Artist: Future
Album: I NEVER LIKED YOU
Song Title: I’M DAT NIGGA
概要
本作「I’M DAT NIGGA」は、Futureの9作目のアルバム『I NEVER LIKED YOU』(2022年)の序盤を飾る、圧倒的なフレックスとエゴの顕示に満ちたバンガーである。プロデューサーのDY Krazyが手掛けた、サイレンのように不穏に鳴り響くシンセと重厚な808ベースの上で、Futureは自らがトラップミュージックというジャンルを定義し、カルチャーを構築した絶対的なパイオニアであることを高らかに宣言している。特に第2ヴァースにおける「誰がお前らに発泡スチロールのカップを持たせたんだ?」という問いかけは、アトランタのリーン(コデイン)文化をメインストリームのファッションやライフスタイルにまで昇華させた自身の計り知れない影響力への強烈な自負である。金、ドラッグ、女性、そして暴力の要素を彼特有の冷徹かつ退廃的なトーンで描き出し、シーンの「神」としての揺るぎない玉座を誇示する一曲である。
和訳
[Intro]
(DY Krazy) Hot, hot, hot, hot
(DY Krazy) アツい、アツい、アツい、アツい
Hot, hot, hot, hot (I'm that nigga, ooh)
アツい、アツい、アツい、アツい(俺がその男だ、ooh)
Hot, hot, hot, hot (It's that new Freebandz, Pluto)
アツい、アツい、アツい、アツい(これが新しいFreebandzだ、Pluto)
※「Freebandz」はFutureが主宰するレーベルの名前。「Pluto」は彼の最も有名な別名(ペルソナ)の一つであり、宇宙レベルで他と次元が違うことを示している。
Hot, hot, hot, hot ('Luminati, know what I'm sayin'?)
アツい、アツい、アツい、アツい(イルミナティだ、俺の言ってる意味が分かるか?)
※「'Luminati(イルミナティ)」は秘密結社。ここでは裏社会やヒップホップ業界を裏から完全に支配しているような、自らの強大な権力とコネクションを比喩している。
[Verse 1]
Don't play 'bout the legacy, havin' more stripes than a referee, trappin' a sport, huh
俺のレガシーを茶化すな、レフェリーよりも多くのストライプを持ってる、トラップはスポーツだろ
※「stripes」はレフェリーの縞模様のユニフォームと、ストリートで尊敬や階級を得るための「功績(ストライプを稼ぐ)」のダブルミーニング。ストリートの過酷なビジネス(トラップ)を、彼らなりの競技(スポーツ)として捉えている。
Go back to the basics, connect with the Zoes then we clique out in New York
基本に立ち返り、ゾーイたちと繋がって、ニューヨークで徒党を組む
※「Zoes」はフロリダなどで強大な力を持つハイチ系のギャングスタやハスラー(Zoe Pound)を指すスラング。
I'm leavin' the scene, I'm peepin' the scene, the Rari got too many horses (Yeah)
現場を離れる、現場を見張る、フェラーリには馬が多すぎる (Yeah)
※「Rari」はフェラーリのこと。「馬が多すぎる」はフェラーリのエンブレム(跳ね馬)と、車の並外れた馬力(horsepower)を掛けているフレックス。
Whole lotta schemin', turn off the demons, we make it rain at the office
数々の策略、悪魔たちを黙らせる、俺たちはオフィスに金の雨を降らせる
※「make it rain」はストリップクラブで札束をばら撒く行為。彼らにとってストリップクラブがビジネスの場(office)であるというアトランタ特有の価値観。
My first Bentley coupe, I adapted (Pluto)
初めてのベントレーのクーペ、俺はそれに適応した(Pluto)
Lot of commas on drummers, I'm mad rich
ドラマーたちにはカンマがいくつも付く、俺は狂ったように金持ちだ
※「drummers」はドラムマガジン(円筒形の拡張弾倉)を装着した銃を持ったシューター(殺し屋)たちのこと。「commas」は銀行口座の残高のカンマ(1,000,000など)を意味し、部下の武装にも莫大な金を注ぎ込める富を誇示している。
Forty pointers on me like a bad bitch (Skrr)
極上のビッチのように40ポインターを身につける (Skrr)
※「Forty pointers」は0.4カラットのダイヤモンドのこと。同時に40口径の銃器のダブルミーニングとも解釈される。
Did my numbers, my coupe it's a gadget (Skrr)
数字は叩き出した、俺のクーペはまるでガジェットだ (Skrr)
(Woo, forty) Rippin' that bird like a maniac (Yeah)
(Woo, 40)狂人のようにあの鳥を引き裂く (Yeah)
※「bird」は1キロのコカインのブロックを指すストリートスラング。それを小分けにして売り捌く(rippin')過去のハスラーとしての描写。
Young nigga askin' "Where Xanny at?"
