに蔓延していたミソジニー(女性蔑視)への嫌悪。

But Too $hort made me laugh; like a hypocrite, I played it
だがToo $hortには笑わされたよ、まるで偽善者のように、俺はその曲を再生したんだ
※Too $hortは強烈な下ネタや女性を「Bitch」と呼ぶスタイルで知られる西海岸のレジェンド。嫌悪しつつもそのユーモアに惹かれてしまう自分の矛盾を告白している。

A hypocrite, I stated, though I only recited half
偽善者だと俺は言った、歌詞の半分しか口ずさまなかったのに

Omitting the word "bitch"—cursing, I wouldn't say it
「ビッチ」って言葉は省略してな—汚い言葉は言わなかったんだ

Me and Dog couldn't relate 'til a bitch I dated
俺とダチは、俺があるビッチと付き合うまでは共感できなかった
※実際に酷い女性(bitch)と付き合ったことで、初めてヒップホップの女性蔑視的な歌詞にリアリティを感じてしまったという皮肉な現実。

Forgive my favorite word for hers and hers alike
あの女や、あの女に似た奴らに、俺のお気に入りの言葉(ビッチ)を使うことを許してくれ

But I learned it from a song I heard and sort-of liked, yeah
だが、俺はそれを何となく気に入っていた曲から学んだんだ、イェー

Further, ice and glamorized drug dealing was appealing
さらに、アイス(宝石)や美化された麻薬密売も魅力的だった

But the block club kept it from in front of our building
だが、町内会がそれを俺たちのビルの前からは遠ざけてくれていたんだ

Gangsta rap-based filmings became the building blocks
ギャングスタラップを基にした映画たちが、積み木(ビルディング・ブロック)になった

For children with leaking ceilings catching drippings with pots
雨漏りする天井の下、鍋で水滴を受け止めている子供たちにとってのな
※貧困層の子供たちにとって、ギャングスタ映画(『Menace II Society』や『Boyz n the Hood』など)が人格形成の基礎(building blocks)になってしまうゲットーの環境。

Coupled with compositions from 'Pac
それに2Pacの楽曲たちが合わさって

Nas's It Was Written, intermixed with my realities and feelings
Nasの『It Was Written』が、俺の現実や感情と混ざり合っていった

Living conditions, religion, ignorant wisdom, and artistic vision
生活環境、宗教、無知なる知恵、そして芸術的なビジョン

I began to jot, tap the world, and listen
俺は書き留め始め、世界をタップして、耳を傾けた

It drop—
それはこんな風に落ちてくる—
※ここから、世界中から聞こえてくる「痛み」のコーラスへと繋がる。

[Chorus 1]

My mom can't feed me, my boyfriend beats me
「ママは私にご飯を食べさせられない」「彼氏が私を殴るの」

I have sex for money, the hood don't love me
「金のために体を売っている」「フッドは俺を愛してくれない」

The cops wanna kill me, this nonsense built me
「サツは俺を殺したがっている」「この無意味な環境が俺を作った」

And I got no place to go
「そして、私には行く場所がない」

They bomb my village, they call us killers
「奴らが俺たちの村を爆撃する」「奴らは俺たちを人殺しと呼ぶ」

Took me off they welfare, can't afford they health care
「生活保護を打ち切られた」「医療保険なんて払えない」

My teacher won't teach me, my master beats me
「先生は私に教えてくれない」「主人が私をムチ打つ」

And it hurts me soul
それが私の魂を傷つけるんだ

[Verse 2]

I had to ghetto boy bop, a Jay-Z boycott
俺はゲットー・ボーイの歩き方をしなきゃならなかった、Jay-Zのボイコットさ
※Jay-Zの楽曲『D'Evils』の「俺は神に祈ったことはない、Gotti(マフィアのボス)に祈った」というリリックに対し、敬虔なムスリムであるLupeが当時Jay-Zの曲を聴くのをボイコットしたというエピソード。

'Cause he said that he never prayed to God, he prayed to Gotti
なぜなら彼が「神に祈ったことはない、Gottiに祈った」と言ったからだ

I'm thinking, "Golly, God, guard me from the ungodly"
俺は思ったよ「なんてこった、神よ、不信心な者から俺を守りたまえ」と

But by my thirtieth watching of Streets is Watching
だが、映画『Streets is Watching』を30回も観る頃には
※『Streets is Watching』はJay-Zが製作したストリート映画。

I was back to giving props again, and that was bothering
俺はまた彼をリスペクト(プロップス)するようになっていて、それに悩まされていたんだ
※宗教的な信念と、Jay-Zの音楽的・ストリート的なカリスマ性への憧れとの間で揺れ動く葛藤。

'Bout as uncomfortable as a Untouchable touching you
アンタッチャブル(触れてはならない者/カーストの不可触民)に触れられるのと同じくらい、居心地が悪かったよ

The theme songs that niggas hustled to seemed wrong
ハスラーたちがテーマソングにしている曲たちは、間違っているように思えた

But these songs was coming true
だが、これらの曲のリリックは現実になっていたんだ

And it was all becoming cool (Cool)
そして、それがすべてクールなことになっていった(クールに)

I found a condom on the ground that johns would cum into
俺は、買春客(ジョン)たちが中に精液を出したコンドームが地面に落ちているのを見つけた

And thought: "What constitutes a prostitute is the pursuit of profit
そして考えたんだ「売春婦を構成しているのは、利益の追求(プロフィット)だ」と
※「prostitute(売春婦)」と「profit(利益)」の音韻のリンク。資本主義のシステムそのものが、人々を売春(搾取される側)へと追い込んでいるという哲学的な考察。

