Artist: Kendrick Lamar
Album: good kid, m.A.A.d city
Song Title: Swimming Pools (Drank)
概要
Kendrick Lamarの歴史的傑作『good kid, m.A.A.d city』(2012年)からのリードシングルであり、彼を世界的スターダムに押し上げた大ヒット曲である。カナダのプロデューサーT-Minusが手掛けた、重低音が響き渡るダークで中毒性のあるビートと「Drank(飲め)」というキャッチーな掛け声により、世界中のクラブで大合唱されるパーティ・アンセムとなった。しかし、その実態は「アルコール依存症」やゲットーの若者たちを蝕む「同調圧力(Peer Pressure)」の恐ろしさを冷徹に描いたコンシャスな楽曲であるという、ヒップホップ史に残る鮮烈なアイロニーを含んでいる。酒の「ショット」と銃弾の「ショット」を掛ける秀逸なリリシズムを展開しつつ、曲の終盤のスキットでは、報復のドライブバイ(銃撃戦)によって親友のデイブが命を落とすという、アルバムのストーリーにおいて最も悲劇的で決定的なターニングポイントが描かれている。
和訳
[Intro]
Pour up (Drank), head shot (Drank)
注いで(飲め)、ヘッドショットだ(飲め)
※「head shot」はテキーラなどの強い酒を一気飲みすることと、頭部への銃撃(ギャングの暴力)のダブルミーニング。酒と暴力がループするゲットーの日常を暗示している。
Sit down (Drank), stand up (Drank)
座って(飲め)、立ち上がって(飲め)
Pass out (Drank), wake up (Drank)
気絶して(飲め)、目を覚まして(飲め)
Faded (Drank), faded (Drank)
酔い潰れろ(飲め)、酔い潰れろ(飲め)
※「faded」は酒やドラッグで酩酊している状態。
[Verse 1]
Now, I done grew up round some people livin' their life in bottles
さて、俺は瓶の中で人生を送る連中に囲まれて育ってきた
Granddaddy had the golden flask, backstroke every day in Chicago
じいちゃんは金のフラスコを持っていて、毎日シカゴで背泳ぎしていたんだ
※ケンドリックの祖父がアルコール依存症(酒のプールで泳ぐ)であったという家族の歴史。
Some people like the way it feel, some people wanna kill their sorrow
その感覚が好きな奴もいれば、悲しみを打ち消したい奴もいる
Some people wanna fit in with the popular, that was my problem
人気者たちに溶け込みたい奴もいる、それが俺の問題だったんだ
※酒を飲む理由の分析。ケンドリック自身は、仲間からの「同調圧力(Peer Pressure)」によって無理に酒を飲んでいたことを告白している。
I was in a dark room, loud tunes, lookin' to make a vow soon
暗い部屋で、爆音の音楽が鳴り、もうすぐ誓いを立てようとしていた
That I'ma get fucked up, fillin' up my cup, I see the crowd mood
最高に酔っ払ってやるってな、自分のカップを満たしながら、群衆のムードが
Changin' by the minute and the record on repeat
刻一刻と変化し、レコードがリピートされているのを見ている
Took a sip, then another sip, then somebody said to me
一口飲み、また一口飲んだ、すると誰かが俺にこう言ったんだ
[Chorus]
"Nigga, why you babysittin' only two or three shots?
「ダチよ、なんでたった2、3杯のショットをずっと大事に持ってるんだ?
※「babysittin'」はグラスの酒を飲まずにずっと持っている(グラスの子守りをする)ことを指す、クラブやパーティーでの冷やかしのスラング。
I'ma show you how to turn it up a notch
もっとぶち上げる方法を俺が教えてやるよ
First, you get a swimming pool full of liquor, then you dive in it
まず、酒で満たされたプールを用意して、そこに飛び込むんだ
Pool full of liquor, then you dive in it
酒でいっぱいのプールに、飛び込むのさ
I wave a few bottles, then I watch 'em all flock
俺がボトルを何本か振ると、奴らがみんな群がってくるのを見物する
All the girls wanna play Baywatch
女の子たちはみんなベイウォッチの真似事をしたがる
※「Baywatch」は水着姿のライフガードが活躍するアメリカの人気テレビドラマ。酒のプールに群がり、性に奔放になる女性たちを比喩している。
I got a swimming pool full of liquor and they dive in it
俺には酒で満たされたプールがあって、奴らはそこに飛び込んでくる
Po-pool full of liquor, I'ma dive in it"
酒でいっぱいのプ、プールにな、俺も飛び込むぜ」
[Post-Chorus]
Pour up (Drank), head shot (Drank)
注いで(飲め)、ヘッドショットだ(飲め)
Sit down (Drank), stand up (Drank)