若いハスラーが「ザニーはどこだ?」と聞いてくる
※「Xanny」は抗不安薬ザナックス(Xanax)のこと。ストリートで需要の高いドラッグの元締めとして頼られている状況。
Slide, wet him up, handle that
スライドして、奴を血祭りにあげ、カタをつける
※「slide」は敵の陣地に乗り込むこと。「wet him up」は銃弾を浴びせて血まみれにすること。
I'm in the spot where the GRAMMY at
俺はグラミー賞のトロフィーが置かれるべき場所にいる
I been that nigga in hand me down (Woo)
お下がりを着ていた頃から、俺はずっと本物だった (Woo)
Número uno, millenial (Trap)
ミレニアル世代のナンバーワンだ(Trap)
Straight out the zoo 'bout to Jimmy them
動物園から抜け出し、奴らをこじ開けてやる
※「zoo」は野蛮で治安の悪いゲットーの比喩。「Jimmy」はバールなどで鍵をこじ開けること、つまり強盗や空き巣に入ることを意味するスラング。
They looking for strikers on hand me down (Woo)
奴らはお下がりでストライカーを探している (Woo)
※「strikers」は犯罪に使用するための盗難車のこと。
I turn average bitches to a pop star, I'm in my glow
平均的なビッチたちをポップスターに変えてやる、俺は今輝いている
I had swagger, I been one of none, yeah, when I was poor (Yeah)
俺にはスワッグがあった、貧しかった頃から唯一無二の存在だった (Yeah)
Cash on me, I cash out on Channel 1 and I can show it
現金を持ち歩き、シャネルの店で買い占めて、それを見せつけることができる
※「Channel 1」は高級ブランドのChanel(シャネル)の発音遊び、あるいは特定の店舗のこと。
Bashin' me like I'm not a big dawg, I just throw it
俺が大物じゃないかのように叩いてくるが、俺はただ金を投げ捨てるだけだ
On a scatty pack, hundred riddy-acks, I just blow it
スキャットパックに乗って、10万ドルをただ吹き飛ばす
※「scatty pack」はダッジのScat Packモデル(高性能マッスルカー)。「riddy-acks」はracks(千ドルの束)のスラング的変形。「hundred riddy-acks」で100ラック=10万ドルを意味する。
No ballistics, ain't suspicious (Hot, hot, Freebandz)
弾道検査の証拠もない、怪しまれることもない (Hot, hot, Freebandz)
Fuck the witness, bad conditions (Hot, hot, hot, hot)
目撃者など知るか、劣悪な環境だ (Hot, hot, hot, hot)
Grab a biscuit, don't be a statistic (Hot, hot, hot, hot)
ビスケットを掴め、統計の数字になるなよ (Hot, hot, hot, hot)
※「biscuit」は銃(ピストル)のスラング。「statistic」は殺人事件の被害者数という統計データの一部になる(=殺される)なという、過酷なフッドでの生存法則。
Came off the mission, high definition (Hot, hot, hot, hot)
ミッションをこなして帰還した、ハイビジョンで鮮明に見えるぜ (Hot, hot, hot, hot)
A boss, my left wrist a faucet (Brr)
ボス、俺の左手首は蛇口だ (Brr)
※身につけたダイヤモンドの輝きが、水(ice)が止めどなく溢れ出る蛇口(faucet)のようであるというメタファー。
My ring cost, it's pink like an ostrich (Brr)
俺の指輪の値段は高く、オーストリッチのようにピンク色だ (Brr)
I feel lost, this bitch got herself hostage (Brr)
俺は迷子になった気分だ、このビッチは自分自身を人質にしている (Brr)
I done got exhausted, runnin' through the money (Brr)
金を使っているだけで疲れ果ててしまった (Brr)
Old hundreds (Old), I need to spend 'cause they don't print 'em no more
旧デザインの100ドル札(古い)、もう印刷されないから使っちまわないとな
BM wanna go to court 'cause I won't fuck her no more (I won't fuck)
ベイビーママが法廷に持ち込もうとしている、俺がもう抱いてやらないからな(抱かないぜ)
※「BM」はBaby Mama(自分の子供の母親だが結婚していない女性)。
You not a wifey, I can't fall in love with no ho (I can't)
