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EARWAX - Tierra Whack 【和訳・解説】

Artist: Tierra Whack

Album: Whack’s Museum

Song Title: EARWAX

概要

Tierra Whackの「EARWAX」は、彼女の真骨頂である緻密なワードプレイと、業界の不条理に対する冷徹な視線が交差する傑作である。タイトルの「耳垢(EARWAX)」は、ヘイターたちが真実を「聞こうとしない(耳が詰まっている)」状態や、彼女のヤバい(Sickな)サウンドを強引に耳にこびりつかせるというメタファーを含んでいる。ビート上で流れるように展開されるライムには、マイク・タイソンの噛み付き事件から、フランス料理のミルポワ、さらには「Sugar Honey Iced Tea (S.H.I.T.)」といった言葉遊びまで、彼女特有のユーモアとギミックが限界まで詰め込まれている。ポップカルチャーとストリートの生々しい現実、そして業界の政治(ゲーム)には参加せず実力だけでトップに君臨するという彼女の強固なスタンスが完璧に証明された、コアなヒップホップファンを唸らせる一曲だ。

和訳

[Intro]

Yeah, yeah, yeah
Yeah, yeah, yeah

Yeah, yeah
Yeah, yeah

Yeah, yeah, yeah
Yeah, yeah, yeah

Yeah
Yeah

[Chorus]

You know the truth but you can't even say it
あんたらは真実を知ってるのに、口にすることすらできないんだ

I know the game but I don't choose to play it, no
アタシはこのゲームの仕組みを知ってるけど、参加する気はないよ、絶対にね
※ヒップホップ業界の政治や同調圧力(ゲーム)に屈せず、自分のやり方を貫くスタンス。

I did a lot so I could be yo' favorite, yes
あんたのお気に入りになるために、アタシは色々やってきたよ、そうさ

They know I'm hot but they don't even say it, say it
奴らはアタシがイケてるってわかってるのに、口に出そうともしないんだ、言ってみなよ

[Verse 1]

You fightin' it
あんたは葛藤してる

Typin' it, deletin' then writin' it
タイピングして、消して、また書き直してる
※ネット上でTierraにどうコメントすべきか迷い、アンチコメントを打っては消しているヘイターの滑稽な姿を描写。

Supreme hyphenate
最高のハイフン繋ぎさ
※「hyphenate」はラッパー兼シンガー兼ライター(Rapper-Singer-Writer)のように、複数の肩書きをハイフンで繋ぐマルチな才能を持つことを意味する。

Caked up so I'm icin' it
ケーキまみれだから、アイシングをしてるのさ
※「cake」は金、「ice」はダイヤモンド(ジュエリー)のスラング。大金を稼いで宝石で飾っている状態と、ケーキのデコレーション(アイシング)を掛けたワードプレイ。

Gunnin' to the top, you know I licensed it
トップに向かってぶっ放す、アタシがライセンスを持ってるのは知ってるだろ
※「Gunnin'(銃を撃つ / 全力で狙う)」と銃の所持許可(license)を掛けている。

Why ask the price of it?
なんで値段なんて聞くのさ?

He ain't hot, nigga, you spicin' it
あいつはイケてないよ、あんたが話を盛ってるだけさ
※「spice it(スパイスを足す)」は話を誇張する、大げさに言うこと。

I'm so ahead, it's lice in it
アタシはずっと先を行ってる、シラミが湧いてるよ
※「ahead(先を行く)」と「a head(頭)」を掛け、頭(a head)だからシラミ(lice)がいるという、少しグロテスクだが天才的な言葉遊び。

When you in the field, you see mice in it
ストリートに出れば、ネズミがウロチョロしてるのが見える
※「field」は現場やストリート。「mice(ネズミ)」は密告者(スニッチ)を指す。

Phonе ring, He wifin' it
電話が鳴る、あいつはアタシを本命扱いしてる
※「wife」を動詞化し、遊びの女ではなく妻(本命)として扱いたがっている様子。

With the pin, I'm strikin' it
ピンを狙って、ストライクをキメるのさ
※ボウリングのメタファー。「pin」には「ペン(書くこと)」との掛詞のニュアンスも含まれ、ラップで確実にヒット(ストライク)を出すという意味。

Bitin' it like thе glove Mike Tyson bit
マイク・タイソンが噛みちぎったグローブみたいに食いつく
※「Bite」は「噛む」と「スタイルをパクる」のダブルミーニング。マイク・タイソンの有名な耳噛みちぎり事件(ここではグローブと表現)を引用している。

Mirepoix, dicin' it
ミルポワみたいに、ダイス状に切り刻んでやる
※「Mirepoix(ミルポワ)」はフランス料理の香味野菜。相手をサイコロ状(dice)に細かく切り刻むという料理のメタファー。

So many carrots, my heart skipped
キャロットが多すぎて、心臓が跳ねたよ
※「carrots(ニンジン)」とダイヤモンドの単位「karats(カラット)」の同音異義語。

You get roasted like parsnips
あんたはパースニップみたいにローストされるのさ
※ニンジンに似た根菜「パースニップ」。前の行の「carrots」からの野菜繋がりのライムであり、「roast」は「料理で焼く」ことと「ディスってコテンパンにする」ことのダブルミーニング。

We stand out like hard nips
アタシらは硬くなった乳首みたいに目立ってる

Much motion, my carsick
動きが激しすぎて、車酔いしそうさ
※「motion」はストリートスラングで「金回り、影響力、ビジネスの動き」。自分の勢いが凄まじすぎて酔ってしまうというボースト。

Pull strings, guitar pick
糸を引くのさ、ギターのピックみたいにね
※「Pull strings」は「裏で糸を引く(権力を使う)」というイディオムだが、ギターの弦(strings)をピックで弾く動作と掛けている。

I feel lethargic
アタシは無気力な気分さ

Doc said, "You are sick"
医者は言った、「あんたは病気だ」ってね
※「sick」は「病気」と「最高にヤバい(イケてる)」のダブルミーニング。

I'm like, "Aw, shit"
アタシは「ああ、クソ」って感じさ

Throw my hood up for me
アタシのためにフッドのサインを掲げてよ
※「hood」は「地元(フッド)」と「パーカーのフード」のダブルミーニング。

[Bridge]

Do I have to spell it out?
わざわざスペルを言わなきゃダメ?

