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TWO FIFTEEN - Tierra Whack 【和訳・解説】

Artist: Tierra Whack

Album: Whack’s Museum

Song Title: TWO FIFTEEN

概要

Tierra Whackの「TWO FIFTEEN」は、彼女の故郷であるペンシルベニア州フィラデルフィアの市外局番(215)をタイトルに冠した、フッドへの愛とパーソナルな感情が交差するソウルフルな楽曲である。Griselda Recordsなどでの手腕で知られるConductor Williamsによる、温かみと哀愁を帯びたゴスペル調のサンプルビート上で、彼女は自身の成功の軌跡とストリートでのサバイバルを振り返る。前半では見事なライムスキームを用いてゴーストライターに頼るフェイクなラッパーたちを痛烈に批判しつつ、後半では女手一つで自分(女王)を育て上げてくれた母親への深い感謝と愛情をストレートに歌い上げている。ギミックの効いたワードプレイと、飾らない人間味という彼女の二面性が完璧なバランスで成立した、ヒップホップヘッズの胸を打つ名曲である。

和訳

[Verse 1]

Emotions bottled up like a Sunkist (Conductor; Never forget)
感情がサンキストみたいにボトルに詰め込まれてる(Conductor; 決して忘れない)
※「Sunkist」はオレンジジュースなどの飲料ブランド。ボトル(ペットボトルや瓶)に詰められたジュースのように、自分の感情を押し殺して閉じ込めている状態のメタファー。Conductor Williamsのプロデューサータグが入る。

You got a goal, you should stick with it like Fun Dip (What He's done)
目標があるなら、ファンディップみたいにくっついて離れちゃダメさ(神がなされたこと)
※「Fun Dip」は棒状のキャンディに粉末の砂糖をくっつけて食べるアメリカの定番のお菓子。目標にキャンディの粉のようにしっかりとしがみつけ(stick with it)という言葉遊び。バックグラウンドの「What He's done」の「He」はゴスペルサンプルにおける神を指す。

It's cool to take all some ties to do fun shit
楽しいことをするために、いくつかの繋がりを利用するのもいいさ

Just know you can't be beat, Ableton drum kits, yeah (Never forget)
あんたが負けるわけないってわかってるだろ、Abletonのドラムキットみたいにね、yeah(決して忘れない)
※音楽制作ソフト「Ableton Live」のドラムキットに掛け、「beat(負ける)」と「beat(ドラムのビート)」を巧みにダブルミーニングにしている。

The subtle art the not giving a fuck
クソくらえって思わないための微妙な芸術さ
※マーク・マンソンのベストセラー自己啓発本『The Subtle Art of Not Giving a F*ck(邦題:気にしない練習)』のタイトルをそのまま引用し、他人の評価を気にしないマインドセットを示している。

You know you earned your spot, they just wish it was luck (What He's done)
自分の居場所は実力で勝ち取ったってわかってるだろ、奴らはそれがただの運だったらいいのにって願ってるだけさ(神がなされたこと)

At first it ain't stick, but eventually stuck
最初はうまくいかなかったけど、最終的には定着したのさ

And all the fake I knew you was just isn't enough (Never forget)
あんたがフェイクだって知ってたけど、それだけじゃまだ足りないみたいだね(決して忘れない)

Philly to Jersey, life just took a toll on you
フィリーからジャージーへ、人生があんたに大きな代償を払わせた
※フィラデルフィア(Philly)から隣のニュージャージー州(Jersey)への移動。「took a toll(代償を払わせる、ダメージを与える)」と、州をまたぐ橋や高速道路の「料金所(toll)」を掛けた、地元民ならではの地理的なパンチライン。

I got you covered like I'm trying to put some clothes on you (What He's done)
アタシがあんたをカバーしてやる、服を着せてあげるみたいにね(神がなされたこと)
※「got you covered」は「守ってやる、任せておけ」というイディオム。それを物理的に「服で覆う(カバーする)」ことに掛けている。

Whatever route you take, just make sure that it's worth your while
どんな道を選んだとしても、それが時間をかける価値があるか確かめな

When I met you, Cambodia, you said it hurt to smile (Never forget)
カンボジア、あんたと出会った時、笑うのも痛いって言ってたよね(決して忘れない)
※「Cambodia」はフィラデルフィアの友人、あるいは同名の愛称を持つフッドの仲間へのシャウトアウト。

I heard you loud, and it made me wanna hold my ears
あんたの声をはっきり聞いたよ、耳を塞ぎたくなるくらいだった

Holding tears, feelings mixed, uh, engineers (What He's done)
涙をこらえて、感情がミックスされてる、uh、エンジニアみたいにね(神がなされたこと)
※音楽の「ミキシング・エンジニア」と、様々な感情が「ミックス」されて混沌としている状態を掛けた秀逸なライム。

