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I Gotcha - Lupe Fiasco 【和訳・解説】

 

Artist: Lupe Fiasco

Album: Lupe Fiasco’s Food & Liquor

Song Title: I Gotcha

概要

2006年にリリースされたLupe Fiascoの歴史的デビューアルバム『Food & Liquor』に収録された一曲。プロデュースはPharrell WilliamsとChad Hugoからなる伝説的プロデューサーチーム「The Neptunes」が手掛けており、彼ら特有のバウンシーで未来的なビートが特徴である。当時のヒップホップシーンは、過剰な物質主義やギャングスタ・ペルソナを押し出すスタイル(マックやピンプなど)が主流だったが、Lupeはこの曲でそうしたステレオタイプを真っ向から否定している。自身を「クリーンでコンシャスな存在」として定義しつつも、単なるお坊ちゃんではなくシカゴの過酷なフッドをサバイブしてきたストリートの知恵を持っていることを証明してみせた。バンクシーのアート、昔話の「ウサギとカメ」、日用品の石鹸ブランドなどをラップの文脈にシームレスに落とし込む彼のリリカルな変態性が存分に発揮されており、ヒップホップファンの間で語り草となる超絶的なワードプレイが敷き詰められた名曲である。

和訳

[Intro]

Ho! Yeah (A-yessir)
ホー!イェー (A-yessir)

Haha (A-yessir)
ハハ (A-yessir)

You know what it is, Lupe!
何だか分かってるだろ、ルーペだ!

Chicago man, yeah (Uhh, uhh)
シカゴの男さ、イェー (Uhh, uhh)

Hahah, man (Uhh, uhh)
ハハッ、なあ (Uhh, uhh)

You know I have you (Right, right, right, right)
俺がお前らを捕まえてるって分かってるだろ (Right, right, right, right)

You know! Uhh (Right, right, right, right)
分かってるはずさ!アー (Right, right, right, right)

[Verse 1]

They call me Lupe, I'll be your new date
俺はルーペと呼ばれてる、お前の新しいデート相手になってやるよ

They wanna smell like me, they want my bouquet
奴らは俺と同じ匂いを漂わせたがる、俺のブーケを欲しがるんだ
※彼のユニークなスタイルや才能(匂い)を他のラッパーたちが真似したがっているというメタファー。

But they can't, they accented like the UK
だが奴らには無理だ、イギリスみたいに訛りがキツいからな
※「accent」は言葉の「訛り」と香水の「アクセント(香り付け)」のダブルミーニング。他人が彼の真似をして香りを付けても不自然になるという皮肉。

Turn that eau de Lupe to Pepe Le Pew spray
ルーペの香水が、ペペ・ル・ピューのスプレーに変わっちまうのさ
※「eau de Lupe」はルーペの香水。「Pepe Le Pew」はアニメ『ルーニー・テューンズ』に登場する悪臭を放つスカンクのキャラクター。フェイクな奴らが彼のスタイルを真似ると、途端に臭くてダサいものになるという強烈なパンチライン。

Flagrantly fragrant and they can't escape it
目に余るほど香り高くて、奴らはそこから逃れられない

My perfume pursued them everywhere that they went
俺の香水は、奴らが行く先々でどこまでも追いかけていくんだ

You don't want a loan, leave my cologne alone
借金なんてしたくないだろ、なら俺のコロンには手を出すな

It's a little too strong for you to be putting on
お前が身につけるには、少しばかり刺激が強すぎるぜ

Trust me, I say this justly
信じてくれ、俺は正当な理由でこれを言ってるんだ

I went from musty to musky and y'all can't mush me
俺はカビ臭い状態からムスクの香りに成り上がった、お前らに俺を操ることなんてできない
※「musty(カビ臭い=無名時代の貧しさ)」から「musky(高級なムスクの香り=成功)」への変化。さらに「musky」を犬ぞりのハスキー犬に掛け、「mush(犬ぞり使いが犬に前進を命じる掛け声)」を使って、誰の命令にも従わないという意志を示している。

