Artist: Dreamville, Lute, Omen, Ari Lennox & EARTHGANG (feat. Childish Major & REASON)
Album: Revenge of the Dreamers III: Director’s Cut
Song Title: Revenge
概要
2020年にリリースされたデラックス版アルバム『Revenge of the Dreamers III: Director’s Cut』に収録された本作は、アルバムのコンセプトである「Revenge(復讐/逆襲)」をテーマにした感動的でソウルフルなポッセカットである。Ari Lennoxの美しいスキャットに導かれ、EARTHGANGのDoctur Dot、Childish Major、Lute、Omen、そしてREASONが次々とマイクリレーを展開する。過去の挫折、貧困、周囲からの冷遇、そしてストリートの暴力といったそれぞれの「傷」を振り返り、そこから音楽の力で這い上がり、成功という名の「復讐」を遂げていく姿がポエティックに綴られている。特に最後に登場するREASONのヴァースは、ストリートの復讐の連鎖(殺人)と、アーティストとしての復讐(成功)を見事に対比させた、ヒップホップ史に残る名演である。
和訳
[Intro: Ari Lennox]
Ooh-ah
Ooh-ooh-ooh
Hey-yeah-yeah
Ooh-ah
Ooh-ah, ooh-ah
Ooh-ah
Ooh-ooh-ooh
Ah-ah-ah
Ooh-ah, ooh-ah
Hell yeah, yeah (Ayy-ayy)
Hell yeah
Hey-hey
[Verse 1: Doctur Dot]
Who gon' find the lost souls?
誰が迷える魂たちを見つけるんだ?
In Atlanta shapeshifters and trolls, how did I get here?
シェイプシフター(姿を変える者)やトロール(荒らし/怪物)がはびこるアトランタで、俺はどうやってここまで来たんだ?
※自分の利益のために態度を変える偽善者や、ネットやストリートで足を引っ張る連中が溢れる地元アトランタの過酷な環境をファンタジーの怪物に例えている。
My magic carpet unraveled (Woo)
俺の魔法の絨毯はほどけちまった (Woo)
You scroll through all the channels with your fraudulent financials
お前は自分の不正な財力で、あらゆるチャンネルをスクロールしてる
Blame your mama 'cause you started with hardstanders
ママを責めな、お前がハードスタンダーたちと一緒に始めたからだ
※「hardstander」は過酷な環境に耐え忍ぶ者、あるいは路上(hardstand)に立つハスラーのこと。
We gon' pray on that (Oh Lord)
俺たちはそれについて祈るぜ (Oh Lord)
Always had my flow, I used to lay on that
いつだって自分のフロウを持っていた、昔はそれに頼っていたもんだ
You can say it face to face, facts
面と向かって言えることだ、事実さ
You no longer need it, make your way on back
お前にはもう必要ない、元の道へ戻りな
You can't escape what you attract, or what you say on wax
自分が引き寄せるものからは逃れられないし、レコード(wax)で言ったことからも逃れられない
Please don't overthink on that
だから、考えすぎないことだ
[Verse 2: Childish Major]
Like-like-like, like-like-like, like-like-like
まるで、まるで、まるで...
Who gon' find that lost boy?
誰があの迷子を見つけるんだ?
