UGMKM

Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

UGMKM ARCHIVE

Find Music By Artist, Genre.

和訳・解説記事を、アーティスト名・ジャンルから探せます。

The Art of Peer Pressure - Kendrick Lamar 【和訳・解説】

Artist: Kendrick Lamar

Album: good kid, m.A.A.d city

Song Title: The Art of Peer Pressure

概要

Kendrick Lamarのメジャーデビューアルバム『good kid, m.A.A.d city』(2012年)に収録された、彼の類まれなストーリーテリング能力が遺憾なく発揮された傑作である。タイトルの「Peer Pressure」とは「同調圧力」を意味し、善良で平和主義な少年(good kid)が、地元の不良仲間(homies)と一緒にいることで、周囲の空気に流されてドラッグ、暴力、そして空き巣といった犯罪行為に手を染めていく過程を生々しく描いている。前半の不穏なビートから、車に乗り込んで街を徘徊する中盤のサスペンスフルなトラックへのシームレスな展開は、リスナーをコンプトンの夜のドライブへと強制的に引き込む。ゲットーにおける若者の犯罪が、決して生まれつきの悪魔的な性質からではなく、環境や仲間からのプレッシャーによって引き起こされるという社会的背景を見事に切り取ったヒップホップ史に残る一曲である。

和訳

[Part I]

[Intro]

Everybody, everybody, everybody
みんな、みんな、みんな

Everybody sit yo bitch-ass down
全員そのビッチみたいなケツを下ろして座りな

And listen to this true mothafuckin' story
そしてこのマザーファッキンな真実の物語を聞くんだ

Told by Kendrick Lamar on Rosecrans, ya bitch
ケンドリック・ラマーがローズクランズ通りで語る話をな、ビッチ
※「Rosecrans」はコンプトンを東西に貫く主要な大通り。物語の舞台が彼のフッドであることを明示している。

[Chorus]

Smokin' on the finest dope, ayy-ayy-ayy-ah
極上のドープを吸いながら

Drank until I can't no mo', ayy-ayy-ayy-ah
もうこれ以上飲めなくなるまで酒を飲んで

Really I'm a sober soul
本当の俺はシラフな魂の持ち主なんだ

But I'm with the homies right now
だが、今は仲間たちと一緒にいるからな
※この楽曲のコアとなるテーマ。本来はドラッグも酒も好まない真面目な少年が、仲間からの「同調圧力(Peer Pressure)」によって悪ぶっている姿。

And we ain't askin' for no favors
それに俺たちは誰の情けも求めちゃいない

Rush a nigga quick, then laugh about it later, ayy-ayy-ayy-ah
ダチを素早く襲って、後でそのことを笑い飛ばすのさ

Really, I'm a peacemaker
本当の俺は平和主義者なんだ

But I'm with the homies right now
だが、今は仲間たちと一緒にいるからな

And Momma used to say (Say, say, say, say)
そしてお袋はよく言っていた(言っていた、言っていた)

One day it's gon' burn you out (Woo)
いつかお前は燃え尽きてしまうってな

One day it's gon' burn you out, out, out
いつかお前は身を滅ぼすって

One day it's gon' burn you out (You, you, you, you, you, you)
いつかお前は身を滅ぼすって(お前は、お前は)

One day it's gon' burn you
いつかお前は身を滅ぼすって

But I'm with the homies right now
だが、今は仲間たちと一緒にいるからな

[Part II]

[Verse 1]

Me and my niggas four deep in a white Toyota
俺とダチたち、白いトヨタに4人で乗り込んでいる

A quarter tank of gas, one pistol, an orange soda
ガソリンは4分の1タンク、拳銃が1丁、そしてオレンジソーダ
※高級車や大量の武器を誇示するギャングスタ・ラップのクリシェとは対極にある、コンプトンの若者たちの貧しくもリアルな日常のディテール。

Janky stash box when the federales'll roll up
サツがパトロールしてきた時のための、ボロい隠し箱もある
※「federales」はスペイン語由来の警察を指すスラング。

Basketball shorts with the Gonzales Park odor
ゴンザレス・パークの匂いが染み付いたバスケットボール・ショーツ
※「Gonzales Park」はコンプトンにある公園。

We on the mission for bad bitches and trouble
俺たちはイイ女とトラブルを求めてミッションに出ている

I hope the universe love you today
今日、宇宙があなたのことを愛してくれるといいな

'Cause the energy we bringin' sure to carry away
なぜなら俺たちがもたらすエネルギーは、確実にすべてを奪い去ってしまうからさ

