Artist: Kodak Black
Album: Kodak The Blessing
Song Title: Prayers Call
概要
本作『Prayers Call』は、幾度もの服役を経験してきたKodak Blackが、刑務所内の過酷なサバイバルと、莫大な富を手にしたことによる精神的崩壊を告白した極めて内省的なトラックだ。タイトルにある「祈りの集会(Prayer Call)」を舞台に、祈りを捧げるフリをしながら他人の不幸を願い、密告(スニッチ)を企む囚人たちの偽善とストリートの冷酷さを生々しく描写している。500万ドルという大金を手にした後、重度のドラッグ依存(コカインやモリー)と殺人衝動に苛まれた過去を赤裸々に語り、「プロジェクト(公営住宅)にいた頃の方がずっと幸せだった」と吐露する姿は、成功者のパラノイアを体現する究極の「Sad Boy」ラップである。同時に、金やダイヤといった表面的なものではなく、自分の「心」を愛してくれる純粋な存在への渇望を歌い上げる、哀愁と痛みに満ちた名曲である。
和訳
[Intro]
(Pipe that shit up, TnT)
※プロデューサーであるTnTのビートタグ。
(Dmac on the fuckin' track)
※共同プロデューサーであるDmacのビートタグ。
Yeah
You know, shit, I'ma take y'all through life
なあ、クソ、お前らを人生の旅に連れて行ってやるよ
Do this whole tutorial, I'ma take y'all through life
このチュートリアルを全部やって、お前らを人生の旅に連れて行く
All emotions right now
今、あらゆる感情が渦巻いてるんだ
[Verse]
Niggas at the prayer call with a knife in they sweater
祈りの集会で、セーターの中にナイフを隠し持ってる奴ら
※「prayer call」は刑務所内で囚人たちが集まる祈りの時間。神聖な場にすら凶器を持ち込まなければならない、刑務所内の絶え間ない緊張感と偽善を描写している。
You're holdin' hands together, but homie slimy as ever
一緒に手を繋いでるのに、ダチは相変わらずヘビみたいに陰湿だ
※「slimy」は裏切り者や信用できない奴を指すストリートスラング。
Some of them guys the devil and they be lyin' when tell you
あいつらの中には悪魔もいて、お前のために祈ってるなんて嘘をつきやがる
That they prayin' for you, really pray you get nine years or better
本当はお前が9年以上の刑を食らうように祈ってるくせにな
Nigga a jailhouse peach, but he fuckin' his niece
あいつは刑務所内じゃいい子ぶってるが、自分の姪っ子とヤッてるような奴だ
※「jailhouse peach」は刑務所内で看守や牧師に対して模範囚を気取る人間。その裏にある近親相姦などのおぞましい犯罪との対比。
Lie through his teeth, whеn he get out, he right back in thеm streets
平気で嘘をつきまくり、シャバに出たらまたすぐにストリートに戻りやがる
They say he jumpin' on cases to get his time shortened
刑期を短くするために、他の事件の密告をしてるらしいぜ
※「jumpin' on cases」は自分の刑期短縮や司法取引のために、他人の犯罪の証人になる(密告する)こと。ストリートで最も忌み嫌われるスニッチ行為。
Everybody got they eyes closed, but his wide open
みんな目を閉じて祈ってるのに、あいつの目は大きく見開かれたままだ
At the prayer call, prayin' on your downfall
祈りの集会で、お前の転落を祈ってるのさ
Every night, 9 o'clock, that nigga prayin' on your downfall
毎晩9時、あの野郎はお前の転落を祈ってるんだ
Yeah, young nigga comin' out the projects, my mama born in Haiti
イェー、プロジェクト出身の若い黒人、俺のママはハイチ生まれだ
※Kodakのルーツ。フロリダのポンパノビーチの低所得者向け公営住宅(プロジェクト)で、ハイチ移民の母の元に生まれた背景。
I ran up five million dollars, then I went fuckin' crazy
500万ドルを稼ぎ出して、それから俺は完全にイカれちまった
I started playin' with my nose, I wanted to catch a body
鼻で遊び始めて、誰かの命を奪いたくなったんだ
※「playin' with my nose」はコカインを吸引すること。「catch a body」は殺人を犯すこと。急激な成功のストレスから重度のドラッグ依存に陥り、破壊衝動に駆られていた時期の告白。
I see these platinum and gold, whoever thought that I'd be
このプラチナやゴールドを眺めてる、俺がこんな風になるなんて誰が想像した?
