Artist: Nicki Minaj
Album: Beam Me Up Scotty
Song Title: Can Anybody Hear Me?
概要
2009年にリリースされた傑作ミックステープ『Beam Me Up Scotty』のラストを飾る、Nicki Minajのキャリアにおいて最もエモーショナルでパーソナルな楽曲である。メロウなR&Bビートの上で、彼女は強気な「Nicki the Ninja」や「Harajuku Barbie」といったペルソナを脱ぎ捨て、一人の孤独なアーティストとしての葛藤を吐露する。ヘイターからの嫉妬、ヒップホップ業界(特にDef Jamなどのメジャーレーベル)からの不当な評価、そして「歌とラップを両立させる」という自身のビジョンが理解されない絶望感が赤裸々に語られている。後半の祈りのようなスポークン・インタールードでは、マネージャーのDebra Antney(Debbie)、発掘者のFendi、そして恩師Lil Wayneへの別れの言葉ともとれる感謝が綴られており、文字通り「誰か私を理解して(Can Anybody Hear Me?)」と叫ぶ彼女の悲痛な叫びは、その後の彼女のメインストリーム制覇の劇的な伏線となっている。
和訳
[Intro]
Pay attention
注目して
If you move, I'll fall
あなたが動いたら、私は倒れてしまうわ
(Davaughn on the beat)
(ダヴォン・オン・ザ・ビート)
※プロデューサーのタグ。
I'm leanin on you, you baby, you baby
私はあなたにもたれかかってるの、あなたに、ベイビー
Trap-A-Holics
トラップ・ア・ホリクス
[Verse]
Yo, yo, I push, p-p-push it, I push it like I'm in labor
ヨー、ヨー、私はプッシュする、プ、プ、プッシュする、陣痛の時みたいにいきむ(プッシュする)の
And he'll t-t-teach me to, teach me to love my neighbor
そしたら彼(神)は、隣人を愛することを教えてくれるわ
Just w-w-wait up, I'm processin' all the data
ちょっと待って、私はすべてのデータを処理しているところよ
Processin' all the data, p-p-processin' all the haters
すべてのデータを処理してるの、すべてのヘイターたちを処理(片付け)してるのよ
(Holiday Season!)
(ホリデイ・シーズン!)
You was writin' disses, I was takin' pictures
あんたがディスを書いてる間、私は写真を撮られてたわ
Signin' autographs for all of my bad bitches
私の極上のビッチたち(女性ファン)みんなにサインをしてたの
And in the nick of time it just dawned on me
そしてギリギリのタイミングで、ふと気がついたの
I am Nicki Minaj and it's all on me
私はニッキー・ミナージュ、すべては私の双肩にかかってるってことに
But hey, maybe I'll never win, maybe I'm settlin'
でもねえ、もしかしたら私には絶対に勝てないのかもしれない、妥協してるのかもしれない
Can't let the devil in, I'm a comic book heroine
悪魔を招き入れるわけにはいかないわ、私はアメコミのヒロインなんだから
But when the wind blows, I'm so Marilyn
でも風が吹けば、私はまるでマリリンみたいになるの
※地下鉄の通気口から吹き上げる風でスカートを押さえる、マリリン・モンローのアイコニックなポーズの引用。ヒロインの強さと、女性としての脆さ・セクシュアリティの同居。
(I'm so Marilyn, Marilyn, Marilyn)
(まるでマリリンみたい、マリリン、マリリン)
Yo, write it down, take a picture, bitches, e-mail that
ヨー、書き留めておきなさい、写真を撮って、ビッチども、メールで送りなさいよ
I came to save a thing called female rap (Female Rap)
私は「フィメールラップ」って呼ばれるものを救うために来たの(フィメールラップを)
※当時、Lil' KimやMissy Elliottらの全盛期が過ぎ、女性ラッパーが冬の時代を迎えていたヒップホップシーンを自分が再興するという使命感。
But I hope my ninja powers
でも、私のニンジャのパワーが
Don't fuck around and offend you cowards
ふざけてあんたたち臆病者を怒らせないことを願うわ
You mad at me cause you think I got it easy
あんたは私に怒ってるのよね、私が簡単にここまで来たって思ってるから
If we was in the second grade, then you would tease me
もし私たちが小学2年生だったら、あんたは私をからかってイジメてたでしょうね
Ya see, you still a lil snotty-nose hood rat
ほら、あんたはまだ鼻水垂らしたフッドのチンピラ(フッド・ラット)のままよ
