Artist: YG
Album: THE GENTLEMEN’S CLUB
Song Title: WE KNOW THE TRUTH
概要
『WE KNOW THE TRUTH』は、YGが長年沈黙を貫いてきたロサンゼルスのヒップホップシーンにおける最大の悲劇の一つ、2021年のDrakeo the Ruler刺殺事件の疑惑に対し、初めて真正面から言及した歴史的な楽曲である。「We Know The Truth(我々は真実を知っている)」というタイトルは、生前のDrakeoが放った代表的なミックステープのタイトルであり、彼のファンがYGを非難する際に用いてきたスローガンそのものだ。本楽曲でYGは、自分が殺害を指示したとするネット上の噂を「偽りの物語」と一蹴し、事件の数日前に凶弾に倒れた親友Slim 400の死を深く悼んでいたことや、60万ドルものギャラが発生するフェスを自ら台無しにする理由がないというハスラーとしてのロジックを展開する。ストリートの掟に従い沈黙を守ってきた彼が、LAシーンの分断や自身に向けられた謂れのない憎悪に対し、重い口を開いて自身の「真実」を提示したドキュメンタリーのようなトラックである。
和訳
[Intro]
Breaking news, rapper YG is being accused of murder
ニュース速報です、ラッパーのYGが殺人の容疑で告発されています
Apparently, this took place right here in his hometown
どうやら、事件は彼の地元であるここロサンゼルスで起きたようです
Police officers said they are looking for more information
警察はさらなる情報提供を求めていると述べています
Him or his team have yet to make a statement
彼、あるいは彼のチームからの声明はまだ発表されていません
[Verse 1]
They say I murdered this, they say I murdered that
あいつらは俺がこれを殺した、あれを殺したって騒いでる
Well, if that was true, you'd be a fucking rat
まあ、もしそれが本当なら、お前はクソみたいな密告者ってことだ
And I'd be in the cell sleeping on a rack, ayy
そして俺は独房の中で硬いベッドに寝かされてるはずだ、ayy
But too bad that ain't a fucking fact
だが残念だったな、それはクソみたいな事実無根だ
All that talking on the fucking app
クソみたいなアプリの上でゴチャゴチャ喋りやがって
※事件後、SNS(InstagramやTwitter、Clubhouseなど)でファンや関係者が証拠のない陰謀論やYG黒幕説を拡散していた状況を批判している。
The streets done, it's a fucking wrap
ストリートはもう終わりだ、完全に終了したよ
They wanna see me fall, the city wack
奴らは俺が落ちぶれるのを見たいんだ、この街は狂ってる
Same nigga who once brought the city back
かつてこの街のシーンを復活させた、この俺に対してな
I got paid six hundred for that show
あのショーで俺は60万ドルを受け取ったんだ
※「six hundred」は60万ドル(約9000万円)。大金が動くビジネスであるフェスティバルの裏で、自らトラブルを起こして台無しにするような愚かな真似は絶対にしないというハスラーとしての主張。
So why would I tell a nigga to fuck it up, though?
だから、なんで俺が仲間にショーをぶち壊せなんて指示するんだよ?
And this a fact you should know
そして、これはお前らが知っておくべき事実だ
Slim just died, I wasn't worried about bro
スリムが死んだばかりだった、あいつのことなんか気にしてる余裕はなかった
※「Slim」は事件の数日前に銃撃され命を落としたコンプトン出身のラッパーであり、YGの長年の盟友Slim 400のこと。親友の死という深い悲しみの中にあり、敵対関係にあったDrakeo(bro)にかまうような精神状態ではなかったことを明かしている。
I came to get the dough, was finna hit the stage
俺は金を稼ぎに来て、ステージに上がろうとしてただけだ
Then I heard how y'all heard, somebody got hit with a blade
それからお前らと同じように聞いたんだ、誰かが刃物でやられたってな
※2021年12月、LAで開催されたフェス「Once Upon a Time in LA」のバックステージでDrakeo the Rulerが首を刺されて死亡した惨劇を直接的に描写している。
I heard niggas saying, "YG paid"
連中が「YGが金を払ってやらせた」って言ってるのを聞いたぜ
Stop lying, nigga, come run YG fade
嘘をつくのはやめろ、YGとタイマン張りに来いよ
※「run a fade」は1対1で殴り合う(喧嘩する)ことを意味するスラング。ネットで嘘を広めるのではなく、直接かかってこいというストリートのスタンス。
[Chorus]
I'm at war, I'm at war
俺は戦争中だ、戦争中なんだ
Motherfucker, I'm at war
クソ野郎、俺は戦争中なんだよ
I'm at war, I'm at war
俺は戦争中だ、戦争中なんだ
Motherfucker, I'm at war
クソ野郎、俺は戦争中なんだよ
