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Crazy in Love - Eminem 【和訳・解説】

Artist: Eminem

Album: Encore

Song Title: Crazy in Love

概要

2004年のアルバム『Encore』に収録された「Crazy in Love」は、ハート(Heart)の1976年のクラシック・ロック「Crazy on You」をサンプリングした、情熱的で破滅的なラブソングである。表面的には、エミネムが元妻キム(Kim)との愛憎入り混じる暴力的な関係性を歌っているように聞こえるが、楽曲の後半に進むにつれて、彼が愛し、依存し、そして彼を狂わせている「相手」の正体が、実は「ヒップホップそのもの」あるいは「自身の音楽キャリア(およびスリム・シェイディというペルソナ)」への暗喩であることが明らかになっていく。この高度なダブルミーニングは、Nasの名曲「I Gave You Power」(銃を擬人化)やCommonの「I Used to Love H.E.R.」(ヒップホップを女性に擬人化)の系譜に連なるギミックであり、名声と音楽に魂を売り渡し、それなしでは生きていけなくなった彼の業の深さを痛烈に描き出している。

和訳

[Pre-Chorus: Ann Wilson]

Tell myself that I was doing alright
自分は上手くやっているんだと言い聞かせる

There's nothing left to do tonight
今夜、もうこれ以上できることは何もないから

[Chorus: Ann Wilson]

But go crazy on you
ただあなたに狂わされるだけ

Crazy on you
あなたに狂わされる

Let me go crazy, crazy on you, oh
私を狂わせて、あなたに狂わせて、ああ
※ハート(Heart)の原曲「Crazy on You」からのサンプリング。原曲の「狂おしいほどの愛」というテーマを、エミネムの異常な執着心へと接続している。

[Verse 1: Eminem]

Can't you see what you do to me, baby?
君が俺に何をしているか分からないのか、ベイビー?

You make me crazy, you make me act like a maniac
君は俺を狂わせる、俺をマニアック(狂人)みたいに振る舞わせるんだ

I'm like a lunatic, you make me sick
俺はまるでルナティック(精神異常者)だ、君のせいで吐き気がする

You're truly the only one who can do this to me
俺をこんな風にできるのは、本当に君だけだ

You just make me get so crazy
君はただ俺をひどく狂わせるんだ

I go schizo, I get so insane, I just go schizophrenic
俺はスキゾ(統合失調症)になる、正気を失う、ただ精神分裂病になっちまうんだ

One minute I wanna slit your throat, the next I wanna sex
ある瞬間には君の喉を切り裂きたくなり、次の瞬間にはヤリたくなる

You make me crazy, the way we act
君は俺を狂わせる、俺たちの振る舞い方といったら

Like two maniacs in the sack
ベッドの中じゃ二人の狂人みたいだ

We fuck like two jackrabbits
俺たちは野ウサギみたいに発情してヤりまくる

And maybe that's a bad habit
そしてたぶん、それは悪い癖なんだ

'Cause the next day we're right back at it
だって次の日には、俺たちはまた全く同じことを繰り返してるからな

In the same exact pattern
全く同じパターンのままで

What the fuck is the matter with us?
俺たち、一体どうしちまったんだ?

We can't figure out if it's lust or it's love
これが単なる性欲なのか、それとも愛なのか、俺たちにも分からない

What's that that's attractin' us to each other?
俺たちを互いに惹きつけているものは一体何なんだ?