I warn y'all cornballs, I hush puppies
警告しておくぜダサい奴ら、俺は子犬たちを黙らせるんだ
※「cornballs」はダサい奴を指すスラングだが、同時にトウモロコシ粉の揚げ物(コーンボール)の意味も持つ。次の「hush puppies」もトウモロコシ粉を使った有名な揚げ物料理であり、靴のブランド名でもあり、「hush puppy(犬を黙らせる)」という意味も持つ。超絶的な言葉遊び。

The swans in the pond call my duck ugly
池の白鳥たちは、俺のアヒルを醜いと呼ぶ
※童話『みにくいアヒルの子』の引用。ストリートのギャングスタたち(白鳥)の中で、コンシャスなオタク肌の自分(アヒル)が浮いていた過去への言及。

But now they hug me, because it's lovely
だが今じゃ奴らは俺をハグしてくる、それが素晴らしいからな

They love the aroma of a roamer of the world
奴らは世界を旅する放浪者のアロマを愛しているのさ
※「aroma(香り)」と「roamer(放浪者)」の見事な脚韻。

Got the shakers and the skaters and the players and the girls
シェイカーたち、スケーターたち、プレイヤーたち、そして女の子たちを惹きつける

Keep the fakers and the flakers and the haters in a twirl
フェイクな奴ら、ドタキャンする奴ら、ヘイターたちを混乱の渦に巻き込んでやる

[Chorus]

You want the flava ma? Hey, I gotcha
本物のフレーバーが欲しいんだろ?なあ、俺に任せな

You want the realness? Well, I gotcha
本物が欲しいんだろ?ああ、俺がついてるぜ

I know you sick of them niggas big car and watch you
お前がデカい車に乗って見せびらかすような奴らにウンザリしてるのは分かってる

Either they pimps or they macks or they mobsters
奴らはピンプか、マックか、それともギャングスター気取りのどれかだ
※当時のヒップホップシーンに蔓延していたステレオタイプなペルソナへの批判。

You want the real shit? Well, I gotcha
リアルなシャットが欲しいんだろ?ああ、俺に任せな

You see my niggas here, you know we proper
ここにいる俺の仲間を見ろ、俺たちがちゃんとしてるって分かるだろ

You know we do it right (Right) right (Right)
俺たちが正しくやってるってな (Right) right (Right)

Right (Right) right (Right)

Right (Right) right (Right) right (Right) right (You know we do it)
Right (Right) right (Right) right (Right) right (俺たちがやるってな)

[Verse 2]

And I'm from Chi-Town, that's where I flies 'round
俺はシカゴの出身だ、そこが俺の飛び回る場所さ

Keep some Cartier frames over my eyes now
今はカルティエのフレームを目の上に乗せている
※Lupeのトレードマークである高級メガネ。

We used to gangbang, a lot of that done died down
昔はギャングの抗争もあったが、その多くはもう静まった

Children of the hat tiltin' keepin' hope alive now
帽子を斜めに被る子供たちが、今は希望を生かし続けているんだ
※「hat tiltin'」はシカゴのギャングが所属を示すためにキャップを左右どちらかに傾けて被る文化。ギャングの子供たちが今は前を向いて生きていることを示唆している。

All with no high, I do it so fly
ドラッグでハイになんてならず、俺は最高にイケてるやり方でやる

Banksy's attack helicopter with the bow tie
蝶ネクタイをつけた、バンクシーの攻撃ヘリコプターさ
※覆面芸術家バンクシーの有名な作品(ピンクの蝶ネクタイをつけた武装ヘリ)の引用。シカゴの危険な環境(ヘリコプター)で育ちながらも、平和的で知的なスタイル(蝶ネクタイ)を持つ自分自身を重ね合わせている。