Up the score, up the score
スコアを上げろ、スコアを上げろ
※「Up the score」はストリートの抗争において、報復によって相手側の被害者数(スコア)を増やし優位に立つことを意味するドリル系のスラング。
Yeah, they're tryna up the score
ああ、奴らはスコアを上げようとしてる
I'm at war, I'm at war
俺は戦争中だ、戦争中なんだ
Motherfucker, I'm at war
クソ野郎、俺は戦争中なんだよ
[Verse 2]
I don't even know how I end up in the beef
自分がどうしてこのビーフに巻き込まれたのかすら分からねえ
When that shit got stared, it ain't involve me
その諍いが始まった時、俺は関わってなかった
※Drakeo the RulerとLAの他アーティスト(RJMrLAやInglewoodのBloodギャング達)との間に勃発したビーフは、本来YGとは無関係のところで始まったものであると指摘している。
Not me, from Westside Bompton Trees
ウェストサイド・ボンプトン・ツリーズ出身の俺は違う
※「Bompton」はComptonのCをBloodのBに置き換えたスラング。「Trees」はYGの地元であるTree Top Piru(ブラッズのセット)を指す。
Known to be with the shit and ain't never cop no pleas
ストリートの修羅場にいることで知られてるし、命乞いや言い訳なんか絶対にしねえ
※「cop a plea」は司法取引で罪を認めること、転じてストリートでは弱音を吐く、許しを乞うことを意味する。
I really think it was all for attention
すべては注目を集めるためだったんだと本気で思ってる
I ain't never say no name, but I was all in the mentions
俺は誰の名前も出したことはないのに、メンションされまくってた
Riding through the bity, gripping all on a Smith &
ビティを流しながら、スミス&をしっかり握りしめてる
※「bity」はCityのCをBに変えたブラッズのスラング。「Smith &」は銃器メーカーのSmith & Wessonのこと。常に武装して警戒している様。
'Cause beefing upon a star, them young niggas wishing
スターに喧嘩を売ればどうにかなるって、若い連中は星に願いをかけてるからな
※「wishing upon a star(星に願いを)」と、スター(大物ラッパーであるYG)にビーフを仕掛けて売名しようとする若手たちの構図をかけたパンチライン。
Moved to Inglewood, I was nineteen young
イングルウッドに引っ越した、俺は19歳の若造だった
Was fucking with the Inglewoods 'cause, duh, I'm a Blood
イングルウッドの連中とつるんでたよ、当たり前だろ、俺はブラッズなんだから
But niggas tried to say I went Inglewood because
だが連中は、俺がイングルウッドに行ったのは
He had beef with them, y'all say I'm dumb
あいつがイングルウッドの連中とビーフしてたからだと言いふらした、お前らは俺を馬鹿だと思ってるのか
※Drakeo the RulerはInglewood Families(ブラッズの一派)と激しいビーフを繰り広げていた。YGが彼らとつるんでいたのは自分が同じBloodだからであり、Drakeoへの嫌がらせのためではないと反論している。
He had beef with a whole 'nother rapper
あいつは全く別のラッパーと揉めてたんだ
But that's a story for another day, a whole 'nother chapter
だがそれはまた別の日の話、まったく別のチャプターさ
Funny characteristics, let him be a actor
おかしな性格してるよ、あいつは役者にでもさせておけ
Why would I be beefing with dude? I was the factor
なんで俺があいつとビーフしなきゃならない?俺はこの街のドンだったんだぜ
※「the factor」は大物、影響力のある中心人物を意味する。格下の相手と揉めるメリットがYGにはないことを強調している。
[Chorus]
I'm at war, I'm at war
俺は戦争中だ、戦争中なんだ
Motherfucker, I'm at war
クソ野郎、俺は戦争中なんだよ
I'm at war, I'm at war
俺は戦争中だ、戦争中なんだ
Motherfucker, I'm at war
クソ野郎、俺は戦争中なんだよ
Up the score, up the score
スコアを上げろ、スコアを上げろ
Yeah, they're tryna up the score
ああ、奴らはスコアを上げようとしてる
I'm at war, I'm at war
俺は戦争中だ、戦争中なんだ
Motherfucker, I'm at war
クソ野郎、俺は戦争中なんだよ
[Verse 3]
I ain't never speak about it 'cause that's law and I'm 'bout it
俺はこの件について一切話さなかった、それがストリートの掟であり、俺はその生き方を貫いてるからな
※「law」はストリートの掟(ネットで騒がない、警察に密告しないなど)を指す。
But crazy y'all sounded for too long and I allowed it
