Artist: DJ Khaled (feat. Akon, T.I., Rick Ross, Fat Joe, Birdman & Lil Wayne)
Album: We The Best
Song Title: We Takin’ Over
概要
2007年にリリースされたDJ Khaledの2ndアルバム『We The Best』のリードシングルである本楽曲は、ヒップホップにおけるパワーバランスが東海岸や西海岸から完全に「南部(サウス)」へと移行したことを決定づけた歴史的なメガアンセムである。当時のシーンを牽引していたT.I.、Rick Ross、Fat Joe、Birdman、Lil Wayneという超豪華なマイクリレーに、Akonによる中毒性の高いフックが絡み合う構成は、DJ Khaledというプロデューサーの圧倒的な「人脈とキュレーション能力」を世界に見せつけた。特に楽曲のトリを飾るLil Wayneのバースは、彼が「世界最高のラッパー(Best Rapper Alive)」としての頂点を極めていた時期の神がかったフロウと凄まじいリリシズムを象徴しており、ファンの間でも伝説として語り継がれている。ストリートのドラッグディールを音楽業界の支配に重ね合わせ、全米の都市を次々と「乗っ取る(Takin' Over)」というコンセプトは、単なるボースティングを超え、サウスの覇権確立という当時のヒップホップのリアルな社会情勢を色濃く反映している。
和訳
[Intro: Akon, DJ Khaled & T.I.]
Oh oh oh! (DJ Khaled!)
Ay, ay, ay, ay, ay, ay
Konvict Music (We The Best!)
コンヴィクト・ミュージック、俺たちが最高だ
※Akonが主宰するレーベル「Konvict Muzik」と、DJ Khaledの絶対的なシグネチャーフレーズの掛け合い。二大巨頭のコラボレーションを冒頭から強烈にアピールしている。
Ay, ay, Grand Hustle
グランド・ハッスル
※T.I.が主宰するアトランタのレーベル「Grand Hustle Records」へのシャウトアウト。
Yeah (We takin' over)
俺たちがこの場を乗っ取るんだ
※サウスのヒップホップ勢力がメインストリームを完全に支配するという力強い宣言。
Ay, ay, ay
Oww! (Listen!)
よく聞け!
※DJ Khaledお馴染みのアジテーション。
[Verse 1: T.I.]
Started in Atlanta then I spread out with it
アトランタで始めて、そこから一気に広めていった
※彼の出身地であり「サウスの王」として君臨するアトランタを起点に、自身の音楽が全米へ拡大していく様を描いている。同時に、ストリートでのドラッグ密売網の拡大というメタファーでもある。
South Carolina, Alabama, Mississippi
サウスカロライナ、アラバマ、ミシシッピ
※アトランタを基点として、アメリカ南部一帯に勢力を広げていることを示している。
On to North Carolina, Philadelphia and Virginia
そこからノースカロライナ、フィラデルフィア、バージニアへと向かう
※南部を制圧したのち、東海岸方面へと支配領域を拡大していく。
From down in Miami where it warm in the winter
冬でも暖かい南のマイアミから
※DJ Khaledの拠点であるマイアミへの言及。
On up to Minnesota where it storm in the winter
冬には吹雪になる北のミネソタまで
※気候の対比を用いることで、全米の南北を完全に網羅していることを強調。
Jacksonville, Tallahassee, Memphis, Tenn; holla at me
ジャクソンビル、タラハシー、テネシー州メンフィス、俺に連絡してこい
※南部の主要都市のハスラーたちへの連帯の呼びかけ。
Be in H-Town, Southside, Cloverland, daddy
ヒューストン、サウスサイド、クローバーランドにいるぜ
※「H-Town」はヒューストンの愛称。「Cloverland」はヒューストン南部の地区で、Lil' Flipなど多くのサウスラッパーを輩出した重要拠点への敬意。
I'm the man out in Dallas, better ask Khaled
