Artist: Juice WRLD
Album: Goodbye & Good Riddance
Song Title: I’m Still
概要
本作「I’m Still」は、エモ・ラップの金字塔であるJuice WRLDのデビューアルバム『Goodbye & Good Riddance』(2018年)に収録された、極めて内省的で痛ましい一曲である。プロデューサーのNick Miraによるメランコリックなビートの上で、彼は失恋によって完全に心が砕け散っているにもかかわらず、ラッパーとして「フレックス(虚勢を張る・見せびらかす)」し続けなければならない自身の矛盾と悲哀を歌っている。心の痛みを鎮めるために市販の鎮痛剤(Advil)から強力なサイケデリックス(マジックマッシュルーム)にまで手を伸ばし、現実と幻覚の境界線が曖昧になっていく様子は、当時のSad Boy(サッドボーイ)ムーブメントの暗部をリアルに抉り出している。成功によって手に入れた物質的な富(ロールスロイスの星空ルーフなど)と、反比例するように深まっていく孤独を見事に描破した、ヒップホップファンの間で高く評価されるディープな一曲である。
和訳
[Intro]
Ooh-ooh, ooh-ooh-ooh, yeah
Like, oh, ooh, woah, oh, oh, oh-oh-ooh
[Pre-Chorus]
I'm holdin' my breath and watchin' my step
息を殺して、足元に気をつけているんだ
I'm listin' regrets and you made that list
俺は後悔をリストアップしてて、君がそのリストに入ったよ
You're my depression
君は俺の鬱そのものだ
Your first impression wasn't deception, you were lyin'
君の第一印象は思い違いなんかじゃなかった、君はただ嘘をついてただけだ
※「deception(欺瞞・騙し)」という言葉を使い、最初から直感で彼女が危険だと分かっていたにもかかわらず、彼女の嘘に溺れてしまった自分への後悔を表現している。
[Chorus]
Bitch, I'm still flexin' with my heart broken
ビッチ、俺は心が砕け散ってても、まだフレックスしてるぜ
※「flex(フレックス)」は富や成功を見せびらかすヒップホップのスラング。内面は完全に崩壊しているのに、表面上は成功したラッパーとして虚勢を張り続けなければならないという、彼の抱える強烈なコントラストを示している。
Got my heart open, I'm not hidin'
心を全開にしてる、俺は隠れやしない
Bitch, I'm still movin', I'm in slow motion
ビッチ、俺はまだ動いてる、スローモーションでな
※精神的な疲弊に加えて、リーン(咳止めシロップ)などのダウナー系ドラッグの影響で動きや時間の感覚が遅くなっている状態を描写している。
I rolled my dosage, I'm gettin' higher
薬の量を増やした、俺はさらにハイになっていく
Bitch, I still, I still love my pills, Advils
ビッチ、俺はまだ、まだピルを愛してる、アドビルをな
※「Advil」はアメリカで一般的な市販のイブプロフェン鎮痛剤だが、ここでは彼が常用していたパーコセットなどの強力なオピオイド系鎮痛剤の隠語として、あるいは物理的な頭痛薬と「心の痛みを消す薬」を皮肉交じりに掛けて使われている。
You can't feel, I feel, you can't feel, I feel
君には何も感じない、俺は感じる、君には何も感じない、俺は感じる
※冷酷な元恋人の無感情さと、それに反して痛みやドラッグの効き目を過敏に感じ取ってしまうJuice WRLD自身の繊細さを対比させている。
Bitch, I still, I still love my pills, Advils
ビッチ、俺はまだ、まだピルを愛してる、アドビルをな
You can't feel, I feel, you can't feel, I feel
君には何も感じない、俺は感じる、君には何も感じない、俺は感じる
[Post-Chorus]
Oh, ooh, woah, oh, oh, oh-oh, oh
Oh, ooh, woah, oh, oh, oh, oh, oh, oh-ah
[Verse]
Uh, fell in love with your face off the 'shrooms
Uh、マッシュルームでキメた状態で、君の顔に恋に落ちた
※「'shrooms」はマジックマッシュルーム(サイケデリック・ドラッグ)のスラング。幻覚作用の中で見た彼女の姿に憑りつかれている。
The way it animates your eyes in the room
部屋の中で君の瞳がアニメみたいに動くあの感じにさ
I can see the stars when I'm gazin' at you
君を見つめていると星が見えるんだ
Now I need the car with the stars in the roof, ooh
今じゃ天井に星空がある車が必要になったよ、ooh
※高級車ロールスロイスの代名詞である「スターライト・ヘッドライナー(天井に星空のようにLEDが埋め込まれた内装)」へのリファレンス。彼女を失って見えなくなった「星」を、大金で買った高級車で埋め合わせようとする虚無感を秀逸に表現したパンチライン。
Elephant all in the room, she buried me in a tomb
部屋の中には象がいる、彼女は俺を墓穴に埋めたんだ
※「Elephant in the room」は、誰もが気づいているのに気まずくて口に出せない重大な問題(ここでは二人の関係の破綻や彼の重度の依存症)を指す英語の慣用句。
I'm feelin' overconsumed
俺は過剰に消費されている気分だ
She walkin' me to my doom, I see her face in my room
彼女は俺を破滅へと歩かせる、部屋の中に彼女の顔が見えるんだ
When I'm alone in the room, I'ma blame that on the 'shrooms
部屋で独りきりの時にそれが見えたら、マッシュルームのせいにしておくよ
※彼女の幻影(未練)が見えるのは自分の精神が壊れているからではなく、ドラッグの幻覚作用のせいだと思い込もうとする悲痛な自己防衛。
[Bridge]
Oh, feelin' ridiculed, feelin' like a fool, don't know what to do
Oh、嘲笑われている気分だ、馬鹿みたいだ、どうすればいいか分からない
Lost my heart, don't got shit to lose
心を失った、もう俺には失うものなんて何もない
[Pre-Chorus]
I'm holdin' my breath and watchin' my step
息を殺して、足元に気をつけているんだ
I'm listin' regrets and you made that list
俺は後悔をリストアップしてて、君がそのリストに入ったよ
You're my depression
君は俺の鬱そのものだ
Your first impression was in deception, you were lyin'
君の第一印象は欺瞞の中にあった、君はただ嘘をついてただけだ
[Chorus]
Bitch, I'm still flexin' with my heart broken
ビッチ、俺は心が砕け散ってても、まだフレックスしてるぜ
Got my heart open, I'm not hidin'
心を全開にしてる、俺は隠れやしない
Bitch, I'm still movin', I'm in slow motion
ビッチ、俺はまだ動いてる、スローモーションでな
I rolled my dosage, I'm gettin' higher
薬の量を増やした、俺はさらにハイになっていく
Bitch, I still, I still love my pills, Advils
ビッチ、俺はまだ、まだピルを愛してる、アドビルをな
You can't feel, I feel, you can't feel, I feel
君には何も感じない、俺は感じる、君には何も感じない、俺は感じる
Bitch, I still, I still love my pills, Advils
ビッチ、俺はまだ、まだピルを愛してる、アドビルをな
You can't feel, I feel, you can't feel, I feel
君には何も感じない、俺は感じる、君には何も感じない、俺は感じる
[Post-Chorus]
Oh, ooh, woah, oh, oh, oh-oh-oh
Oh, ooh, woah, oh, oh, oh, oh, oh, oh
