Artist: Kodak Black & 1900Rugrat
Album: Kodak The Blessing
Song Title: Nunchucks
概要
本作『Nunchucks』は、Kodak Blackと彼のレーベル「Sniper Gang」に近しいアーティスト1900Rugratによる、アグレッシブでパラノイアックなトラップバンガーである。不穏で重厚なベースが鳴り響くビートに乗せ、Kodakは自身の莫大な財力とストリートのボスとしての絶対的な権力を誇示する。曲名にもなっている「Nunchucks(ヌンチャク)」は、カンフー映画における武闘派なイメージと、ストリートで敵を容赦なく叩きのめす暴力性を象徴している。1900Rugratのヴァースでは、銃器の改造パーツ(Glock Switch)や強盗の生々しい描写に加え、親しい者を失ったトラウマからドラッグに依存して精神を病んでいく「Sad Boy」としての痛ましい現実も吐露されている。2017年当時の凶暴なペルソナへの回帰を宣言するKodakのリリックなど、フロリダのゲットーの冷酷な死生観が凝縮された一曲だ。
和訳
[Intro: Kodak Black]
Walk in, what the fuck's up?
入っていくぜ、一体何が起きてる?
Higher than a motherfuck
マジでぶっ飛んでる
I don't wanna hear nothin', hush-hush
何も聞きたくねぇ、黙ってろ
Make me—
俺に—
Uh, walk in, what the fuck's up?
アー、入っていくぜ、一体何が起きてる?
Higher than a motherfuck
マジでぶっ飛んでる
[Chorus: Kodak Black]
Uh, walk in, what the fuck's up?
アー、入っていくぜ、一体何が起きてる?
Higher than a motherfuck
マジでぶっ飛んでる
I don't wanna hear nothin', hush-hush
何も聞きたくねぇ、黙ってろ
Don't make me swing these nunchucks
俺にこのヌンチャクを振り回させないでくれ
※怒りに任せて凶器(ストリートでの暴力)を振るわせるな、という敵対者への警告。
Diamonds on me crushed up
俺のダイヤはクラッシュカットだ
Bust like slushy
スラッシーみたいに砕け散る
※最高純度のVVSダイヤモンドの冷たい輝きを、細かく砕かれた氷菓子の「スラッシー(Slushy)」に例えたフロス(自慢)。
Nigga tryna dap me up, hell no, get this elbow, who the fuck is he?
俺とダップしようとする奴、絶対無理だ、肘でも食らえ、あいつは一体誰なんだ?
※「dap」は黒人社会特有の握手や挨拶。素性の知れない相手に馴れ馴れしく近づかれることを極端に嫌い、肘を突き出して拒絶するストリートの強い警戒心。
[Verse 1: Kodak Black & 1900Rugrat]
Bought the block next to my block, from the ugly, now it's lovely
俺のブロックの隣のブロックを買った、醜い場所から今じゃ最高の場所になったぜ
※自身の生まれ育ったゲットー(block)の周辺の土地を莫大な資金で買い上げ、フッドを自らの手で作り変えている権力の誇示。
Don't wanna fuck, I can tell how much you love me by the way you chew my muppy
ヤりたくはねぇ、お前が俺のモノをどうしゃぶるかで、どれだけ俺を愛してるか分かるぜ
※「muppy」は男性器の隠語。性行為そのものより、フェラチオの奉仕度合いで女性の服従心と愛情を測るという直接的かつ支配的な性描写。
Bring me all my money, shit not funny, I got mummy
俺の金を全部持ってこい、笑い事じゃねぇ、ミイラを持ってるんだ
※「mummy(ミイラ)」は古びてカサカサになった大量の札束、あるいはドラッグをテープでぐるぐる巻きにした密輸品のパッケージを指すストリートの暗号としてファンの間で考察されている。
Bitch kinda thick, I ain't gon' lie, but she got duck feet
そのビッチはかなりグラマーだ、嘘はつかねぇ、でもアヒルみたいな足をしてるな
※魅力的な体型(thick)だがガニ股(duck feet)であるという、Kodak特有のコミカルで毒のある観察眼。
Nigga wanna see me sussy, that's exactly why they fussy
奴らは俺が怪しい行動をとるのを見たがってる、だからこそ奴らはうるさいんだ