座って(飲め)、立ち上がって(飲め)
Pass out (Drank), wake up (Drank)
気絶して(飲め)、目を覚まして(飲め)
Faded (Drank), faded (Drank)
酔い潰れろ(飲め)、酔い潰れろ(飲め)
[Verse 2]
Okay, now open your mind up and listen me, Kendrick
よし、それじゃあ心を開いて俺の言うことを聞くんだ、ケンドリック
I am your conscience, if you do not hear me, then you will be history, Kendrick
俺はお前の良心だ、もし俺の言葉を聞かないなら、お前は過去の遺物(死体)になるぞ、ケンドリック
※過度な飲酒で理性が飛ぶ寸前に、内なる良心(Conscience)が語りかけてくる演出。同郷のレジェンドであるDr. DreやEminemの楽曲へのオマージュ。
I know that you're nauseous right now and I'm hopin' to lead you to victory, Kendrick
お前が今吐き気を催しているのは分かってる、俺はお前を勝利へと導きたいんだ、ケンドリック
If I take another one down, I'ma drown in some poison, abusin' my limit
もしもう一杯飲んだら、俺は毒に溺れ、限界を超えてしまうだろう
I think that I'm feelin' the vibe, I see the love in her eyes
俺はバイブスを感じている気がする、彼女の目に愛が見える
I see the feelin', the freedom is granted as soon as the damage of vodka arrived
その感情が見える、ウォッカのダメージが到達した途端に、自由が与えられたんだ
This how you capitalize, this is parental advised, and apparently, I'm over-influenced
これが資本化のやり方だ、これはペアレンタル・アドバイザリーだ、そしてどうやら、俺は影響されすぎているみたいだ
By what you are doin', I thought I was doin' the most 'til someone said to me
お前たちのやっていることにな、誰かが俺にこう言うまでは、自分が一番イケてると思ってたんだ
※アルコールによる解放感(自由)と、その背後にある破滅への自己客観視。
[Chorus]
"Nigga, why you babysittin' only two or three shots?
「ダチよ、なんでたった2、3杯のショットをずっと大事に持ってるんだ?
I'ma show you how to turn it up a notch
もっとぶち上げる方法を俺が教えてやるよ
First, you get a swimming pool full of liquor, then you dive in it
まず、酒で満たされたプールを用意して、そこに飛び込むんだ
Pool full of liquor, then you dive in it
酒でいっぱいのプールに、飛び込むのさ
I wave a few bottles, then I watch 'em all flock
俺がボトルを何本か振ると、奴らがみんな群がってくるのを見物する
All the girls wanna play Baywatch
女の子たちはみんなベイウォッチの真似事をしたがる
I got a swimming pool full of liquor and they dive in it
俺には酒で満たされたプールがあって、奴らはそこに飛び込んでくる
Po-pool full of liquor, I'ma dive in it"
酒でいっぱいのプ、プールにな、俺も飛び込むぜ」
[Post-Chorus]
Pour up (Drank), head shot (Drank)
注いで(飲め)、ヘッドショットだ(飲め)
Sit down (Drank), stand up (Drank)
座って(飲め)、立ち上がって(飲め)
Pass out (Drank), wake up (Drank)
気絶して(飲め)、目を覚まして(飲め)
Faded (Drank), faded (Drank)
酔い潰れろ(飲め)、酔い潰れろ(飲め)
[Bridge]
I ride, you ride, bang
俺が乗り、お前が乗る、バン
One chopper, one hundred shots, bang
一丁のチョッパー、100発のショット、バン
※「chopper」はアサルトライフル(AK-47など)のこと。「shot」は酒のショットと銃弾のダブルミーニング。パーティーの喧騒が、ギャングのドライブバイ(銃撃)の不穏な響きへと変貌していく。
Hop out, do you bang?
飛び出す、お前は撃つのか?
Two chopper, two hundred shots, bang
二丁のチョッパー、200発のショット、バン
I ride, you ride, bang
俺が乗り、お前が乗る、バン
One chopper, one hundred shots, bang
一丁のチョッパー、100発のショット、バン
Hop out, do you bang?
飛び出す、お前は撃つのか?
Two chopper, two hundred shots, bang
二丁のチョッパー、200発のショット、バン
[Chorus]
Nigga, why you babysittin' only two or three shots?
ダチよ、なんでたった2、3杯のショットをずっと大事に持ってるんだ?
