Artist: Freddie Gibbs & Madlib (feat. Danny Brown)
Album: Piñata
Song Title: High
概要
アルバム『Piñata』(2014)に収録された本楽曲は、Freddie Gibbsとデトロイトの鬼才ラッパーDanny Brownが共演した、タイトル通りの「ストーナー(大麻愛好家)・アンセム」である。プロデューサーのMadlibは、Freda Payneの名曲「I Get High (On Your Memory)」を大胆にサンプリングし、サイケデリックで浮遊感のある、いかにも煙たいビートを構築している。Gibbsは自身のハスラーとしての過去や女性関係を織り交ぜながら大麻への愛を気怠くラップし、対するDanny Brownは持ち前の甲高い声と狂気じみたフロウで、ドラッグにまみれたデトロイトのストリートの日常を鮮烈に描き出す。西海岸のGファンクや90年代のブーンバップとは一線を画す、MadGibbsならではのアンダーグラウンドでサイケデリックなヒップホップの極致を示す一曲として、ファンの間で高く評価されている。
和訳
[Intro: The Notorious B.I.G.]
How's everybody doin' tonight?
今夜はみんな調子はどうだい?
※ニューヨークの伝説的ラッパー、The Notorious B.I.G.のライブ音源からのサンプリング。
(Alright) Haha right? I like that...
(いいぜ)ハハ、だろ? 気に入ったよ...
Just play our tape
俺たちのテープを流してくれ
Live for the whole block niggas right now
今すぐブロック中のダチたちのためにライブをやるぜ
'Cause we get all that
俺たちが全部かっさらうからな
[Verse 1: Freddie Gibbs]
Endo, kushed out
エンド、クッシュでぶっ飛んでる
※「Endo」は屋内で栽培された高品質なマリファナ。「kush」も強力な大麻の品種(インディカ種)を指すスラング。
Trillest nigga Linda ever pushed out
リンダが産み落とした中で最もトリルな男
※「Trill」はTrue(真実)とReal(本物)を掛け合わせた南部発祥のスラング。リンダはGibbsの母親の名前。母親から生まれた子供の中で自分が一番ストリートでリアルな存在だという自負。
Never finished college like my brother or my sister
兄貴や姉貴みたいに大学は卒業しなかった
I was in the crib, laying on a kush cloud
俺は家で、クッシュの煙の雲の上に寝転がってたんだ
Getting zoned out, eyes red
完全に意識が飛んで、目は真っ赤だ
※大麻を吸ってハイになり、目が充血している状態。
Momma and my daddy said my mind dead
母さんも父さんも、俺の頭はイカれちまったって言ってた
They said I never had a clue, said the bills past due
俺は何一つ分かっちゃいないって、請求書の支払い期限は過ぎてるってな
Fuck you, nigga, you gotta remind Fred
クソ食らえだ、フレッドに思い出させてやるよ
'Cause I'm carefree, sucker-free
だって俺は気楽なもんだし、マヌケ共とは無縁だからな
※「sucker-free」は偽物やヘイター(sucker)が自分の周りにいない状態を指す。
Remember when these niggas wouldn't fuck with me?
こいつらが俺を相手にしなかった頃を覚えてるか?
