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Yellow Brick Road - Eminem 【和訳・解説】

Artist: Eminem

Album: Encore

Song Title: Yellow Brick Road

概要

本作「Yellow Brick Road」は、エミネムのキャリアにおいて最も深刻な論争の一つに対する直接的なアンサーであり、極めて自伝的かつ歴史的価値の高い一曲である。2003年、ビーフの最中にあった雑誌『The Source』の共同創設者ベンジーノが、エミネムが10代の頃に録音した黒人女性を差別する内容の未発表音源(通称「Foolish Pride」テープ)を発掘し、彼をシーンから追放しようと目論んだ。この大スキャンダルに対し、エミネムは言い訳をするのではなく、1989年当時のデトロイトの複雑な人種的境界線(8 Mile)、ヒップホップ黎明期のファッショントレンド、盟友Proofとの出会い、そして失恋の怒りに任せてあのテープを作ってしまった青い過去を赤裸々に語った。曲名は映画『オズの魔法使』に由来し、自らのルーツと過ちを見つめ直すための道を意味している。シーンを揺るがした人種問題に対し、誠実な謝罪とストリートのリアルな文脈を提示することでヘイターの口を封じた、彼の真摯なリリシズムが光る名曲だ。

和訳

[Intro: Morris Casuto, Spiro Agnew, Randy Blazak & Eminem]

What we have to do is deal with it when these individuals are young enough, if you will, to be saved, not in a religious sense, but not to constitute what this country at times calls (Yeah) their throwaway children
我々がすべきことは、この個人たちが、宗教的な意味でなくとも救済されるのに十分な若さであるうちに対処することだ、この国が時折呼ぶところの(Yeah)使い捨ての子供たちにならないようにな
※かつてテレビ番組等で語られた、非行少年や社会から見放された若者についてのスピーチのサンプリング。エミネム自身が「使い捨ての子供」の象徴だったことを示唆している。

We seem to be approaching (C'mon!) an age of the gross (*Burp*)
我々は(来いよ!)グロテスクな時代に近づいているようだ(*ゲップ音*)

We all have this idea that we should move up a little bit from our parents' station and each—and each generation should do a little bit better
我々はみな、親の世代の地位から少しでも向上し、それぞれの世代が少しずつ良くなっていくべきだという考えを持っている

[Verse 1: Eminem]

All right, come on, let's cut the bullshit, enough
よし、来いよ、デタラメは抜きだ、もう十分だ

Let's get it started, let's start addressin' this issue, and open it up
始めようぜ、この問題に取り組み、全てを公にしよう

Let's take this shit back to the basement and we can discuss
この件を地下室に持ち帰って、話し合おうじゃないか

Statements that's made on this tape and its whole origin of
あのテープで語られた発言と、その全ての起源についてな
※『The Source』誌によって暴露された、エミネムが10代の頃に録音した人種差別的なラップテープ「Foolish Pride」のことを指している。

The music that we all know and love, the music we all enjoy
俺たち全員が知っていて愛している音楽、俺たち全員が楽しんでいる音楽

The music you accuse me of tryin' to destroy
お前らが、俺が破壊しようとしていると非難する音楽のことだ
※ベンジーノらアンチが「白人のエミネムが黒人文化であるヒップホップを搾取し、破壊しようとしている」と批判したことへの言及。

Let's rewind it to '89 when I was a boy
俺がまだ子供だった1989年まで巻き戻そう

On the East Side of Detroit, crossin' 8 Mile into Warren
デトロイトのイーストサイド、8マイルを越えてウォーレンへと渡ったあの頃へ

Into hick territory; I'd like to share a story
田舎者の縄張りにな、ちょっとした話をさせてくれ
※ウォーレンはデトロイトの北側に位置する白人の労働者階級が多く住む地域。8 Mileロードを境に、黒人層の多いデトロイト市と、白人層の多い郊外(ウォーレン)に分断されていた。

This is my story, and can't nobody tell it for me
これは俺の物語だ、他の誰にも俺の代わりには語れない

You have well informed me, I am well-aware
お前らはよく教えてくれたよ、俺は十分に分かっている

That I don't belong here: you've made that perfectly clear
俺がここに属していないってことをな、お前らはそれを完璧に思い知らせてくれた
※ヒップホップという黒人中心のカルチャーにおいて、白人である彼が「部外者」として排斥され続けた疎外感。

I get my ass kicked damn near everywhere
俺は行く先々で、至る所でボコボコにされた

From Bel-Aire shopping center just for stoppin' in there
ベル・エア・ショッピングセンターにただ立ち寄っただけでな
※当時エミネムが実際に不良たちに絡まれ、リンチに遭った地元のショッピングモール。

