Artist: Kodak Black
Album: Kodak The Blessing
Song Title: Dearfield
概要
本作『Dearfield』は、Kodak Blackの父親としての温かい愛情と、ストリートの冷酷なハスラーとしての顔がシームレスに交錯する内省的なトラックだ。リリックの冒頭では、子供たちをこの冷たい世界から守り抜くという家長としての決意を語るが、曲が進むにつれて警察への警戒、麻薬取引、裏切り者への凄惨な制裁といったゲットーの残酷な現実へと話題がシフトしていく。「赤十字(貧困時の配給)」と「銃のレーザーサイトの赤い十字」を掛けた巧みなワードプレイや、ダラスで射殺されたラッパーMO3への言及など、ヒップホップ特有のダークなユーモアと死生観が随所に光る。また、パトワ(ジャマイカ由来のスラング)を取り入れるなど、ハイチ系移民が多いフロリダ特有の文化的背景も色濃く反映されており、彼の脆さと凶暴性が同居した複雑なペルソナが堪能できる一曲である。
和訳
[Verse]
Lookin' at my lil' boy, my first born
俺の幼い息子、長男を見つめている
And then my daughter came in pure form
それから娘が純粋な姿で生まれてきたんだ
Bringin' this money home, I gotta perform
家にこの金を持ち帰るためにも、俺はカマさなきゃならねぇ
In this cold world, swear to keep you so warm
この冷たい世界で、お前たちを最高に暖かく保つって誓うよ
I'm livin' up, ridin' on foreign
俺は派手に生きている、外国車に乗ってな
I told 'em don't even slide until I'm on tourin'
俺がツアーに出るまでは、絶対にスライドするなと奴らに伝えたんだ
※「slide」は敵の縄張りに乗り込んで銃撃すること。自分が不在になってアリバイが確実になるまで抗争を待てという、ギャングのボスとしての冷徹な指示。
I hate to see you cry, I told you no more
君が泣くのを見るのは嫌なんだ、もう泣かないでって言っただろ
I keep buyin' you Dior because I adore you
君を愛してるから、ディオールの服を買い続けてるんだ
※ブランドの「Dior」と「adore(愛慕する)」を掛けたワードプレイ。
Fuck you from the back, I have your butt sore
後ろから激しくヤって、君のケツを痛めつけてやる
If you ain't tryna fuck, then what you come for?
ヤる気がないなら、一体何をしにここへ来たんだ?
If you know me, you know you owe me, gotta come forward
俺を知ってるなら、俺に借りがあるって分かってるはずだ、前に出てこいよ
You takin' food from my family, so, nigga, fuck your
俺の家族の飯を奪おうってのか、なら俺はお前の家族なんて知ったことか
※「fuck your (family)」の省略。身内のシノギを荒らす者には、相手の家族ごと容赦しないという報復の宣言。
Play with my name, I swear the gang gon' cause a uproar
俺の名前を汚してみろ、ギャングが大暴動を起こすって誓うぜ
I don't wanna see no crackers rushin' through the front door
正面玄関から白人どもが突入してくるのなんて見たくねぇんだ
※「crackers」は白人に対する蔑称で、ここでは警察やSWAT部隊を指す。
Just me and you, negative two and, baby, plus four
俺と君だけ、マイナス2、それにベイビー、プラス4だ
Might catch a nigga out his boundary, I'ma up score
奴が自分の縄張りの外に出たところを捕まえるかもな、俺がスコアを上げてやる
※「out his boundary」は敵の安全圏外。「up score」は敵を殺害してストリートの抗争における得点(キルカウント)を稼ぐこと。
Like this taco meat, I'm sellin' hard and soft
このタコスの肉みたいに、俺はハードとソフトを売り捌いてるんだ
※「hard」は固形のクラック・コカイン、「soft」は粉末コカイン。タコスのハードシェルとソフトシェルに掛けたドラッグディールのメタファー。
Nigga steal from me, I'm tryna cut his hand off
俺から物を盗む野郎は、その手を切り落としてやる
That nigga done, he met the plug and then he ran off
あの野郎はもう終わりだ、元締めに会って金を持ち逃げしやがったからな
You really eatin' for real, then, nigga, let the bread talk
本当の本当に稼いでるって言うなら、金に物を言わせてみろよ
※「eatin'」はストリートで成功して満たされている状態。「bread」は金(札束)。
My money where my mouth is, so what you sayin' now?
俺は口だけじゃなく金を出して証明してるぜ、で、お前は今なんて言ってるんだ?