But now I'm on the screen and these magazines
でも今じゃ俺はスクリーンや雑誌に載ってる
They be trying to stop a nigga like, "Smoke something, G"
奴らは俺を呼び止めてこう言うんだ、「何か吸わせてくれよ、G」ってな
※「G」はGangstaや親しい仲間を指す呼称。成功した途端に擦り寄ってくる昔の知り合いや取り巻きへの皮肉。
Can we get a couple grams? Nigga, hell, naw
数グラムもらえるか? だって? バカ言うな
Unless you come in with the cash, tried to tell y'all
現金を持ってこない限りは無理だ、お前らに教えてやっただろ
※タダでマリファナをせびってくる連中を冷たくあしらい、ハスラーとしてのビジネスの基本(金が先)を貫く姿勢。
I got you motherfuckers gassed on the smell, dawg
匂いだけでお前らクソ野郎どもをハイにしてやったんだぜ、なぁ
※「gassed」は興奮させる、ハイにさせるという意味。自分が持っている大麻の匂いがあまりにも強烈であることを自慢している。
So go 'head and take a hit of what I'm 'bout to sell y'all
だから遠慮なく、俺がお前らに売ろうとしてるやつを一服しな
I gets high
俺はハイになるのさ
[Chorus: Freda Payne, Freddie Gibbs]
I get high, I get high, I get high (I, I, I gets high)
ハイになる、ハイになる、ハイになる(俺は、俺はハイになる)
I get high, I get high, I get high (I, I, I gets high)
ハイになる、ハイになる、ハイになる(俺は、俺はハイになる)
I get high, I get high, I get high (I, I, I gets high)
ハイになる、ハイになる、ハイになる(俺は、俺はハイになる)
I get high, I get high, I get high (I, I)
ハイになる、ハイになる、ハイになる(俺は、俺は)
[Verse 2: Freddie Gibbs]
I get so blowed, I can't stand up
俺はぶっ飛びすぎて、立ち上がることすらできない
※「blowed」は大麻を吸ってハイになった状態。
I'm in the bed with Elise and Amanda
エリーズとアマンダと一緒にベッドにいる
'Cause in my shows I make them hoes put they hands up
俺のショーじゃ、あのビッチ共は両手を挙げて盛り上がるからな
So they came back to my room to getting rammed up
だから俺の部屋に付いてきて、激しくヤラれるってわけだ
※「rammed up」は激しくセックスをされることを意味する卑猥なスラング。
We trying to slam or what? Because I'm trying to smoke
ヤるのか? それともどうするんだ? 俺は吸いたい気分なんだが
So when I finish with these Swishers, I'll be down your throat
だからこのスウィッシャーを吸い終わったら、お前の喉の奥まで突っ込んでやるよ
※「Swishers」はSwisher Sweetsという安物の葉巻ブランド。中身をくり抜いてマリファナを詰める(ブラントにする)のがストリートの定番。大麻を吸い終わったらオーラルセックスをさせるという強気な態度。
And two of y'all, one of me, three of us
お前ら2人に、俺が1人、合わせて3人だ
Should I hit my niggas up? Hell naw, I'ma pound them both
ダチを呼んだ方がいいか? いや、俺一人で両方ともブチ込んでやる
※スリーサム(3P)の状況で、仲間を呼ばずに自分一人で二人の女性を相手にするというスタミナと自信の誇示。
'Cause this a one-man job, ain't no need for the crew
これは俺一人で片付ける仕事だ、クルーの手なんか借りる必要はねえ
Two snow bunnies on their knees, what it do?
膝をついた二人のスノー・バニー、どうするよ?
※「snow bunnies」は白人の女性を指すスラング。
White snow in the crib if you need that too
それが必要なら、家には白い雪(コカイン)もあるぜ
※「White snow」はコカインの隠語。白人女性(スノー・バニー)とコカイン(白い雪)を掛けた言葉遊び。
Got some bitches and some bud, nigga, bring that through
ビッチとバッズ(大麻)が揃ってるんだ、それを持ってこいよ
I gets high
俺はハイになるのさ
[Chorus: Freda Payne, Freddie Gibbs]
I get high, I get high, I get high (I, I, I gets high)
ハイになる、ハイになる、ハイになる(俺は、俺はハイになる)
I get high, I get high, I get high (I, I, I gets high)
ハイになる、ハイになる、ハイになる(俺は、俺はハイになる)
I get high, I get high, I get high (I, I, I gets high)
ハイになる、ハイになる、ハイになる(俺は、俺はハイになる)
I get high, I get high, I get high (I, I, I gets high)
ハイになる、ハイになる、ハイになる(俺は、俺はハイになる)
[Verse 3: Danny Brown]