From the black side all the way to the white side
黒人のエリアから、白人のエリアに至るまでずっとだ

Okay, there's a bright side, a day that I might slide
まあいい、明るい側面もある、何とかやり過ごせる日もある

You may call it a pass, I call it haulin' my ass
お前らはそれを通行証と呼ぶかもしれないが、俺は必死に逃げ回ることだと呼ぶ

Through that patch of grass over them railroad tracks
あの線路を越えた草地を抜けてな

Oh, them railroad tracks, them old railroad tracks
ああ、あの線路、あの古い線路さ

Them good old notorious so well known tracks
あの古き良き、悪名高き、誰もがよく知る線路だ
※線路(railroad tracks)は、文字通りの線路であると同時に、デトロイトの激しい人種的・経済的な分断線のメタファーである。貧困層の白人だった彼は、どちらのコミュニティからも標的にされていた。

[Chorus: Eminem]

So, let's go back, follow the yellow brick road
だから、過去に戻ろう、黄色いレンガの道を辿って

As we go on another episode
俺たちがもう一つのエピソードを進むように
※「黄色いレンガの道」は映画『オズの魔法使』からの引用。主人公ドロシーが故郷へ帰るため、そして仲間たちが脳(知恵)、心、勇気を求めて進む道のことであり、エミネムが真実と自己探求に向かう旅を示している。

Journey with me as I take you through this nifty little place
俺と共に旅に出よう、この小洒落た小さな場所をお前らに案内するから

That I once used to call home sweet home
俺がかつて愛しの我が家と呼んでいた場所へ

Come on, let's go back, follow the yellow brick road
さあ、過去に戻ろう、黄色いレンガの道を辿って

As we go on another episode
俺たちがもう一つのエピソードを進むように

Journey with me as I take you through this nifty little place
俺と共に旅に出よう、この小洒落た小さな場所をお前らに案内するから

That I once used to call home sweet home
俺がかつて愛しの我が家と呼んでいた場所へ

[Bridge: Eminem]

I'd roam the streets so much they called me a drifter
俺はストリートをあまりにもうろついていたから、放浪者と呼ばれたよ

Sometimes I'd stick up a thumb just to hitchhike
時にはヒッチハイクするために親指を立てた

Just to get picked up to get me a lift to
ただ車に乗せてもらい、送ってもらうためにな

8 Mile and Van Dyke or steal a goddamn bike
8マイルとヴァン・ダイクの交差点まで、あるいは誰かの庭からクソみたいな自転車を盗んで

From somebody's backyard, and drop it off at the park
そしてそれを公園に乗り捨てた

That was the halfway mark, to meet Kim had to walk
そこが中間地点だった、キムに会うためには歩かなきゃならなかった

Back to her mama's on Chalmers after dark
暗くなってから、チャーマーズ通りにある彼女の母親の家までな

To sneak me in the house when I'm kicked out my mom's
俺が母親の家から追い出された時、彼女の家にこっそり忍び込ませてもらうために

That's about the time I first met Proof
ちょうどその頃だよ、俺が初めてプルーフに出会ったのは

With Goofy Gary on the steps at Osborn, handin' out some flyers
オズボーン高校の階段で、グーフィー・ゲイリーと一緒にフライヤーを配っていた時に

We was doin' some talent shows at Center Line High
俺たちはセンターライン高校でタレントショーに出ていたんだ

I told him to stop by and check us out sometime
俺はあいつに、いつか寄って俺たちのラップを見てくれって言った

He looked at me like I'm out my mind
あいつは俺がイカれてるって目で見てきたよ

Shook his head like, "White boys don't know how to rhyme."
首を振って、「白人のガキにライムのやり方なんて分かるわけねえ」って感じでな
※後に彼の一番の親友となりD12のリーダーとなるProof(2006年没)との運命的な出会い。当時は白人が本格的なラップをすることは黒人コミュニティから失笑を買う時代だった。

I spit out a line and rhymed "birthday" with "first place"
俺はラインを吐き出して、「birthday」と「first place」で韻を踏んだ

And we both had the same rhymes that sound alike
すると俺たちは二人とも、同じように聞こえるライムを持っていたんだ

We was on the same shit, that Big Daddy Kane shit
俺たちは同じスタイルに夢中だった、あのビッグ・ダディ・ケインのスタイルにな

Where compound syllables sound combined
複合音節が組み合わさって聞こえるあのアプローチだ
※Big Daddy Kaneは80年代後半〜90年代のラップの技術的進化に多大な影響を与えた伝説のMC。「birthday / first place」のような、単なる語尾の押韻ではなく複数音節(マルチシラブル)を連続で踏む高度なテクニックで、白人であるエミネムがProofからMCとしての実力を認められた瞬間を描いている。

