UGMKM

Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

UGMKM ARCHIVE

Find Music By Artist, Genre.

和訳・解説記事を、アーティスト名・ジャンルから探せます。

Bomb - Freddie Gibbs & Madlib (feat. Raekwon) 【和訳・解説】

Artist: Freddie Gibbs & Madlib (feat. Raekwon)

Album: Piñata

Song Title: Bomb

概要

アルバム『Piñata』(2014)に収録された本楽曲「Bomb」は、Wu-Tang Clanの伝説的MCであるRaekwon(通称:The Chef)を客演に迎えたハードコアなマフィオソ・ラップの真骨頂である。Madlibが作り出したニューヨークの裏路地を彷彿とさせるザラついたブーンバップ・ビートの上で、インディアナ州ゲーリー出身のFreddie Gibbsとスタテンアイランド出身のRaekwonが見事な化学反応を起こしている。Gibbsはドラッグ・ディーラーとしての冷酷な過去や強盗仲間すらも裏切るサイコパス的なハスラー・ペルソナを描写し、一方でRaekwonは彼特有の抽象的でラグジュアリーなストリートの情景を鮮やかに描写する。両者ともに「ドラッグの調理(Cheffing)」を自身の名前に掛けるなど、東海岸の伝統的なギャングスタ美学と中西部のリアルな路上生活が交差する、コアなヒップホップヘッド垂涎の一曲である。

和訳

[Intro]

Yeah, yeah, yeah, uhh
Yeah, yeah, yeah, uhh

[Verse 1: Freddie Gibbs]

Slammin', drugs got me wakin' up in cold sweats
最高だ、ドラッグのせいで冷や汗をかいて目を覚ます

Sometimes I'm slightly off my rocker, but I'm on deck
時には少し頭がおかしくなるが、俺はいつでも出番に備えてるぜ
※「off my rocker」は正気を失っている状態。「on deck」はスラングで(ドラッグの取引やトラブルに向けて)常に準備ができていることを指す。

Got 2 and a baby off my bitches student loan check
ビッチの学生ローンの小切手から、2オンスとハーフオンス(ベイビー)を手に入れた
※「2 and a baby」は麻薬密売の隠語で2.5オンス(約70グラム)のコカインのこと(baby=ハーフオンス)。女の学生ローンを搾取してシノギの元手にしている。

She hit my line to get that girl, I call it phone sex
あの女(コカイン)を手に入れるためにあいつが俺に電話してくる、俺はそれをフォンセックスと呼んでる
※「girl」はコカインの隠語。女がコカインを求めて電話してくる(hit my line)ことを、「電話越しの女(=フォンセックス)」と掛けている巧妙な言葉遊び。

Robbing like my problems ain't gon catch up to me later
後でツケが回ってくることなんて気にも留めず、強盗を繰り返す

Bitch I'm mobbing like OG Bobby Johnson, split your potato
ビッチ、俺はOGボビー・ジョンソンのように群れて、お前の頭をかち割るぜ
※「OG Bobby Johnson」は1992年のフッド映画『サウス・セントラル』に登場する冷酷なギャングの主人公。「potato」は頭(脳天)のこと。

At the table cooking, shaving and touching base with them basers
テーブルで調理し、削り取り、あのベースヘッド共と連絡を取り合う
※「basers」はフリーベース(クラック)の中毒者。クラック・コカインを調理している情景。

Bet they try to make a play for the yayo as soon as they taste it
奴らがあのイェヨを味わった途端、何としてでも手に入れようとするのは賭けてもいいぜ
※「yayo(イェヨ)」は映画『スカーフェイス』で広く知られるようになったコカインの隠語。

The evasive black American gangster, sinister corner hugger
捕まらない黒人のアメリカン・ギャングスター、邪悪なコーナー・ハガーだ
※映画『アメリカン・ギャングスター』のフランク・ルーカスのような大物ぶりと、常に街角(コーナー)に立ち続けるストリートの売人(corner hugger)の姿を並置している。

