Artist: N.W.A
Album: Straight Outta Compton
Song Title: 8 Ball (Remix)
概要
1988年にリリースされたN.W.Aの歴史的デビューアルバム『Straight Outta Compton』に収録された本作は、西海岸ギャングスタ・ラップのゴッドファーザーであるEazy-Eの強烈なペルソナを確立した初期の重要曲だ。元々は1987年のコンピレーション『N.W.A. and the Posse』に収録されていた楽曲のリミックス版であり、Dr. DreがPublic Enemyの声やMarvin Gayeの楽曲をサンプリングしてノイジーかつファンキーに再構築した。作詞はIce Cubeが担当し、Eazy-Eが愛飲する安価で度数の高いモルトリカー「Olde English 800(通称エイトボール)」をテーマに、ゲットーの飲んだくれで暴力的だがどこかコミカルな日常を描き出している。当時東海岸で大ヒットしていたBeastie Boysの「Brass Monkey」を引き合いに出し、白人層にもウケるキャッチーなパーティラップへのカウンターとして、ロサンゼルスのストリートのリアルな空気を叩きつけた。曲中で「俺のラップはIce Cubeが書いている」と自ら明言している点も、彼が単なるラッパーではなくグループを牽引するストリートのボスであったことを象徴している。
和訳
[Intro]
"Kick that shit!"
「そのクソみたいなビートをかませ!」
{*scratched*} "City of Compton!"
{*scratched*} 「コンプトン市!」
{*scratched*} "City of Compton!" {*echoes*}
{*scratched*} 「コンプトン市!」{*echoes*}
"Cold kickin ass" {*scratch*} "cold kickin ass" {*scratch*}
「容赦なくケツを蹴り上げる」{*scratch*} 「容赦なくケツを蹴り上げる」{*scratch*}
"Cold kickin ass" {*scratch*} "Kick that shit!"
「容赦なくケツを蹴り上げる」{*scratch*} 「そのクソみたいなビートをかませ!」
"Pull up a chair..." {*echoes*}
「椅子を引き寄せな...」{*echoes*}
[Verse 1: Eazy-E]
I don't drink brass monkey, like the beat funky
ブラス・モンキーなんか飲まねえ、ビートはファンキーなのが好きだぜ
※ブラス・モンキーはラムとウォッカとオレンジジュースを混ぜたカクテル。当時Beastie Boysが大ヒットさせた同名曲への言及であり、ポップな東海岸スタイルへのカウンターとして機能している。
Nickname Eazy-E, yo' 8 ball junkie
ニックネームはイージー・E、エイトボールのジャンキーさ
※8 ballはアルコール度数の高い安価なモルトリカー「Olde English 800」のこと。ゲットーの象徴的な酒。
Bass drum kickin', to show my shit
ベースドラムが蹴り込む、俺のヤバさを見せつけるために
Rappin' holdin' my dick, boy, I don't quit
股間を掴みながらラップするぜ、俺は止まらねえ
※マスキュリニティ(男らしさ)を誇示するステージ上の定番のアクション。
Crowd rockin' motherfucker from around the way
近所から来た、観客を沸かせるマザーファッカーだ
I got a six-shooter, yo' mean hombre'
6連発のリボルバーを持ってる、凶悪な男だぜ
※hombreはスペイン語で「男、相棒」の意。チカーノ文化が色濃い南カリフォルニア特有の語彙。
Rollin' through the hood, to find the boys
フッドを車で流す、仲間たちを見つけるためにな
To kick dust and cuss, crank up some noise
砂埃を蹴立てて悪態をつき、騒音を撒き散らすためだ
Police on my drawers, I have to pause
警察が俺のケツに張り付いてる、一時停止しなきゃならねえ
※drawersは下着(パンツ)のこと。後ろにぴったりとパトカーがつけられている状況。
40 ounce in my lap and it's freezin' my balls
40オンスの瓶を股に挟んでるから、金玉が凍りそうだぜ
※40 ounceは約1.2リットルの特大サイズのビール瓶。冷えた瓶を股間に隠している様子。
I hook a right turn and let the boys go past
俺は右折して、警察どもをやり過ごす
Then I say to myself, "They can kiss my ass!"