だがお前らがあまりにも長い間狂ったことを言い続けて、俺はそれを許しすぎた
Niggas talking 'bout, "We know the truth," yeah, I doubt it
連中は「俺たちは真実を知っている」って言ってるが、ああ、疑わしいな
※「We Know The Truth」はDrakeo the Rulerの代表的なミックステープのタイトル。彼の死後、ファンや関係者がYGの黒幕説を主張する際のハッシュタグや合言葉として使われた。YGはその言葉を逆手に取り、連中こそ何も真実を知らないと皮肉っている。
Keep a blick when it's an outing 'cause y'all got my judgement cloudy
出かける時は銃を手放さない、お前らのせいで俺の判断が曇っちまったからな
※「blick」は銃のスラング。
It's sad like they tryna paint me as the bad guy
奴らが俺を悪者に仕立て上げようとしてるのは悲しいことだ
When that guy was looking for the smoke with a flashlight
あの男は懐中電灯を持って煙を探し回ってたんだからな
※「looking for the smoke」は「ビーフ(争い)を求めている」というスラング。Drakeoが自らSNSや楽曲で様々なラッパーを挑発し、トラブルを自ら探しに行っていた過去のスタンスを指摘している。
This ain't no diss, I'm just speaking on my past life
これはディスじゃない、ただ俺の過去の人生について語ってるだけだ
I hope my truth don't make you niggas wanna crash, right?
俺の真実を聞いて、お前らが無謀な真似を起こしたくならないことを祈るぜ?
※「crash」はcrash out(後先考えずに暴力や犯罪に走ること)の略。
'Cause my same house in Inglewood
だって俺のイングルウッドにある同じ家にな
That nigga used to be there, was all good
あの男も昔は入り浸ってて、全部上手くいってたんだから
When lil' bro and Kells was smoking Swishers, not Backwoods
弟分とケルズがバックウッズじゃなくスウィッシャーを吸ってた頃さ
※Backwoodsは高価で現在のヒップホップで主流の葉巻、Swishersは安価な葉巻。まだ彼らが成功する前の昔からの付き合いだったことを示している。
Before Kells caught the flakk case, she had some fat cords
ケルズが事件で捕まる前、彼女は太いコードを持ってたんだ
※ストリートの古い知人とのリアルな過去の記憶を描写している。彼らがかつては身内のように親しい間柄であったことを示唆している。
Hearing I put money on his head, embarrassing
俺があいつの首に懸賞金をかけたなんて話を聞くのは、恥ずかしいことだ
All that, we know the truth, arrogance
「俺たちは真実を知ってる」だなんて、全部ただの傲慢さ
Niggas with they one side, false narratives
連中は一方的な見方しかしない、偽りの物語だ
But now you got my side, there it is
だが今、俺の側の言い分も聞いたろ、そういうことだ
[Chorus]
I'm at war, I'm at war
俺は戦争中だ、戦争中なんだ
Motherfucker, I'm at war
クソ野郎、俺は戦争中なんだよ
I'm at war, I'm at war
俺は戦争中だ、戦争中なんだ
Motherfucker, I'm at war
クソ野郎、俺は戦争中なんだよ
Up the score, up the score
スコアを上げろ、スコアを上げろ
Yeah, they're tryna up the score
ああ、奴らはスコアを上げようとしてる
I'm at war, I'm at war
俺は戦争中だ、戦争中なんだ
Motherfucker, I'm at war
クソ野郎、俺は戦争中なんだよ
[Outro]
There's part of me I wanna kill
自分の中に、殺してしまいたい部分がある
Niggas lied on my name and kept it real
連中は俺の名前に泥を塗り、それでもリアルを気取ってる
This what happens when you still up in the field
今でもストリートの戦場に居座ってると、こういうことが起きるんだ
Get hit with a stray bullet, yeah, them wounds be hard to heal
流れ弾に当たる、ああ、その傷は癒えるのが難しい
※文字通りの流れ弾だけでなく、自分に向けられた謂れのない噂や非難(流れ弾)によって負った精神的な傷を暗示している。
Niggas touching thirty and some change
俺たちも30歳と少しになった
※「thirty and some change」は30代前半〜半ばを意味する。ギャングスタとして生き残るのが難しい環境で年齢を重ね、精神的に成熟しようとしているYGの現在地。
I been tryna keep the mental tamed
メンタルをなんとか落ち着かせようとしてきた
But they keep throwing dirt up on my name
だが奴らは俺の名前に泥を投げつけ続ける
When your back against the wall, that's when you let pistol bang
背中を壁に押し付けられた時、その時こそピストルをぶっ放すんだ