A flock of positive activists that fill they body with hate
体中を憎悪で満たした、ポジティブな活動家たちの群れ
※社会に不満を持つ若者たち(活動家)が、そのエネルギーをポジティブな変革ではなく、ストリートでの暴力や犯罪(憎悪)に消費してしまっているというアイロニー。

If it's necessary; bumpin' Jeezy first album, lookin' distracted
必要とあらばな、ジージーのファーストアルバムを爆音で流し、気を散らしている
※Young Jeezyの2005年の名盤『Let's Get It: Thug Motivation 101』のこと。当時のサウスのトラップ・アンセムが、ストリートの若者たちを「ハッスル」へと駆り立てるサウンドトラックとして機能していた。

Speakin' language only we know, you think it's an accent
俺たちにしか分からない言語で話す、あんたはそれがただの訛りだと思うだろうな
※フッド特有のスラングや身内だけの暗号のこと。

The windows roll down, all I see is a hand pass it
窓が下ろされ、俺に見えるのはそれを手渡す手だけだ

Hotboxin' like George Foreman grillin' the masses
ジョージ・フォアマンが民衆を焼くみたいに、ホットボックスしてる
※「Hotbox」は車を閉め切ってマリファナの煙を充満させること。元プロボクサーのジョージ・フォアマンがプロデュースした大ヒット商品「ジョージ・フォアマン・グリル(電気肉焼き機)」と掛けたユーモラスなライン。

Of the workin' world; we pulled up on a bunch of workin' girls
労働の世界のな、俺たちは娼婦たちの集まりの前に車を停めた
※「workin' girls」はストリートで春をひさぐ女性たちのこと。

And asked them what they workin' with
そして彼女たちに、何で稼いでる(どんなモノを持ってる)のか尋ねた

Look at me, I got the blunt in my mouth
俺を見てみろよ、口にブラントをくわえてる

Usually I'm drug-free, but, shit, I'm with the homies
普段の俺はドラッグなんてやらないが、クソ、俺は仲間たちと一緒にいるからな

[Chorus 1]

Yeah, nigga, we off a pill and Rémy Red
イェー、ダチよ、俺たちはピルとレミー・レッドでキマッてるぜ
※「Rémy Red」はコニャックとフルーツジュースをブレンドした酒。

Come through and bust ya head, nigga!
乗り込んでいって、お前の頭をぶっ飛ばしてやるよ、ダチよ!

Me and the homies
俺と仲間たちで

Sag all the way to the liquor store
酒屋までずっと腰パンで歩いていく

Where my niggas pour up 4 and get twisted some more
そこで俺のダチたちは4オンスのシロップを注いで、さらに酔っ払うんだ
※「pour up 4」は咳止めシロップ(リーン)をスプライトなどに混ぜること。

Me and the homies
俺と仲間たちで

I ride for my mothafuckin' niggas
俺はマザーファッキンなダチたちのために走るぜ

Hop out, do my stuff, then hop back in
車から飛び降りて、俺のやるべきことをやって、また飛び乗る

Me and the homies
俺と仲間たちで

Matter of fact, I hop out that mothafucka
実際のところ、俺はそのマザーファッキンな車から飛び降りて

And be like "doo-doo-doo-doot, doo-doo-doo-doo-doot!”
こんな風にブチかますんだ、「ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥ、ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥ!」
※銃を乱射する擬音。

[Verse 2]

It's 2:30 and the sun is beamin'
午後2時半、太陽が照りつけている

Air conditioner broke and I hear my stomach screamin'
エアコンはぶっ壊れてて、俺の胃袋が悲鳴を上げているのが聞こえる

Hungry for anything unhealthy
体に悪そうなものなら何でも食いたい気分だ

And if nutrition can help me
もし栄養が俺を助けてくれるって言うなら

I'll tell you to suck my dick, then I'll continue eatin'
俺のディックでもしゃぶれって言ってやって、そのまま食い続けるぜ
※不良ぶって健康的な忠告を突っぱねるティーンエイジャーの虚勢。

We speedin' on the 405, passin' Westchester
俺たちは405号線を飛ばして、ウェストチェスターを通り過ぎる
※「405」はロサンゼルスを南北に走る主要なフリーウェイ。「Westchester」はLAの比較的裕福なエリア。

You know, the light-skinned girls in all the little dresses
分かるだろ、小さなドレスを着た肌の明るい女の子たちがいる場所さ

