Artist: The Weeknd
Album: Kiss Land
Song Title: Belong To the World
概要
本作「Belong To the World」は、The Weekndが2013年にリリースしたデビュー・スタジオアルバム『Kiss Land』を象徴する壮大なトラックである。プロデューサーのDannyBoyStylesらが手掛けた本作は、イギリスのトリップホップ・バンドであるPortisheadの楽曲「Machine Gun」(2008年)の象徴的なミリタリー・ドラムをインスピレーション源(あるいはサンプリング)としており、リリース当時にPortishead側から無断使用であると抗議を受けたことでも話題を呼んだ。楽曲のテーマは、ストリッパーや娼婦など「夜の世界(The World)」に属し、不特定多数に身を委ねる女性に対する屈折した愛情と独占欲である。しかし同時にこれは、アンダーグラウンドの匿名的な存在からメインストリームのポップスターへと変貌を遂げ、大衆の消費物として「世界のもの」となってしまったThe Weeknd自身の孤独な境遇を強烈に自己投影したメタファーとしても機能している。日本で撮影されたサイバーパンク調のミュージックビデオも含め、彼の美学と死生観が凝縮された傑作である。
和訳
[Music Video Intro]
The wind in the sky
空の風よ
Please gather the clouds
どうか雲を集めて
And close the way of the wind
風の通り道を塞いでおくれ
I need to make the beautiful dancer
美しい舞姫を
Like a muse, so I can keep looking at her
ミューズのようにして、私が彼女を見続けられるように
※ミュージックビデオ版の冒頭で挿入されるこのポエトリーリーディングは、日本の「百人一首」に収録されている和歌の英訳を引用・再構築したものである。この箇所は僧正遍昭の「天津風 雲の通ひ路 吹きとぢよ をとめの姿 しばしとどめむ」に基づいている。日本のアニメ(特に『攻殻機動隊』など)のサイバーパンクな美学に強い影響を受けた本作のコンセプトを決定づける、ファンの間で有名なイースターエッグである。
Too bad if you forget about me
あなたが私を忘れてしまっても仕方ない
I have to live with it
私はそれを抱えて生きていく
We swear by God we will be together forever
神に誓って永遠に一緒にいると約束したのに
Now I'm worried God will take your soul
あなたが約束を破ったから、神があなたの魂を奪うのではないかと心配だ
Because you broke your promise
あなたが約束を破ってしまったから
Like the fire which guards light up to search things
見張りが辺りを照らすために焚く篝火(かがりび)が
Burns up in the night
夜に燃え上がり
And fades into the daylight
昼の光の中へと消えていくように
Just as my love and thoughts of you
あなたへの私の愛と思いが
Burn in the night and fade into the sun
夜に燃え上がり、太陽の中に消えていくのと同じように
※後半部分は、大中臣能宣の「御垣守 衛士のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ ものをこそ思へ」の英訳となっている。The Weekndの「夜の暗闇の中でのみ愛を感じ、昼には愛が消え失せる」という一貫したペルソナと、千年前の日本の和歌の情景を見事にリンクさせている。
[Verse 1]
I know you want your money, girl
金が欲しいのは分かってるよ、なぁ
'Cause you do this every day, okay
お前は毎日これをやってるんだからな、そうだろう
The way you doubt your feelings
自分の感情を疑って
And look the other way
目を逸らすそのやり方
Well, it's something I relate to
まぁ、それは俺も共感できるよ
Your gift of nonchalance
お前のその無関心という才能にな
But nobody's ever made me fall in love
だが、俺を恋に落とした奴は今まで誰もいなかった
With this amount of touch, well
こんな少しの触れ合いでな、本当に
[Pre-Chorus]
I'm not a fool
俺は馬鹿じゃない
I just love that you're dead inside (That you're dead inside)
お前の心が死んでいるところが好きなだけだ(お前の心が死んでいるところが)
I'm not a fool, I'm just lifeless, too
俺は馬鹿じゃない、俺もまた生命力を持たないだけだ
※「心が死んでいる(dead inside)」夜の女性に惹かれる理由は、スターダムの虚無感の中でThe Weeknd自身の心もまた麻痺し、死んでしまっているからである。同族嫌悪と深い共鳴が入り混じった複雑な精神状態を表している。
But you taught me how to feel
でもお前は俺に感情の抱き方を教えてくれた
When nobody ever would
他の誰もそうしてくれなかった時に
And you taught me how to love
そしてお前は俺に愛し方を教えてくれた
When nobody ever could
他の誰にもできなかった時に
[Chorus]
Ooh, girl, I know I should leave you
Ooh, girl、お前と別れるべきなのは分かってる
And learn to mistreat you
そしてお前を冷酷に扱う術を学ばなきゃならないことも
'Cause you belong to the world
だってお前は世界のものだから
And ooh, girl, I wanna embrace you
And ooh, girl、俺はお前を抱きしめたい
Domesticate you
お前を飼い慣らしたいんだ
