Artist: Freddie Gibbs & Madlib (feat. Domo Genesis & Earl Sweatshirt)
Album: Piñata
Song Title: Robes
概要
アルバム『Piñata』(2014)に収録された本楽曲は、Odd FutureのメンバーであるDomo GenesisとEarl Sweatshirtという、西海岸のアンダーグラウンドを牽引する若き才能を客演に迎えた一曲である。Madlibが提供したSweet Linda Divineの「I'll Say It Again」(1969)のサンプリングビートは、非常にゆったりとした白昼夢のようなソウルサウンドであり、3人のMCはそれぞれの内省やストリートでの矜持をマイクにぶつけている。Domoの精神的成長、Earlの家族関係や孤独というパーソナルな描写に対し、Freddie Gibbsは業界の搾取構造への怒りとインディペンデント・アーティスト(ハスラー)としての成功を豪語し、見事なコントラストを描き出している。アウトロでTLCのヒット曲を嘲笑しながら自身の契約条件(85%の取り分)を誇示するGibbsの語りは、音楽業界の闇と彼の不屈の精神を象徴する名シーンとしてファンの間で語り草となっている。
和訳
[Chorus: Sweet Linda Divine & Domo Genesis]
They often see what we can’t see
彼らはしばしば、私たちには見えないものを見る
Wearing a smile (Uh)
微笑みを浮かべて (Uh)
You never have the time to frown
あなたには顔をしかめる時間なんてないわ
Dreamer of peace!
平和を夢見る人よ!
Spread some joy—
喜びを広げて—
※Sweet Linda Divineのボーカル・サンプリング。
(Yo)
(Yo)
[Verse 1: Domo Genesis & Sweet Linda Divine]
You ain't shit if you ain't never struggled (Oo-hoo)
苦労したことがないなら、お前なんてクソみたいなもんだ (Oo-hoo)
You gotta put in hard work before you flex your muscles
筋肉(力)を見せつける前に、ハードワークをこなさなきゃならない
I see where niggas fall off tryna perfect the puzzle (Oo-hoo)
パズルを完璧に仕上げようとして脱落していく奴らを、俺は見てきた (Oo-hoo)
You ain't gotta like my work, shit, respect my hustle
俺の作品を気に入る必要はねえ、クソ、俺のハッスルをリスペクトしろ
I was a solid-hearted mind before I had to grind
俺はハッスルしなきゃならなくなる前から、ブレない心を持っていたんだ
My swag refined, I never had to pack my lines with plastic rhymes
俺のスワッグは洗練されてる、プラスチックみたいな(中身のない)ライムでリリックを埋め合わせる必要なんてなかった
Diamond in the rough, give it time, you'll find your light and shine
ダイヤの原石だ、時間をかければ、お前も自分の光を見つけて輝けるさ
This little light of mine, these are our highest times
この俺の小さな光、今が俺たちにとって最高の時間だ
But my third eye divine, I see my skies aligned
だが俺の第三の目は神聖だ、空(星回り)が一直線に並ぶのが見える
I feel like one with the moon, but that's some other shit
月と一体になったような気分さ、まあそれは別の話だけどな
※Domo Genesisらしい、スピリチュアルで大麻の煙に包まれたような内省的なリリシズム。
I stopped caring how people see me, and I'm loving it
他人が俺をどう見るかなんて気にするのはやめた、その感覚が気に入ってるんだ
But no desire for your input, I does my shit
お前らの意見なんて求めてない、俺は俺のやり方でやる
Say what you want, but know my ignorance is fuckin' bliss
言いたいように言えばいい、だが知っておけ、俺の無知(気にしないこと)は最高の至福なんだよ
※「Ignorance is bliss(知らぬが仏)」という諺の引用。
[Chorus: Sweet Linda Divine & Domo Genesis]
They often see what we can't see (Uh)
彼らはしばしば、私たちには見えないものを見る (Uh)
Wearing a smile
微笑みを浮かべて
You never have the time to frown—
あなたには顔をしかめる時間なんてないわ—
Wearing a smi—
微笑みを—
[Verse 2: Earl Sweatshirt & Sweet Linda Divine]
Pardon the scents (Ooh)
匂いは勘弁してくれ (Ooh)
※大麻の匂いが染み付いていることへの言及。
Checking press releases off the beeper like a pimp
ポン引きみたいに、ポケベルでプレスリリースをチェックしてる
Smang and leave her off the strength, threw his demons off the cliff
ヤってから力ずくで女を突き放し、自分の悪魔を崖から放り投げた
The scenic route below, tires screaming in the mist
眼下には絶景のルート、霧の中でタイヤが悲鳴を上げてる
And like the key open the door, I twist
そしてドアを開ける鍵のように、俺はジョイントを捻る(巻く)
The weed I bought because I don't know how to cope with shit
現実との向き合い方が分からないから、このウィードを買ったんだ
※Earl Sweatshirt特有の、名声への葛藤や鬱屈としたSad Boy的な感情の吐露。
Be easy, akh, or three hit 'em right where his shoulder sit
落ち着けよ、兄弟(akh)、さもないと肩のあたり(胸)に3発ブチ込まれるぜ
※「akh」はアラビア語で兄弟を意味し、アメリカのムスリムや黒人コミュニティで使われるスラング。
Maneuver through the swamp like a four-wheeler
