Artist: Laufey
Album: Everything I Know About Love
Song Title: Falling Behind
概要
Laufeyのデビューアルバム『Everything I Know About Love』(2022年)に収録された「Falling Behind」は、軽快で心地よいボサノヴァのビートに乗せて、周囲の誰もが恋に落ちていく中で自分だけが取り残されていく孤独感と焦燥感を歌った楽曲である。ジョアン・ジルベルトやアストラッド・ジルベルトといったボサノヴァの巨匠たちから強い影響を受けた彼女のルーツが、アコースティックギターのリズミカルなカッティングに色濃く反映されている。太陽と空すらも結ばれているという詩的な擬人化や、新しい街での疎外感を描いた歌詞は、アイスランドからアメリカへと拠点を移した彼女自身のパーソナルな経験に基づいている。恋愛経験の乏しさにコンプレックスを抱き、「自分だけが人生のペースに遅れているのではないか」と思い悩むZ世代特有のクォーターライフ・クライシスを見事に代弁しており、ファンコミュニティにおいて最も共感を集め、愛唱されているアンセムの一つだ。
和訳
[Verse 1]
Moved out to a new city
新しい街に引っ越してきて
※Laufeyがアイスランドからアメリカ(ボストンのバークリー音楽大学や、その後のロサンゼルス)へと生活の拠点を移した実体験が反映されており、見知らぬ大都市での孤独感が背景にある。
June is dawning down on me
6月が私に明けようとしている
※「June(6月)」はジューンブライドや、開放的な夏のロマンスの季節の象徴。恋人たちで溢れかえる季節の到来が、彼女の焦りを助長している。
And all that I can find's
そして私の目につくものといえば
A sickly romance in the air
宙に漂う甘ったるいロマンスばかり
※「sickly(病的な、胸が悪くなるほど甘い)」という表現で、街に溢れるカップルたちに対する嫉妬や呆れ、そして自分が蚊帳の外にいることへの疎外感を示している。
Lovers stroll without a care in sight
恋人たちは人目も気にせず散歩している
Oh, this can’t be right
ああ、こんなのおかしいわ
[Chorus]
'Cause the sun's engaged to the sky
だって太陽は空と婚約していて
※自然界の風景すらも「カップル(婚約者)」に見立てる、極めて詩的で美しい擬人化表現。自分の周りのすべてのものがペアになっているという究極の孤独感を表現している。
And my best friends found a new guy
親友には新しい彼氏ができた
I’m only getting older
私はただ年をとっていくばかり
I've never had a shoulder to cry on
泣きつける肩なんて、一度も持ったことがない
Someone to call mine
私のものだと呼べる人を
Everybody's falling in love and I'm falling behind
みんな恋に落ちていくのに、私は遅れをとっている
※楽曲の核となるパンチライン。「falling in love(恋に落ちる)」と「falling behind(遅れをとる、取り残される)」という同じ「fall」を用いた見事な言葉遊び(ワードプレイ)であり、軽快なメロディの中に切実な焦燥感を忍ばせている。
[Verse 2]
Touched the ocean, fell right in
海に触れようとして、そのまま落ちてしまった
※何をやっても裏目に出る、不器用でドジな自分(ペルソナ)をコミカルに描いている。
Stepped outside and burned my skin
外に出たら、日焼けしてしまった
My life won't go my way
私の人生は思い通りにいかない
Bossa nova in my room
自分の部屋でボサノヴァを聴きながら
※外の世界のロマンス(夏の海や日差し)に馴染めず、一人部屋にこもって古いレコードを聴くという、内向的な彼女のフェイバリットな日常風景。
Hoped that I'll find someone too
私も誰かを見つけられると願っていた
To love, bеcause
愛する人を、だって
[Chorus]
The sun's engagеd to the sky
太陽は空と婚約していて
And my best friends found a new guy
親友には新しい彼氏ができた
I'm only getting older
私はただ年をとっていくばかり
I’ve never had a shoulder to cry on
泣きつける肩なんて、一度も持ったことがない
Someone to call mine
私のものだと呼べる人を
Everybody’s falling in love and I'm falling behind
みんな恋に落ちていくのに、私は遅れをとっている
[Outro]
Everybody’s falling in love
みんな恋に落ちていく
Everybody's falling in love
みんな恋に落ちていく
Everybody's falling in love but me
私以外の誰もが恋に落ちていく
※誰もが愛を見つけていく世界で、一人きりで取り残された少女のつぶやきが、ボサノヴァのフェードアウトとともにメランコリックな余韻を残す。