Remember strugglin' in the 'jects, nigga, Red Cross
プロジェクトで苦労してた頃を覚えてるぜ、赤十字に頼るような生活だった
※「'jects」は公営住宅(projects)。「Red Cross」は貧困時に支援や食料配給を受ける赤十字社。
Snipe a nigga with a pistol, got a beam, you see that red cross, uh
ピストルで奴を狙撃する、ビームが付いてるから、あの赤い十字が見えるだろ、アー
※前の行の「赤十字」と、銃のレーザーサイトが標的の体に描く「赤い十字(照準)」を掛けた極めて巧妙なワードプレイ。
Can't no bitches say I'm lead, but I let that lead off
どのビッチも俺が鉛だとは言えねぇが、俺はその鉛をぶっ放すんだ
※「lead」は鉛(銃弾)。
Let me eat your pizza, if it's good, I'll buy you CC
君のピザを食わせてくれよ、もし美味かったらCCを買ってやるから
※「pizza」は女性器の隠語。「CC」は高級ブランドのシャネル(Coco Chanel)。
These karats cut, bitch, ice hittin', deep freeze
このカラットは特別カットだ、ビッチ、氷が光を放つ、ディープフリーズだぜ
If you a O-P, we killin' out of boundar'
お前がOPなら、俺たちは境界線の外だろうと殺しに行くぜ
※「O-P」はOpp(敵・対立ギャング)。
And when I'm OT, I don't link with out-of-towners
俺がOTの時は、よそ者とは絶対につるまねぇ
※「OT」はOut of town(地元を離れて他の街にいる状態)。他所の街では誰も信用しないというハスラーの鉄則。
She wasn't lookin' for no love, but I found her
彼女は愛なんて探していなかったが、俺が彼女を見つけ出したんだ
These niggas only be some killers on the browser
こいつらはブラウザの上でだけキラーを気取ってる連中さ
※インターネット(SNS)上だけで強がるフェイクなギャングスタへの冷笑。
I ain't never need a stepper, I got my own feet
俺にステッパーは必要ねぇ、俺には自分の足があるんだからな
※「stepper」はストリートで殺しを請け負う武闘派。ヒットマンを雇わなくても、自分の足で出向いて自分で手を下すという宣言。
I don't want you to do nothin', baby, don't breathe
君には何もしてほしくない、ベイビー、息すらしないでくれ
I don't want you to go nowhere, baby, don't leave
君にはどこへも行ってほしくない、ベイビー、離れないでくれ
I better not catch you goin' outside, MO3
君が外に出るのを俺に見つけられない方がいいぞ、MO3みたいにな
※ダラスのラッパーMO3が2020年にハイウェイを走行中に追跡されて射殺された事件へのネームドロップ。不用意に外に出ると命を落とすという警告。
Want that pressure, nigga, bring it, nigga, show me
プレッシャーが欲しいなら、持ってこいよ、俺に見せてみろ
Odell Beckham, only time we spin out OB
オデル・ベッカムだ、俺たちがOBでスピンするのはその時だけさ
※「Odell Beckham」はNFLのスター選手。「OB」はアメフトのOut of Bounds(ライン外)と、Odell Beckhamのイニシャルを掛けている。「spin」は敵陣へのドライブバイ銃撃と、アメフトのスピンムーブのダブルミーニング。
Niggas try to claim my body like they did somethin'
奴らは何か成し遂げたかのように、俺の体を要求しようとする
Y'all been beefin' since forever, y'all ain't did nothin'
お前らはずっと昔からビーフをしてるくせに、何一つ行動を起こしちゃいねぇ
Ain't nothin' happen to that boy 'til we got him torched
俺たちがあいつを焼き尽くすまで、あの坊やには何も起きやしなかったんだ
I swear to God these niggas gay, these niggas batty boys
神に誓って、こいつらはゲイだ、こいつらはバティ・ボーイだぜ
※「batty boys」はジャマイカのパトワ由来のスラングで、同性愛者に対する侮蔑語。フロリダのハイチ系やカリブ海移民のコミュニティで頻繁に使われる表現で、ここでは敵の軟弱さを嘲笑している。
I need a M5, I ain't talkin' 'bout the gun, oh, yeah
M5が必要だ、銃の話をしてるんじゃないぜ、オー、イェー
※「M5」はアサルトライフルなどの銃器ではなく、高級車のBMW M5を指しているフレックス。
Bitch, you're through, is you fiendin'? 'Cause we done, uh, yeah
ビッチ、お前はもう用済みだ、欲しがってるのか? 俺たちはもう終わりだからな、アー、イェー
※「fiendin'」はドラッグなどを激しく欲求すること。
And before you go, I gotta make you cum, uh, yeah
それに出て行く前に、お前をイかせてやらなきゃな、アー、イェー