Cuz seeing this nigga shine been annoying me like a muthafucka
あの野郎が輝いてる(成功している)のを見るのが、死ぬほどムカついてたからな

This busta owe me, now he act like he don't know me
このクソ野郎は俺に借りがあるくせに、今じゃ俺を知らないフリをしてやがる

Forty fo' my closest homie, kill cockaroaches like Tony
44口径が俺の親友だ、トニーのようにゴキブリ共を皆殺しにする
※『スカーフェイス』の主人公トニー・モンタナの有名なセリフ「You cockaroaches!」と、敵を蜂の巣にするシーンの引用。

Got Montana money, Newport 100 dipped in fluid
モンタナ級の金を持ってる、液体に浸したニューポート100を吸うんだ
※「Montana money」はトニー・モンタナのような巨万の富。「fluid」はエンバーミング・フルイド(防腐処理液)やPCPのこと。これに浸したタバコ(Sherm)を吸うと強烈な幻覚や錯乱を引き起こす。

Yo I had to smoke it, pupils dilated like silver dollars
ああ、俺はそれを吸わずにはいられなかった、瞳孔は1ドル銀貨みたいに開いてる

Now we loc'ing, call it devilish how I do bitch
今や俺たちはイカれてる、俺のやり方を悪魔的とでも呼ぶんだな、ビッチ
※「loc'ing」は狂ったように暴れる、またはギャングスタとして振る舞うこと(クリップスのスラング「loco/loc」由来)。

Fuck these niggas talking, I leave they thoughts on my shoestrings
奴らの御託なんかクソ食らえだ、奴らの脳みそを俺の靴紐にぶちまけてやる
※頭を撃ち抜いて(あるいは踏みつけて)、相手の「思考(thoughts=脳みそ)」を靴に付着させるという残虐なパンチライン。

[Interlude: Freddie Gibbs]

What? Uh, yeah
なんだ? Uh, yeah

For sure
間違いないぜ

[Verse 2: Freddie Gibbs]

Rolling, pockets all swollen
ハッスルしてる、ポケットは札束でパンパンだ

Set the record straight, that FNH is what I'm holding
はっきりさせておくが、俺が握ってるのはFNHだ
※「FNH」はベルギーの銃器メーカーFNハースタル(特にFN Five-seveNなどの強力な拳銃を指す)。

A busta that we know got 15 'bows, bust it open
俺たちの知ってる間抜けが15ポンドのウィードを持ってる、そいつを強奪するんだ
※「'bows」はelbowsの略で、麻薬の計量単位であるポンド(pounds)のストリートスラング。

We came bandana'd up, divide it up, now what's the quotient?
俺たちはバンダナで顔を隠して乗り込み、山分けする、さて取り分はいくらだ?

A split with 4 niggas, since I'm a go getter
4人で分けるはずが、俺はゴー・ゲッターだからな

I think these suckers pussy, I'ma merk the whole litter
こいつらは腰抜け揃いだと思うから、俺が全員ぶっ殺して独り占めするぜ
※強盗に押し入った仲間(the whole litter=クルー全体)すらも裏切って殺し(merk)、すべての利益を奪うというマフィア映画さながらの冷酷なストーリーテリング。

Told my girl to leave as soon as I hung up the phone with her
電話を切った途端、俺の女にはすぐ街を出るように伝えた

Man, I heard you rob the robbers, look Freddie a cold nigga
「おい、お前は強盗から強盗したらしいな」、見ろよ、フレディは冷酷な男だ

Got an ice maker for a heart, made nigga from the start
心臓の代わりに製氷機を持ってる、最初からメイド・ニガだったんだ
※「made nigga」はマフィアの正式な構成員(Made man)から転じ、ストリートで絶対的な地位を確立したアンタッチャブルな存在を指す。

Life is like a movie, all I did was play my fuckin' part
人生は映画みたいなもんだ、俺は自分の役割を全うしただけさ

Cheffing up the crack, the heroin, and weed a la carte
クラック、ヘロイン、それにウィードをアラカルトで調理する