Then, they drop it
そして、彼らはそれを捨てる

The homie in a suit pat her on the butt, then rock it
スーツを着たダチが彼女の尻を叩き、そしてキメるんだ
※スーツを着たダチはピンプ(ポン引き)のこと。

It seems I was seeing the same scene adopted
どうやら俺は、これと同じ光景が社会のあちこちで採用されているのを見ていたようだ

Prevalent in different things with the witnesses indifferent to stop it
様々な事柄に蔓延していて、目撃者たちはそれを止めることに無関心だ
※音楽業界や大企業がアーティストや労働者を「ピンプ」のように搾取する構造が、社会全体に蔓延していることの暗喩。

They said, "Don't knock it, mind your business"
奴らは言った「批判するな、自分のことだけ気にしてろ」と

His business isn't mindin' that nigga pimpin'—got it
奴のビジネスは、あの黒人がピンプをしていることを気にしないってことだ—分かったよ

[Chorus 2]

They took my daughter, we ain't got no water
「娘を連れ去られた」「俺たちには水がない」

I can't get hired, their cross on fire
「仕事に就けない」「奴らの十字架が燃えている」
※「cross on fire」はKKK(クー・クラックス・クラン)などの白人至上主義者による脅迫行為。

We all got suspended, I just got sentenced
「俺たちは全員停学になった」「俺は今、有罪判決を受けた」

So I got no place to go
「だから俺には、行く場所がない」

They threw down my gang sign, I ain't got no hang-time
「奴らが俺のギャングサインを侮辱した」「俺にはジャンプする滞空時間(才能)がない」

They talk about my sneakers, poisoned our leader
「あいつら俺のスニーカーのことで陰口を叩く」「俺たちの指導者が毒殺された」

My father ain't seen me
「パパは私に会いに来てくれない」

Turn off my TV (Ugh, yeah) 'cause it hurts me soul
テレビを消してくれ (Ugh, yeah) それが俺の魂を傷つけるから

[Verse 3]

So, through the Grim Reaper sickle-sharpening
だから、死神が鎌を研ぐ音を通り抜けて
※ここからLupeの真骨頂である、世界中のあらゆる事象、問題、カルチャーを猛烈な勢いで押韻していく圧巻のパート。

Macintosh marketing, oil field auguring
マッキントッシュのマーケティング、油田の採掘

Brazilian adolescent disarmament
ブラジルの若者たちの武装解除

Israeli occupation, Islamic martyrdom (Woo)
イスラエルの占領、イスラム教徒の殉教 (Woo)

Precise, yeah, laser-guided targeting
正確な、イェー、レーザー誘導のターゲティング(爆撃)

Oil-for-food bartering, terrorist organization harboring
石油と食料の物々交換、テロ組織の隠匿

Sand-camouflaged army men
砂漠用の迷彩服を着た兵士たち

CCF sponsoring, world conquering, telephone monitoring
キリスト教児童基金(CCF)のスポンサー、世界征服、電話の盗聴

Louis Vuitton modeling, pornographic actress honoring
ルイ・ヴィトンのモデリング、ポルノ女優の表彰

String theory pondering, bulimic vomiting
ひも理論の熟考、過食症の嘔吐

Catholic Priest fondling, preemptive bombing
カトリック神父の性的虐待、先制爆撃

And Osama and Obama 'nem
そしてオサマ(・ビンラディン)とオバマたち
※この曲がリリースされた2006年当時、バラク・オバマはまだ上院議員であり、その名前をテロリストのオサマと韻を踏んで並列に並べるという極めて鋭い先見の明と政治的な風刺。

They breaking in my car again
奴らがまた俺の車に車上荒らしをしている

Deforestation and overlogging, and
森林破壊と過剰伐採、そして

Hennessy and Hypnotiq swallowing
ヘネシーとヒプノティックを飲み込むこと

Hydroponic coughing, and... (Woo!) all the world's ills
水耕栽培(の上質なマリファナ)でむせること、そして… (Woo!) この世界のすべての病が

Sitting on chrome, twenty-four-inch wheels, like that
クロームメッキの24インチホイールの上に鎮座しているのさ、こんな風にな
※これら世界中の巨大な悲劇も、ストリートの日常(高級ホイールに乗った車で流すこと)も、すべてが同じ世界で同時に起こっているというシュールで圧倒的な結末。

[Chorus 3]

They say I'm infected, this is why I inject it
「俺は感染したらしい」「だから俺は(ドラッグを)注射するのさ」

I had it aborted, we got deported
「中絶したの」「俺たちは強制送還された」

My laptop got spyware, they say that I can't lie here
「ノートPCにスパイウェアが入った」「ここでは寝転んじゃダメだって言われた」

But I got no place to go
「だけど私には、行く場所がない」

I can't stop eating, my best friend's leaving
「食べるのを止められないの」「親友が引っ越してしまう」

My pastor touched me, I love this country
「牧師に触られたの」「俺はこの国を愛している」

I lost my earpiece, I hope y'all hear me
「イヤホンを失くした」「みんなに私の声が届くといいな」

'Cause it hurts me soul
だって、それが私の魂を傷つけるから

[Outro]

Yeah, whoa-oh
イェー、ウォーオー

Hurts me soul
俺の魂を傷つける

It hurts me so, soul
ひどく傷つけるんだ、魂を

Whoa-oh
ウォーオー

Hurts me soul (Yeah)
俺の魂を傷つける (Yeah)

Whoa-oh
ウォーオー