Good Lord, they knew we weren't from 'round there
神よ、彼女たちは俺たちがこの辺りの人間じゃないって分かっていた

'Cause every time we down there
なぜなら俺たちがそこへ行く時はいつも

We pullin' out the Boost Mobile SIM cards
ブースト・モバイルのSIMカードを抜き出しているからな
※「Boost Mobile」はアメリカの安価なプリペイド式携帯電話。犯罪の足がつきにくいため、フッドの若者やドラッグディーラーの必需品だった。

Bougie bitches with no extensions
エクステをつけていない、気取ったビッチたち

Hood niggas with bad intentions, the perfect combination
悪意を持ったフッドの黒人たち、完璧な組み合わせだ
※裕福なエリアの女性と、ゲットーから来た不良少年たちという対比。

Before we sparked a conversation
俺たちが会話に火をつける前に

We seen three niggas in colors we didn't like
俺たちの気に入らないカラーを着た3人の黒人を見かけた
※「colors」はギャングのシンボルカラー(クリップスの青やブラッズの赤など)。敵対するギャングのメンバーを見つけた瞬間。

Then started interrogatin'
そして尋問が始まったんだ

I never was a gangbanger, I mean
俺はギャングバンガーだったことなんて一度もない、つまり

I never was stranger to the fonk neither, I really doubt it
俺はフォンク(揉め事)に無縁だったわけでもないが、俺が本気でやるかと言えば疑わしい
※「fonk(funk)」は西海岸のスラングでトラブルやビーフのこと。

Rush a nigga quick and then we laugh about it
ダチを素早く襲って、後でそのことを笑い飛ばす

That's ironic, 'cause I've never been violent
皮肉なもんだよ、だって俺は暴力的な人間だったことなんて一度もないんだから

Until I'm with the homies
仲間たちと一緒にいる時以外はな

[Chorus 2]

(Just ridin', just ridin')
(ただ車を流してる、ただ流してる)

Me and the homies
俺と仲間たちで

(Bullshittin', actin' a fool)
(くだらないことをして、馬鹿みたいに振る舞って)

Me and the homies
俺と仲間たちで

(Trippin', really trippin')
(イカれてる、マジでイカれてる)

Me and the homies
俺と仲間たちで

(Just ridin', just ridin', just ridin')
(ただ車を流してる、ただ流してる、ただ流してる)

[Verse 3]

Braggin' 'bout the episode we just had
俺たちがたった今しでかしたエピソードを自慢し合ってる

A shot of Hennessy didn't make me feel that bad
ヘネシーのショットを飲んでも、そこまで悪い気分じゃなかった
※暴力事件を起こした直後だが、酒と仲間のプレッシャーで罪悪感が麻痺している。

I'm usually a true firm believer of bad karma
普段の俺は、悪いカルマ(業)ってやつを心から固く信じてる人間なんだ

Consequences from evil will make your past haunt ya
悪行の報いは、お前の過去から呪いのように襲ってくるってな

We tryna conquer the city with disobedience
俺たちは反抗心でこの街を征服しようとしている

Quick to turn it up, even if we ain't got the CD in
すぐにボリュームを上げる、CDが入っていなくてもな

But Jeezy still playin'
でもジージーの曲はまだ鳴り響いてる

And our attitude is still "nigga, what is you sayin'?"
そして俺たちの態度は相変わらず「ダチよ、何言ってんだ?」って感じだ

Pull in front of the house
その家の前に車を停める

That we been campin' out for like two months
俺たちが2ヶ月くらい前から下見をして張っていた家さ

The sun is goin' down as we take whatever we want
俺たちが欲しいものを何でも奪い取る頃には、太陽が沈みかけている

[Break]

Ayy, ayy, nigga, jackpot, nigga, pop the safe!
おい、おい、ダチよ、ジャックポットだ、金庫を開けろ!

Ayy, nigga, I think there's somebody in this room!
おい、ダチよ、この部屋に誰かいるみたいだぞ!

Wait, what?!
待て、なんだって!?

Nigga, there's somebody in this room!
ダチよ、この部屋に誰かいるんだよ!