High class that she fall for him
上流階級の彼女が彼に惚れ込む
Them whispers get lost and breezes got them whisper, man he call for me
ささやき声は迷子になり、そよ風が彼らにささやく、なあ、あいつが俺を呼んでるんだ
CVS is hiring and when you drop your application, get some Halls for me
CVS(薬局)が求人を出してるぜ、履歴書を出すついでに、俺にホールズ(のど飴)を買ってきてくれ
※ラップ(咳き込むほどのフロウ=Sick/Ill)で喉を酷使しているため、のど飴が必要だというヒップホップ特有のジョーク。
Coughin' hard, but ain't no need to get that coffin for me
ひどく咳き込んでいるが、俺のために棺桶(coffin)を用意する必要はないぜ
※「Coughin'(咳)」と「coffin(棺桶)」を掛けた言葉遊び。
Ain't nothin' serious, just it’s cold and all the niggas on new levels
大したことじゃない、ただここは冷え切っていて、周りの奴らが新しいレベルにいるってだけさ
Got through locks so I'm past the codes, outchea tho
鍵を通り抜けた、だから俺はコード(暗号/規則)を突破したんだ、この場所でな
Queen City but no bitch on my roads
クイーン・シティだが、俺の道にビッチ(邪魔者)はいないぜ
※「Queen City」はLuteやDaBabyらの出身地であるノースカロライナ州シャーロットの愛称。クイーン(女王)の街だがビッチはいないという言葉遊び。
I'ma own that bitch though, can't front on my bill folds, sittin' on gold
俺がそのビッチをモノにするけどな、俺の札束には虚勢なんて張れない、黄金の上に座ってるんだ
[Chorus: Ari Lennox]
Ooh-ooh-ooh
Ayy-yee, yee (Ooh-ah, ooh-ah)
Ooh-ooh-woah, ooh-ah
[Verse 3: Lute]
I used to look, down on myself
昔は自分を見下していた
Like, what am I missin'?
「俺に何が足りないんだ?」ってな
Now I, go to the bank
今じゃ俺は銀行に行き
Now they, talk to me different
奴らは俺に違う態度で話しかけてくる
Can you split that in 20's, hunnids, a couple 50's?
「これを20ドル札と、100ドル札、それから50ドル札数枚に分けてくれるか?」
I used to get curved, now bitches DM they titties
昔は女にフラれてばかりだったが、今じゃビッチどもが自分からオッパイの画像をDMで送ってくる
Old friends turn to foes, can't bring fuck niggas with me like
昔の友人が敵に変わる、クソ野郎どもを連れて行くわけにはいかない
Fuck it I'm ready to go, niggas be actin' like hoes
クソくらえだ、俺は行く準備ができてる、奴らはまるでビッチみたいに振る舞いやがる
Bitches be tryna get chose, that's just the way that shit go
ビッチどもは選ばれようと必死だ、世の中そういうもんさ
You can't complain if you broke, get you some money and clothes
文無しなら文句は言えない、金と服を手に入れな
I got some money with goals
俺は目標を持って金を稼いだ
I know I ain't perfect, barely worth it
自分が完璧じゃないことは分かってる、かろうじて価値があるくらいだ
Been an asshole lately but not on purpose, shit be on my mind
最近は嫌な奴になってたが、わざとじゃない、いろんなことが頭をよぎるんだ
I look around like, "Damn, ain't nobody on my side"
辺りを見回して、「クソ、俺の味方は誰もいないのか」って思う
But never question if I'm down to ride
だけど、俺がいつでも乗り込む(闘う)覚悟があるかどうかなんて、決して疑うなよ
[Verse 4: Omen]
Tripped the hurdle but the ground I walk is fertile
ハードルにつまずいたが、俺の歩く大地は肥沃だ
Give you classic quotes just for kicks like Virgil
キックス(楽しみ/スニーカー)のために、ヴァージルのようにクラシックな名言を与えてやるよ
※「kicks」は楽しみ(just for kicks)とスニーカーのダブルミーニング。Off-Whiteの創設者であり、スニーカーに引用符(" ")で言葉を入れるデザインで有名なデザイナー「ヴァージル・アブロー」に掛けた知的なワードプレイ。
Look who in my circle
俺のサークル(仲間)に誰がいるか見てみろ
The ones that knew me when the nights was hurtful
夜が痛みを伴っていた頃の俺を知っている奴らさ
Wins, I got a ton like Churchill
勝利(Wins)、チャーチルのように大量に持ってるぜ