ダラスでも俺は顔役さ、Khaledに聞いてみな
※テキサス州ダラスでも絶大なプロップス(支持)を得ているという誇示。
Kept me out in Cali with my eyes open barely
カリフォルニアでも、目をかろうじて開けながら活動してた
※「Cali」はカリフォルニア州。極度の疲労や上質なマリファナの影響で目がうつろになりながらも、西海岸までビジネスを広げている様子。
Blowin' and spinnin', goin' down Bennett
ハッパを吹かして、スピンしながらベネット通りを下っていく
※アトランタの地元を高級車でクルージングする情景。
Drop 6-4, three-wheel, then switch it
64年型のインパラでスリーホイーラーを決めて、スイッチを入れる
※「6-4」はローライダーの代名詞である1964年型シボレー・インパラ。「three-wheel(片輪を浮かせて3輪で走る技術)」など、ヒップホップ特有のカーカルチャーを描写。
Red light stop, make it drop for the bitches
赤信号で止まり、女たちのために車体を下げるんだ
※ハイドロ(油圧式サスペンション)を操作して車高を落とし、ストリートで女性にアピールする定番のギミック。
Got a Glock four-fifth, blow your head off with it
45口径のグロックを持ってる、お前の頭を吹き飛ばすぜ
※ストリートでのビジネスにつきまとう危険と、自分に刃向かう者への容赦ない暴力の示唆。
Anything you hear that I said, I meant it
お前が耳にした俺の言葉は、すべて本気で言ってるんだ
※ラップの歌詞が単なるエンターテインメントではなく、彼自身のリアルな生き様であることの証明。
King got the crown then sped off with it
王が王冠を手にして、そのままスピードを上げて走り去った
※T.I.の異名「King of the South(サウスの王)」としての絶対的な自信と、シーンの頂点に立ったという事実。
Say you need bricks, I said, "I'll get it"
お前がレンガを必要だと言うなら、「俺が手配してやる」と答えるぜ
※「bricks」はキロ単位のコカインの塊を指すスラング。ここでは、リスナーが求める良質な音楽のヒット作を確実に供給できるという二重の意味を持つ。
[Pre-Chorus: Akon]
If you want to, we can supply you (Supply you)
お前らが望むなら、俺たちが供給してやる
※ドラッグの元締めとしての視点を借りて、最高級の音楽をシーンに投下し続けるというメッセージ。
Got enough work to feed the whole town
街全体を食わせるだけの十分なブツを持ってるからな
※「work」はドラッグ、ここでは彼らの作り出す音楽のこと。シーン全体を潤すほどの影響力と生産力があることの誇示。
They won't shoot you unless you try to (Try to)
お前が手を出そうとしない限り、奴らはお前を撃ったりしない
※自分たちの領域を荒らさなければ危害は加えないという、王者としての余裕と警告。
Come around and try to stomp on our ground
俺たちの縄張りに踏み込んで、荒らそうとしない限りはな
※サウスの勢力図が確立された今、他の地域のラッパーやヘイターに対する明確な牽制。
[Chorus: Akon & DJ Khaled]
'Cause we takin' over (One city at a time)
なぜなら俺たちが乗っ取っているからさ、一つの街を一つずつな
※局地的なヒットではなく、全米の都市を一つずつ確実に制覇していくという壮大な計画。
Said we takin' over (One city at a time)
俺たちが乗っ取っているんだ、一つの街を一つずつな
Said we takin' over (One city at a time)
俺たちが乗っ取っているんだ、一つの街を一つずつな
Said we takin' over (One city at a time)
俺たちが乗っ取っているんだ、一つの街を一つずつな
Oh oh (Listen!)
よく聞け!