They say that every man grows up to marry his own mother
男はみんな、自分の母親と同じような女と結婚するように育つって言うだろ
※エミネムと母親デビーとの極めて複雑でトラウマ的な関係を、元妻キムとの関係に投影している。

Which would explain why you're such a motherfuckin' bitch
君がそんなクソみたいなビッチである理由も、それで説明がつくよな

But I stay and still stick it out with you
それでも俺は留まり、未だに君と一緒に耐え抜いている

Even though I just hit you today
今日、君を殴ったばかりだというのに

But you deserve it, you hit me first and provoked me to choke you
でも君は殴られて当然だ、君が先に俺を殴って、首を絞めるように挑発したんだから

Just 'cause I came home late last night
俺が昨日の夜、家に帰るのが遅くなって

Crawled in bed and I woke you
ベッドに潜り込んで、君を起こしちまったってだけでな

But if there's one thing about you that I admire it's, baby
でも、君について俺が称賛できることが一つあるとすれば、それは、ベイビー

Because you stay with me, maybe 'cause you're as crazy as I am
君が俺のそばにいてくれることだ、たぶん君も俺と同じくらい狂っているからだろう

'Cause when I look at you I can see an angel in your eyes
だって君を見つめると、その瞳の中に天使が見えるんだ

But if I look deeper inside I see your freakish little side
でももっと深く覗き込むと、君の異常な一面が見えてくる

Like a devil in disguise, you're always full of surprises
変装した悪魔みたいにな、君はいつも驚きに満ちているよ

Always pullin' devices out your purse: little vibrators and dildoes
いつもバッグから道具を取り出してくる:小さなバイブレーターやディルドをな

You fucked yourself so much you barely feel those anymore
君は自分でヤりすぎたせいで、もうそんなものじゃほとんど感じなくなっちまってる
※この辺りから、性的な描写が「ヒップホップ業界が自身を消費し尽くしていること」や「過激な言葉に麻痺してしまった感覚」へのメタファーとして機能し始めている。

You're only 24, but you're plenty more ma-ture
君はまだ24歳だが、はるかに成熟している
※ヒップホップ文化の誕生(1970年代後半〜80年代初頭)から、この曲がリリースされた2004年までの年数が「約24年」であるという高度な暗号。ここで相手が「女性」ではなく「ヒップホップ」であることが示唆される。

Than those other little hoes who just act like little girls
ただの小娘みたいに振る舞う、他の小娘ビッチどもなんかよりもな

Like they're in middle school still
まるでまだ中学生みたいにな

You're crazy, sexy, cool, chill
君はクレイジーで、セクシーで、クールで、落ち着いてる
※TLCの歴史的名盤『CrazySexyCool』からの引用。

And you play your position, you never step outta line
そして君は自分の役割を果たし、決して一線を越えない

Even though I stay in your business you've always kept outta mine
俺が君のビジネス(業界)にどっぷり浸かっているのに、君はいつも俺のプライベートには踏み込まない

I wonder what's on your mind
君の心の中には何があるんだろうな

Sometimes they say, "love is blind"
時々、奴らは「恋は盲目」って言うよな

Maybe that's why the first time
たぶんそれが理由なんだろう、初めて

I dotted your eye you ain't see the sign
俺が君の目を殴った(ドットを打った)時、君はそのサインに気付かなかったのは
※「dot an eye(目を殴って青あざを作る)」という暴力的表現と、ヒップホップカルチャーに衝撃を与えた(サインを残した)という彼自身のキャリアの初期を重ねている。

[Pre-Chorus: Eminem, Ann Wilson]

Or maybe you did, maybe you like being shoved
いや、もしかしたら気付いていたのかもな、君は乱暴に扱われるのが好きなのかもしれない

(Tell myself that I was doing alright)
(自分は上手くやっているんだと言い聞かせる)

Maybe 'cause we're crazy in love
たぶん、俺たちが狂おしいほど愛し合ってる(ヒップホップに狂ってる)からだろう

(There's nothing left to do tonight)
(今夜、もうこれ以上できることは何もないから)

[Chorus: Ann Wilson]

But go crazy on you
ただあなたに狂わされるだけ

Crazy on you
あなたに狂わされる

Let me go crazy, crazy on you, oh
私を狂わせて、あなたに狂わせて、ああ

[Verse 2: Eminem]

You are the ink to my paper, what my pen is to my pad
君は俺の紙にとってのインクであり、俺のパッドにとってのペンだ
※ここからリリックの対象が完全に「ヒップホップ(音楽)」へと移行する。

