Artist: Kodak Black
Album: Kodak The Blessing
Song Title: Carrie P
概要
本作『Carrie P』は、Kodak Blackのキャリアにおいて幾度となく現れる「冷酷なヒットマン」と「愛に飢えたSad Boy」という相反するペルソナが、最も美しくかつ悲痛な形で交錯するメロウな一曲である。タイトルの「Carrie P」は、彼が車で流す特定のストリートを指すと同時に、愛する女性への思慕を暗示したメタファーとして機能している。リリックの序盤では、孤独感や、1日に50錠ものパーコセット(鎮痛剤)を摂取してしまう深刻な薬物依存といった自身の脆弱性が赤裸々に語られる。しかし後半に進むにつれ、ロールスロイスのエンブレムである「天使」を「ハゲタカ」に付け替えるという冷酷なフレックスや、殺しの依頼を受ける武闘派の顔が突如として現れる。銃(Toaster)を片手に彼女の元へ急ぎながら結婚を夢見る彼の精神状態は、極めてパラノイアックでありながらも、フッドで生きる男の真実の愛の形をリアルに描き出している。
和訳
[Intro]
Carrie P
キャリー・P
I'ma slide down Carrie P, hot with my pistol
俺はピストルを忍ばせ、熱を持ったままキャリー・Pを流すぜ
※「slide down」は車で通りを流すこと。また敵陣への襲撃も意味する。「hot」は盗難車に乗っている状態、警察にマークされている状態、あるいは銃撃の準備ができている状態を指すストリートスラング。
My pistol
俺のピストル
[Verse 1]
I'ma slide down Carrie P, drivin' hot with my pistol
俺はピストルを忍ばせ、熱を持ったままキャリー・Pを車で流すぜ
Fuckin' these bitches can't change the fact that I miss you
他のビッチどもとヤッたところで、俺が君を恋しく思ってる事実は変えられねぇ
Ain't have a taste of you since the same time last year
去年の今頃から、君を味わえちゃいねぇんだ
Prayin' for change, baby, can you be my cashier?
変化を祈ってるんだ、ベイビー、俺のレジ係になってくれないか?
※「change(自身と現状の変化)」と「change(小銭・お釣り)」を掛け、相手に「cashier(レジ係=小銭を渡してくれる存在、自分を変えてくれる存在)」になってほしいと乞う高度なパンチライン。
Deep in these streets, I need somebody to save me
このストリートの奥深くで、俺は俺を救い出してくれる誰かを必要としてる
I love what lovin' doin' to me as of lately
最近、愛が俺にもたらすものを愛してるんだ
Belaire, Aces, I'm celebratin' her every day
ベレアにエース、俺は毎日彼女を祝ってるぜ
※「Belaire」はリック・ロスなどがプロモートする高級スパークリングワイン、「Aces」は高級シャンパンのAce of Spades(アルマン・ド・ブリニャック)のこと。
They say don't trust you, but I don't care what my fellas say
奴らは君を信用するなと言うが、仲間が何と言おうと俺は気にしねぇ
Is it illegal or is it a crime I'm missin' you?
君を恋しく思うことは違法なのか、それとも犯罪なのか?
I'ma keep skeetin' in you case I go to prison soon
俺が近いうちにムショに入る場合に備えて、君の中に中出しし続けるぜ
※「skeetin'」は射精すること。常に収監の危険と隣り合わせのストリートの現実と、子孫を残したいという本能的な欲求。
Emotional wreckage, my feelings been everywhere
感情の残骸だ、俺の気持ちは散らかり放題さ
Some people ain't checkin' on me, I guess they ain't ever cared
俺の様子を気にもかけねぇ奴らもいる、きっと最初からどうでもよかったんだろうな
See what it came to, I wish I never made this money
どうなっちまったか見てみろよ、こんな金なんて稼がなきゃよかった
※莫大な富を得たことで真の友人を失い、孤独とパラノイアに苛まれる成功者のジレンマ。
I wanna go away where a new me is waitin' for me
新しい俺が待ってる場所へ遠く離れたいんだ
Thinkin' 'bout family, some, I wish they were closer to me
家族のことを考える、一部の奴らとはもっと近くにいられたらよかったのにな
I just took fifty Percs yesterday, but that's normal to me
昨日はパーコセットを50錠も飲んじまったが、俺にとっては普通のことさ
※「Percs」は強力な鎮痛剤パーコセット。50錠は致死量に等しく、彼の深刻な薬物依存と精神の崩壊(Sad Boyとしての側面)を象徴する痛ましいライン。
Runnin' out of love and I'm road runnin'
愛が尽きかけてる、そして俺は道路を走り続けてる
※「road runnin'」は州をまたいでドラッグを運ぶ(密売する)ハスラーのライフスタイルの隠語。
Shit get confusin', but I'm just makin' the most of it
状況は混乱していくばかりだが、俺はただそこから最大限のものを引き出してるだけだ
'Fore I let them kick me, I'd rather overdose
奴らに蹴り落とされるくらいなら、いっそオーバードーズした方がマシだ
I'm on a different time, I'm in another coast
俺は違う時間を生きている、今は別の海岸にいるんだ
