UGMKM

Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

UGMKM ARCHIVE

Find Music By Artist, Genre.

和訳・解説記事を、アーティスト名・ジャンルから探せます。

Scared Of Love - Juice WRLD 【和訳・解説】

Artist: Juice WRLD

Album: Goodbye & Good Riddance

Song Title: Scared Of Love

概要

本作「Scared Of Love」は、Juice WRLDの歴史的デビューアルバム『Goodbye & Good Riddance』(2018年)の終盤を飾る、彼の「Sad Boy(サッドボーイ)」としての精神的葛藤とパラドックスが凝縮された一曲である。プロデューサーのMitch Mulaが手掛けた哀愁漂うギターと重厚なトラップビートの上で、Juice WRLDは「愛すること(to love)」自体は恐れていないが、それがもたらす破滅やトラウマ、すなわち「愛という概念(of love)」を恐れているという複雑な心理を歌い上げている。過去の恋愛で受けた傷から自己肯定感を喪失し、「自分は不十分だ(I'm not enough)」と嘆きながら、ザナックスやリーンといった処方薬・ドラッグによる自己麻酔に深く溺れていく姿は、当時のエモ・ラップシーンの若者たちが抱えていた虚無感とダイレクトにリンクしている。ハイブランド(Moncler)やジュエリー(VVS)で心の空洞を埋めようとする彼の痛ましいリアリティと、極限の孤独感がファンコミュニティの間で高く評価され続けている名曲だ。

和訳

[Intro]

Ooh, ooh, woah
Ooh, ooh, woah

I never been scared
俺はこれまで何かを恐れたことなんてなかった

I tell you that I don't care
どうでもいいって君には言ったけど

Really, I do care
本当は、すごく気にしてるんだ

I hope that you care (Yuh hear mi now, Mitch Mula?)
君にも気にしてほしいんだ(聞こえてるか、Mitch Mula?)
※カッコ内はプロデューサーであるMitch Mulaのプロデューサータグ。ジャマイカン・パトワ(Patois)特有の言い回しが使われている。

I never been scared to love (Drop dat bomboclaat)
愛すること自体を恐れたことなんてない(そのヤバいビートを落とせ)
※「bomboclaat」はジャマイカの強烈な罵倒語・感嘆詞であり、ヒップホップやダンスホールにおいて感情を爆発させる際や「ヤバいもの」を形容する際によく用いられるパトワのスラング。

[Chorus]

I never been scared of love, scared to love
俺は愛を恐れたことなんてない、愛することを恐れたことも

I'm on the drugs way too much
ドラッグに溺れすぎているんだ

I'm not enough, not enough
俺じゃ足りないんだ、全然足りない

You're way too much, way too much
君はあまりにも重すぎる、手に負えないよ

Not scared to love, just scared of love
愛することは怖くない、ただ愛というものが怖いんだ
※この楽曲のコアとなる強烈なパンチライン。「scared to love(愛する行為)」はできるが、「scared of love(愛がもたらす執着や失恋の痛み)」には耐えられないという、彼特有の悲劇的な矛盾(パラドックス)を表現している。

Not enough, I'm not enough
足りない、俺じゃ不十分なんだ

You're way too much and I'm not gettin' enough
君はあまりにも過剰なのに、俺はまだ満たされない

You're way too much, still not gettin' enough
君は重すぎるのに、それでも俺は満たされていないんだ

[Verse 1]

You're way too much, too, too much
君はあまりにも重すぎる、あまりにも

The weight is heavy on my shoulders, girl, you're too much
俺の肩にのしかかる重圧が半端じゃない、なぁ、君は手に負えないよ

You put my heart in a grave, I get no love
君は俺の心を墓場に埋めた、俺は愛なんて受け取っちゃいない

So I need more drugs, way too much
だからもっとドラッグが必要なんだ、尋常じゃない量でな

All I ever do is get fucked up
俺がやってることといえば、意識をぶっ飛ばすことだけだ

All I ever wanted was a real love
俺がずっと求めていたのは、本物の愛だけだったのに

Got a pint of the lean, I done lucked up
1パイントのリーンを手に入れた、運が良かったぜ

Bro said that it wasn't real mud
ダチはそれが本物のマッドじゃないって言ってたけどな
※「pint」は液体の単位(約473ml)。「mud(泥)」は、高品質なコデインシロップ(リーン)がスプライト等と混ざってドロドロに濁った状態を指すストリートの隠語。偽物や粗悪な混ぜ物であると仲間に警告されても、なお依存から逃れられない悲惨な状況を描写している。

