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THAT GUY - Tyler, The Creator 【和訳・解説】

Artist: Tyler, The Creator

Song Title: THAT GUY

概要

『THAT GUY』は、Tyler, The Creatorの圧倒的な成功と地元ロサンゼルスへの強烈な誇りを見せつけるハードなバンガーである。本楽曲では、過去のトラウマや人間関係のパラノイアを抱えつつも、Coachellaでの破格のギャラ(1000万ドル以上)、アルバムの爆発的なセールス、そして独自のブランド「Le FLEUR*」の成功を背景に、現行シーンにおける自らのアンタッチャブルな地位をフレックスしている。また、ケンドリック・ラマーが主催した伝説的ライブ「The Pop Out」への出演や、亡き盟友Drakeo the Rulerへのシャウトアウト、サウスLA特有の地名(ホーソーン、ガーデナ等)を散りばめるなど、西海岸のストリートカルチャーに対する深いリスペクトと彼ならではのシニカルなユーモアが交差する、極めて密度の高い一曲である。

和訳

[Intro]

Them niggas used to press me on the carrot-colored bus, ha
昔、あいつらよくニンジン色のバスで俺に因縁つけてきたよな、ハッ
※「ニンジン色のバス」とは、タイラーの地元ロサンゼルス郡を走るオレンジ色の路線バス(メトロ・ローカル)のこと。かつて通学などの際に不良たちから絡まれていた過去を振り返っている。

(El Segundo and Prairie)
(エル・セグンドとプレーリー)
※LA郡ホーソーンにある交差点名。彼が育ったリアルなフッドの場所を示している。

That's why I’m paranoid now 'cause niggas weird and really bums (Hmm)
だから今でもパラノイアなんだよ、人間ってのは気味が悪いしマジでクズばかりだからな (Hmm)

Woof, woof, woof, woof, woof, woof (Hey now, say now, I'm all about my guap)
ウーフ、ウーフ、ウーフ、ウーフ、ウーフ、ウーフ(なあ、言っとくが、俺は自分の金のことしか頭にないぜ)
※犬の鳴き声(ウーフ)は、ストリートでの警戒心や攻撃性を表すヒップホップ特有のアドリブ。guapは多額の現金を意味するスラング。

Okay

[Chorus]

Hey now, say now, I’m all about them bands
なあ、言っとくが、俺は大量の札束のことしか頭にないぜ
※bandsは1000ドルの札束をゴムバンドで留めることから、大金を意味するスラング。

Shit I'm on, bitch, you wouldn't understand
俺が見てる世界なんて、ビッチ、お前には到底理解できないだろうな

Hey now, say now, I'm all about my guap
なあ、言っとくが、俺は自分の金のことしか頭にないぜ

AP? Richie? Hmm, not on my watch
オーデマ・ピゲ?リシャール・ミル?いや、俺の時計はそんなんじゃない
※AP(Audemars Piguet)やRichie(Richard Mille)といった、現代のラッパーがこぞって身につける定番の高級時計を否定している。タイラーはCartierなどのヴィンテージ時計を好み、独自の美学と洗練されたテイストを誇示している。ここでの「not on my watch」は「俺の時計には無い」と「俺の目の黒いうちはそんなことさせない(そんな流行には乗らない)」のダブルミーニング。

[Verse 1]

'Cause brodie said "Don't even press the issue"
だってダチが「無理して張り合う必要なんてない」って言ってたからな

Yellow boogers in my earlobe, I need a tissue
耳たぶには黄色い鼻くそがついてる、ティッシュが要るな
※「黄色い鼻くそ」は、イエロー・カナリア・ダイヤモンドのピアスのこと。高価なジュエリーをあえて下品な言葉で例えるのはヒップホップ特有のワードプレイ。

Oh my God, I'm really that guy, huh
なんてこった、俺はマジで「あの男」なんだな
※「That guy」とは、誰もが認める大物、シーンのトップに君臨する唯一無二の存在を意味する。

Yeah, bitch, I'm outside (Grr)
ああ、ビッチ、俺は表に出てるぜ (Grr)
※I'm outsideは「外にいる=ストリートでアクティブに活動している、いつでもかかってこい」というスタンスを示すスラング。

LaFerrari popping on the 40 with the 5 (Ugh)
ラフェラーリで40と5を爆走してるぜ (Ugh)
※ラフェラーリは数億円規模の超高級車。「40 with the 5」はロサンゼルスを南北に貫く大動脈、州間高速道路405号線(The 405)のこと。彼がLAを代表する存在であることを示唆している。

