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Windows - Chance the Rapper (feat. Akenya & Alex Wiley) 【和訳・解説】

Artist: Chance the Rapper (feat. Akenya & Alex Wiley)

Album: 10 Day

Song Title: Windows

概要

本作「Windows」は、Chance the Rapperの原点であるデビュー・ミックステープ『10 Day』(2012年)に収録された、シカゴの青春とストリートの現実が交差する象徴的な一曲である。プロデューサーApollo Brownによるソウルフルで温かみのあるビートに乗せ、停学処分の解放感や仲間とのドライブ(窓を開けて風を感じる情景)を歌い上げている。客演にはシカゴの同世代アーティストであるAkenyaとAlex Wileyを迎え、地元特有の地名(オーク・ストリートやポルク・ストリート)やローカルなクルー(SaveMoney、The Village)へのシャウトアウトが散りばめられている。学校教育への反抗心やマリファナを通じたモラトリアムを謳歌する一方で、シカゴの過酷な環境で若くして命を落とした友人たちへの追悼が唐突に差し込まれる構成は、当時の彼の鬱屈した心情と「コンシャスな不良」としての複雑なペルソナを見事に表現している。後のグラミー賞ラッパーへと成長する彼の、生々しい初期衝動を記録した重要作だ。

和訳

[Verse 1: Chance The Rapper]

This is six blunt rotation music
これはブラント6本を回し吸いするための音楽

This is just got off six-month probation music
これは半年間の保護観察から解放された時の音楽

This is steppin' on the beach
これはビーチに足を踏み入れるための音楽

When you're too drunk to feel a beat
酔っ払いすぎてビートも感じられない時に流すやつさ

This that laughing in a condo
コンドミニアムで笑い転げて

Throwin' shit down in the street
通りへガラクタを投げ捨てるようなノリだ

This that shouts to the Ave, shouts to the lab
アベニューへのシャウト、スタジオへのシャウト
※「the Ave」はシカゴの特定の通り(ミシガン・アベニューなど)や若者のたまり場。「lab」は音楽スタジオのこと。

Shouts to the clucks, shouts to the strags
ヤク中たちへのシャウト、はぐれ者たちへのシャウト
※「clucks」はクラック・コカイン中毒者を指すストリートスラング。「strags」は身なりがだらしない者や浮浪者を指すシカゴのローカルスラング。

This for every math class that I ever had
これは俺が受けてきたすべての数学の授業に捧げる

So fuck you if I failed, and fuck you if I passed
だから俺が落第したならクソ食らえ、合格したとしてもクソ食らえだ

For shitty summaries and bummers in the past
過去のクソみたいな要約文と、最悪な出来事の数々に対して

'Cause some of our teachers act as if summer was for class
なぜなら俺たちの教師の何人かは、夏休みすら授業のためにあるかのように振る舞うからな

Some of us is seein' summer, some of us have passed
俺たちの中には夏を迎えられる奴もいれば、すでに亡くなった奴もいる
※「passed」にはテストに「合格した」という意味と、「亡くなった(passed away)」という意味があり、シカゴのストリートの過酷な現実を突きつける強烈なダブルミーニングとなっている。

Some of us ain't seein' summer, some of us have passed
俺たちの中には夏を迎えられない奴もいて、すでに亡くなった奴もいるんだ

So I'm just glad to say I'm sippin' rum up out a glass
だから俺はグラスからラム酒を飲めていると言えるだけで嬉しいよ

'Cause some of us is only sippin' some up off the grav'
だって仲間の一部は、墓石の上にこぼされた酒を舐めることしかできないんだから
※「grav'」は「grave(墓)」。亡くなった仲間の墓に追悼のために酒を注ぐ(Pour out a little liquor)ブラックカルチャーの習慣への言及。

And heaven's gates look a lot like prison from the Ave
そしてアベニューから見上げると、天国の門はまるで刑務所みたいに見える

We on the ground yelling, "Give my nigga back!"
俺たちは地上から叫んでるんだ、「俺のダチを返しやがれ!」って

[Chorus: Akenya Seymour & Chance the Rapper]

And I just want to roll with my windows down
ただ窓を開けっ放しにして車を流したいんだ

And I just want to roll with my windows down (With my windows down)
ただ窓を開けっ放しにして車を流したいんだ(窓を開けっ放しにして)

[Verse 2: Alex Wiley]

Another weekend full of blunts and brews
ブラントとビールにまみれたまた別の週末

Too comfortable, yelling "Fuck a school"
居心地が良すぎる、「学校なんてクソ食らえ」って叫びながら

Ain't seen the world before noon in like a month or two
もう1、2ヶ月は昼前の世界を見ていない

Blunts to the face, bottles to the dome
ブラントを顔面に食らい、ボトルを頭に流し込む

Niggas never need no cup
カップなんか必要ないぜ

Livin' out dreams, never givin' hopes up
夢を生きている、絶対に希望は捨てない

Ridin' with them Vill niggas, never givin' no fucks
ヴィルの連中と流してる、周りのことなんて一切気にしない
※「Vill」はAlex Wileyらが所属するシカゴのヒップホップ・コレクティヴ「The Village」のこと。

