Artist: Laufey
Album: Typical of Me
Song Title: Like The Movies
概要
2021年にリリースされたレイヴェイ(Laufey)のデビューEP『Typical of Me』に収録されている「Like The Movies」は、彼女のアーティストとしてのペルソナである「救いようのないロマンチスト(Hopeless Romantic)」を最も象徴するジャズ・バラードだ。本棚の陰での運命的な出会いや、雨の中でのスローダンスといったハリウッドの古典的なラブコメ映画や古いおとぎ話のトロープ(定型表現)を列挙し、現実の恋愛事情との決定的なギャップを描き出している。Z世代特有のタイパ重視の恋愛やマッチングアプリ文化から距離を置き、古き良き純愛を渇望するあまり「誰も私の基準を満たせないから、私は永遠に恋に落ちない」と自己完結してしまう現代的なアイロニーが込められている。ノスタルジックなギターの弾き語りと温かみのあるボーカルが、現実逃避的でありながらもどこか自嘲的な主人公の心情を美しく彩る、彼女のディスコグラフィにおける重要な一曲である。
和訳
[Verse 1]
Maybe one day I'll fall in a bookstore
もしかしたらある日、本屋で転んでしまって
※ファンの間では、映画『ノッティングヒルの恋人』や古典的なロマンティック・コメディにおける王道の「ミート・キュート(運命的な可愛らしい出会い)」のオマージュとして解釈されている。彼女の文学的な感性と映画的ロマンチシズムが端的に表れたラインだ。
Into the arms of a guy
誰かの腕の中に倒れ込むかもしれない
We'll sneak into bars
一緒にこっそりバーに忍び込んで
And gaze at the stars
星空を見つめるの
Surrounded by fireflies
蛍の光に包まれながら
[Verse 2]
Oh, I'd like to sleep in 'til two on a Sunday
ああ、日曜日は午後2時までぐっすり眠って
And listen to the bluebirds sigh
青い鳥のため息に耳を傾けたい
※「青い鳥(bluebirds)」は幸福や希望の象徴であり、クラシックなディズニー映画に登場する動物たちとの牧歌的な触れ合いを彷彿とさせる。彼女が「古き良きおとぎ話」に強く影響を受けていることを示すメタファーである。
Get soaked in the rain
雨にずぶ濡れになりながら
And smile through the pain
痛みの中にあっても微笑んで
Slow dance under stormy skies
嵐の空の下でスローダンスを踊るの
※「雨の中でのキスやダンス」は『きみに読む物語』や『雨に唄えば』など、恋愛映画における最もドラマチックなクライマックスのクリシェである。現実の苦難(stormy skies / pain)すらも、映画のように美しく消費したいという究極の現実逃避が描かれている。
[Chorus]
Maybe I'm just old fashioned
きっと私はただの時代遅れなのね
Read too many fairytales
おとぎ話を読みすぎたみたい
It's no wonder I've had no luck
私がツイてないのも無理はないわ
No one's ever good enough
誰も私の理想には届かないのだから
I want a love like I've seen in the movies
映画で見たような恋がしたい
That's why I'll never fall in love
だからこそ、私は絶対に恋に落ちることはないの
※この楽曲の核心を突くパンチライン。理想が高すぎるあまり、現実の生身の人間との恋愛を自ら放棄してしまうというパラドックス。一見するとロマンチックな夢想家の歌だが、深層では「完璧なフィクションに逃げ込むことで、現実の生々しい恋愛で傷つくことを回避している」という防衛機制の表れとして、多くの同世代リスナーから深い共感を集めている。
[Chorus]
Oh, maybe I'm just old fashioned
ああ、きっと私はただの時代遅れなのね
Read too many fairytales
おとぎ話を読みすぎたみたい
It's no wonder I've had no luck
私がツイてないのも無理はないわ
No one's ever good enough
誰も私の理想には届かないのだから
I want a love like I've seen in the movies
映画で見たような恋がしたい
That's why I'll never fall in love
だからこそ、私は絶対に恋に落ちることはないの