お前は妻の器じゃない、ビッチと恋に落ちるわけにはいかないんだ(無理だ)
Stopped doin' Molly and Ecstacy, I'm right back on it (On it)
モリーとエクスタシーを一度はやめたが、また手を出している(手を出している)
※MollyとEcstasyはどちらもMDMAのこと(粉末か錠剤かの違い)。薬物依存から抜け出せないSad Boy的な側面と快楽主義が混在している。
It's cashmere, special cloth, I got diamonds on (Woo)
これはカシミアだ、特別な生地にダイヤモンドをつけている (Woo)
Bags of cash like I'm serving fentanyl
フェンタニルを売り捌いているかのような現金の山だ
※極めて強力で危険な致死的ドラッグであるフェンタニルの密売人が稼ぐような、異常な額の利益を得ていることの比喩。
Killers roll with me (Killers), I don't need a bodyguard (No)
殺し屋たちが俺とつるんでいる(殺し屋だ)、ボディガードなんて必要ない (No)
I got all kind of hoes, international (Pluto)
あらゆる種類の女たちがいる、国際的だ(Pluto)
Saint Tropez, PJ, fly that ho (Fly)
サントロペへ、プライベートジェットで、あの女を飛ばす(飛ばす)
※「PJ」はPrivate Jetのこと。
Right wrist froze like I got a ice pack on it
右手首はまるで氷嚢を乗せているかのように凍りついている
※大量のダイヤモンド(ice)で手首が冷え切っているという表現。
Get a nigga smoked 'bout it like a bomboclaat
ボンボクラートのように奴を煙にしてやる
※「bomboclaat」はジャマイカのパトワ由来の強烈な感嘆詞・罵倒語。「smoked」は殺害すること。
Drug dealers and scammers whenever on my side (On my side)
ドラッグディーラーと詐欺師たちが常に俺の味方だ(俺の味方だ)
※「scammers」はクレジットカード詐欺などを働く犯罪者のこと。
They be right there with me
あいつらは俺のすぐそばにいる
Shooters right there with me
シューターたちも俺のすぐそばにいる
See, five hundred shots in VIP (What I'm in)
見ろよ、VIPルームに500発の弾丸がある(俺がいる場所だ)
Told the waitress, "I don't drink liquor, I drink lean," yeah
ウェイトレスに言ってやった、「俺は酒は飲まない、リーンを飲むんだ」と、yeah
※高級クラブであってもアルコールは拒否し、ストリート由来のコデイン・シロップ(リーン)を貫く姿勢。
[Chorus]
Hot, hot, hot, hot (Yeah)
アツい、アツい、アツい、アツい (Yeah)
Hot, hot, hot, hot (Yeah)
アツい、アツい、アツい、アツい (Yeah)
I'm that nigga
俺がその男だ
Hot, hot, hot, hot (Yeah)
アツい、アツい、アツい、アツい (Yeah)
Hot (Pluto), hot, hot, hot (Yeah)
アツい(Pluto)、アツい、アツい、アツい (Yeah)
I'm that nigga
俺がその男だ
Hot, hot, hot, hot (Pluto)
アツい、アツい、アツい、アツい (Pluto)
Hot, hot, hot, hot
アツい、アツい、アツい、アツい
I'm that nigga
俺がその男だ
Hot, hot, hot, hot (Super)
アツい、アツい、アツい、アツい (Super)
Hot, hot, hot, hot
アツい、アツい、アツい、アツい
I'm that nigga
俺がその男だ
[Verse 2]
Who did you get the spill from? (Hot, hot, hot, hot)
お前は誰からそのスピルを教わったんだ? (Hot, hot, hot, hot)
※「spill」は情報を漏らすこと、ファッションやスタイルの影響、そしてリーン(シロップ)をカップに注ぐ(こぼす)ことの高度なトリプルミーニング。
Who done got you on Styrofoam? (Hot, hot, hot, hot, I'm that nigga)
誰がお前らに発泡スチロールのカップを持たせたんだ? (Hot, hot, hot, hot、俺がその男だ)
※「Styrofoam」はリーンを飲むために重ねるダブルカップのこと。トラップミュージックにおけるリーンのカルチャーを決定づけ、全世界のメインストリームにまで広めたパイオニアは自分であるという圧倒的な自負。
Who the first rapper put the hood on? (Hot, hot, hot, hot)
地元をフックアップした最初のラッパーは誰だ? (Hot, hot, hot, hot)