I know I can call on you if I go and joce
俺がふざけに行っても、君なら頼れるって分かってる
※「joce」はフロリダ・ブロワード郡特有のスラングで「flirt(イチャつく)」や「talk smoothly(上手く丸め込む、冗談を言う)」という意味。
I caught a few souls, then turned around and bought a Ghost
俺はいくつか魂を奪い、振り返ってゴーストを買ったのさ
※「caught a few souls」はストリートで命を奪う(殺害する)こと。奪った魂(死)の対価として得た金で、ロールスロイスの「Ghost(幽霊)」を買うという、マカブルで文学的なワードプレイ。
Gettin' high the only thing I enjoy for myself
ハイになることだけが、俺が自分のために楽しめる唯一のことなんだ
'Cause everybody want a piece of everything else
だって誰もが、それ以外のすべてのおこぼれを欲しがるからな
※金や名声、持ち物すべてが他人にたかられる中で、薬物による逃避だけが自分だけの領域だという悲痛な真実。
[Bridge]
Sellin' death, sellin' meth
死を売り捌き、メスを売り捌く
※「meth」はメタンフェタミン(覚醒剤)。
I'm a killer for that scrilla, bae
俺はそのスクリラのための殺し屋さ、ベイビー
※「scrilla」は90年代から使われる「金・現金」を意味するストリートスラング。
Sellin' death, sellin' meth
死を売り捌き、メスを売り捌く
I'm a killer for that scrilla, bae
俺はそのスクリラのための殺し屋さ、ベイビー
[Verse 2]
I'm a contract killer, I'll pull a murder-for-hire
俺は契約殺し屋だ、金で請け負った殺しをやってのける
My heart on fire, I been duckin' the wires
俺の心は燃えている、盗聴器を避けて生きてきたんだ
※「wires」は警察や情報屋が仕掛ける盗聴器。常に警察の捜査を警戒しているハスラーのパラノイア。
Stay from off the internet, I'm really a sniper
インターネットからは離れてる、俺は本物のスナイパーだからな
※ネット上でビーフを繰り広げるフェイクラッパーたちとは違い、現実のストリートで静かに標的を仕留める(自身のクルーSniper Gangの精神)という宣言。
I wanna get everything that I desire
俺は自分が望むものすべてを手に入れたいんだ
I try to play my part, you makin' it hard for me
自分の役割を果たそうとしてるのに、君がそれを難しくさせる
Keep someone in the car to take them a charge for me
車の中には、俺の代わりに罪を被ってくれる奴を常に乗せている
※「take a charge」は身代わりで逮捕されること。警察に銃や麻薬を見つけられた際、無名の仲間(フォールガイ)に罪を被らせて自身は逃れるというギャングのリアルな手口。
Wrapped the Cullinan, it came with a chauffeur
カリナンをラッピングした、お抱えの運転手付きだ
※「Cullinan」はロールスロイスの超高級SUV。
Take the angel off the front and put a vulture
フロントの天使を取り外して、ハゲタカを乗せるんだ
※ロールスロイスの象徴であるボンネットマスコット「スピリット・オブ・エクスタシー(天使)」を取り外し、死肉を食らう「Vulture(ハゲタカ)」に付け替えるという冷酷なフレックス。自身のクルーSniper Gang(ハゲタカをシンボルに用いることがある)の暴力的な世界観で高級車を染め上げるという、ヒップホップファンの間で高く評価されるパンチライン。
I was scrollin' through your pics and caught a boner
君の写真をスクロールしてたら、テントを張っちまった
※「caught a boner」は勃起すること。
Now I'm slidin' down Carrie P with a toaster
そして今、俺はトースターを持ってキャリー・Pを流してる
※「toaster」は熱を発するものから転じて、銃(特に小型の拳銃)を指すストリートスラング。
I'm slidin' down Carrie P
キャリー・Pを車で流してるんだ
I'm speedin' to my baby 'cause she asked me to come over
俺のベイビーの元へスピードを上げてる、彼女が来てほしいって頼むからさ
I'ma ask her will she marry me?
彼女に、俺と結婚してくれるかって聞くつもりだ
I miss you, I wanna kiss you, I don't wanna play no more
君が恋しい、君にキスしたい、もう遊びは終わりにしたいんだ
Still be gettin' enough forever and I promise to do better
これからもずっと十分なものを手に入れ続ける、もっとマシな男になると約束するよ
From now until forever, I'ma always put you first
今から永遠に、俺はいつだって君を一番にする
We made it through whatever and we always made it work
俺たちは何があっても乗り越えてきた、いつだって上手くやってきたんだ
We made it through everything, dropped a bag on your wedding ring
俺たちはすべてを乗り越えてきた、君の結婚指輪に大金を注ぎ込んだぜ
※「dropped a bag」は大金(札束の詰まったバッグ)を支払うこと。
I'm keepin' it just in case you say yes
君がイエスと言ってくれた時のために、俺はそいつを持っておくんだ