Gettin' two hundred a show? Now he got a Porsche and 'Rari
1回のショーで20万ドルも稼ぐようになるなんてな、今じゃポルシェとフェラーリを持ってるぜ
Swerve off the lot in a Rolls, they hate to see me shinin'
ロールスロイスで駐車場から勢いよく発進する、奴らは俺が輝いてるのを見るのが嫌で仕方ないんだ
So I drop the top on that Rolls, make sure they see me slidin'
だから俺はそのロールスの屋根を開けて、俺が流してる姿を奴らにしっかり見せつけてやる
I went right back to my golds, I should've kept my diamonds
俺はまたゴールドの歯に戻しちまった、ダイヤモンドのままでいるべきだったのにな
※フロリダのストリートの象徴である金歯(golds)と、富裕層の象徴であるダイヤモンドのグリルズ。成功してもゲットーのメンタリティから抜け出せない自己矛盾。
Got so much pain in my soul, but they gon' still me smilin'
魂には痛みが詰まりきってるが、奴らは俺が笑ってる姿を見続けることになるぜ
All my Snipers right behind me, none of this money don't define me
俺のスナイパーたちがすぐ後ろにいる、この金のどれ一つとして俺を定義づけたりはしねぇ
※自身のクルー「Sniper Gang」の結束と、大金を手に入れても本質は変わらないというスタンス。
They think I just been whinin', but I'm investin' and grindin'
奴らは俺が愚痴をこぼしてるだけだと思ってるが、俺は投資してハッスルしてるんだ
Out here, it ain't hard to find me, ain't never doin' no hidin'
この場所で俺を見つけるのは難しくねぇよ、隠れるような真似は絶対にしないからな
I see it in your face, bitch, you lyin' again
君の顔を見れば分かるぜ、ビッチ、また嘘をついてるな
All that a nigga want is some honesty
俺が求めてるのは、少しの誠実さだけなのに
I'm runnin' with lock 'cause it go down in the pen'
刑務所の中じゃ何が起きるか分からないから、南京錠を持ち歩いてるんだ
※「pen」は刑務所(penitentiary)。「lock」は靴下の中に重い南京錠を入れて武器(ブラックジャック)として使う、刑務所内の典型的な暴力サバイバル術。
You see it in my face, I'm on them mollys again
俺の顔を見れば分かるだろ、またモリーをキメてるんだ
※「mollys」はMDMA(エクスタシー)。
When I get you, I'ma cuff you like it's a warrant for your arrest
君を手に入れたら、逮捕状が出たみたいに君に手錠をかけてやる
※「cuff」は恋愛関係で相手を独占する(束縛する)ことと、警察が手錠をかけることを掛けたワードプレイ。
I'm runnin' with the Snipes, can't lose my life in the feds
スナイプスと走ってる、連邦刑務所で命を落とすわけにはいかねぇんだ
I was way more happier in the projects
プロジェクトにいた頃の方が、ずっと幸せだったよ
※大金と名声を手に入れた現在の孤独とパラノイアに対し、貧しくともシンプルだったゲットー時代を懐かしむ悲痛なライン。ヒップホップファンの間で高く評価されるSad Boyな一面。
Reminiscin' on days when I was robbin'
強盗をしてた日々を思い出してる
I know you missin' them days when you was my bitch
君が俺のビッチだったあの頃を恋しく思ってるのは分かってる
But why I gotta remind you to keep it solid?
でも、なんで俺が君に義理を通せなんてリマインドしなきゃならねぇんだ?
※「keep it solid」は裏切らない、秘密を守る、忠誠を誓うというストリートの掟。
Yeah, I pop checkbooks and I pop pills
イェー、俺は小切手帳を切り、ピルを飲む
I was locked up with the crooks on the top tier
刑務所の最上階で、悪党どもと一緒に閉じ込められていたんだ
※「top tier」は刑務所の重警備ブロック(最も危険な囚人が収容される階層)。
[Chorus]
Good dope got me noddin' off, mm
上等のドープで意識が飛びそうだ、ンー
※「dope」はここではヘロインや強力なオピオイド鎮痛剤。ダウナー系の薬効で首がカクカクする(noddin' off)状態。
Got me lookin' Barbara Hale
バーバラ・ヘイルみたいな顔になっちまってる
※白人女優の「Barbara Hale」。一説によれば、ドラッグで血の気が引き、白人のように顔が真っ白(pale)になっている状態を、名前と韻を踏んで(Hale / pale)表現している高度なスラング用法と解釈されている。
Shawty told me take my diamonds off, mm
あの娘は俺に、ダイヤモンドを外してって言ったんだ、ンー
'Cause she love me for my heart, it's there
なぜなら、彼女は俺の心そのものを愛してくれているから、そこにあるんだよ
※金や名声(ダイヤ)で惹きつけられる女性ばかりの中で、一人の人間としての本質(心)を愛してくれる純粋な存在への安堵。
Your virginity, it's been killin' me
君の純潔さが、俺を狂わせるんだ
If you feelin' me, you should chill and see
俺を感じているなら、落ち着いて見ててくれよ
You should wait with me, have some faith in me
俺と一緒に待っててくれ、俺を信じてくれ
Baby, stay with me and don't play with me
ベイビー、俺のそばにいてくれ、俺を弄ばないでくれ
Good dope got me noddin' off (Yes, sir)
上等のドープで意識が飛びそうだ (Yes, sir)
Got me lookin' Barbara Hale (Yes, sir)
バーバラ・ヘイルみたいな顔になっちまってる (Yes, sir)
Shawty told me take the diamonds off (Yes, sir)
あの娘は俺に、ダイヤモンドを外してって言ったんだ (Yes, sir)
'Cause she love me for my heart, it's there (Yes, sir)
なぜなら、彼女は俺の心そのものを愛してくれているから、そこにあるんだよ (Yes, sir)
Your virginity, it's been killin' me
君の純潔さが、俺を狂わせるんだ
If you feelin' me, you should chill and see
俺を感じているなら、落ち着いて見ててくれよ
You should wait with me, have some faith in me
俺と一緒に待っててくれ、俺を信じてくれ
Baby, stay with me and don't play with me
ベイビー、俺のそばにいてくれ、俺を弄ばないでくれ
