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Introduction (instructions) - XXXTENTACION 【和訳・解説】

Artist: XXXTENTACION

Album: ?

Song Title: Introduction (instructions)

概要

本作「Introduction (instructions)」は、フロリダ出身の世界的アーティスト、XXXTENTACION(エックスエックスエックステンタシオン)が2018年3月にリリースし、全米チャート1位を獲得した2ndアルバム『?』のオープニングトラックである。彼の前作であるデビューアルバム『17』のイントロ「The Explanation」と同様に、本作もラップや歌唱ではなく、彼自身による語り(スポークンワード)のみで構成されている。このトラックは、単なるイントロダクションではなく、リスナーに対する「取扱説明書(instructions)」として機能している。攻撃的で過激なサウンドでシーンを駆け上がった彼が、より多角的なジャンルへのアプローチや、精神的な癒やし、自己愛といった内省的なテーマへとシフトしたことを宣言する重要なマニフェストだ。彼のキャリアにおける芸術的成熟と、死の数ヶ月前に残された彼の精神状態を読み解く上で欠かせないピースである。

和訳

[Monologue]

To find, to find the exact words, to find the perfect words, to say less, but to say more, was ideal with this project, and to let my energy and mind be felt, in a less aggressive way, but a more passive and genius way was ideal with this album,
正確な言葉を見つけること、完璧な言葉を見つけること、口数は少なくても、より多くを語ることが、このプロジェクトにおける理想だった。俺のエネルギーと精神を、攻撃的ではない形で、より受動的で天才的な形で感じてもらうことが、このアルバムにおける理想だったんだ。
※「say less, but to say more(口数は少なく、より多くを語る)」は、初期のSoundCloud時代に見られたディストーションの効いた叫び声(スクリームラップ)や過激な感情表現から、より洗練されたリリシズムとメロディへの移行を示唆している。前作『17』でもリスナーへの語りかけから始まったが、本作ではさらなる精神的成熟と表現の進化が明確に宣言されている。

to show the versatility and to show the open-to-open minds in itself was the goal of this album, and to acquire a large amount of passion, and love and appreciation for myself was the goal of this album; loyalty to myself was the goal of this album.
俺の多様性を示すこと、そして開かれた精神そのものを示すことが、このアルバムの目的だった。大きな情熱、愛、そして自分自身への感謝の念を手に入れること、つまり自分自身への忠誠心が、このアルバムの目的だったんだ。
※「versatility(多様性)」という言葉通り、このアルバム『?』にはエモ・ラップ、ラテンポップ、インディーロック、ブーンバップ、トラップなど相反する様々なジャンルが混在している。また、重度の鬱や自己嫌悪に苦しんでいた彼が「自分自身への愛と忠誠(loyalty to myself)」を明確な目標として掲げている点は、彼のメンタルヘルスの変遷と癒やしのプロセスを追う上で極めて重要である。

So, I'll offer this warning and set of instructions; if you are not open-minded before you listen to this album, open your mind.
だから、ここで一つの警告と指示を与えよう。もしこのアルバムを聴く前に君の心が閉ざされているなら、心を開いてくれ。
※前作『17』のイントロでもリスナーへ警告を与えていた手法を踏襲している。ヒップホップファンの間では、リスナーに対して音楽を消費する前の一種の儀式的な心構えを要求するのは、彼のカルト的な求心力を形成する特徴的なアプローチとして認識されている。

If you don't listen to the alternative sound and you've never been into the alternative sound and have not been open to trying different things; open your mind before you listen to this album.
普段オルタナティヴな音楽を聴かなかったり、今までオルタナティヴなサウンドに興味を持ったことがなくて、新しいことに挑戦するのを避けてきたのなら、このアルバムを聴く前に心を開いてほしい。
※「オルタナティヴ・サウンド」への言及は、彼が純粋なヒップホップの枠組みを完全に脱却し、カート・コバーンに代表されるグランジや、インディーロックからの影響を自身のコアに据えていることを示している。トラップビートに慣れ親しんだファンに対し、先入観を捨てるよう求めている。

You can listen to it anywhere, preferably your room, your car, but it can be played anywhere.
どこで聴いても構わない。自分の部屋や車の中が理想的だけど、どこでも再生できる。
※あえて孤独な密室空間(部屋や車の中)を推奨しているのは、本作がパーティーチューンではなく極めて内省的であり、リスナー個人の心の内側と深く一対一で対話するための作品として位置付けられているためだ。

This album is far different, far more versatile, far more uplifting than the last.
このアルバムは前作よりも遥かに異なり、遥かに多様で、遥かに気分を高揚させてくれるものだ。
※「the last(前作)」とは、鬱や自殺願望といった重く暗いテーマが全体を支配していたデビューアルバム『17』を指している。そこからの脱却と、ポジティブなエネルギーへのシフトが彼自身の口から明言されている。

It's something you can find comfort in, it's very comforting, but discomforting at the same time.
慰めを見出せるようなものであり、とても心が安らぐと同時に、不安にさせられるものでもある。
※「comforting, but discomforting(安らぐと同時に不安にさせる)」という相反する感情の同居は、彼自身の双極的な精神状態や、過去のトラウマ・痛みを直視することに伴う苦痛と、そこから得られるカタルシスのプロセスそのものを体現している。

So, with this project, again, you're entering my mind, feeling my insanity, feeling my, my genius, my energy. Enjoy
だから、このプロジェクトを通して、君はまた俺の精神に入り込み、俺の狂気を、俺の天才性を、そして俺のエネルギーを感じることになる。楽しんでくれ。
※彼が自身の「insanity(狂気)」と「genius(天才性)」を同列のパラメーターとして語る点に、彼自身の危うさとストリートにおけるカリスマ性が象徴されている。作品を単なる娯楽としてではなく「他者の精神への没入体験」と再定義してリスナーを迎え入れている。