※「sussy」はゲーム『Among Us』などから広まったスラングで「怪しい(suspicious)」の略。アンチや警察がKodakの隙や違法行為の証拠を探して騒ぎ立てている状況。
In Booby playin' with boobies, sippin' juice and double cup me
Booby Trapでオッパイと遊んでる、ジュースをすすってダブルカップにするんだ
※マイアミの有名なストリップクラブ「Booby Trap」と女性の胸(boobies)を掛けたワードプレイ。「juice」はリーン(咳止めシロップベースの麻薬)で、それを二重のプラスチックカップ(double cup)で飲む定番のスタイル。
Bands on his head, crack his egg, Humpty Dumpty
あいつの頭に懸賞金をかける、卵を割ってやる、ハンプティ・ダンプティみたいにな
※マザーグースの童謡に登場する卵のキャラクター「ハンプティ・ダンプティ」が壁から落ちて割れる様子を、ヒットマンを雇って敵の頭を撃ち抜く(ヘッドショット)残酷なメタファーとして用いている。
Bitch give me head like she ain't got no front teeth
前歯がないみたいに、あのビッチは俺にフェラしてくるぜ
※歯が当たらない高度なテクニックを持つ女性の描写。
Slidin' like this one beat, can't find the killer's auntie
このビートみたいに滑り込む、殺し屋の叔母さえ見つけられねぇ
※「Slidin'」は敵陣に乗り込むこと。報復を恐れて敵の親族(叔母)までもが身を隠してしまった、あるいは見つけ出して消したことを暗示する不穏なライン。
Clean up on aisle six, he done found a glitch
6番通路の掃除だ、あいつはバグを見つけちまった
※「Clean up on aisle six」はスーパーマーケットの店内放送をもじったもので、銃撃戦の後に飛び散った血や死体を清掃する(証拠隠滅)というマフィア的な隠語。
Yeah, every bitch gobble my dick, he gon' try to kiss
イェー、どのビッチも俺のモノをしゃぶる、あいつはキスしようとするんだ
Love me so much he hate me, can't explain his animosity
俺を愛しすぎて俺を憎んでる、あいつの敵意は説明できねぇよ
※強烈な嫉妬心は裏返せば憧れや愛であるという、ヘイターの矛盾した心理を突いた分析。
Back on my 2017 crap
2017年の頃のクソみたいな俺に戻ってるぜ
※2017年はKodakが大ブレイクを果たしつつも、数々の事件やビーフを引き起こしていた血気盛んな時期。当時の容赦なく凶暴な精神状態に回帰するという恐ろしい宣言。
Nigga, locked in like beeswax, poppin' kneescap
蜜蝋みたいに固まってる、膝の皿を撃ち抜いてやる
※「locked in」は完全に集中している状態、あるいは刑務所に収監されている状態。標的の膝を撃って歩けなくするというマフィアの手口。
I been ballin' ever since John Madden, pants saggin'
ジョン・マッデンの時代からずっと稼ぎまくってる、パンツは腰履きだ
※「John Madden」はアメリカンフットボールの伝説的な解説者であり、人気ゲーム『Madden NFL』の顔。彼が全盛期だった時代からストリートで大金を稼ぎ(ballin')プレイし続けているという比喩。
I walk up in this bitch, what's happenin'? (Yeah, huh, huh, skrrt, skrrt)
この場所に乗り込むぜ、何が起きてる? (Yeah, huh, huh, skrrt, skrrt)
[Verse 2: 1900Rugrat]
Fuck the C, I'm doin' one-sixty (One-sixty), tryna get in that big old ceilin', huh (I'm great)
警察なんてクソ食らえだ、俺は160マイルで飛ばしてる(160)、あのデカい天井を突き破ろうとしてるんだ (俺は最高だ)
※「C」はCops(警察)。時速160マイル(約250km)の猛スピードでパトカーから逃走するスリルと、ストリートの限界(天井)を超えていく野心。
He ain't never did nothin' for me, ayy, pussy-ass boy, now I'm the villain, huh (Yeah)
あいつは俺のために何一つしてくれなかった、女々しい野郎だ、今じゃ俺が悪役ってわけか (Yeah)
※かつての仲間が裏切ったり恩を仇で返したことへの怒り。正当防衛で報復した自分が悪者にされているというストリートの理不尽さ。