From that day we was down to ride
その日から俺たちは固い絆で結ばれた

Somehow we knew we'd meet again somewhere down the line
どういうわけか、俺たちはいつかどこかでまた会う運命だって分かっていたんだ

[Chorus: Eminem]

So, let's go back, follow the yellow brick road
だから、過去に戻ろう、黄色いレンガの道を辿って

As we go on another episode
俺たちがもう一つのエピソードを進むように

Journey with me as I take you through this nifty little place
俺と共に旅に出よう、この小洒落た小さな場所をお前らに案内するから

That I once used to call home sweet home
俺がかつて愛しの我が家と呼んでいた場所へ

Come on, let's go back, follow the yellow brick road
さあ、過去に戻ろう、黄色いレンガの道を辿って

As we go on another episode
俺たちがもう一つのエピソードを進むように

Journey with me as I take you through this nifty little place
俺と共に旅に出よう、この小洒落た小さな場所をお前らに案内するから

That I once used to call home sweet home
俺がかつて愛しの我が家と呼んでいた場所へ

[Verse 2: Eminem]

My first year in 9th grade, can't forget that day at school
9年生の最初の年、学校でのあの日は忘れられない

It was cool 'til your man MC Shan came through
お前らのダチのMCシャンが現れるまでは最高だったんだ

He said that Puma's the brand ‘cause the Klan makes Troops
あいつはプーマこそがブランドだと言った、KKKがTroopを作ってるからってな
※当時LL Cool Jが愛用して大流行していたスニーカーブランド「Troop」について、ライバルだったMC Shanらが「Ku Klux Klan(白人至上主義結社)が裏で運営している」という都市伝説を流した。結果、黒人コミュニティを中心に不買運動が起きた史実。

It was rumors, but man, goddamn, they flew
ただの噂だったが、おい、マジでとんでもない勢いで広まった

Musta been true, because man, we done banned they shoes
本当だったに違いないさ、だって俺たちはあの靴を禁止にしたんだから

I had the new ones, the Cool J Ice Lamb, suede too
俺は新品を持ってたんだ、クールJのアイス・ラム、スエード素材のやつもな

But we just threw 'em in the trash like they yesterday's news
でも俺たちは昨日終わったニュースみたいに、それをゴミ箱に投げ捨てたんだ

Guess who came through next? X Clan debuted
次に誰が登場したと思う? X Clanがデビューしたのさ
※X Clanは1989年にデビューした、強力なアフロセントリック(アフリカ中心主義)とブラックパワーを掲げたヒップホップグループ。

Professor X (Vanglorious!)
プロフェッサーXだ(ヴァングロリアス!)
※X Clanのリーダー、Professor Xの象徴的なキャッチフレーズ。

"Exist in a state of red, black and green, with a key, sissies!"
「赤、黒、緑の状態で存在しろ、鍵を持て、女々しい奴らめ!」
※赤・黒・緑はパン・アフリカ色。「鍵」は彼らが身につけていたアフリカの装飾品や知識のメタファー。

Now with this bein' the new trend, we don't fit in
これが新しいトレンドになったせいで、俺たち白人には居場所がなくなった

Crackas is out with Cactus Albums, blackness is in
クラッカーたちはカクタス・アルバムと一緒に消え去り、ブラックネスが流行りになったんだ
※「Crackas(Cracker)」は白人を指す蔑称。「Cactus Album」は白人ラップグループ3rd Bassのデビューアルバム。黒人至上主義的なヒップホップが覇権を握り、白人ラッパーが排除される空気感があったことを示している。

African symbols and medallions represent Black Power
アフリカのシンボルやメダリオンがブラックパワーを象徴していた

And we ain't know what it meant, me and my man Howard
そして俺たちはそれが何を意味するのかも分からなかった、俺とダチのハワードと

And Butter would go to the mall
バターはショッピングモールに出かけていった

With 'em all over our necks like we're showin' 'em off
見せびらかすみたいに、首の周りいっぱいにそれらをぶら下げてな

Not knowin' at all we was bein' laughed at
自分たちが笑い者にされていることにも全く気付かずに
※ヒップホップに憧れるあまり、白人でありながらブラックパワーの象徴であるメダリオンを身につけ、ストリートで完全に浮いていたという痛烈な自虐エピソード。

"You ain't even half black!
「お前ら半分も黒人じゃねえだろ!

You ain't 'posed to have that, homie, let me grab that!
お前がそんなもん持ってるべきじゃねえ、おい、それを寄こせ!