The moral, the very fiber, the whole substance to my rap
俺のラップのモラルであり、まさにその繊維であり、全ての実体なんだ

You are my reason for being, the meaning of my existence
君は俺の生きる理由であり、俺の存在意義だ

If it wasn't for you I would never be able to spit this
もし君(ヒップホップ)がいなかったら、俺はこんな風にラップを吐き出すことなんて決してできなかった

As intense as I do, and the irony is you rely on me
今ほど激しくはな、そして皮肉なことに、君も俺に依存しているんだ

As much as I rely on you to inspire me like you do
君が俺にインスピレーションを与えてくれるように、俺が君に依存しているのと同じくらいにな
※ヒップホップ・シーンがエミネムという巨大なアイコンの成功と売上に依存しているという事実。

You provide me the lighter fluid, the fuel to my fire
君は俺にライターのオイルを、俺の炎への燃料を提供してくれる

You're my entire supply: gas, the match, and igniter
君は俺の供給源の全てだ:ガソリンであり、マッチであり、点火器なんだ

The only way that I am able to stay so stable
俺がこれほどまでに安定していられる唯一の理由は

Is you're the legs to my table
君が俺のテーブルの脚になってくれているからだ

If you were to break I'd fall on my face
もし君が折れてしまったら、俺は顔からまともに転え落ちるだろう

But I'm always gonna make you feel I don't need you as much
でも俺はいつも、君が思っているほど君を必要としていないフリをするつもりだ

As I really need you so you don't use it to your advantage
俺が本当に君を必要としていることを利用されないためにな

But you're essential to me, you're the air I breathe I believe
でも君は俺にとって不可欠だ、俺が呼吸する空気だと信じている

If you ever leave me I'd probably have no reason to be
もし君が俺の元を去ったら、俺には生きる理由がなくなるだろう

You are the Kim to my Marshall, you're the Slim to my Shady
君は俺のマーシャルにとってのキムだ、俺のシェイディにとってのスリムだ

The Dre to my Eminem, the Alaina to my Hailie
俺のエミネムにとってのドレーであり、俺のヘイリーにとってのアレイナだ
※彼自身の人生を構成する「不可分な二つの存在」の究極の比喩。

You are the word that I'm lookin' for
君は、俺が探し求めている言葉そのものだ

When I'm tryin' to describe how I feel inside
自分の内面をどう表現すればいいか悩んでいる時に

And the right one just won't come to my mind
適切な言葉が思い浮かばない時のな

You're like the pillar that props me up, the beam that supports me
君は俺を支える柱であり、俺を支える梁だ

The bitch who never took half, the wife who never divorced me
決して俺の財産の半分を奪わなかったビッチであり、決して俺と離婚しなかった妻だ
※現実の妻(キム)とは離婚し財産分与で争ったが、ヒップホップ(という妻)は決して彼を裏切らなかった。

You're like the root to my evil, you let my devil come out me
君は俺の悪の根源であり、俺の中の悪魔を引き出してくれる

You let me beat the shit out you before you beat the shit out me
君が俺を打ちのめす前に、俺に君を徹底的に打ちのめさせてくれるんだ
※ビート(トラック)に乗せて感情を叩きつける(beat the shit out)ことで、自分が精神的に崩壊するのを防いでいるという、音楽への究極の愛と依存。

[Pre-Chorus: Eminem, Ann Wilson]

And no matter how much, too much is never enough
そしてどれだけ多くても、いくらあっても決して十分じゃない

(Tell myself that I was doing alright)
(自分は上手くやっているんだと言い聞かせる)

Maybe 'cause we're crazy in love
たぶん、俺たちが狂おしいほど愛し合ってる(ヒップホップに狂ってる)からだろう

(There's nothing left to do tonight)
(今夜、もうこれ以上できることは何もないから)

[Chorus: Ann Wilson]

But go crazy on you
ただあなたに狂わされるだけ

Crazy on you
あなたに狂わされる

Let me go crazy, crazy on you, oh
私を狂わせて、あなたに狂わせて、ああ