One ticket, two ticket, three ticket, four million
チケット1枚、2枚、3枚、400万枚

Put that lil’ Maybach truck in the garage, huh
そのちっぽけなマイバッハのトラックはガレージにしまっときな

Lil’ Bunny Hop out, you seen me at Thе Pop Out
軽くバニーホップして飛び出す、The Pop Outで俺を見たろ
※2024年6月にロサンゼルスで開催され、ケンドリック・ラマーがドレイクとのビーフの勝利宣言として行った歴史的ライブ「The Pop Out: Ken & Friends」にタイラーがサプライズゲストとして出演したことを指している。西海岸の団結の象徴的なイベントに呼ばれたことへのフレックス。

Pandemonium screaming like thеy brought Pac out
まるで2Pacを蘇らせたかのような大パニックの歓声だったぜ
※前述の「The Pop Out」での熱狂ぶりを、西海岸の伝説である2Pacが登場したかのような盛り上がりだったと例えている。

Stop it with the chitchat, we airing out the kickback
無駄話はやめろ、俺たちはパーティーでもぶっ放すんだ
※kickbackは友人同士のリラックスした集まりやパーティーのこと。airing outは銃を乱射することを意味し、くだらない噂話をする奴らには容赦しないという攻撃的な姿勢を示している。

Big stud energy the way I get my lick back, huh (Ugh)
俺がやり返す時のこの溢れ出るビッグ・スタッドのエナジーよ (Ugh)
※studは男らしさや種馬を意味し、get my lick backは「報復する、やられたらやり返す」というストリートの掟を表す。

[Chorus]

Hey now, say now, I'm all about them bands
なあ、言っとくが、俺は大量の札束のことしか頭にないぜ

Shit I’m on, bitch, you wouldn't understand, yeah, uh (Ugh)
俺が見てる世界なんて、ビッチ、お前には到底理解できないだろうな、yeah, uh (Ugh)

[Verse 2]

I'm the suspect, baby, I don't play victim
俺は容疑者なんだよ、ベイビー、被害者ぶるつもりはない

I’ll buy that nigga building just to evict him
あいつを追い出すためだけに、あいつのビルごと買い取ってやるよ
※ラッパーとしての財力を暴力ではなく「資本力による嫌がらせ」として使う、タイラーらしいユーモアに溢れたフレックス。

What that Coachella pay like? It was eight figures
コーチェラのギャラはどれくらいかって? 8桁だったぜ
※2024年のCoachellaフェスティバルでヘッドライナーを務めたタイラー。8桁、つまり1000万ドル(約15億円以上)のギャラを受け取ったことを明言している。

Why don't I fuck with them guys? 'Cause I hate niggas
なんで俺があいつらとつるまないかって? 人間が嫌いだからさ
※タイラー特有のミサンソロピー(人間嫌い)な一面。業界のフェイクな連中とは関わりたくないというスタンス。

Oh (Oh) my (My) God (God), I'm (I'm) really (Really) that (That) guy, huh
なんてこった、俺はマジで「あの男」なんだな

I got my Chuck Taylors on, but they look like loafers (Hey now)
チャックテイラーを履いてるが、ローファーみたいに見えるだろ (Hey now)
※Converse(Chuck Taylor)はタイラーのアイコニックなスニーカー。彼自身の洗練されたスタイリングと自身のブランド「Le FLEUR*」の世界観により、ストリート系のスニーカーすら高級革靴のように見えさせるという自己誇示。

I ain't sitting with you niggas, fuck I look like, Oprah?
お前らと一緒に座る気はない、俺がオプラにでも見えるか?
※アメリカの国民的司会者オプラ・ウィンフリーのこと。オプラのように誰とでも座ってインタビューや対話をするようなお人好しではない、という意味。

Rather put 'em in the ground, you niggas look like gophers (Hey now)
むしろ土の中に埋めてやるよ、お前らまるでホリネズミみたいだな (Hey now)

Open doors for my niggas, bitch, I look like chauffeur, huh
ダチのためにドアを開けてやるんだよ、ビッチ、まるでお抱え運転手みたいだろ
※自分の仲間たちにチャンスを与え、成功への道を開いている(フックアップしている)ことを、運転手が車のドアを開ける動作にかけている。

RIP The Ruler (RIP The Ruler), keep it sewer (Stay down)
ザ・ルーラーよ安らかに眠れ(ザ・ルーラーよ安らかに眠れ)、アンダーグラウンドのままでいようぜ(気を抜くなよ)
※2021年に悲劇的な死を遂げたLAのラッパー、Drakeo the Rulerへの追悼。彼がよく使っていたスラング「keep it sewer(ストリートの暗部やアンダーグラウンドのリアルさを保つ)」を引用している。

Stack the gouda, mind ya business, eat the cooter (Yeah)
金を積み上げ、自分のことに集中し、プッシーを舐める (Yeah)
※gouda(ゴーダチーズ)は現金の隠語。cooterは女性器の俗語。