[Verse 2: Rick Ross]
Boss, it's what I does
ボス、それが俺のやり方だ
※Rick Rossの絶対的なペルソナ「The Boss」の提示。
I get money e'ryday, e'ryday I does
俺は毎日金を稼ぐ、毎日そうやって生きてるんだ
※絶え間ないハッスルと圧倒的な富の蓄積。
That (Benz) is how I ride
あのベンツ、それが俺の走り方さ
※高級車に乗ることが彼の日常でありステータスであることをアピール。
Black flag on the left, two hoes and ride
左に黒いバンダナをぶら下げて、二人の女を乗せて走る
※ストリートギャングのカラー(Black flag)を見せつけつつ、女をはべらせるギャングスタのライフスタイル。
You better (Move) AK all day
お前はどいた方がいい、一日中AKを構えてるからな
※「AK」はAK-47アサルトライフル。邪魔する者には容赦なく武装して対抗するという脅し。
Get shot up like Shyne, that's on my neck
シャインのように撃ちまくる、それが俺の首にかかってるんだ
※1999年にDiddy(当時のPuff Daddy)らとクラブで銃撃事件を起こし服役したラッパーShyneを引き合いに出し、いざとなれば危険な行動も辞さないという凶暴性の誇示。首にかかる重厚なジュエリー(重圧)とも掛けている。
I'm big like Diddy; damn it, I'm with it
俺はディディのようにビッグだ、クソ、やってやるぜ
※音楽界の大物Diddy(Sean Combs)と同等の影響力と富を持つというボースティング。
Khaled, we did it, Biggie of my city
Khaled、俺たちはやり遂げたな、俺は俺の街のビギーさ
※The Notorious B.I.G.(Biggie)がニューヨークの王であったように、自分はマイアミの王(巨大な体格も含め)であるという究極のセルフプロデュース。
Please no fitted, fuck it, I'm too pretty
フィッテッド・キャップは勘弁してくれ、どうでもいい、俺はイケメンすぎるからな
※「fitted」はニューエラなどのベースボールキャップ。ストリートの定番ファッションであるキャップを被らずとも、俺は十分に魅力的でボスとしての威厳があるという余裕の表れ。
I'd rather get brain, stupid, I'm silly
俺は脳みそを弄られる方がマシだ、バカみたいにな、俺はイカれてる
※「get brain」はフェラチオを受けることのスラング。性的なメタファーと、自分の思考がぶっ飛んでいることを言葉遊びで絡めている。
Money that come runnin' like water
水のように流れ込んでくる金
※絶え間なく生み出される莫大なキャッシュフロー。
Mami so hot, damn it, she gorgeous
女はめちゃくちゃセクシーだ、たまらんな、ゴージャスだぜ
※彼の周囲に群がる魅力的な女性たちの描写。
Miami on fire, you better be cautious
マイアミは燃え上がってる、用心した方がいいぞ
※自分の地元マイアミのヒップホップシーンが最も熱く、他地域のラッパーが安易に踏み込めば火傷をするという警告。
Might get shot on the porch of your fortress
お前の要塞のポーチで撃たれるかもしれないからな
※どれだけ強固に守りを固めていても、自分たちの勢力からは逃れられないというマフィア的な脅威。
Yeah, they see it but no one reports it
ああ、奴らは見て見ぬふりをする、誰も通報なんてしない
※ストリートの「Snitches get stitches(密告者は報いを受ける)」という不文律。彼らの力が法や警察を凌駕していることを示唆。
I run this, Rick Ross, boss shit
俺がここを取り仕切ってる、リック・ロス、ボスの流儀だ
※自身のバースの締めくくりとして、再びThe Bossとしての支配権を主張。
[Chorus: Akon & DJ Khaled]
'Cause we takin' over (One city at a time)
なぜなら俺たちが乗っ取っているからさ、一つの街を一つずつな
Said we takin' over (One city at a time)
俺たちが乗っ取っているんだ、一つの街を一つずつな
Said we takin' over (One city at a time)
俺たちが乗っ取っているんだ、一つの街を一つずつな
Said we takin' over (One city at a time)
俺たちが乗っ取っているんだ、一つの街を一つずつな
Oh oh (Listen!)
よく聞け!