"I love Nicki" scribbled all over you book bag (Book bag)
あんたのスクールバッグには「I love Nicki」って落書きだらけじゃない(スクールバッグに)
※自分をヘイトしている同業者のラッパーたちも、本当は自分のスタイルに憧れているただのファン(子供)だという皮肉。
I love you too (Love you too)
私もあんたを愛してるわよ(愛してるわよ)
I just wish your mother would've hugged you too (Hugged you too)
ただ、あんたの母親もあんたを抱きしめてあげてたらよかったのにね(抱きしめてたらね)
You know Nicki love the kids
ニッキーが子供たちを愛してるのは知ってるでしょ
Yellow brick road, lookin' for the Wiz (For the Wiz)
黄色いレンガの道を歩いて、魔法使い(ウィズ)を探してるの(魔法使いを)
※映画『オズの魔法使い』、あるいは黒人キャスト版の『ウィズ』の引用。成功や答えを求めて旅をするドロシーとしての自分。
But when it rains, it pours for real
でも、降る時は本当に土砂降りになるのよ(泣きっ面に蜂)
Def Jam said I'm no Lauryn Hill
デフ・ジャムの連中は、「お前はローリン・ヒルじゃない」って言ったわ
※ヒップホップの名門レーベルDef Jamの重役から、ラップと歌を見事に両立させた伝説的アーティストLauryn Hillのようにはなれないと否定された過去の暴露。
Can't rap and sing on the same CD
同じCDの中で、ラップと歌の両方なんてできないって
The public won't get it, they got A.D.D (They got A.D.D)
大衆には理解できない、あいつらは注意欠陥障害(A.D.D)だからって(注意欠陥障害だからって)
※一つのスタイル(ラップか歌か)に絞らないとリスナーは混乱するという、レーベル側の保守的なマーケティング理論への強い不満。
See Nicki, follow the rules
ほらニッキー、ルールに従いなさい
Go and say your prayers and get ready for school (Ready for school)
お祈りをして、学校に行く準備をしなさい(学校の準備を)
※業界の大人たちから「子供」のように扱われ、型にはめられようとしている抑圧の描写。
[Spoken Interlude]
Yeah, follow the rules
そうね、ルールに従うわ
Let me say my prayers and get ready for school
お祈りをして、学校に行く準備をさせて
Dear God, I am only what you made me
親愛なる神様、私はあなたが創られたままの存在です
And I appreciate everything that you gave me
そして、あなたが与えてくれたすべてに感謝しています
But like, I don't wanna do it no more
でも、なんというか、もうこれ以上続けたくないんです
Sort of lost sight of what I'm doin' it for
自分が何のためにこれをやっているのか、見失ってしまったみたいで
Thought that I was doin' somethin' good for the game
このラップゲームのために、何か良いことをしてるつもりだったのに
Until they all started throwin' dirt on my name
あいつら全員が、私の名前に泥を塗り始めるまでは
Tell Debbie, I really, really tried
デビーに伝えて、私は本当に、本当に頑張ったって
※当時のマネージャーであるDebra Antneyのこと。
That I said I'm sorry, but I had to say goodbye
ごめんなさい、でもサヨナラを言わなきゃいけなかったって
Tell Fendi, I'll never forget him
フェンディに伝えて、彼のことは絶対に忘れないって
※ニッキーを最初に見出し、アンダーグラウンドのDVDマガジン『The Come Up』に出演させたDirty Money RecordsのCEO、Fendiのこと。
And please tell Wayne I'll always be indebted
そしてどうかウェインに伝えて、私は一生彼に恩義を感じてるって
※才能を見抜き、Young Moneyに引き入れた最大の恩師Lil Wayneへの感謝。引退(あるいは自殺)を仄めかすような悲痛な別れのメッセージとなっている。
(I'll never forget it)
(絶対に忘れない)
(Please tell Wayne I'll always be indebted)
(どうかウェインに伝えて、私は一生彼に恩義を感じてるって)
[Outro]
Ayy! Can anybody hear me?
エイ! 誰か私の声が聞こえる?
Ayy! Can anybody hear me?
エイ! 誰か私の声が聞こえる?
Ayy! Can anybody hear me?
エイ! 誰か私の声が聞こえる?
Ayy! Can anybody hear me?
エイ! 誰か私の声が聞こえる?
(Aphilliates, nigga!)
(アフィリエイツだ、ニガ!)