Oh my God, I'm really that— (Man, turn this shit the fuck up)
なんてこった、俺はマジで—(おい、この曲のボリュームを限界まで上げろよ)

I was up at Westchester dodging all the high beams
ウェストチェスターにいて、ハイビームの光を全部避けてた
※ウェストチェスターはLAの地名。警察のパトカーのライトやヘリコプターのサーチライト、あるいは周囲からの詮索の目を避けながらフッドで生き抜いていた過去の描写。

Gardena swap meet, shopping bogus Ice Cream
ガーデナのスワップミートで、偽物のIce Creamを買ってたんだ
※ガーデナもLA南部の都市。スワップミート(フリーマーケット)で、彼のアイドルであるファレル・ウィリアムスが手がけたブランド「Billionaire Boys Club / Ice Cream」の偽物を買っていた下積み時代を回顧している。

I'm a Hawthorne baby, shit is not warm, baby
俺はホーソーン育ちだ、そこは生ぬるい場所じゃないんだぜ、ベイビー
※ホーソーンも彼が育ったLA南部の治安の悪いエリア。warmとHawthorneで韻を踏んでいる。

Four or five main bitches, I am not yours, baby
本命のビッチが4、5人いるんだ、俺はお前だけのものじゃないぜ、ベイビー

All these women is a habit
これだけの女たちを抱えるのは単なる癖みたいなもんだ

Boyfriends mad 'cause they thought I was a f— (Hey now)
彼氏どもはキレてるよ、俺のことをオカマだと思ってたからな (Hey now)
※「f—」はfaggot(同性愛者に対する蔑称)の寸止め。ヒップホップファンの間では、タイラーが過去の作品で自身のセクシュアリティの流動性を匂わせてきたため、世間は彼をゲイだと思い込んでいたが、実際には女たちを次々と奪っていくため、油断していた男たちが激怒しているという強烈なパンチラインとして解釈されている。

Hey now, say now, get sticky like a Hon' Bun
なあ、言っとくが、ハニーバンのようにベタベタにしてやるぜ
※Hon' Bun (Honey Bun)はアメリカの甘いアイシングがかかった定番の菓子パン。金(現金)がベタベタと張り付いてくる様子や、状況が厄介(sticky)になることをかけている。

You will never be the main guy, you're a plus one (Ugh)
お前が主役になることは永遠にない、お前はただの同伴者だ (Ugh)
※イベント等で招待客が連れてくる「+1(プラスワン)」の存在に過ぎないという痛烈なディス。

300K in four days, CHROMAKOPIA (Ugh)
4日で30万枚だ、『CHROMAKOPIA』はな (Ugh)
※本作『CHROMAKOPIA』がリリース直後に叩き出した驚異的なセールス数字のフレックス。

Twelve days gold, I ain't even drop deluxe one (Ugh)
12日でゴールド認定だ、デラックス版すら出してないのにな (Ugh)
※RIAA(アメリカレコード協会)のゴールド認定(50万ユニット相当の売上)をわずか12日で達成したこと。昨今のヒップホップシーンで売上水増しの常套手段となっている「デラックス版の追加リリース」というギミックに頼らずともこの結果であるという、シーンの風潮への批判と自身の圧倒的な実力の証明。

Sold a million tickets first day for that new stage (Bink, bink, bink, bink)
新しいステージのチケットを初日で100万枚売ってやったぜ (Bink, bink, bink, bink)
※CHROMAKOPIAワールドツアーのチケットが即完売した事実。

Want smoke? We can puff one (Ugh)
煙が欲しいか? なら一服させてやるよ (Ugh)
※「Want smoke?(ビーフや喧嘩をしたいか?)」というヒップホップの常套句に対し、「なら一緒に葉っぱでも吸おうぜ」と彼らしく煙(大麻)にすり替えて受け流すようなワードプレイ。

One whip, two whips, black bitch, blue strips
車が1台、車が2台、黒人のビッチ、青い帯の札束
※blue stripsは、青いホログラムの帯が入った100ドル札の束を意味するスラング。

Green face Grinch, Tyler on his Dr. Seuss shit
緑色の顔のグリンチ、タイラーはドクター・スースのモードに入ってるぜ
※ドクター・スースは童話『グリンチ』の原作者。タイラーは2018年のアニメ映画版『グリンチ』のサウンドトラックを手掛けており、自身の変人的なペルソナをグリンチに重ね合わせている。また、Green faceには「札束(緑色)に囲まれた顔」や「嫉妬で青ざめた(緑になった)顔」のダブルミーニングも含まれる。