[Verse 3: Fat Joe]
Blat, when you see Crack, better duck
ブラット、クラックを見かけたら、頭を下げるんだな
※「Crack」はFat Joeの別名Joey Crackのこと。彼の姿を見たら銃撃を恐れて身を隠せというギャングスタの警告。「Blat」は銃声の擬音。
Like the MAC got a EZ pass, nigga what?
マック10がEZパスを持ってるようにな、何だと?
※「MAC」はMAC-10サブマシンガン。「EZ pass」はアメリカの有料道路の自動料金収受システム(ETCのようなもの)。銃弾が障害物なくスムーズにターゲットへ飛んでいく様を表現した秀逸なパンチライン。
Shit, I don't give a fuck, I run these streets
クソ、俺は知ったこっちゃねえ、俺がこのストリートを仕切ってるんだ
※長年ニューヨークのブロンクスを代表してきたベテランとしての絶対的な自負。
Y'all talk that shit, I walk that beef
お前らは口先だけだが、俺はそのビーフを実際に歩いて(実行して)みせる
※ネットや曲の中だけで強がる連中とは違い、自分は実際の抗争や対立(beef)から逃げずに行動で示すというハードコアなスタンス。
I'ma tell you like a G told me
本物のギャングスタが俺に言ったように、お前らに教えてやる
※ストリートの先人から受け継いだ教訓の伝授。
They'll come back quick if a nigga OD
野郎がオーバードーズすれば、客はすぐに戻ってくる
※ドラッグの純度が高すぎて客が倒れる(ODする)ほど、その噂が広まり、さらに良質なブツを求めて客が殺到するというストリートの皮肉な現実。転じて、自分のラップがそれほど強力で中毒性があるという意味。
Cash rule everything around me
金が俺の周りのすべてを支配する
※Wu-Tang Clanの不朽の名曲「C.R.E.A.M. (Cash Rules Everything Around Me)」からの直接的な引用。ニューヨーク・ヒップホップの血脈を示している。
I'm YSL, Versace
俺はイヴ・サンローラン、ヴェルサーチェだ
※ハイブランドの名前を並べ、自身のラグジュアリーな成功と富をアピール。
You could see me in that Porsche GT
ポルシェGTに乗る俺の姿が見えるはずだ
※最高級スポーツカーを乗り回すステータスの誇示。
Comin' down Sunset, sittin' on Ds
サンセット大通りを下ってくる、デイトン・ワイヤーホイールを履かせてな
※「Sunset」はロサンゼルスのサンセット・ブルバード。「Ds」はローライダーに人気のデイトン(Dayton)社製のホイール。東海岸出身でありながら、西海岸のスタイルも取り入れている余裕。
Feelin' like Pac, all eyes on me
まるで2Pacの気分さ、すべての視線が俺に注がれている
※2Pacの伝説的なアルバム『All Eyez On Me』からの引用。シーンにおける絶大な注目とカリスマ性を自己投影している。
Fresh bandana and I'm blowin' mad trees (Trees, trees)
真新しいバンダナを巻いて、極上のハッパを大量に吹かしてる
※「trees」はマリファナのスラング。ギャングのスタイルとマリファナというクラシックなヒップホップの情景。
Nigga please
頼むから勘弁してくれよ
※自分のレベルに達していない他のラッパーたちに対する見下した態度。
I spit crack, every verse a key
俺はクラック(麻薬)を吐き出す、すべてのバースが1キロの塊さ
※自身の名前「Joey Crack」に掛け、自分がラップする言葉一つ一つが高純度の麻薬(key=kilo)のように価値があり、中毒性があるというメタファー。
Some say "Khaled," some say "Khaleed"
「キャレド」と呼ぶ奴もいれば、「カリード」と呼ぶ奴もいる
※DJ Khaledの名前の様々な発音。彼が全国区になり、知名度が爆発的に広がっている状況を面白おかしく描写している。
Twelve years down and I'm finally free
12年の時を経て、俺はついに自由になった
※Fat Joeのデビューアルバム(1993年)から長年所属したAtlantic Recordsなどのメジャー体制を離れ、インディペンデントとして自身のレーベルをImperial Recordsの下に置いたことによる、ビジネス面およびクリエイティブ面での解放感を宣言した重要なライン。ファンの間でも彼のキャリアの転換点を示す一節として高く評価されている。
[Pre-Chorus: Akon]
If you want to, we can supply you (Supply you)
お前らが望むなら、俺たちが供給してやる
Got enough work to feed the whole town
街全体を食わせるだけの十分なブツを持ってるからな
They won't shoot you unless you try to (Try to)
お前が手を出そうとしない限り、奴らはお前を撃ったりしない
Come around and try to stomp on our ground
俺たちの縄張りに踏み込んで、荒らそうとしない限りはな
[Chorus: Akon & DJ Khaled]
'Cause we takin' over (One city at a time)
なぜなら俺たちが乗っ取っているからさ、一つの街を一つずつな
Said we takin' over (One city at a time)
俺たちが乗っ取っているんだ、一つの街を一つずつな
Said we takin' over (One city at a time)
俺たちが乗っ取っているんだ、一つの街を一つずつな
Said we takin' over (One city at a time)
俺たちが乗っ取っているんだ、一つの街を一つずつな
Oh oh (Listen!)