Only one gettin' bond my brother, huh (Brother), I don't really bond with people, huh (People)
保釈金を払ってもらえるのは俺の兄弟だけだ(兄弟)、俺は人と絆を結ぶのは好きじゃねぇんだ(人々)
※「bond(保釈金)」と「bond(絆を結ぶ)」を掛けたダブルミーニング。本当に信頼できる身内以外には心を閉ざしている冷徹なスタンス。
I like to bond with figures, huh (With figures), I'm James Bond with the trigger (Bond)
俺は数字と絆を結ぶのが好きなんだ(数字と)、引き金を引くジェームズ・ボンドさ(ボンド)
※前行の「bond」をさらに展開し、大金(figures=桁数)への執着と、映画『007』の殺し屋ジェームズ・ボンド(James Bond)を掛け合わせた見事なトリプルミーニング。
Uh, huh, this lil' bitch call me a wigger, huh (Bah), I don't drop down, tote me a nickel
あのビッチは俺をウィガーって呼ぶんだ、俺は屈んだりしねぇ、ニッケルを持ち歩いてるぜ
※「wigger」は黒人のように振る舞う白人を揶揄する言葉。「nickel」は5ドル紙幣のほかに、5口径の銃など武器を指すスラング。
Huh, huh, the lil' bitch say she need me, huh, said she might need a lil' of that liquor
あのビッチは俺が必要だと言い、あの酒が少し必要かもなと言ってる
Huh, huh, yeah, huh, huh, walk in this bitch, no fucks, huh
この場所に乗り込むぜ、知ったことかよ
Give it, huh, the same ones I was just down with, sittin' here up, huh (Up), with me, uh-huh
よこせよ、さっきまで一緒に落ちぶれてた奴らが、今じゃ俺と一緒に上に座ってるんだ(上に)
Plug ain't show no love, me and cuz just bucked, huh (Bucked), a fifty
密売人は愛を見せねぇ、俺と兄弟でたった今50を奪い取ったところだ(奪い取った)
※「plug」はドラッグの供給源(大元)。取引相手がケチだったため、金を払わず力ずくで50(50グラムや5万ドル相当のブツ)を強奪(bucked)したという凶悪なエピソード。
I'll fuck 'round, drop this bag, have your ass tryna duck, huh, a fifty, huh (Fifty), huh
ふざけんなよ、このバッグを置いて、お前らに50発の弾を避けさせてやる(50)
※前の行の「fifty(麻薬/金)」を、今度はドラムマガジンから放たれる「50発の銃弾」に意味を反転させ、敵に弾幕を浴びせる(duck=伏せて避ける)凄惨なガンプレイを描写している。
They got fullies, can't duck no switchy, huh
奴らはフルオートを持ってる、スイッチ付きの銃は避けられねぇぞ
※「fullies」はフルオートマチックの銃器。「switchy」はハンドガン(Glock等)をフルオート連射可能にする違法な改造パーツ(Glock Switch)。シカゴやフロリダのストリートで現在最も恐れられている致死性の高い武器。
I been high since lil' bro died, bitch, I been in here glitchin' (In here glitchin')
弟が死んでからずっとハイになってるんだ、ビッチ、俺はここでバグっちまってるのさ(ここでバグってる)
※「lil' bro(弟分・親友)」をストリートの暴力で失った深いトラウマ。その悲しみから逃れるために重度のドラッグ依存に陥り、精神が崩壊(glitch)していくSad Boyとしての悲痛な叫び。
[Chorus: Kodak Black]
Uh, walk in, what the fuck's up?
アー、入っていくぜ、一体何が起きてる?
Higher than a motherfuck
マジでぶっ飛んでる
I don't wanna hear nothin', hush-hush
何も聞きたくねぇ、黙ってろ
Don't make me swing these nunchucks
俺にこのヌンチャクを振り回させないでくれ
Diamonds on me crushed up
俺のダイヤはクラッシュカットだ
Bust like slushy
スラッシーみたいに砕け散る
Nigga tryna dap me up, hell no, get this elbow, who the fuck is he?
俺とダップしようとする奴、絶対無理だ、肘でも食らえ、あいつは一体誰なんだ?