I love my city, really hope that God bless it
俺は自分の街を愛してる、神の祝福があることを心から祈ってるよ

Have my mind moving faster than that hog in the hedges
生垣の中を走るあのハリネズミよりも速く、俺の思考を回転させる
※「hog in the hedges」は「hedge(生垣)」と「hog(豚)」でハリネズミ(Hedgehog)のこと。人気ゲームキャラクター「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」のような超高速の思考回路を持っているという表現。

Welcome all of y'all to my dark recesses
俺の心の奥底の暗闇へ、お前ら全員を歓迎しよう

This is where I keep the bars like bathtub edges
ここは俺がバスタブの縁のように、バーズを置いておく場所なんだ
※ラップの小節(bars)と、固形石鹸(bars of soap)を掛けた超絶技巧のダブルミーニング。バスタブの縁に石鹸を置くように、自分の脳内にラップの小節をストックしている。

My Ivories and my Doves, my Levers and my Zests
俺のアイボリー、俺のダヴ、俺のレバー、そしてゼストをな
※前のラインから引き継ぎ、すべて実在する有名な「石鹸のブランド名」を羅列している。自分のリリックがいかに多様でクリーン(清潔)であるかを示している。

This takes half of your bubble bath to match the freshness
このフレッシュさに匹敵するには、お前のバブルバスの半分を使い切る必要があるぜ

The belly of the beast, you know I'm from it
野獣の腹の中、俺がそこから来たことは知ってるだろ
※「belly of the beast」はゲットーや危険な環境の比喩。

I wrap it in a towel, hit Gomer Pyle in the stomach
俺はそれをタオルで包み、ゴーマー・パイルの腹に叩き込むんだ
※映画『フルメタル・ジャケット』で、タフな海兵隊の訓練に耐えきれずミスを連発する微笑みデブ(ゴーマー・パイル)が、深夜に仲間から石鹸を詰めたタオルで腹を殴打される凄惨なリンチシーンからの引用。石鹸(自分のクリーンなラップ)が、時に凶器のような破壊力を持つという恐るべきメタファー。

And I be on my green like Irish Spring
そして俺はアイリッシュ・スプリングのように、自分のグリーン(金)に集中する
※「Irish Spring」は緑色のパッケージで有名な石鹸ブランド。「green」はストリートスラングで金(札束)やマリファナを意味する。

And I coast, fudge with it, get a mouth full of soap
俺は余裕で進む、ふざけた真似をすれば、口の中を石鹸でいっぱいにされるぜ
※アメリカでは子供が汚い言葉(スラングや暴言)を使うと「口を石鹸で洗う」という罰がある。フェイクなラッパーが汚い言葉を使えば、クリーンな自分のラップ(石鹸)で制裁を下すという締めくくり。

[Chorus]

You want the flava ma? Hey, I gotcha
本物のフレーバーが欲しいんだろ?なあ、俺に任せな

You want the realness? Well, I gotcha
本物が欲しいんだろ?ああ、俺がついてるぜ

I know you sick of them niggas big car and watch you
お前がデカい車に乗って見せびらかすような奴らにウンザリしてるのは分かってる

Either they pimps or they macks or they mobsters
奴らはピンプか、マックか、それともギャングスター気取りのどれかだ

You want the real shit? Well, I gotcha
リアルなシャットが欲しいんだろ?ああ、俺に任せな

You see my niggas here, you know we proper
ここにいる俺の仲間を見ろ、俺たちがちゃんとしてるって分かるだろ

You know we do it right (Right) right (Right)
俺たちが正しくやってるってな (Right) right (Right)

Right (Right) right (Right)

Right (Right) right (Right) right (Right) right (You know we do it)
Right (Right) right (Right) right (Right) right (俺たちがやるってな)

[Verse 3]