In the game tryna get our feel, tryna get a deal
このゲームで自分の感覚を掴もうと、契約を勝ち取ろうとしている

Tryna get a mill, tell 'em that
ミリオンを稼ごうとしてるんだ、奴らにそう伝えてくれ

Just ridin' around with my niggas and them
ダチやあいつらと一緒にただ車を走らせている

Real white nigga man mean real appeal
本物のホワイト・ニガ、つまりマジで魅力的な奴ってことさ
※Alex Wileyは白人と黒人のミックスであり、自身の肌の色が明るいことを自虐的かつユーモラスに表現する「White Nigga」というアイデンティティを好んで使用する。

We go all out 'til we fall out
倒れるまで全力でいくぜ

Niggas get called out then hauled out
喧嘩を売られたら、そのまま外へ引きずり出される

With the windows down we like to smoke all out
窓を開けっ放しにして、俺たちは最後まで吸い尽くすのが好きなんだ

Drink 'til I fall out, fuck is you talkin' 'bout boy
倒れるまで飲むんだよ、お前は何を言ってやがるんだ

The Village is my brothers
ヴィルは俺の兄弟たちだ

It's me, Mikey, Kembe trappin'
俺と、マイキーと、ケンベでハスリングしてる
※「Kembe」はThe Villageの主要メンバーでありAlex Wileyの盟友であるラッパーKembe Xのこと。

Hella love for Chance The Rapper
チャンス・ザ・ラッパーにはめちゃくちゃ愛を持ってるぜ

We know 10 Day is a classic, on God
『10 Day』がクラシックになるってのは分かってる、神に誓ってな

[Chorus: Akenya Seymour & Chance The Rapper]

And I just want to roll with my windows down
ただ窓を開けっ放しにして車を流したいんだ

And I just want to roll with my windows down
ただ窓を開けっ放しにして車を流したいんだ

[Verse 3: Chance The Rapper]

Uh, this is for sand in my shoes, shout out to Oak Street
靴の中の砂に捧ぐ、オーク・ストリートにシャウトアウト
※「Oak Street」はシカゴのダウンタウン近郊にある有名なオーク・ストリート・ビーチのこと。

For the free train rides, shout out to Polk Street
無料の電車乗車に捧ぐ、ポルク・ストリートにシャウトアウト
※「Polk Street」はチャンスが通っていた高校(Jones College Prep)のすぐそばにあるCTA(シカゴ交通局)レッドラインの駅。学生たちが無賃乗車(free train rides)をしていた地元の文脈。

To the ice cream man you just on hella dirt
アイスクリーム屋のおっさん、あんたマジで最悪だな

How you don't see us can't hear us, you Helen Keller?
俺たちが見えないし聞こえないのか、ヘレン・ケラー気取りかよ?
※視覚と聴覚を持たなかった歴史的人物ヘレン・ケラーを引き合いに出し、自分たち若者の存在を無視する大人や社会を皮肉ったパンチライン。ヒップホップ特有の不謹慎ながら巧妙な言葉遊び。

But I'ma save my dollars for Mary Jane and embellish her
でも俺はメリー・ジェーンのためにドルを貯めて、彼女を着飾らせてやる
※「Mary Jane」はマリファナの隠語。ドラッグを買うために金を残すというストリートのモラトリアムの表現。

Inhalin' her, smellin' her, maybe sellin' her
彼女を吸い込み、彼女の匂いを嗅ぎ、もしかしたら彼女を売るかもしれない

You niggas got cold feet, shouts to Luke Helliker
お前らはビビッてるな、ルーク・ヘリカーにシャウトアウト
※「Luke Helliker」はチャンスの古くからの友人で、初期の活動を共にしていた人物へのネームドロップ。

But that's my homie, my dude be droppin' hella verses
あいつは俺のホーミーで、ヤバいヴァースを蹴りまくる奴なんだ

So, shouts to D.O.C. and Nu Tribe too
だから、D.O.C.とNu Tribeにもシャウトアウトを送るぜ
※「D.O.C.」と「Nu Tribe」はチャンスが初期に関わっていたシカゴのローカルなユースグループやクルーの名前。

Man we out this jam, see how new guys do
なあ、俺たちはこの状況から抜け出すぜ、新人の俺たちがどうやるか見てな

But its still save money like a coupon
でも相変わらずクーポンみたいに金を節約するけどな
※「save money」はクーポンを使って節約するという直訳の意味と、チャンスやVic Mensaらが結成したシカゴの最重要ヒップホップ・コレクティヴ「SaveMoney」の名前を掛けた秀逸なダブルミーニング。

So you can catch me off of the Ave gettin' my stoop on
だからアベニューの階段に座り込んでる俺を見つけられるはずさ
※「stoop」はアパートなどの玄関先の階段のこと。ストリートの若者たちの定番のたまり場である。

[Chorus: Akenya Seymour & Chance The Rapper]

And I just want to roll with my windows down, yeah
ただ窓を開けっ放しにして車を流したいんだ、イェー

And I just want to roll with my windows down, yeah, oh, ooh, ha
ただ窓を開けっ放しにして車を流したいんだ、イェー、オー、ウー、ハ