※「Domesticate(飼い慣らす、家庭に縛り付ける)」という強烈なワードチョイスは、夜の世界で不特定多数に身を売る彼女を完全に独占し、平凡な関係の檻に閉じ込めたいという彼の異常なまでの支配欲とエゴを示している。
But you belong to the world
だが、お前は世界のものだ
You belong to the world
お前は世界のものなんだ
[Verse 2]
And I know that I'm saying too much
言い過ぎてるってことは分かってる
Even though I'd rather hold my tongue, yeah
本当は黙っていたいのに (Yeah)
And I'll pull you closer holding on to
それでもお前を引き寄せ、しがみつくんだ
Every moment 'til my time is done, yeah
俺の時間が尽きるまでのすべての瞬間に (Yeah)
And this ain't right, you've been the only one to make me smile
こんなの正しくない、俺を笑顔にしてくれたのはお前だけだった
In so long, I've succumbed to what I've become, oh, baby
ずっと長い間、俺は自分が成り果てた姿に屈してしまっていたんだ、oh, baby
※「自分が成り果てた姿(what I've become)」とは、名声を得て愛を信じられなくなった冷徹なスターとしてのペルソナを指す。その虚無感に敗北していた彼が、皮肉にも「愛を売る女性」の冷ややかな態度に触れることで人間らしい感情と笑顔を取り戻したという、絶望的なアイロニーが描かれている。
[Pre-Chorus]
I'm not a fool (I'm not a fool)
俺は馬鹿じゃない(俺は馬鹿じゃない)
I just love that you're dead inside (That you're dead inside)
お前の心が死んでいるところが好きなだけだ(お前の心が死んでいるところが)
I'm not a fool (Oh, no) I'm just lifeless, too (I'm just lifeless, too)
俺は馬鹿じゃない (Oh, no) 俺もまた生命力を持たないだけだ(俺もまた生命力を持たないだけだ)
But you taught me how to feel (You taught me how to feel)
でもお前は俺に感情の抱き方を教えてくれた(お前は俺に感情の抱き方を教えてくれた)
When nobody ever would (When nobody ever would)
他の誰もそうしてくれなかった時に(他の誰もそうしてくれなかった時に)
And you taught me how to love (You taught me how to love)
そしてお前は俺に愛し方を教えてくれた(お前は俺に愛し方を教えてくれた)
When nobody ever could (Oh, babe, oh, babe)
他の誰にもできなかった時に (Oh, babe, oh, babe)
[Chorus]
Ooh, girl, I know I should leave you (I know I should leave you)
Ooh, girl、お前と別れるべきなのは分かってる(お前と別れるべきなのは分かってる)
And learn to mistreat you (And learn to mistreat you)
そしてお前を冷酷に扱う術を学ばなきゃならないことも(そしてお前を冷酷に扱う術を学ばなきゃならないことも)
'Cause you belong to the world (Ooh, yeah, ooh, yeah)
だってお前は世界のものだから (Ooh, yeah, ooh, yeah)
And ooh, girl, I wanna embrace you (Oh, babe, I wanna embrace you)
And ooh, girl、俺はお前を抱きしめたい(Oh, babe、俺はお前を抱きしめたい)
Domesticate you (Domesticate you)
お前を飼い慣らしたいんだ(お前を飼い慣らしたいんだ)
But you belong to the world (Oh, baby)
だが、お前は世界のものだ (Oh, baby)
[Bridge]
You belong to the world, you belong to the world
お前は世界のものだ、お前は世界のものだ
You belong to the loneliness of filling every need
お前は、あらゆる欲求を満たすという孤独に属している
※「あらゆる欲求を満たす孤独」とは、客の性的な欲望を満たし続ける肉体労働の虚しさと、スターとして世界中のファンの期待に応え続けるエンターテイナーとしての孤独を完璧にリンクさせた、The Weekndならではの極めて文学的なパンチラインである。
Oh, no, you belong to the world, you belong to the world
Oh, no、お前は世界のものだ、お前は世界のものだ
You belong to the temporary moments of a dream
お前は夢の中の一時的な瞬間に属しているんだ
[Chorus]
Ooh, girl, I know I should leave you
Ooh, girl、お前と別れるべきなのは分かってる
And learn to mistreat you
そしてお前を冷酷に扱う術を学ばなきゃならないことも
'Cause you belong to the world, ooh, yeah
だってお前は世界のものだから、ooh, yeah
And ooh, girl, I want to embrace you
And ooh, girl、俺はお前を抱きしめたい
Domesticate you
お前を飼い慣らしたいんだ
But you belong to the world
だが、お前は世界のものだ
[Outro]
You belong to the world
お前は世界のものだ
You belong to the world
お前は世界のものだ
You belong to the world
お前は世界のものだ
You belong to the world
お前は世界のものだ