四輪バギーみたいに沼地を切り抜ける
Hitting it quickly after a coarse greeting
素っ気ない挨拶の後で、素早くヤる(またはマリファナを吸う)
Leave like the father I never had, or a low Caesar
俺が決して持てなかった父親のように、あるいは低く刈り込んだシーザーカットのように去っていく
※Earlの父親(南アフリカの詩人・活動家Keorapetse Kgositsile)が幼少期に彼を捨てて去ったトラウマと、髪型のシーザーカット(短い=去っていく)を掛けたパンチライン。
The son he had, but ain't never wanted, like cold pizza
奴が作ったが、決して望まれなかった息子、まるで冷めたピザのようにな
Skull and bones out the same closet I grow reefer
ウィードを育ててるのと同じクローゼットから、髑髏と骨(秘密)が出てくる
※「skeleton in the closet」は隠された秘密やスキャンダルのこと。家庭の暗い秘密と、室内で大麻を栽培している状況を掛けている。
The team eatin', cold-hearted, spit feces
チームは食えてる(成功してる)、冷酷な心で、クソ(ヤバいリリック)を吐き出すのさ
[Chorus: Sweet Linda Divine & Freddie Gibbs]
They often see what we can't see
彼らはしばしば、私たちには見えないものを見る
Tell that nigga I play the harmonica on this shit
あの野郎に言ってやれ、俺がこの曲でハーモニカを吹いてるってな
※Madlibのビートに漂うブルージーな雰囲気に対するGibbsのジョーク。
Wearing a smile
微笑みを浮かべて
You never have the time to frown
あなたには顔をしかめる時間なんてないわ
Alright, I don't want no one-take you though, here we go
よし、ワンテイクで終わらせるつもりはねえが、いくぜ
Wearing a smile—
微笑みを—
[Verse 3: Freddie Gibbs & Sweet Linda Divine]
Uhh, fuck every rapper and his entourage Oo-hoo
Uhh、すべてのラッパーと、その取り巻き共なんかクソ食らえだ (Oo-hoo)
Fuck up the stage and blow dope and smoke on his bodyguards
ステージをメチャクチャにして、奴のボディガードの顔にドープの煙を吹きかけてやる
Nothin' but Cutlasses, Cadillac coupes in my garage (Oo-hoo)
俺のガレージにはカトラスとキャデラックのクーペしかねえ (Oo-hoo)
Make foreign bread, get some morning head on the Autobahn
海外の金(パン)を稼ぎ、アウトバーンで朝からフェラ(ヘッド)をしてもらう
Faces, smiling faces, they keep me motivated
顔、微笑む顔たち、それが俺のモチベーションを保ってくれる
※The Undisputed Truthの「Smiling Faces Sometimes」からの引用。表面上は笑っていても裏で裏切る業界の人間(フェイクな顔)を警戒しつつ、それを原動力にしている。
And I got plenty fans, but I ain't shit without my haters
俺には大勢のファンがいるが、ヘイターがいなきゃ俺はクソみたいなもんだ
Know this pussy A&R that threw some bullshit 'cross the table
テーブル越しにクソみたいな条件を突きつけてきた、あの腰抜けのA&Rを知ってるだろ
The next year, I still be rappin' and he be fired from his label, damn
次の年、俺はまだラップしてるのに、あいつはレーベルをクビになってるんだ、クソが
Bitch, I'm in the mob, I always got a job
ビッチ、俺はマフィアだ、俺にはいつだって仕事(シノギ)がある
Breakin' down the Keisha, gettin' Brandon Marshall for the quad
キーシャ(ウィード)を細かく砕き、クォーター(4分の1オンス)でブランドン・マーシャルを稼ぐ
※「Keisha」は高品質なマリファナのこと。「Brandon Marshall」は当時背番号15をつけていたNFLのワイドレシーバーで、クォーター(約7グラム)のマリファナを15ドル(または150ドルなど15絡みの数字)で売るというドラッグディーラー特有のスポーツ選手を用いた隠語。
Brett Favre for the zone, five bands for the whole
オンスならブレット・ファーブ、丸ごとなら5つの束だ
※「Brett Favre」は長年背番号4をつけていた伝説的NFLクォーターバック。1オンスを400ドルで売り、「the whole(1ポンド、または1キロ)」を5000ドル(five bands)で卸すという生々しい価格設定のメタファー。
Wrist piece solid gold, neckpiece arctic froze
手首の時計は純金、首のチェーンは北極のように凍りついてる(ダイヤまみれだ)
Give you the smarts and the parts and arts of regarding hoes
ビッチの扱い方に関する知識と要素と芸術を、お前らに教えてやるよ
He chase a bitch, but I was chose
あいつはビッチを追いかけてるが、俺は選ばれる側だ
"I only think of you on two occasions"
「俺がお前のことを考えるのは、2つの時だけだ」
※R&BグループThe Deeleのヒット曲「Two Occasions」の歌詞の引用。原曲は「昼と夜」だが、Gibbsは次の行でこれをサグな文脈に書き換える。
That's when I'm drunk and when I'm blazin' up
それは俺が酔っ払ってる時と、ウィードを吸ってハイになってる時だ
My Filipino bitch, she fly me to L.A. to fuck
俺のフィリピン人のビッチ、あいつは俺とヤるためだけに俺をL.A.へ飛ばしてくれる
I weigh my options, I'd rather be cookin', cuttin', and weighin' up
俺は自分の選択肢を天秤に掛けるが、むしろコカインを調理して、カットして、計量してる方がマシだね
Bitch! It's Gibbs!