よく聞け!
[Verse 4: Birdman]
Birdman daddy, I'm number one
バードマン・ダディ、俺がナンバーワンだ
※Cash Money Recordsの共同創設者であり、サウス・ヒップホップの真の黒幕的存在であるBirdmanの登場。絶対的な権力者としての宣言。
Nigga came at me wrong, so we got him done
俺に間違った態度で向かってきた奴がいたから、片付けてやった
※自分やレーベルに逆らう者に対する冷酷なマフィア的制裁を示唆。
Fuckin' with the fam, I'ma give him some
ファミリーに手を出せば、俺がたっぷりお見舞いしてやる
※Cash Moneyという強固な一族(ファミリー)の結束と、それを脅かす外部の敵への無慈悲な報復。
Spent that corner, he didn't run
あの角を曲がった時、奴は逃げなかった
※ドライブバイ・シューティング(車からの銃撃)の描写。抗争のリアルで生々しいストリートの情景。
Sunday had a whole church singin' a song
日曜日には、教会全体で歌を歌わせることになった
※敵を殺害した結果、その敵の葬儀が日曜日の教会で行われ、参列者が聖歌を歌うことになったという非常にダークで冷徹な結末の暗喩。
Why'd they have to send my baby home?
なぜ俺のベイビーを天国へ送らなきゃならなかったの?と嘆くのさ
※被害者の母親が教会で泣き崩れる様子を冷酷に描写し、ストリートゲームの非情さを強調している。
Fuckin' with some niggas, that paper long
俺たちのような、底なしの資金力を持つ奴らに手を出したからさ
※「paper」は金。圧倒的な財力を持つ組織には絶対に逆らえないという絶対的な事実。
Been a G in the game, now my son on the throne
ゲームでずっとギャングスタとしてやってきたが、今や俺の息子が王座に就いている
※自身が裏社会や音楽業界で築き上げた土台の上で、実の息子のように可愛がってきたLil Wayne(son)が現在ラップ界の頂点に君臨していることへの誇り。そして、伝説のWayneのバースへの完璧な橋渡しとなっている。
[Verse 5: Lil Wayne]
Ah, I am the beast
ああ、俺は野獣だ
※この時期のLil Wayneの人間離れしたラップスキルと、抑えきれないエネルギーを象徴する開口一番の宣言。
Feed me rappers or feed me beats
ラッパーどもを食わせろ、さもなくばビートを寄越せ
※他のラッパーを圧倒(喰い殺す)するほどの競争心と、どんなビートでも完全に乗りこなすという飢餓感。「ラッパーを喰う」という表現はヒップホップにおける最高級のボースティング。
I'm untamed, I need a leash
俺は飼いならされていない、リードが必要なほどだ
※自身の凶暴な才能がコントロール不能な状態にあるというメタファー。
I'm insane, I need a shrink
俺はイカれてる、精神科医が必要だな
※常軌を逸したリリシズムとライフスタイルに対する自己認識。「shrink」は精神科医のスラング。
I love brain, I need a leech
俺は脳みそ(フェラチオ)が大好きだ、ヒルのように吸い付く女が必要だ
※前の行の「精神科医(脳の専門家)」からの連想ゲームで「brain(フェラチオのスラング)」に繋げ、血を吸うヒル(leech)で行為を表現する天才的なワードプレイ。
Why complain on Easy Street?
