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Nostalgia - Chance the Rapper 【和訳・解説】

Artist: Chance the Rapper

Album: 10 Day

Song Title: Nostalgia

概要

本作「Nostalgia」は、Chance the Rapperの原点であるデビュー・ミックステープ『10 Day』(2012年)に収録された、タイトル通り幼少期の無垢な記憶と失われた日々への郷愁を綴ったエモーショナルな一曲である。シカゴの過酷なサウスサイドで育った彼が、アニメ、おもちゃ、地元の遊園地といった90年代から00年代初頭のポップカルチャーをノスタルジックに回顧しつつ、大人になるにつれて直面するストリートの死やドラッグといった残酷な現実とのコントラストを鮮やかに描き出している。イントロでは日本のアニメ『DEATH NOTE』の英語吹き替え版の音声をサンプリングしており、当時のインターネット・オタクカルチャーとヒップホップをシームレスに融合させた「ブログ・エラ(Blog Era)」世代特有の感性が光る。また、フックではPete Rock & C.L. Smoothの歴史的クラシック「They Reminisce Over You (T.R.O.Y.)」を引用し、亡き友への追悼というヒップホップの伝統的なテーマを彼自身の文脈で見事に継承している。

和訳

[Intro]

He should try enjoying life, rather than spending his time trying to outsmart me. While he's alive, that is
彼は私を出し抜こうとすることに時間を費やすより、人生を楽しむべきです。生きている間は、ですが
※日本のアニメ『DEATH NOTE(デスノート)』の英語吹き替え版(第15話付近)からのサンプリング。世界的探偵「L」が主人公の夜神月について語るセリフ。死と隣り合わせのストリートの現実と、サスペンスアニメのセリフを重ね合わせている。

I know what you're saying but it's not that simple, it's just human nature
おっしゃることは分かりますが、そう単純ではありません、それが人間の性というものです
※同じく『DEATH NOTE』からのサンプリング(ワタリのセリフ)。

What's that guy doing, I wonder?
あの人、何をしてるんだろう?
※同じく『DEATH NOTE』からのサンプリング(弥海砂のセリフ)。

[Verse 1]

I still got orange and white cassette tapes
俺はまだオレンジと白のカセットテープを持ってる
※90年代の子供向けケーブル局「ニコロデオン」が販売していた特徴的なオレンジ色のVHSテープのこと。90年代生まれのノスタルジーを喚起する象徴的なアイテム。

Tents where my neighbors came to spectate
近所の奴らが見物しに来たテント

Niggas that's tough now used to get little in the dark
今じゃタフぶってる奴らも、暗闇の中じゃ小さくなってたもんさ

It's all cool now, we're all little kids at heart
今はもう大丈夫、俺たちはみんな根は小さな子供なんだ

Accident prone Chance, y'all remember 'bout
ケガばかりしてたチャンス、お前ら覚えてるか

The time I cracked my head open at Auntie Linda's House?
リンダおばさんの家で頭を割った時のことを

From diapers to outfits to castles to Elmos
おむつからいっちょ前の服、おもちゃの城からエルモまで

From Santas to Grandmas to Gameboys and cell phones
サンタからおばあちゃん、ゲームボーイから携帯電話まで

Rocked your world, fourth grade talent show
みんなを沸かせた、4年生のタレントショー

Jada and Justin's birthday magic show
ジェイダとジャスティンの誕生日のマジックショー

Games of tips taking niggas to school
ティップスの試合で奴らに格の違いを見せつけてやった
※「tips」はバスケットボールのゴール下での遊び(ティップインゲーム)。「taking niggas to school」は「相手を圧倒して教訓を与える(ボコボコにする)」というスポーツ界隈のスラング。

Two quarters and I'll bust your ass at pool, on bull
25セント硬貨2枚あれば、ビリヤードでお前を叩きのめしてやるよ、マジで
※「Two quarters」はビリヤード台を稼働させるための50セント。「on bull」は地元のNBAチームであるシカゴ・ブルズへの言及と同時に、「on bullshit(マジだぜ、ふざけてねえぜ)」という決意を示すスラングの省略形。

Round here we lose best friends like every week
この辺りじゃ、毎週のように親友を失っていく
※シカゴの深刻なギャング暴力や殺人事件の多さを物語るライン。無邪気な子供時代の思い出から一転、過酷な現実へと引き戻される。

I like to think we playin' a long game of hide and go seek
俺たちは長いかくれんぼをしてるだけだって思いたいんだ

And one day maybe I'ma find Terrance and I could lead them
そしたらいつか、テランスを見つけて、あいつらを導けるかもしれない
※「Terrance」はおそらくシカゴのストリートの暴力の犠牲となった彼の幼馴染や友人。

Kids of the Kingdom singing 'bout freedom
キッズ・オブ・ザ・キングダムが自由について歌っているところへ
※「Kids of the Kingdom」はシカゴを拠点とするクリスチャン系の青少年合唱団・非営利団体。亡くなった仲間たちを、神の祝福と自由がある場所へ導きたいという祈り。

[Chorus]

Heads down, eyes shut, time to play Seven Up
頭を伏せて、目を閉じて、セブン・アップで遊ぶ時間だ
※「Heads up, Seven up」はアメリカの小学校で定番の室内遊び。同時に、葬儀や教会での祈りの姿勢(頭を下げて目を閉じる)と掛けている。

Heads bowed, hands clutched, bottles gone, Heavens up
頭を垂れて、手を握り合わせ、ボトルを空にして、天国を見上げる
※「bottles gone」は亡くなった仲間の追悼のために酒を地面に撒く(Pour out a little liquor)ストリートの儀式を示唆。