Every day I wonder, if I can pick my heart out my chest (Out my chest)
毎日考えてるよ、自分の胸からこの心臓をえぐり出せたらって(俺の胸から)

Lately I been feelin' the worst (Feelin' the worst)
最近はずっと最悪な気分なんだ(最悪な気分だ)

So I gotta dress like the best (So I gotta dress like the best)
だから最高の服を着飾らなきゃならないんだ(最高の服を着飾るんだ)

Moncler all on my chest (All on my chest)
胸にはモンクレールを羽織って(胸の全面に)

VVS all on my neck (All on my neck)
首回りにはVVSのダイヤをジャラジャラさせてる(首の全面に)
※「Moncler」は高級ダウンブランド、「VVS」は透明度が極めて高い最高級ダイヤモンドのグレード。内面の深い苦痛(最悪な気分)を、ハイブランドやジュエリーという物質的なフレックス(虚勢)で必死に覆い隠そうとするSad Boyの典型的な防衛機制。

Ballin' like a fucking upset (Upset)
まるでクソみたいな番狂わせみたいに成り上がってる(番狂わせさ)
※「upset」はスポーツ等における番狂わせ(弱者が強者に勝つこと)。誰もが失敗すると思っていた彼が大金持ち(Ballin')になった状況を指すが、同時に彼の心が「upset(動揺して、悲しんで)」いるという高度なダブルミーニングとなっている。

They're beyond stressed (Stressed)
あいつらはストレスの限界を超えてる(ストレスさ)

I been hurt, but I'm beyond that
俺も傷ついてきたが、今はそんな次元を超えちまった

[Chorus]

I never been scared of love, scared to love
俺は愛を恐れたことなんてない、愛することを恐れたことも

I'm on the drugs way too much
ドラッグに溺れすぎているんだ

I'm not enough, not enough
俺じゃ足りないんだ、全然足りない

You're way too much, way too much
君はあまりにも重すぎる、手に負えないよ

Not scared to love, just scared of love
愛することは怖くない、ただ愛というものが怖いんだ

Not enough, I'm not enough
足りない、俺じゃ不十分なんだ

You're way too much and I'm not gettin' enough
君はあまりにも過剰なのに、俺はまだ満たされない

You're way too much, still not gettin' enough
君は重すぎるのに、それでも俺は満たされていないんだ

[Verse 2]

We woke up in hell, baby, can't you tell? (Tell)
俺たちは地獄で目を覚ましたんだ、ベイビー、分からないか?(分かるだろ)

As far as I can tell, you're the only heaven here
俺に分かる限りじゃ、君だけがここにある唯一の天国さ

I'm runnin' out of Xans, runnin' out of options
ザナックスが底を尽きかけてる、選択肢もなくなっていく
※「Xans」は抗不安薬ザナックス(Xanax)のスラング。サウンドクラウド・ラップ界隈に蔓延していたこのドラッグが切れることは、彼にとって精神的苦痛と直面せざるを得ない致命的な状況(選択肢の喪失)を意味する。

I really need to chill 'fore I'm in a coffin
棺桶に入る前に、マジで少し落ち着かないとヤバい

Way too late, Russian roulette, okay
もう手遅れだ、ロシアンルーレットだな、オーケー

I know I been dead for a minute now
自分がもうずっと死んだも同然の状態だってことは分かってる
※「for a minute」はスラングで「しばらくの間、長い間」という意味。

Ain't wanna be alive, no way (Mula tell 'em fall through)
生きていたいなんて思わない、絶対に(Mula、あいつらに教えてやれ)
※ヒップホップファンの考察では、ここでの「fall through」は予定が崩れることや落ちていく感覚を示すと同時に、プロデューサーのMitch Mulaに向けたシャウトアウト・アドリブとして機能しているとされている。

[Chorus]

I never been scared of love, scared to love
俺は愛を恐れたことなんてない、愛することを恐れたことも

I'm on the drugs way too much
ドラッグに溺れすぎているんだ

I'm not enough, not enough
俺じゃ足りないんだ、全然足りない

You're way too much, way too much
君はあまりにも重すぎる、手に負えないよ

Not scared to love, just scared of love
愛することは怖くない、ただ愛というものが怖いんだ

Not enough, I'm not enough
足りない、俺じゃ不十分なんだ

You're way too much and I'm not gettin' enough
君はあまりにも過剰なのに、俺はまだ満たされない

You're way too much, still not gettin' enough (No, I'm not gettin' enough)
君は重すぎるのに、それでも俺は満たされていないんだ(ああ、俺は全く満たされない)