そして独り言を言う、「俺のケツでも舐めやがれ!」ってな
Hip to get drunk, got the 8 in my lips
酔っ払うのに夢中だ、エイトボールを唇に当ててる
Put in the old tape Marvin Gaye's greatest hits
古いテープを入れる、マーヴィン・ゲイのグレイテスト・ヒッツだ
Turn the shit up, had the bass cold whompin'
ボリュームを上げろ、ベースが冷酷に鳴り響いてる
Cruisin' through the Eastside, south of Compton
コンプトンの南、イーストサイドをクルージングしてる
See a big ass, and I say word
デカいケツを見つけて、俺は「マジか」とこぼす
I took a look at the face, and the bitch was to the curb
顔を見てみたら、そのビッチは最悪だったぜ
※to the curbは「縁石に捨てられるような、ひどい、ブサイクな」という意味のスラング。
Hoes on my tip for the title I'm holdin'
俺が持ってるタイトルのせいで、女どもが俺のモノに群がってくる
Eazy-E's fucked up and got the 8 ball rollin'
イージー・Eは酔っ払って、エイトボールを転がしてるぜ
I, was.. "Cold kickin ass"
俺は.. 「容赦なくケツを蹴り上げてる」
I, was.. "Raised in L.A."
俺は.. 「LAで育った」
I, was.. "Cruisin' down the street in my six-fo'"
俺は.. 「64年式インパラでストリートを流してる」
"Too, much, posse!"
「仲間が、多すぎるぜ!」
[Verse 2: Eazy-E]
Ridin' on Slauson lookin' for Crenshaw
スローソン通りを走りながら、クレンショー通りを探してる
※SlausonとCrenshawはサウス・セントラルLAの主要なストリート。当時のローライダーのクルージングスポット。
Turned down the sound, to ditch the law
音量を下げる、警察をまくためにな
Stopped at a light and had a fit
信号で止まって、ブチ切れそうになった
'Cause a Mexican almost wrecked my shit
メキシコ人の野郎が俺の車にぶつかりそうになったからな
Flipped his ass off, put it to the floor
中指を立ててやり、アクセルをベタ踏みした
Bottle was empty so I went to the store
瓶が空になったから、酒屋に向かった
Nigga on tilt 'cause I was drunk
俺は酔っ払ってて不安定な状態だった
※on tiltはギャンブル用語で「冷静さを失っている、キレかかっている」状態。
See a sissy-ass punk, had to go in my trunk
ナヨナヨしたチンピラを見かけて、トランクを開けなきゃならなかった
Reached inside 'cause it's like that
中に手を伸ばした、そういう事態だからな
Came back out with a silver gat
銀色の拳銃を持って戻ってきた
Fired at the punk and it was all because
そのチンピラに向けて発砲した、その理由はただ一つ
I had to show the nigga what time it was
そいつに今がどういう状況か思い知らせてやる必要があったからだ
※show someone what time it isは「現実を教える、身の程をわからせる」というストリートスラング。
Pulled out the jammy and like a mirage
銃を抜いたら、まるで蜃気楼のようにな
※jammyは銃の隠語。
A sissy like that got out of Dodge
あんなナヨナヨした奴は急いで逃げ出しやがった
※get out of Dodgeは西部劇に由来する「危険な場所から急いで立ち去る」という慣用句。
Sucka on me 'cause the title I'm holdin'
マヌケどもが俺にまとわりつく、俺が持ってるタイトルのせいだな
Eazy-E's fucked up and got the 8 ball rollin'
イージー・Eは酔っ払って、エイトボールを転がしてるぜ
"Fuck it up y'all! Fuck it up y'all! Fuck it up y'all!"
「ブチかませ! ブチかませ! ブチかませ!」
"And we puttin' it on wax"
「そして俺たちはそれをレコードに刻み込む」
"Fuck it up y'all! Fuck it up y'all! Fuck it up y'all!"
「ブチかませ! ブチかませ! ブチかませ!」
"YEAH!!!" *guitar riff*
「イェー!!!」(*ギターリフ*)
[Verse 3: Eazy-E]
Olde English 800 'cause that's my brand
オールドイングリッシュ800、それが俺のお気に入りだからな
Take it in a bottle, 40, quart, or can
瓶でも、40オンスでも、クォートでも、缶でも持ってくるぜ
Drink it like a madman, yes I do
狂ったように飲み干す、ああそうさ
Fuck the police and a 5-0-2
警察と502なんてくそくらえだ
※5-0-2はカリフォルニア州の警察コードでDUI(飲酒運転)のこと。
Stepped in the party, I was drunk as hell
パーティに足を踏み入れた、俺はひどく酔っ払ってた
Three bitches already said, "Eric yo' breath smells!"
3人のビッチがすかさず言った、「エリック、息が臭いわよ!」ってな
※EricはEazy-Eの本名(エリック・ライト)。
40 ounce in hand, that's what I got
40オンスの瓶を手にしてる、それが俺の持ち物だ
"Yo man you see Eazy hurling in the parkin lot?"