I'ma show you how to turn it up a notch
もっとぶち上げる方法を俺が教えてやるよ
First, you get a swimming pool full of liquor, then you dive in it
まず、酒で満たされたプールを用意して、そこに飛び込むんだ
Pool full of liquor, then you dive in it
酒でいっぱいのプールに、飛び込むのさ
I wave a few bottles, then I watch 'em all flock
俺がボトルを何本か振ると、奴らがみんな群がってくるのを見物する
All the girls wanna play Baywatch
女の子たちはみんなベイウォッチの真似事をしたがる
I got a swimming pool full of liquor and they dive in it
俺には酒で満たされたプールがあって、奴らはそこに飛び込んでくる
Po-pool full of liquor, I'ma dive in it
酒でいっぱいのプ、プールにな、俺も飛び込むぜ
[Post-Chorus]
Pour up (Drank), head shot (Drank)
注いで(飲め)、ヘッドショットだ(飲め)
Sit down (Drank), stand up (Drank)
座って(飲め)、立ち上がって(飲め)
Pass out (Drank), wake up (Drank)
気絶して(飲め)、目を覚まして(飲め)
Faded (Drank), faded (Drank)
酔い潰れろ(飲め)、酔い潰れろ(飲め)
[Segue]
Sherane
シェレーン
Sherane (Pool full of— and we-and we dive in it, in-in it)
シェレーン(酒でいっぱいのプールに—そして俺たちは、俺たちは飛び込む、飛び込むんだ)
Sherane, Sherane
シェレーン、シェレーン
(Wat-watch 'em all flock) Aw, man
(奴らが群がるのを、見、見物するんだ)ああ、もう
(Girls wanna play, play, play) Sherane
(女の子たちは遊びたがる、遊び、遊び)シェレーン
Where is she takin' me? (I got)
彼女は俺をどこへ連れて行くんだ?(俺には)
Where is she takin' me? (Po-pool full of liquor, I'ma dive in—)
彼女は俺をどこへ連れて行くんだ?(酒でいっぱいのプ、プールにな、俺も飛び込む—)
※アルコールで泥酔し意識が混濁する中、アルバムのヒロインであり、自分を罠に嵌めたトラブルの元凶であるシェレーンへの執着がフラッシュバックする。
[Verse 3]
All I—, all I—, all I—
俺にあるのは—、俺にあるのは—、俺にあるのは—
All I have in life is my new appetite for failure
俺の人生にあるのは、失敗に対する新たな欲求だけだ
And I got hunger pain that grow insane, tell me, do that sound familiar?
そして俺には狂気に変わる飢えの痛みがある、教えてくれ、聞き覚えはないか?
If it do, then you're like me, makin' excuse that your relief
もしあるなら、お前は俺と同じだ、自分の救いへの言い訳をしてるんだ
Is in the bottom of a bottle and the greenest indo leaf
それがボトルの底や、極上の緑のインドア葉(マリファナ)の中にあるってな
As the window open, I release everything that corrode inside of me
窓が開くにつれて、俺は自分の中で腐食していくすべてを解き放つ
I see you jokin', why you laugh? Don't you feel bad? I probably sleep
お前がふざけてるのが見える、なぜ笑うんだ? 気分は悪くないのか? 俺はおそらく眠りに落ちて
And never ever wake up, never ever wake up, never ever wake up
二度と目を覚まさない、二度と目を覚まさない、二度と目を覚まさないだろう
In God I trust, but just when I thought I had enough
俺は神を信じている、だが、もう十分だと思ったまさにその時
[Skit]
They stomped the homie out over a bitch?
あいつら、女のことで仲間を袋叩きにしたのか?
K-Dot, you good, blood?
K-Dot、大丈夫か、ブラッド?
※「blood」は親しい仲間を呼ぶスラング。ここではアルバムのストーリー上の過去、「The Art of Peer Pressure」や「Poetic Justice」で描かれたように、シェレーンの家でギャングに袋叩きにされたケンドリックを仲間が救出した直後の状況が描かれている。
Now we can drop— yeah, we can drop you back off
これで降ろせる—ああ、お前を家に送り届けられるぞ
That nigga's straight, man, that nigga ain't trippin'
こいつは大丈夫だ、なあ、こいつは取り乱してない
We gon' do the same ol' shit
俺たちはいつものお決まりのクソをやるだけさ
I'ma pop a few shots, they gon' ru— they run opposite way
俺が何発かぶっ放せば、奴らは逃—反対方向へ逃げていく
Fall right in ****'s lap
そして(ピーピー)の膝元に転がり込むのさ
And he gon' tear they ass up, simple as that
そしたらあいつが奴らのケツを切り裂く、単純なことだ
※仲間がケンドリックの復讐のために、敵対ギャングへの報復のドライブバイ(銃撃戦)を計画している。
And I hope that bitch that set him up out there, we gon' pop that bitch too
それからあいつを罠に嵌めたあのビッチ(シェレーン)も、俺たちが撃ち殺してやることを願うぜ
Wait hold up, ayy, I see somebody
待て、おい、誰かいるぞ
*Car door opens and gunshots are fired*
(車のドアが開き、銃声が響く)
Aha, got them niggas
アハ、奴らを仕留めたぜ
K-Dot, you good? ****, you good?
K-Dot、大丈夫か? (ピーピー)、大丈夫か?
Yeah, blood, I'm good, Dave, you good? Dave?
ああ、ブラッド、俺は大丈夫だ、デイブ、お前は大丈夫か? デイブ?
Dave, say somethin'
デイブ、何か言ってくれ
Dave?
デイブ?
These bitch-ass niggas killed my brother
このビッチみたいなクソ野郎どもが、俺の兄弟を殺しやがった
※報復のドライブバイの最中に、ケンドリックの親友であるデイブが撃たれて命を落とす。アルバムの物語において最も悲劇的なターニングポイントであり、次曲「Sing About Me, I'm Dying of Thirst」へと続く決定的な瞬間。