Early in the morning, getting high with crusty eyes
朝早くから、目ヤニをつけたままハイになる
※ここから客演のDanny Brownのバース。起きてすぐに大麻を吸う(Wake and Bake)典型的なストーナーの朝の風景。
Rubbing on a mother, well you know it's do or die
マザーファッカーを擦りながら、やるか死ぬかだってことは分かってるだろ
Hopping off the porch, had to get on my grind
ポーチから飛び降りて、ハッスルしなきゃならなかった
※「hopping off the porch」は実家(のポーチ)を離れてストリートで自立すること、または犯罪の世界に足を踏み入れることを意味するスラング。「grind」は金を稼ぐための苦労や努力。
All because the trouble just copped to my nine
厄介ごとが俺の9ミリ(拳銃)に迫ってきたからな
Back in the Caddy, smoking Swishers with my nigga
キャデラックに戻って、ダチとスウィッシャーを吹かす
Make a store run, 'bout to cop-out some liquor
店に走って、酒を少し買い込むんだ
Burning down basements, face it
地下室を煙で充満させる、直視しろよ
Run a bus stop, I'm trading hoes and you know we ain't paying
バス停を仕切って、ビッチをトレードする、俺たちが金を払わないのは分かってるだろ
Midwest livin', oven open in the kitchen
中西部の暮らし、キッチンのオーブンは開けっぱなしだ
※Danny Brownの地元であるミシガン州デトロイト(中西部)の貧困層の厳しい冬の暮らし。暖房代を浮かすため、あるいは暖房設備が壊れているために、キッチンのオーブンを開けて部屋を暖めるというゲットー特有のライフハック。
Heating up the house where your shit could come up missing
お前の持ち物が消えちまうような家を暖めてるんだ
Dope fiend tripping 'cause he just copped a nick
ヤク中がパニクってる、たった今5ドルのパケを買ったばかりなのにな
※「Dope fiend」は薬物依存症者。「nick」はnickel bag(5ドル分の麻薬)のこと。
But he say he can't find it, but it's right in his pocket
見つからないって騒いでるが、自分のポケットに入ってるんだよ
All-day long, gotta get my profit
一日中、利益を上げなきゃならねえ
Just poured a deuce and I'm smoking on the tropic
2オンスのシロップを注いで、トロピカルなウィードを吸ってる
※「deuce」はプロメタジンとコデインを含む咳止めシロップ(リーン)を2オンス(約60ml)スプライトなどのソーダに混ぜること。「tropic」はトロピカルな風味の高品質なマリファナ。
On a different subject, lights is the topic
話題を変えよう、照明(電気代)の話だ
'Cause he talking money so, nigga, just stop it
あいつは金の話ばかりしてるからな、おい、いい加減にしろよ
※ストリートで小銭を稼ぐ話から、生活インフラ(電気代)の支払いという現実的な問題へと話題が移る、ゲットーのリアルな日常会話。
All day long, getting high on the low
一日中、こっそりとハイになってる
※「on the low」は秘密裏に、目立たないように、という意味のスラング。
Bitch, snow bunny be sniffing that snow
ビッチ、スノー・バニーがあの雪(コカイン)を吸い込んでるぜ
Twerking that summer, I really don't know
あの夏はトゥワークを踊ってたな、本当のところはよく分からないが
'Cause me, Freddie Gibbs, Madlib stay blowed
だって俺、フレディ・ギブス、マッドリブはずっとぶっ飛んだままだからな
[Break]
I get high, I get high, I get high
ハイになる、ハイになる、ハイになる
I get high, I get high, I get high
ハイになる、ハイになる、ハイになる
I get high, I get high
ハイになる、ハイになる
[Outro]
Hey, are you okay?
ねえ、大丈夫?
※何らかのドキュメンタリーや映像からのサンプリング音声。ドラッグ(おそらくPCPなど強力なもの)を吸いすぎて意識を失いかけている人物に対する呼びかけ。
You slobbing, you okay?
よだれを垂らしてるわよ、大丈夫?
Is he okay? Are you okay?
彼、大丈夫なの? あなた、大丈夫?
(AHHHHHHHH!!)
(アアアアアアッ!!)
※突如として聞こえる叫び声。ドラッグによる強烈なバッドトリップやパニック状態を暗示している。
He shouldn't have smoked that dipper for real
あのディッパーを吸うべきじゃなかったんだ、マジで
※「dipper」はPCP(フェンサイクリジン、通称エンジェルダスト)などの液体ドラッグに浸したタバコやマリファナのジョイントのこと。強烈な幻覚や錯乱状態を引き起こす非常に危険なドラッグ。
You aight? Oh my God (awwwww!)
大丈夫か? なんてことだ(アァァァ!)
God bless, man
神のご加護を
※大麻愛好の歌(ストーナー・アンセム)の最後に、ハードドラッグによるバッドトリップの生々しい音声を挿入することで、ドラッグカルチャーの闇と狂気をダークなユーモアで提示して締めくくっている。