ビッチ! ギブスだぜ!
[Chorus: Sweet Linda Divine]
They often see what we can't see
彼らはしばしば、私たちには見えないものを見る
Wearing a smile
微笑みを浮かべて
You never have the time to frown—
あなたには顔をしかめる時間なんてないわ—
Wearing a smile—
微笑みを—
Oo-hoo, oo-hoo
Oo-hoo, oo-hoo
[Outro: Freddie Gibbs]
What the fuck?
なんだって?
They spend 2 million, 3 million dollars on some bullshit
奴らはクソみたいなものに200万、300万ドルも費やしやがる
They brought in some pussy-ass niggas to make some weak-ass beats
腰抜けのクソ野郎どもを連れてきて、ダサいビートを作らせるんだ
They hear you rap and you getting fucked
奴らはお前のラップを聴いて、お前は搾取される
You getting, like, a TLC deal
お前はTLCみたいな契約を結ばされるのさ
※TLCは90年代を代表するR&Bグループだが、何千万枚もレコードを売ったにもかかわらず、悪徳マネージャー(ペブルス)との不当な契約のせいで破産宣告を余儀なくされた。音楽業界の搾取の代名詞。
"Don't go chasing waterfalls (Hahaha)
「滝を追いかけちゃダメ(ハハハ)
Please stick to them dicks and balls that you're used to" (Haha), you bitch!
今まで慣れ親しんできたイチモツとタマに固執してなさい」(ハハ)、このビッチめ!
※TLCの最大のヒット曲「Waterfalls」のサビ「Please stick to the rivers and the lakes that you're used to(今まで慣れ親しんできた川や湖にとどまりなさい)」を、「dicks and balls(男根と金玉)」という下品な言葉に替えて強烈に皮肉っている。
Fuck you niggas, and who you fucking with man? (Hahaha)
お前らクソ野郎ども、誰を相手にしてるか分かってるのか?(ハハハ)
I'm "'bout it 'bout it," you know why I say that?
俺は「本気('bout it 'bout it)」だぜ、なんで俺がそう言うか分かるか?
※「'bout it 'bout it」は、Master P率いるNo Limit Recordsの代名詞的なフレーズ。一切妥協せず本気でストリートのビジネスをやるという意味。
'Cause I got a Master P deal: 85%
だって俺はマスターPと同じ契約を結んでるからな、取り分は85%だ
※マスターPはメジャーレーベル(Priority Records)と契約する際、アーティスト側が85%という異例の超高額な利益配分を勝ち取ったことで知られる。Gibbs自身も独立レーベルを立ち上げ、メジャーの搾取を逃れて圧倒的な利益を得ていることの自負。
What, you don't believe it? Check my royalty statement, bitch!
なんだ、信じられないのか? 俺の印税の明細書を見てみろ、ビッチ!
You better get on iTunes and buy that shit
さっさとiTunesを開いて、あの曲(俺の曲)を買うんだな
'Cause I don't give a fuck, fuck this shit, man
だって俺は知ったこっちゃねえ、こんなクソみたいな業界はクソ食らえだ
Man, man, man, that shit, I ain't understand
なあ、なあ、なあ、俺には理解できなかったんだ
Niggas don't understand, where this shit done came from, man
奴らは理解しちゃいない、このクソみたいな音楽(ヒップホップ)がどこから生まれたのかをな
There was pimping, there was crack
ポン引きがいて、クラックがあった
Niggas was robbing, —a lot of robbing man! And this shit then
奴らは強盗をしてた、—大量の強盗だぜ! そして、そこからこの音楽が生まれたんだ
And the muthafucka here rapping mayne
そして今、クソ野郎がここでラップをしてるってわけさ
You niggas don't understand mayne
お前らには理解できないだろうよ
You bitch niggas, you can't be talking about no shit (Hahaha)
お前らビッチ野郎どもは、何も語る資格なんてねえよ(ハハハ)
Ain't heard no shit, know what I mean?
何も聞こえちゃこない、俺の言ってること分かるか?
I'm from the school of the ski-mask
俺は目出し帽(強盗)の学校の出身だからな
Do do, do do, do do, do do! (Haha)
ドゥドゥ、ドゥドゥ、ドゥドゥ、ドゥドゥ!(ハハ)
※銃を乱射する擬音。最後までギャングスタ・ハスラーとしての危険なアティテュードを見せつけて楽曲が終わる。