True shit, I can put a number where your roof is
マジな話、お前の車の屋根くらいの金額を簡単に出せるぜ
※お前が所有している車(あるいは家)の価値を上回る金額を、俺は簡単に提示できる(稼げる)という財力の誇示。

Paranoid 'cause niggas beef curtains, they got loose lips
パラノイアになってる、だってあいつらはビラビラの陰唇みたいに口が軽いからな
※beef curtainsは女性器(陰唇)を指す非常に下品なスラング。文句ばかり言うヘイターたちを「プッシー」と揶揄しつつ、彼らの口(lips)が軽くて秘密をすぐ漏らす(loose lips)ことへの不信感を表現している。

Oh my God (Oh my God), I'm really that guy
なんてこった(なんてこった)、俺はマジで「あの男」なんだな

Hand claps, congrats, never said to me (Put them shoes on)
拍手や祝福の言葉なんて、俺には一度もかけられなかった(その靴を履きな)

Put him on a Pro Club, that nigga dead to me (Lose my number, nigga)
あいつの顔をPro Clubにプリントしてやれ、俺にとっちゃ死んだも同然だ(俺の番号は消しな)
※Pro Clubは西海岸のフッドで愛用されるヘビーウェイトの無地Tシャツブランド。LAのストリートでは、仲間が死んだ際にその顔写真をPro ClubのTシャツにプリントして追悼する文化がある。ここでは「俺を裏切った奴との関係は完全に死んだ(絶縁した)」ということを、この追悼Tシャツの文化を用いて強烈に表現している。

Stop with that fake shit, stop with that fake shit
そのフェイクな戯言はやめろ、フェイクな戯言はやめろ

Stop with that fake shit, just stop with that fake shit (Fake shit)
フェイクな戯言はやめろ、ただそのフェイクな戯言をやめるんだ (Fake shit)

Le FLEUR* got me fitted in my best
Le FLEUR*が俺を最高の姿に仕立て上げてくれる
※自身が立ち上げたラグジュアリー・アパレルブランド「GOLF le FLEUR*」のこと。ハイブランドに頼らず、自身のブランドで最高にドレスアップしていることへの誇り。

If you got a problem with me, nigga, get it off your chest (Woo)
俺に不満があるなら、包み隠さず吐き出してみろよ (Woo)

Nigga, what?
なんだって?

[Bridge]

(Huh, huh, ooh)

Get it off your chest (Huh)
包み隠さず吐き出してみろよ (Huh)

Get it off your chest (Huh, huh, ooh)
包み隠さず吐き出してみろよ (Huh, huh, ooh)

I am not a tough guy, nigga, get it off your chest (Huh, huh, huh)
俺はタフガイぶるつもりはないぜ、なあ、文句があるなら吐き出してみろ (Huh, huh, huh)

I'm the type to bust on her and just lick it off her breast, nigga, uh (Huh, huh, huh)
俺は女の胸の上にぶちまけて、それを舐め取るような変態だからな、uh (Huh, huh, huh)
※get it off your chest(不満を吐き出す=胸のつかえを取る)という慣用句の「chest(胸)」にかけて、文字通りの「女性の胸」に精液を出して舐めるという極めてエキセントリックで下品なワードプレイ。彼自身がステレオタイプな「強がるマッチョなラッパー」ではなく、イカれた変態(Freak)であることを強調している。

I'm a freak, I don't beef (Huh, huh)
俺はフリーク(変態)だ、ビーフはしない (Huh, huh)
※タイラーはヒップホップ特有の揉め事(ビーフ)には興味がなく、我が道を行く変人であることを宣言している。

It's a bird, it's a plane, bitch, it's T (Huh, huh)
鳥だ、飛行機だ、いやビッチ、T(タイラー)だ (Huh, huh)
※スーパーマンが登場する際の有名なフレーズ「It's a bird, it's a plane, it's Superman!」をサンプリング。彼がシーンにおける規格外のヒーロー(スーパーマン)的な存在であることを示している。

Cuttin' niggas off, want the rope? Aight, come, get it
邪魔な奴らは切り捨てる、ロープが欲しいか? よし、来いよ、くれてやる
※不要な人間関係を「断ち切る(cutting off)」ためのロープを与えてやるという挑発。

You don't love me, you love the optics that come with it
お前らは俺自身を愛してるんじゃない、俺と一緒にいることで得られる「見栄え」を愛してるだけだ
※opticsは物事の見え方や体面のこと。タイラーの名声や影響力を利用しようと近づいてくる寄生虫のような連中に対する痛烈な批判。

[Outro]

Uh, uh, bitch
Uh, uh, ビッチ

CHROMAKOPIA, nigga
CHROMAKOPIAだ、ニガ
※アルバムタイトルのドロップ。