And so to sign off, this beat I rhyme off
さて、お別れのサインとして、俺がライムを乗せているこのビートは

Is from Thelonious P and Hugo Mind Boss
セロニアス・Pと、ヒューゴ・マインド・ボスが作ったものだ
※この曲のプロデューサーであるThe Neptunesへのシャウトアウト。「Thelonious P」はPharrell Williamsをジャズの巨匠セロニアス・モンクに例えたもの。「Hugo」はChad Hugoのこと。

You feel it in the air, it's such a fine force
空気中にそれを感じるだろ、本当に素晴らしいフォースだ

But you don't hear me though, just like a mime's talk
だがお前には俺の声が聞こえていない、まるでパントマイムの会話のようにな

That's cause I'm in Europe, me in my French tour-a
なぜなら俺はヨーロッパにいて、フランスツアーの最中だからさ

I'm on my pimp, my temperature is tempura
俺はピンプのモードだ、俺の熱気は天ぷらレベルさ
※「temperature(温度)」と「tempura(天ぷら)」の響きを掛け合わせ、油で揚げるようにアツアツ(最高潮)であるというコミカルなジョーク。

I take it easy on my watch, I'm watching TV
腕時計を見ながら気楽にやってる、テレビを観ながらな

In my cleanest Maharashi, see the hare is tryna beat me
最高にクリーンなマハリシを着て、ウサギが俺を打ち負かそうとしているのを見てる
※「Maharishi」はイギリスのストリートファッションブランド。ミリタリーと自然を融合させたデザインでウサギのロゴが有名。この「ウサギ(hare)」が次の童話の引用に繋がる。

I continue to do Lu's pace
俺はルーのペースでやり続けるだけさ
※童話『ウサギとカメ』の引用。流行り廃りの激しいウサギ(他のラッパー)をよそに、自分はカメのように独自のペース(Lu's pace)で着実に進むというスタンス。

They say him got two heads and four eyes just like screwface
奴らはあいつがスクリューフェイスみたいに2つの頭と4つの目を持ってるって言うんだ
※「screwface」はしかめっ面、またはレゲエやストリートのタフガイを指すが、ここでは怒りで顔が歪んで化け物のようになっているヘイターたちを指している。

But see my secret's safe, it's in my secret safe
だが俺の秘密は安全だ、俺の秘密の金庫の中にあるからな

That's in my secret room on my secret base
それは俺の秘密基地の、秘密の部屋の中にある

So from the runner of the FNF crew
だから、FNFクルーの走者から一言言わせてもらうぜ
※FNFはLupeのレーベル「1st & 15th」。

Come in hip hop, we've come to resurrect you
ヒップホップの中へ入ってこい、俺たちがお前を蘇らせに来たんだ
※商業主義に陥って死に体となっていたヒップホップを、自分たちの純粋なアートで復活(Resurrect)させるという力強い宣言。

You, you, you, you, you, you
お前を、お前を、お前を

You, you, you, you, you
お前をな

[Chorus]

You want the flava ma? Hey, I gotcha
本物のフレーバーが欲しいんだろ?なあ、俺に任せな

You want the realness? Well, I gotcha
本物が欲しいんだろ?ああ、俺がついてるぜ

I know you sick of them niggas big car and watch you
お前がデカい車に乗って見せびらかすような奴らにウンザリしてるのは分かってる

Either they pimps or they macks or they mobsters
奴らはピンプか、マックか、それともギャングスター気取りのどれかだ

You want the real shit? Well, I gotcha
リアルなシャットが欲しいんだろ?ああ、俺に任せな

You see my niggas here, you know we proper
ここにいる俺の仲間を見ろ、俺たちがちゃんとしてるって分かるだろ

You know we do it right (Right) right (Right)
俺たちが正しくやってるってな (Right) right (Right)

Right (Right) right (Right)

Right (Right) right (Right) right (Right) right (You know we do it)
Right (Right) right (Right) right (Right) right (俺たちがやるってな)

[Outro]

Yessir
イエッサー

F&F U-P
F&F、アップだ
※1st & 15thのレペゼン。