I call it Fast Freddie's, I should own a fuckin' restaurant
俺はそれをファスト・フレディーズと呼んでる、クソみたいなレストランを経営すべきだよな
※ドラッグの調理(Cheffing)と、客演のRaekwonの異名「The Chef」に敬意を払いつつ、ファストフード店に例えたジョーク。

'Cause back when I was 12, threw some bales on a scale and I got a pager
だって12歳の頃には、秤にブロックを乗せてポケベルを持っていたからな
※「bales」は大量のウィードやドラッグの塊。「pager(ポケベル)」は90年代のドラッグディーラーの必須アイテム。

We broke them down and started selling nickels to the neighbors
俺たちはそれを小分けにして、近所の連中に5ドルのパケを売り始めた
※「nickels」は5ドル分の少量の麻薬。

Eventually the penitentiary gon' see me later
最終的には、刑務所が後で俺を迎え入れることになる

Kiss my momma, told her if I die, then it was part of nature
母さんにキスして、もし俺が死んだら、それは自然の摂理だと伝えた

What?
(What?)

[Verse 3: Raekwon]

28 days later we all getting fresh
28日後、俺たちは皆フレッシュにキメている
※ここから客演のRaekwonのバース。映画『28日後...』のタイトルを引用しつつ、厳しい状況を抜け出して成功を掴んだ時間の経過を示唆している。

Got the heart to die for something, flesh to flesh
何かのために死ぬ覚悟がある、肉体と肉体のぶつかり合いだ

The Lambo, got her outside, it's a stretch
ランボルギーニを外に停めてる、まるでストレッチリムジンのようにな

My bitch half Mexican/Afghan, I'm blessed
俺のビッチはメキシコとアフガンのハーフだ、俺は恵まれてる

From living tough times with rough lemons
傷んだレモンをかじるような過酷な時代を生き抜いてきて

A gorgeous watch, my team on a dreadful level, yo
今じゃ豪華な時計を身につけ、俺のチームは恐ろしいレベルにいるぜ

Yeah, we still getting money right
ああ、俺たちは今でもしっかり金を稼いでる

Long as the sun come out, I'll hold these twenties tight
太陽が昇る限り、俺はこの20ドル札の束をしっかり握りしめる

Getting fresh, just cooling, my bitch on my dick
フレッシュにキメて、リラックスしてる、ビッチが俺の股間に吸い付く

Ba-boom yo, you live with your moms, just get a grip
バーブーン、おい、お前はまだ母親と同居してるのか、しっかりしろよ
※自立してストリートで稼ぐ自分たちとは対照的な、実家暮らしのヘイターへのディス。

Clip in my pocket, my rocket
ポケットには弾倉、俺のロケット(銃)だ

I think of the Dips, I need Juelz and Jims, with rough licks
ディプセットのことを考える、ジュエルズとジムズが必要だ、荒々しいシノギと共にな
※ハーレムの伝説的ラップグループ「The Diplomats (Dipset)」のメンバーであるJuelz SantanaとJim Jonesのネームドロップ。同時に「Jewels(宝石)」と「Jims(強盗の隠語、あるいはコンドーム)」を掛けたダブルミーニング。

Trips to Africa, shorty tear Saks up
アフリカへの旅、女がサックスを買い占める
※「Saks」は高級百貨店サックス・フィフス・アベニューのこと。「tear up」は金に糸目をつけず豪快に買い物をすること。

I'm out in Bombay, rebels here actin' up
俺はボンベイにいる、ここの反乱軍共が暴れてるぜ
※ボンベイ(ムンバイ)。Raekwon特有の、国際的な麻薬カルテルやマフィアのボスを気取ったスケールの大きいメタファー。

We real, all G, 75-hundred of us
俺たちはリアルで、全員がG(ギャングスタ)だ、俺たち7500人のな

Up in the Sprinter bus, fussin' "We need more heat"
スプリンター・バスに乗り込み、「もっと火力(銃)が必要だ」と騒いでる

[Outro]