I'm the sugar, honey
アタシはシュガー、ハニー

Do I have to pour it out?
わざわざ注いで見せなきゃダメ?

You can call me iced tea
アタシをアイスティーって呼んでいいよ
※「Sugar Honey Iced Tea」の頭文字を取ると「S.H.I.T.(最高、あるいはクソヤバいもの)」になるという、ヒップホップで古くから使われる言葉遊びのクラシックなリファレンス。

Say it
言ってみなよ

[Chorus]

You know the truth but you can't even say it
あんたらは真実を知ってるのに、口にすることすらできないんだ

I know the game but I don't choose to play it, no
アタシはこのゲームの仕組みを知ってるけど、参加する気はないよ、絶対にね

I did a lot so I could be your favorite, yes
あんたのお気に入りになるために、アタシは色々やってきたよ、そうさ

They know I'm hot but they don't even say it
奴らはアタシがイケてるってわかってるのに、口に出そうともしないんだ

Say it
言ってみなよ

[Verse 2]

It get spooky when October come
10月が来ると不気味になる
※10月(ハロウィン)と、ストリートの冷ややかな空気感(spooky=物騒な)を掛けている。

Prayin' for my momma only son
ママのたった一人の息子のために祈ってる
※彼女の兄弟に関するパーソナルで痛切なライン。

It's been such a lonely run
本当に孤独な道のりだったよ

The illest, yeah, I'm the only one
最高にイルな存在、そう、アタシは唯一無二さ

Question, can my homies come?
質問、アタシのホーミーたちも連れてきていい?

Even when it's over, I still won't be done
これが終わったとしても、アタシはまだ終わらないよ

The beef is Mongolian
このビーフはモンゴリアンさ
※「beef」はラッパー同士の揉め事。中華料理の定番「モンゴリアン・ビーフ」と掛けたユニークなパンチライン。

I don't preach at no podiums
演台に立って説教する気はないよ

I'm eatin' with less sodium
アタシは塩分控えめで食事してる
※「sodium(塩分)」はスラングの「salty(嫉妬深い、怒っている)」と結びつく。嫉妬やネガティブな感情を避けて、ヘルシーに生きているというメタファー。

Kicked it with Cambodians
カンボジアの奴らとつるんでた
※フィラデルフィアの多様なコミュニティやストリートでの交友関係を示している。

Clean as a custodian
用務員みたいにクリーンさ
※「custodian(管理人、用務員)」が常に掃除をして綺麗(clean)であることと、自分の経歴やラップスキルが完璧(clean)であることを掛けている。

Supreme power, babylonian
至高の権力、バビロニアみたいにね
※古代メソポタミアの強大な帝国「バビロニア」を引用し、シーンにおける自分の絶対的な支配力を誇示している。

This is for the stragglers, drops of astragalus
これははぐれ者たちのためのもの、アストラガルスの雫さ
※「astragalus(黄耆=オウギ)」は免疫力を高める漢方薬・ハーブ。社会から遅れをとった者たち(stragglers)に活力を与える薬(音楽)を提供しているという表現。

My cousin slide like abacus, need know, when I die, he gettin' half of this
アタシのいとこはそろばんみたいにスライドする、知っておきな、アタシが死んだら彼がこの半分を受け取るんだ
※「abacus」はそろばん。珠をスライドさせる動作と、敵の陣地に車で乗り込む(slide)というストリートスラングを掛けている。武闘派な身内への信頼と遺産の話。

Inhale the lavender
ラベンダーを吸い込む
※リラックス効果のあるラベンダーの香りを吸い込むことと、上質な大麻を吸うことのダブルミーニング。

Established in my lavishness
アタシの豪華さの中で確固たる地位を築いた

I was raised with savages
野蛮な奴らと一緒に育ったんだ
※過酷なフッドでサバイブしてきた背景。

So many packages
大量のパッケージさ
※「packages」はドラッグの包みや大金の束、あるいは彼女自身の多くの引き出し(才能)を意味する。

I wanted in but they won't, lettuce, cabbages
中に入りたかったけど奴らは拒んだ、レタス、キャベツさ
※「they won't let us(奴らはアタシたちを入れない)」の「let us」と野菜の「lettuce(レタス)」が同音であることを利用し、さらに「cabbages(キャベツ)」へと繋げている。レタスもキャベツもストリートスラングで「金(緑色の札束)」を意味し、金さえあればどんなドアも開く、という凄まじいワードプレイでバースを締めている。

[Chorus]

You know the truth but you can't even say it
あんたらは真実を知ってるのに、口にすることすらできないんだ

I know the game but I don't choose to play it
アタシはこのゲームの仕組みを知ってるけど、参加する気はないよ

I did a lot so I could be yo' favorite
あんたのお気に入りになるために、アタシは色々やってきたよ

They know I'm hot but they don't even say it, say it
奴らはアタシがイケてるってわかってるのに、口に出そうともしないんだ、言ってみなよ