Artist: Daniel Caesar (feat. Charlotte Day Wilson)
Album: Freudian
Song Title: Transform
概要
2017年のデビューアルバム『Freudian』に収録された本作は、同じくトロント出身のシンガーソングライターCharlotte Day Wilsonを客演に迎えた、メランコリックで内省的なネオソウル・トラックである。本楽曲のテーマは「人間の変えられない本性」と「トキシックな関係への依存」だ。ダニエル・シーザーは自身の不貞や身勝手さを「虎の狩り」などの動物的な本能になぞらえて正当化し、自己変革(Transform)の難しさを嘆く。それに対しCharlotte Day Wilsonは、彼のエゴを女神のように優しく包み込みつつ、自らもその関係に依存していることを認める。後半にかけては、愛する女性を「イエス・キリスト」や「太陽の下のすみれ」といった神聖なモチーフに重ね合わせながらも、同時に「ドラッグ」として描写する。宗教的な救済と世俗的な快楽、自己嫌悪とナルシシズムが複雑に絡み合う、ダニエル・シーザーの精神分析的(Freudian)な世界観が色濃く反映された一曲である。
和訳
[Intro: Daniel Caesar]
If a leopard never changes its spots
ヒョウがその斑点を変えられないのなら
※英語のことわざ「A leopard cannot change its spots(人は生まれ持った本性を変えることはできない)」の引用。
How can I change what I've got?
俺が持って生まれたものをどうやって変えればいい?
Transform, transform, transform, transform
生まれ変わる、生まれ変わる、生まれ変わる、生まれ変わる
We don't punish the tiger for catching its prey
虎が獲物を捕まえたからといって罰したりはしない
So how am I the one to blame, if it's in my nature?
なら、それが俺の本能だとしたら、なぜ俺が責められなきゃいけないんだ?
※自身の浮気や不誠実な行動を動物の狩りに例え、「生まれ持った本能だから仕方がない」と身勝手に正当化している。アルバムタイトルにもあるフロイトの精神分析における「イド(抑えられない無意識の欲求)」を体現するライン。
Transform, transform, transform
生まれ変わる、生まれ変わる、生まれ変わる
And I don't know why I fight it
なぜそれに抗おうとするのか自分でも分からない
The least I could do is try
せめて努力くらいはするべきなんだろうけど
But ego's in the way
でもエゴが邪魔をするんだ
I know that you feel mad today
今日は君が怒っていることは分かってる
But that anger will fade away
でもその怒りはいずれ消え去るさ
And you'll wish she was here
そして君は彼女がここにいればと願うようになる
※ファンの間では、この「she」は浮気相手のこと、あるいは第三者を交えた関係性を示唆していると考察されている。関係が破綻しかけているのに「君はまたあの状況を恋しく思うはずだ」と見下すような、Sad Boy特有の歪んだ自信とトキシックさが表れている。
[Chorus: Daniel Caesar]
It's never over until life ends (Until life ends)
人生が終わるまで、決して終わりじゃない(人生が終わるまで)
Lay down beside me, do it again
俺の隣に横になって、もう一度やり直そう
It's never over until life ends, yeah
人生が終わるまで、決して終わりじゃないんだ yeah
Lay down beside
隣に横になって
[Verse 1: Charlotte Day Wilson]
Ooh, whoa
Ooh, whoa
Don't be a fool, baby, I know you've changed
馬鹿なこと言わないで、ベイビー、あなたが少し変わったのは分かってる
It's in my nature, and it's okay (It's okay)
それが私の本性なの、そしてそれは大丈夫(大丈夫よ)
And I'll be your goddess, and you a part of me, yeah
私はあなたの女神になる、そしてあなたは私の一部になるの yeah
Lay down your pride, lay down with me
プライドを捨てて、私と一緒に横になって
※ダニエルの身勝手な言い訳(本能だから変われない)に対し、女性側も「変わらない本質を受け入れる」という究極の受容を示している。傷つけ合う共依存関係を、あえて「女神」という神聖な言葉で包み込んでいる点が恐ろしい。
[Verse 2: Daniel Caesar]
So ugly, but you love me
俺はこんなに醜いのに、君は俺を愛している
Keep nobody else above me
誰のことも俺の上に置かない
And that's why I keep you around
だから俺は君をそばに置いているんだ
Ain't it funny? Now you're money
笑えるだろ? 今じゃ君は金を持ってる
Act like you don't know nobody
誰も知らないような素振りを見せる
What goes round gon' come back around
因果は巡るものさ
※「What goes around comes around」は自業自得、あるいはカルマを意味するイディオム。名声や富を得て人が変わっていく様子や、それによって引き起こされる報いを冷ややかに歌っている。
[Chorus: Charlotte Day Wilson, Charlotte Day Wilson & Daniel Caesar]
It's never over until life ends
人生が終わるまで、決して終わりじゃない
Lay down beside me, do it again
私の隣に横になって、もう一度やり直そう
It's never over until life ends, yeah
人生が終わるまで、決して終わりじゃないの yeah
Lay down beside—
隣に横になって—
[Bridge: Daniel Caesar]
You're my violet in the sun
君は太陽の下で咲く俺のすみれだ
You're the chosen one
君は選ばれし者なんだ
You're my violet in the sun
君は太陽の下で咲く俺のすみれだ
You're the chosen one (Can't quit you, you're like drugs)
君は選ばれし者なんだ(君をやめられない、まるでドラッグみたいだ)
※純潔や謙虚さの象徴である「すみれ」と、破滅をもたらす「ドラッグ」という対極のモチーフを並べることで、相手への神聖視と病的な依存を同時に表現している。
(Swear I tried to clean up) You're my violet in the sun (Too much shared between us)
(綺麗になろうと努力したと誓うよ)君は太陽の下で咲く俺のすみれだ(俺たちの間には共有しすぎたものが多すぎる)
※「clean up」は薬物依存から更生すること。このトキシックな関係から抜け出そうと努力したが、結局は過去に縛られて逃れられないことを告白している。
[Outro: Daniel Caesar]
(You're the) Can't quit you, you're like drugs
(君は)君をやめられない、まるでドラッグみたいだ
Swear I tried to clean up (Chosen one)
綺麗になろうと努力したと誓うよ(選ばれし者)
Too much shared between us (Between us)
俺たちの間には共有しすぎたものが多すぎる(俺たちの間には)
(You're my) Saved my soul like Jesus (Chosen one, like Jesus)
(君は俺の)イエスのように俺の魂を救ってくれた(選ばれし者、イエスのように)
※ダニエル・シーザーの根底にあるゴスペルの世界観。世俗的な愛やセックス、ドラッグへの依存を、宗教的な魂の救済(Salvation)と同一視して楽曲を締めくくっている。
Can't quit you, you're like drugs (Like drugs)
君をやめられない、まるでドラッグみたいだ(ドラッグみたいだ)
Swear I tried to clean up (Violet in the sun, clean up)
綺麗になろうと努力したと誓うよ(太陽の下のすみれ、綺麗になる)
Too much shared between us (Between us)
俺たちの間には共有しすぎたものが多すぎる(俺たちの間には)
Saved my soul like Jesus (Like Jesus)
イエスのように俺の魂を救ってくれた(イエスのように)