イージー・ストリートに住んでるのに、なぜ不満を言う必要がある?
※「Easy Street」は安楽な生活、富裕層の生活を意味するイディオム。成功の絶頂にあり、もはや何の悩みもないという状況。
I don't even talk, I let the Visa speak
言葉すら発しない、VISAカードに語らせるんだ
※圧倒的な財力を誇示し、金(クレジットカード)がすべてを解決するというアティテュード。口先だけのラッパーとの格の違いを示している。
And I like my Sprite Easter pink
それに、俺はイースターピンク色になったスプライトが好きなんだ
※「イースターピンク」は、医療用咳止めシロップ(コデインとプロメタジン)をスプライトで割ったドラッグ「リーン(シザップ)」の独特な紫色を指す。サウスのヒップホップカルチャーと密接に結びついたLil Wayneのアイコニックな嗜好品の描写。
And my wrist-wear Chopard but the Müller's cooler
手首にはショパールを着けてるが、フランク・ミュラーの方がイケてるな
※超高級時計ブランドを軽々と引き合いに出し、自身のセレブリティとしてのステータスを見せつけている。
I have more jewels than your jeweler
お抱えの宝石商よりも、俺の方が多くの宝石を持ってるぜ
※単純だが極めて強力な富の誇示。プロの宝石商の在庫すら凌駕するほどのジュエリー・コレクション。
Touch and I will bust your medulla
指一本でも触れてみろ、お前の延髄をぶっ飛ばすぞ
※「medulla」は脳の延髄。解剖学的な専門用語をサラリと韻に組み込みつつ、自身を脅かす者への致命的な暴力を予告する知的なギャングスタ・ラップの真骨頂。
That's a bullethole, it is not a tumor
それは弾痕だ、腫瘍なんかじゃない
※敵の頭部に撃ち込んだ弾の痕を、病気(腫瘍)と見間違えるなという冷酷でブラックジョークめいた警告。
Red light, red light, stop your rumors
赤信号だ、赤信号だ、くだらない噂話は止めにしろ
※ヘイターやメディアが流すゴシップに対し、赤信号に掛けて強制的にストップをかける命令。
I stay on track like a box of Pumas
プーマの箱のように、俺は常にトラックの上にとどまっている
※「track」は陸上競技のトラック(Pumaの靴が入っている箱のイメージや、アスリートの比喩)と、音楽の「トラック(ビート)」を掛ける高度なワードプレイ。ブレることなく常にビート上で完璧なラップを提供し続けるという神がかったスキルアピール。
Now just r-r-rock with Junior
さあ、ジュニアと一緒に思い切り盛り上がろうぜ
※直前のBirdmanのバースで「息子」と呼ばれたことを受け、Birdmanの愛称の一つでもある「Junior(Babyの別名)」、あるいは自身をCash Moneyの正当な後継者として位置づけるフレーズ。圧倒的なカリスマ性でリスナーを巻き込んでいく。
I am the little big kahuna, y'dig?
俺は小さな大物なんだ、分かるか?
※「Big Kahuna」はハワイ語由来で「偉大な指導者」「ボス」を意味する。Lil Wayne自身の小柄な体格(little)と、シーンを完全に支配する巨大な存在感(big kahuna)を対置させた完璧なパンチラインで歴史的バースを締めくくっている。
[Outro: Akon]
'Cause we takin' over (One city at a time)
なぜなら俺たちが乗っ取っているからさ、一つの街を一つずつな
