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INTRO (THE GENTLEMEN’S CLUB) - YG 【和訳・解説】

Artist: YG

Album: THE GENTLEMEN’S CLUB

Song Title: INTRO (THE GENTLEMEN’S CLUB)

概要

YGのキャリアにおける新たなフェーズを明確に象徴する本作は、コンプトン出身の生粋のブラッズ(血盟ギャング)としてストリートのリアルを体現してきた彼が、マフィアのドンや洗練された「ボス」のペルソナへと成熟したことを宣言するマニフェストである。デビュー作『My Krazy Life』(2014年)から10年以上が経過し、白のTシャツと赤いバンダナからオーダースーツへと身を包んだYGに対するヘイターたちの疑問を一蹴するように、本作では「ストリートの卒業」と「さらに高次なアンダーグラウンドの掟」が対比して描かれている。富裕層の白人(クラッカー)からインスパイアを受けて莫大な富を追求しつつも、裏切り者には容赦なく指を詰めさせるというマフィア映画さながらの冷酷なリリシズムは健在だ。サウスセントラル特有のブラックとチカーノ文化の交差を示すスペイン語のスラングも織り交ぜつつ、単なる成金趣味ではない、死線を潜り抜けた者だけが足を踏み入れることができる「ジェントルメンズ・クラブ」の情景を鮮明に描き出している。

和訳

[Intro]

Ladies and gentlemen
紳士淑女の皆様

Grab your seat, welcome in
席についてくれ、歓迎するぜ

Show's about to begin
ショーの幕開けだ

Ladies and gentlemen
紳士淑女の皆様

Grab a drink, settle in
ドリンクを片手に、くつろいでくれ

You have just entered in
あんたはたった今、足を踏み入れたのさ

The gentlemen's club
ジェントルメンズ・クラブにな

Uh, uh, uh, where we at?
Uh, uh, uh、俺たちはどこにいる?

Uh, uh, at the gentlemen's club
Uh, uh、ジェントルメンズ・クラブだ

Uh, uh, uh, where we at?
Uh, uh, uh、俺たちはどこにいる?

Uh, uh, at the gentlemen's club
Uh, uh、ジェントルメンズ・クラブだ

Welcome to the gentlemen's (Welcome to the gentlemen's)
ジェントルメンズへようこそ(ジェントルメンズへようこそ)

I'm nothing but a gentlemen (Nothing but a gentlemen)
俺は一人の紳士に他ならない(一人の紳士に他ならない)

Welcome to the gentlemen's
ジェントルメンズへようこそ

I'm nothing but a gentlemen
俺は一人の紳士に他ならない

[Verse]

They like why you got a suit on? YG, what is you on?
奴らは言う「なんでスーツなんか着てんだ?YG、どうしちまったんだ?」ってな
※かつては白いTシャツにディッキーズ、コンバースのチャックテイラー、そして赤いバンダナという西海岸のギャングスタのステレオタイプを地で行くスタイルだったYGが、高級スーツを着るようになったことに対する世間の戸惑いを代弁している。

Oh, you switching up, you tryna leave this street shit alone
「あぁ、お前も日和ったか、ストリートのゴタゴタから抜け出そうとしてるんだな」

I just hit a bitch from Rome, I unlocked a different code
俺はローマ出身のビッチを抱いたばかりだ、今までと違う次元のコードを解除したのさ
※「code」はストリートの掟を指す言葉だが、ここでは国際的なライフスタイルを手に入れ、地元のフッドの掟とは異なる「上流階級の掟」や「富裕層のルール」へアクセスできるようになったことを意味する。

These crackers playin' with different dough, inspire me to get more
別次元の金を持ってる白人どもを見て、もっと稼いでやろうとインスパイアされたんだ
※「crackers」は白人を指すスラング。ここでは単なる人種的言及ではなく、ウォール街や巨大企業のトップに君臨するような、黒人のストリートハスラーとは桁違いの「オールドマネー(代々受け継がれる資産)」を持つ白人富裕層を指している。彼らの富の規模を知ったことが、YGをさらなる高みへと駆り立てている。

These bitches out here getting flown, inspire me to let 'em go
飛行機代を出してもらって飛び回ってるビッチどもを見て、手放す決心がついたよ
※「getting flown(flown out)」は、金持ちのパトパパやラッパーに飛行機代を支払ってもらって旅行やホテルに呼ばれる女性たちを指す。そうやって簡単に金になびく女たちを見て、特定の女性に執着しないスタンスを固めたことを示している。