My engine fierce, riding dirty on the naked drive
アタシのエンジンは凶暴さ、むき出しのドライブでライディング・ダーティさ
※前の行の「engineers」から「engine」へと踏んでいる。「riding dirty」は違法な薬物や銃を車に乗せて走ることを意味するストリートの定番スラング。

Like Safari, some of y'all need to link with God
サファリみたいにね、あんたらの一部は神とリンクする必要があるよ
※ウェブブラウザの「Safari」とインターネットの「リンク(URL)」を掛け、神との繋がり(祈り)を持てという言葉遊び。

[Interlude]

Yeah, never forget (Glory to God)
Yeah、決して忘れない(神に栄光あれ)

You gotta work in the dark for the light to shine
光を輝かせるためには、暗闇の中で働かなきゃならないのさ

Yeah (Never forget)
Yeah(決して忘れない)

[Verse 2]

We've been eating for a while so we get the 'itis
アタシらはしばらく食い続けてるから、アイティスになっちまうよ
※「'itis(the itis)」は黒人文化におけるスラングで、お腹いっぱい食べた後にくる強烈な眠気(食後の睡魔)のこと。成功して裕福になり、食いっぱぐれない状況を示している。

I start spitting, niggas know I'm coming, gingivitis (What He's done)
アタシがスピットし始めれば、奴らはアタシが来たってわかる、歯肉炎みたいにね(神がなされたこと)
※「spitting」は「ラップを吐き出す」ことと物理的に「ツバを吐く」ことのダブルミーニング。「gingivitis(歯肉炎)」のせいでツバに血が混じることと掛けて、自分のラップがそれほど危険で生々しいことを表現している。

They can't stomach the pain, you know appendicitis
奴らはこの痛みを胃で消化しきれないんだ、虫垂炎みたいにね
※「can't stomach(耐えられない、消化できない)」と「appendicitis(虫垂炎・盲腸)」という腹部・医療関連の用語を連続で踏んでいる。

I ain't dissing the rappers, I've been dissing the writers (Never forget)
アタシはラッパーたちをディスってるんじゃない、ライターたちをディスってるのさ(決して忘れない)
※自分でリリックを書かず、ゴーストライターを使っているフェイクラッパーたちへの痛烈な批判。自らのペンで勝負する生粋のMCとしての圧倒的なプライド。

You niggas wash like canned soap from Mrs. Myers
あんたらはミセスマイヤーズの缶入り石鹸みたいに洗われるのさ
※「Mrs. Meyer's」は自然派の洗剤・石鹸ブランド。「wash(洗われる)」と、スラングの「washed up(落ちぶれた、終わった奴)」を掛けている。

I know you purchased my album, hoping to get inspired (What He's done)
あんたがアタシのアルバムを買ったのは知ってるよ、インスピレーションを得たかったんだろ(神がなされたこと)

The obsession is obvi', I trip rap like a hobby
執着してるのは明らかさ、アタシは趣味みたいにラップでトリップしてる

You know who I'm with, ain't talking about Bobby (Never forget)
アタシが誰と一緒にいるかわかってるだろ、ボビーのことじゃないよ(決して忘れない)
※ホイットニー・ヒューストンの元夫で、彼女の転落の一因とも言われるボビー・ブラウン(Bobby Brown)のこと。悪い仲間とはつるんでいないというアピール。

Took my mother to Abu Dhabi, views on the water
母親をアブダビに連れて行ったよ、水辺の景色を見にね
※大金を稼いで、母親に中東の高級リゾートでの旅行をプレゼントしたという成功の証であり、親孝行の描写。

And if you ask her, she'll tell you I'm the perfect daughter (What He's done)
彼女に聞けば、アタシが完璧な娘だって教えてくれるよ(神がなされたこと)

Our bond is not measured by all the things I bought her
アタシたちの絆は、アタシが買い与えたものなんかで測れるもんじゃない

I'm her first child, it's all the things I taught her (Never forget)
アタシは彼女の最初の子供、アタシが彼女に教えたことのすべてさ(決して忘れない)
※長女として母親と共に成長し、互いに学び合いながら生き抜いてきたという親子の深い愛情。

She raised the queen, without her, I'd be God-knows-where
彼女が女王を育て上げたんだ、彼女がいなきゃアタシは今頃どこを彷徨ってたかわからないよ

Just in the location, mama, and you know I'm there (What He's done)
ただ場所を指定してくれれば、ママ、アタシがそこに飛んでいくってわかってるでしょ(神がなされたこと)

Anytime, any day, I'll come running for you
いつでも、どんな日でも、あんたのために駆けつけるよ

You deserve peace and happiness, I want it for you
あんたには平穏と幸せを手にする資格がある、アタシはそれをあんたに望んでるんだ