Who got more shooters than Al Capone? (Hot, hot, hot, hot, I'm that nigga)
アル・カポネよりも多くのシューターを抱えているのは誰だ? (Hot, hot, hot, hot、俺がその男だ)
My dawgs in feds, talk on iPhone (Gang)
連邦刑務所にいるダチたちと、iPhoneで話す(Gang)
※刑務所内に密輸されたスマートフォンを使用して、シャバのビジネスや近況を塀の中の仲間と共有しているストリートのリアルな情景。
I rock baguettes 'cause I'm a rockstar (Super)
バゲットカットのダイヤを身につける、俺はロックスターだからな(Super)
Keep one in the head just like Zona (My brother)
ゾーナのように常に薬室に一発装填しておく(俺の兄弟)
※「one in the head」は銃のチャンバー(薬室)に弾を込めていつでも撃てる状態にしておくこと。「Zona」はFutureの長年の盟友であるシカゴのラッパー、Zona Manのこと。
I'm in a foreign doin' donuts (Skrr)
外車に乗ってドーナツスピンを決める (Skrr)
※「foreign」は高価な輸入車のこと。
I can't be caught around a sheep (Wolf)
羊の群れの中に捕まるわけにはいかない(狼だ)
※自身をストリートの捕食者(Wolf)とし、無知な大衆や弱者(sheep)とは一線を画しているというマインドセット。
You D-I-E, you fuck with me (King)
俺に手を出せば、お前は死(D-I-E)だ(King)
I don't do rentals, don't do lease (It's my shit)
レンタカーもリースもしない(俺の所有物だ)
※高級車をローンやリースではなく、すべて一括の現金で購入しているというフレックス。
Cranked up the trap without the key (Skrr, prr, prr, prr)
鍵なしでトラップを始動させた (Skrr, prr, prr, prr)
※プッシュスタート式の高級車のエンジンをかけることと、ストリートのトラップ(麻薬密売)ビジネスを何もないゼロの状態から軌道に乗せたことのダブルミーニング。
Set shit on fire, I gotta heat it (Gotta heat it)
火を放つ、加熱しなきゃならないんだ(加熱するぜ)
※コカインをスプーンやガラス管で加熱(heat)してクラックを精製するプロセス、あるいは音楽シーンを炎上させることの比喩。
This bitch is bi, she still conceited (Still conceited, yeah)
このビッチはバイセクシャルだ、それでもうぬぼれている(うぬぼれている、yeah)
Open your eyes when you eat it (When you eat it, bitch)
それを咥える時は目を開けろ(咥える時はな、ビッチ)
I get to spazzin' like a demon (Demon)
悪魔のように暴れ回ってやる(悪魔だ)
Fucked her in the ass, made her pee pee (Woo)
彼女のケツを犯して、お漏らしさせてやった (Woo)
I'm just a ghetto boy like Peezy
俺はピージーみたいな単なるゲットーボーイさ
※デトロイトのラッパーPeezy(Team Eastside)、および彼が所属するクルーGhetto Boyzへのシャウトアウト。地域を超えたストリートの繋がりを示している。
That GT3, it go two-sixty
あのGT3は260マイルまで出るぜ
※ポルシェ911 GT3の異常なトップスピードへの言及。
I just left, she textin' me she miss me (Pluto)
俺が立ち去った直後、彼女から寂しいとテキストが来る(Pluto)
[Chorus]
Hot, hot, hot, hot (Yeah)
アツい、アツい、アツい、アツい (Yeah)
Hot (Freebandz), hot, hot, hot (Yeah)
アツい(Freebandz)、アツい、アツい、アツい (Yeah)
I'm that nigga
俺がその男だ
Hot, hot, hot, hot (Woo)
アツい、アツい、アツい、アツい (Woo)
Hot (Pluto), hot, hot, hot (Yeah)
アツい(Pluto)、アツい、アツい、アツい (Yeah)
I'm that nigga
俺がその男だ
Hot, hot, hot, hot (Pluto)
アツい、アツい、アツい、アツい (Pluto)
Hot, hot, hot, hot (Yeah)
アツい、アツい、アツい、アツい (Yeah)
I'm that nigga
俺がその男だ
Hot, hot, hot, hot (Super)
アツい、アツい、アツい、アツい (Super)
Hot, hot, hot, hot
アツい、アツい、アツい、アツい
I'm that nigga (I'm that nigga, I'm that nigga)
俺がその男だ(俺がその男だ、俺がその男だ)