After they suck, after I fuck, after I nut, let 'em ho
シャブらせて、ヤッて、ブチ撒けたら、あとは勝手にヤリマンをやらせておけ

Ten years plus and I'm in it strong, I ain't did shit wrong
10年以上このゲームの最前線にいるが、俺は一つも間違ったことはしてねえ
※YGのデビューアルバム『My Krazy Life』が2014年にリリースされてから10年以上が経過している。ヒップホップシーンという浮き沈みの激しい世界で長年サバイブし続けてきた自信の表れ。

Questionin' me 'bout the new me, cállate, pinche puto
新しい俺についてゴチャゴチャ聞いてくる奴ら、カヤテ、ピンチェ・プット
※「cállate, pinche puto」はスペイン語で「黙れ、クソ野郎」の意。ロサンゼルス(特にコンプトンやサウスセントラル)ではブラックコミュニティとチカーノ(メキシコ系)コミュニティが隣接しており、ギャングの文化やスラングが交差しているため、西海岸のラッパーがスペイン語の罵倒語を使うのは非常にリアルな描写である。

You know it's fuck all opps, fuck all opps, fuck all opps
オップスは全員くたばれ、全員くたばれ、全員くたばれ、だろ
※スーツを着て洗練されても、敵(opps)に対する非情なスタンスやフッドのメンタリティは一切変わっていないことを強調している。

You know I break law a lot, but in this club, that get jaw socked
俺が散々法を犯してきたのは知っての通りだが、このクラブじゃ礼儀を欠けば顎を砕かれるぜ

Get your fingers chopped, get your head shot
指を切り落とされ、頭をブチ抜かれる

Hit your family right in they soft spot
家族の急所だって容赦なく狙われるんだ
※単なるストリートの銃撃戦(ドライブバイなど)の次元を超え、裏切りや不義理に対してはマフィアやカルテルのような組織的で凄惨な報復(指詰め、家族への攻撃)が行われるという、「ジェントルメンズ・クラブ」の冷酷な掟を描写している。

This the gent' club, turn this shit up
ここがジェントルメンズ・クラブだ、音を上げな

We done graduated from the hard knocks
俺たちはハード・ノックスを卒業したんだ
※「the hard knocks」は「School of Hard Knocks(厳しい実社会、どん底のストリート生活)」を指す。末端のストリートハスラーとしての時期を終え、ボスの座へ上り詰めたことの比喩。

Kept it real, I done kept it solid
常にリアルを貫き、確固たる筋を通して生きてきた

Had it all, I done fuckin' lost it
全てを手に入れ、そしてクソみたいに全てを失ったこともあった

Knew he was a snake, I done fuckin' called it
あいつがスネークだってことは分かってた、俺が言い当てた通りだったな
※「snake」は裏切り者や密告者(スニッチ)を意味するスラング。過去のビーフや人間関係のトラブルにおいて、YGの直感が正しかったことを示唆している。

Knew she was fake 'cause her ass, she bought it
あの女がフェイクだってことも分かってた、ケツを金で買ってたからな
※「fake」という言葉に、女性の「偽りの性格」と「美容整形(BBL=ブラジリアン・バット・リフト)による人工の尻」という二つの意味をかけた高度なダブルミーニング。

That case won't stick regardless
どのみちあの裁判で俺が有罪になることはねえ
※「case won't stick」は、検察や警察が証拠不十分で起訴を維持できない、あるいは有罪判決を下せない状態を指すストリートの法廷用語。

To the game, gotta fuckin' charge it
全てはこのゲームのツケとして払ってやるよ
※「charge it to the game」はヒップホップにおける有名な格言。ストリートのライフスタイルで発生する理不尽な損失、裏切り、逮捕などは、すべて「このゲーム(裏社会)で生きていくための必要経費」として受け入れるべきだというハスラーの哲学。

My dead bodies in the fuckin' closet
クローゼットの中には俺が片付けた死体が転がってる
※「skeletons in the closet(公にできない暗い過去や秘密)」ということわざを、文字通りの「死体」へと暴力的に言い換えている。彼がこれまで手を染めてきたストリートでの数々の罪を暗示している。

In the gent' club, we can talk about it, let's go
ジェントルメンズ・クラブの中なら、そんな裏話もできるぜ、行くぞ
※そうした血生臭い過去や重い秘密も、この「ジェントルメンズ・クラブ」という選ばれた者たちだけのクローズドな空間(マフィアの密室のような場所)であれば、腹を割って話せるという宣言。「let's go」でアルバム本編の幕開けへとリスナーを導いている。