Smile comes through, though my eyes might cry
笑顔がこぼれる、俺の目は泣いてるかもしれないけど

When they reminisce over you, my God
みんなが君の思い出を語り合う時、ああ神様
※ヒップホップの黄金期を代表するPete Rock & C.L. Smoothのクラシック曲「They Reminisce Over You (T.R.O.Y.)」への直接的なオマージュ。同曲も亡き友人への追悼曲であり、ヒップホップヘッズを唸らせるコンテクストの引用。

[Verse 2]

Let's take it back like Indian givers
インディアン・ギバーのように昔に戻そうぜ
※「Indian giver」は一度プレゼントしたものを返してと要求する人のこと。時間を巻き戻すという比喩。

To Indian burns and Jiminy Crickets
インディアン・バーンやジミニー・クリケットの時代へ
※「Indian burns」は両手で相手の腕を雑巾絞りのようにねじる子供のイタズラ。「Jiminy Crickets」はピノキオのキャラクター名であり、驚いた時に使う「Jesus Christ」の婉曲表現。

To the smell of Pillsbury on biscuit mornings
ビスケットを焼く朝のピルズベリーの匂いや
※「Pillsbury」はアメリカの定番の製菓・パン生地ブランド。

To puffy winter coats and Christmas mornings
モコモコの冬のコート、そしてクリスマスの朝へ

I used to chill with the kids next door
昔は隣の家の子供たちとつるんでいた

And SpongeBob came around 'bout four
そして4時頃にはスポンジ・ボブの放送が始まって

And then I'd hang with Bart's guys
それからバートの奴らと時間を過ごした
※アニメ『ザ・シンプソンズ』のバート・シンプソンのこと。90年代〜00年代の典型的な放課後のテレビ視聴習慣。

Around the bend was Smart Guy
すぐ後にはスマート・ガイもやってきた
※「Smart Guy」は90年代後半に放送されていたアメリカのシットコム番組。

Flipping through the picture books
絵本をめくって

Checking through my archives
自分のアーカイブを確認する

Remember the old days, the ones you'll never get back
昔の日々を思い出す、二度と戻らないあの頃を

At the end of parties, passing around gift bags
パーティーの終わりには、ギフトバッグを回し合ったっけ

Now we blow entire O's at one kick back
今じゃ一つのパーティーで1オンスのマリファナを吸い尽くす
※「entire O's」は1オンス(約28グラム)のウィード。「kick back」は友人同士の気楽な集まり。純粋だった子供の誕生日会から、ドラッグが蔓延するティーンエイジャーの集まりへの変遷。

MY$FITS and mismatch that get off like wrist slaps, uhh
マイスフィッツとミスマッチ、手首をピシャリと叩くみたいに弾ける
※「MY$FITS」は当時のシカゴのアンダーグラウンドなストリートブランドやクルー。「wrist slaps」は90年代に流行した「スラップ・ブレスレット」(手首に叩きつけると巻き付くおもちゃ)のこと。同時に、少年犯罪に対する「軽い罰(slap on the wrist)」のダブルミーニングでもある。

[Chorus]

Heads down, eyes shut, time to play Seven Up
頭を伏せて、目を閉じて、セブン・アップで遊ぶ時間だ

Heads bowed, hands clutched, bottles gone, Heavens up
頭を垂れて、手を握り合わせ、ボトルを空にして、天国を見上げる

Smile comes through, though my eyes might cry
笑顔がこぼれる、俺の目は泣いてるかもしれないけど

When they reminisce over you, my God
みんなが君の思い出を語り合う時、ああ神様

When they reminisce over you, my God
みんなが君の思い出を語り合う時、ああ神様

[Verse 3]

Remember Jeepers and Odyssey Fun World?
ジーパーズやオデッセイ・ファン・ワールドを覚えてるか?
※どちらもイリノイ州シカゴ近郊にあった子供向けの屋内遊園地・アミューズメントパーク。

Young pimpin' like you oughta see one girl
若いポン引きみたいに、とある女の子に会いに行かなきゃって感じで
※「pimpin'」はここでは実際のポン引きではなく、子供ながらにマセていて、遊園地で女の子をナンパしようと粋がっている様子のこと。

Mama Jann, mama Charlie, and my mama Lisa
ジャンおばさん、チャーリーおばさん、そして俺の母さん、リサ

Booster seat used to boost my kitty, Connie's Pizza
ブースターシートでチビな俺を底上げして食った、コニーズ・ピザ
※「kitty」は幼い子供自身(子猫)の比喩。「Connie's Pizza」はシカゴで絶大な人気を誇る老舗ピザチェーン。

And every year we made a Christmas list
そして毎年、俺たちはクリスマスの欲しいものリストを作った

And Auntie Linda cooked a Christmas dish
リンダおばさんがクリスマスのご馳走を作ってくれて

And all of our grandparents made a Christmas wish
俺たちの祖父母はみんなクリスマスの願い事をしたんだ

Like "Lord, let me see another year like this", uhh
「神様、来年もまたこんな素晴らしい一年を過ごせますように」って

[Chorus]

Heads down, eyes shut, time to play Seven Up
頭を伏せて、目を閉じて、セブン・アップで遊ぶ時間だ

Heads bowed, hands clutched, bottles gone, Heavens up
頭を垂れて、手を握り合わせ、ボトルを空にして、天国を見上げる

Smile comes through, though my eyes might cry
笑顔がこぼれる、俺の目は泣いてるかもしれないけど

When they reminisce over you, my God
みんなが君の思い出を語り合う時、ああ神様

When they reminisce over you, my God
みんなが君の思い出を語り合う時、ああ神様