[Verse 4]

I hit the back window in search of any Nintendo
俺はニンテンドーを探して裏窓を割った
※ティーンエイジャーの空き巣らしい、ゲーム機を狙うというリアルな描写。

DVD's, plasma-screen TV's in the trunk
DVDや、プラズマテレビをトランクに詰め込む

We made a right, then made a left, then made a right
俺たちは右に曲がり、それから左に曲がり、また右へ

Then made a left, we was just circlin' life
そして左へ、俺たちはただ人生を堂々巡りしていた

My mama called: "Hello? What you doin'?" — "Kickin' it."
お袋から電話が来た。「もしもし? 何してるの?」—「遊んでるよ」

I shoulda told her I'm probably 'bout to catch my first offense
俺はおそらく初めての前科(逮捕)を喰らいそうだって、お袋に言うべきだった

With the homies
仲間たちと一緒にいてな

(Police sirens)
(警察のサイレンの音)

But – they made a right, then made a left
だが – 奴ら(警察)は右へ曲がり、それから左へ曲がっていった

Then made a right, then another right
そして右へ曲がり、さらに右へと

One lucky night with the homies
仲間たちと過ごした、幸運な一夜だった
※間一髪で警察から逃れられた安堵。しかし、この「幸運」が後に悲劇を生むアルバムのストーリーへの伏線となっている。

[Outro]

K. Dot, you faded, hood?
K-Dot、お前ハイになってるのか、なあ?
※「K. Dot」はケンドリックが10代の頃に使っていたラップネーム。「faded」はマリファナや酒で酩酊している状態。

Yeah, we finally got that nigga faded
ああ、ついにあいつをハイにさせてやったぜ

I think he hit the wrong blunt though
でもあいつ、ヤバいブラントを吸っちまったみたいだぞ

Ooh, which one?
ウー、どっちのだ?

Well, which one he talkin' about?
おい、あいつどっちのブラントのこと言ってるんだ?

I was finna hit the one with the shenanigans in it
俺は「シェナニガンズ」が入ってる方を吸おうとしてたんだが
※「shenanigans」は本来「悪ふざけ」を意味するが、ここではストリートの隠語でPCP(エンジェルダスト)やコカインなどの強力な薬物をマリファナに混ぜたもの(レイスト・ウィード)を指す。

I pray he ain't hit that
あいつがそれを吸ってないことを祈るぜ

Nah, that nigga straight, he ain't hit that one
いや、あいつは大丈夫だ、それは吸ってない

Got the shenanigans? Give that nigga the shenanigans!
シェナニガンズ持ってるのか? あいつにシェナニガンズを吸わせてやれよ!

Nigga, I think we should push back to the city, fo' real doe
ダチよ、俺たちは街(コンプトン)に戻るべきだと思うぜ、マジで

Nigga, for what?
ダチよ、何のために?

What that nigga— what's that Jeezy song say, nigga?
あの黒人の— あのジージーの曲でなんて言ってたか知ってるか、ダチよ?

"Last time I checked I was the man on these streets!"
「最後に確認した時、俺はこのストリートの主だったぜ!」
※Young Jeezyの楽曲の歌詞の引用。ドラッグでハイになった若者たちが、ラップの歌詞に影響されて無敵感に浸っている。

Yeah, yeah, that shit right there
ああ、そう、その部分だ

I'm tryna be the nigga in the street
俺はストリートの主になりたいんだ

There he go. Man, you don't even know how the shit go
また始まったよ。なあ、お前は物事がどう動くか全然分かってねえな

Look, here's the plan, luv
いいか、計画はこうだ、兄弟

We gon' use the kickback as an alibi, wait 'til the sun go down, roll out, complete the mission, drop K. Dot off at his mama van, at the park
俺たちはパーティーをアリバイに使って、太陽が沈むまで待ち、出発して、ミッションを完了させ、K-Dotを公園にあるあいつのお袋のバンで降ろす

'Cause I know he tryna fuck on Sherane tonight
だってあいつ、今夜シェレーンとヤろうとしてるからな
※アルバムの冒頭曲「Sherane a.k.a Master Splinter's Daughter」の物語へと直接繋がる重要な伏線回収。

That's what he's not gon' do
そんなことにはならないけどな

Then we all gon' meet back at the block at about 10:30
それから俺たちは全員、10時半くらいにブロック(地元)に集合する

That's straight, but we should meet up around 12
それはいいが、俺たちは12時くらいに集まるべきだぜ

I'm tryna fuck on somethin' too
俺だって誰かとヤりたいからな

Nigga, sit yo dumb-ass back down!
ダチよ、その馬鹿なケツをさっさと座らせろ!

Nigga, you ain't doin' shit tonight!
ダチよ、お前は今夜何もしねえよ!

Matter of fact, nigga, get in the mothafuckin' car!
というか、ダチよ、マザーファッキンな車に乗れ!

We finna get active!
俺たちはこれから暴れに行くんだ!