「おい、イージーが駐車場で吐いてるのを見たか?」
Stepped on your foot, cold dissed yo' ho
お前の足を踏んづけて、お前の女を冷酷にディスってやった
Asked her to dance and she said ("Hell no!")
彼女をダンスに誘ったら、こう言われた(「絶対にイヤよ!」)
Called her a bitch 'cause that's the rule
彼女をビッチと呼んだ、それがルールだからな
("Bitch, who you callin a bitch?!")
(「ビッチですって、誰をビッチって呼んでるのよ?!」)
Boys in the hood tryin' to keep me cool
フッドの仲間たちが俺を落ち着かせようとしてる
You tell my homeboy you wanna kick my butt
お前は俺のダチに、俺のケツを蹴り飛ばしたいと言ったらしいな
I walked in your face and we get 'em up
俺はお前の目の前に歩み寄って、殴り合いを始める
※get 'em upは「拳を上げろ=喧嘩を始める」の意。
I start droppin' the dogs, and watch you fold
俺が拳を繰り出し始め、お前が崩れ落ちるのを見下ろす
※droppin' the dogsはパンチを打つこと(dog=拳の隠語)。
Just dumb, full of cum, got knocked out cold
ただのバカで、精液が詰まった野郎が、完全にノックアウトされたぜ
"Made you look sick you snotty-nosed prick!
「ひどいザマだな、鼻垂れのクソ野郎!
Now your fly bitch is all over his dick!"
今じゃお前のイケてるビッチは、あいつのディックに夢中だぜ!」
Punk got dropped 'cause the title I'm holdin'
チンピラはぶっ倒された、俺が持ってるタイトルのせいだな
Eazy-E's fucked up and got the 8 ball rollin'
イージー・Eは酔っ払って、エイトボールを転がしてるぜ
"Stomp a mudhole in your ass!"
「お前のケツを踏みつけて、泥沼に変えてやる!」
"Stomp a mudhole in your ass, BITCH!"
「お前のケツを踏みつけて、泥沼に変えてやる、ビッチ!」
※プロレスのトラッシュトークのサンプリング。徹底的にボコボコにしてやるという脅し文句。
[Verse 4: Eazy-E]
Pass the brew motherfucker while I tear shit up
ビールを回せマザーファッカー、俺がすべてをブチ壊してる間にな
And y'all listen up close to roll call
そしてお前ら全員、点呼をよく聞いとけ
Eazy-E's in the place, I got money and juice
イージー・Eがここにいる、俺には金も権力もある
※juiceはストリートでの権威や影響力のこと。
Ron-De-Vu's with me and we make the deuce
ロン・デ・ヴーが一緒だ、2人でバッチリ決めてるぜ
※Ron-De-VuはN.W.A初期に関わっていた地元コンプトンのクルーのメンバー。
Dre makes the beats so goddamn funky
ドレがビートを最高にファンキーに仕上げる
Do the Olde 8, fuck the brass monkey
オールド・エイトを飲むぜ、ブラス・モンキーなんてくそくらえだ
Ice Cube writes the rhymes that I say
俺がラップするリリックは、アイス・キューブが書いてる
※ヒップホップにおける「ゴーストライターの使用」は通常隠されるべきタブーだが、Eazy-Eは自分がラッパーではなくギャングスタの資金源(ボス)であるというスタンスから、自ら堂々と暴露している。
Hail to the niggas from C.I.A
C.I.Aのニガどもに敬意を表すぜ
※C.I.A. (Cru' in Action!) はIce CubeがN.W.A結成前に所属していたグループ。
Krazy D is down and in effect
クレイジー・Dもここにいて、バッチリ活動中だ
※Krazy Dも最初期のチカーノ系メンバー。
We make hardcore jams, so fuck respect
俺たちはハードコアなジャムを作る、だからリスペクトなんてくそくらえだ
Make a toast punky-punk to the title I'm holdin'
俺が持ってるタイトルに乾杯しな、チンピラども
Eazy-E's fucked up and got the 8 ball rollin'
イージー・Eは酔っ払って、エイトボールを転がしてるぜ
{*scratched*} "City of Compton!"
{*scratched*} 「コンプトン市!」
{*scratched*} "City of Compton!" {*echoes*}
{*scratched*} 「コンプトン市!」{*echoes*}
{*scratched*} "City of Compton!" {*scratched to end*}
{*scratched*} 「コンプトン市!」{*scratched to end*}