And that Flavor Flav clock, we gon' have to snatch that!"
それにそのフレイヴァー・フレイヴの時計も、俺たちが奪わなきゃならねえな!」
※Public EnemyのFlavor Flavが首から下げていた大きな時計も真似していたが、結局黒人の不良たちにカツアゲされてしまった。

All I remember is meetin' back at
覚えているのは、その後また集まったことだけだ

Manix's basement, sayin' how we hate this
マニックスの地下室でな、こんな状況がどれだけ嫌か

How racist but dope the X Clan's tape is
X Clanのテープがどれだけレイシストで、でも同時にどれだけドープか語り合ったよ
※白人を排斥する内容に傷つきながらも、その音楽の格好良さ(Dopeさ)を認めざるを得なかった、ヒップホップへの複雑な愛憎。

Which reminds me, back in '89, me
それで思い出したんだ、89年当時、俺と

And Kim broke up for the first time; she was tryin' to two-time me
キムが初めて別れた時のことだ、あいつは俺を二股にかけようとしていた

And there was this black girl at our school, who thought I was cool
それで俺たちの学校に、俺のことをクールだと思ってくれる黒人の女の子がいた

‘Cause I rapped, so she was kinda eyein' me
俺がラップをしてたからな、だから彼女は俺に目を向けていたんだ

And oh the irony, guess what her name was?
そしてああ皮肉なことに、彼女の名前が何だったと思う?

Ain't even gonna say it, plus
言わないでおくよ、そのうえ

The same color hair as hers was and blue contacts
彼女(キム)と同じ色の髪で、青いコンタクトをしていて

And a pair of jugs, the bombest goddamn girl in our whole school
立派な胸をしてた、学校中で一番イケてる最高の女の子だった
※ヒップホップファンの考察では、この黒人の少女の名前もキムの親戚と同じ名前だったか、キムという名前自体だったと言われている。エミネムはキムへの当てつけとして彼女を利用しようとした。

If I could pull her, not only would I become more popular
もし彼女を落とせたら、俺はもっと人気者になれるだけでなく

But I would be able to piss Kim off at the same time
それと同時にキムを激怒させることができるはずだった

But it backfired
でも、それは裏目に出た

I was supposed to dump her but she dumped me for this black guy
俺が彼女を振るはずだったのに、彼女はこの黒人の男のために俺を振ったんだ

And that's the last I ever seen or heard
そしてそれが、俺が見たり聞いたりした最後だった

Or spoke to the "Ole Foolish Pride" girl, but I've heard
あの「馬鹿げたプライド」の女の子と話したのもな、でも耳にはしている

People say they heard the tape and it ain't that bad
人々がそのテープを聴いて、そこまで酷くないって言ってるのを

But it was: I singled out a whole race
でも酷かったんだ、俺は一つの人種全体を標的にした

And for that I apologize, I was wrong
そしてそのことについて、俺は謝罪する、俺が間違っていた
※怒りに任せて作った差別的なミックステープに対する、エミネムの真正面からの謝罪。特定の個人の行動への怒りを、人種全体へのヘイトとして表現してしまった自身の未熟さを認めている。

‘Cause no matter what color a girl is, she's still a—
だって女の子が何色であろうと、結局のところ彼女はただの—
※曲の真面目なトーンを最後にぶち壊すエミネムらしいパンチライン。「she's still a bitch(どっちみちただのビッチだ)」という言葉を言う直前でカットアウトされる。人種差別はしないが、女性に対するスタンス(ミソジニー・ペルソナ)は変わらないというダークなジョークである。

[Chorus: Eminem]

So, let's go back, follow the yellow brick road
だから、過去に戻ろう、黄色いレンガの道を辿って

As we go on another episode
俺たちがもう一つのエピソードを進むように

Journey with me as I take you through this nifty little place
俺と共に旅に出よう、この小洒落た小さな場所をお前らに案内するから

That I once used to call home sweet home
俺がかつて愛しの我が家と呼んでいた場所へ

Come on, let's go back, follow the yellow brick road
さあ、過去に戻ろう、黄色いレンガの道を辿って

As we go on another episode
俺たちがもう一つのエピソードを進むように

Journey with me as I take you through this nifty little place
俺と共に旅に出よう、この小洒落た小さな場所をお前らに案内するから

That I once used to call home sweet home
俺がかつて愛しの我が家と呼んでいた場所へ

[Outro: Debbie Mathers]

Fuck out of my house, you fuckin' pieces of shit!
私の家から出て行け、このクソッタレども!

Get the fuck out of my house, you stupid fucker!
さっさと私の家から出て行け、この大バカ野郎!

You son of a bitch!
このクソガキが!
※母親デビーがエミネムを家から追い出す際の実際の怒鳴り声の再現、もしくはサンプリング。彼の波乱に満ちた生い立ちを締めくくるエンディング。