※イギリスの元首相「ウィンストン・チャーチル(Winston Churchill)」の名前(Wins-ton)と「Wins, I got a ton(勝利を1トン持っている)」を掛けた見事なライム。
But what about the losses overcome, I wasn't Oprah's son
だが、乗り越えてきた敗北についてはどうだ? 俺はオプラの息子じゃなかったんだ
※ビリオネアのオプラ・ウィンフリーの息子のように恵まれていたわけではなく、敗北から這い上がってきたという強調。
'Round my way they holdin' guns, I'm more like Roberson, I'm not a shooter
俺の地元じゃ奴らは銃を持ってるが、俺はむしろロバーソンのようなもんだ、俺はシューター(射撃手)じゃない
※NBAの「アンドレ・ロバーソン」はディフェンスの名手だがシュート(3ポイント等)が極端に苦手な選手。自分は銃を撃つ(shoot)人間ではないというコンシャスな平和主義のスタンス。
All I did was show love, like the Kamasutra
俺がやったのは愛を示すことだけだった、カーマスートラみたいにな
※古代インドの性愛の書『カーマスートラ』と「愛を示す」ことを掛けている。
I was tryna find what's truer
俺は何がより真実なのかを見つけようとしていた
I couldn't look inside the mirror
鏡の中の自分を見ることができなかった
Tryna climb out my dilemmas
ジレンマから這い上がろうとして
In the land of splendor, glamor, and some damaged women
華麗でグラマラスで、そして傷ついた女たちがいるこの土地で
Strappin' up, strappin' up, can't do no gamblin' with 'em
コンドームをつける、コンドームをつける、彼女たちとギャンブルはできないからな
Shootin' high percentage, I been changin' my agenda
高い確率でシュートを決める、俺は自分のアジェンダを変えてきた
Finally came up out my shell, I ain't have no Master Splinter
ようやく自分の殻から抜け出した、俺にはスプリンター先生なんていなかったけどな
※「殻(shell)」から抜け出すことと『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ(亀)』を掛け、亀たちの師匠である「スプリンター先生(ネズミ)」なしで自力で成長したことを表現。
Became the Top Chef, this another classic dinner
トップシェフになった、これがもう一つのクラシックなディナー(作品)さ
I fell down, came back, now that's a natural winner
俺は倒れ、そして戻ってきた、今じゃそれが生粋の勝者ってもんさ
Never could I pretend, nor ever would I surrender, yeah
俺は決して偽ることはできないし、決して降伏することもない、イェー
[Chorus: Ari Lennox]
Ooh-ooh-ooh
Ayy-yee-yee (Ooh-ah, ooh-ah)
Ooh-ah (Ooh-ah)
Ooh-ah
Ooh-ooh-ooh
Ayy-yeah-yeah
Ooh-ah, ooh-ah
Ooh-ah
Ooh-ooh
[Verse 5: REASON]
Look, I been speakin' for the misguided sons and the dead fathers
見な、俺は道を踏み外した息子たちや、死んでいった父親たちのために語ってきた
As I walk through the shadow of death, where we tread waters
俺たちが立ち泳ぎで必死に生きる、死の谷の影を歩きながら
※聖書の詩篇23編「死の陰の谷を歩むとも」のリファレンス。クーリオや2Pacの「Gangsta's Paradise」でも有名なフレーズ。
Paint pictures of the stories forgotten, them dead authors
忘れ去られた物語の絵を描く、彼らは死んだ作家たちだ
His blood gettin' mixed with that paint, so we dead artists
彼の血がその絵の具に混ざる、だから俺たちは死んだアーティストなんだ
He told me, "Nigga, you better slide", you ain't said nada
あいつは俺に言った、「なあ、お前も(復讐に)乗り込んだ方がいいぜ」、お前は何も言わなかったってな
※「slide」は敵対するギャングの縄張りに報復のために乗り込むこと。
Them niggas took my nigga, so fuck it, this lead karma
奴らが俺のダチを殺した、だからクソくらえだ、これは鉛のカルマ(銃弾の報い)さ
※「lead」は鉛、つまり銃弾のこと。
Struggle to pull the trigger as I did the tears fallin'
俺がやったように、引き金を引くのに苦悩し、涙がこぼれ落ちる
'Cause I know I let my mama down, she done raised all us
だって、ママをガッカリさせるって分かってるからだ、彼女は俺たち全員を育ててくれたのに
She gave up everything she had to keep our road straight
俺たちの道をまっすぐに保つために、彼女は自分の全てを犠牲にしたんだ
We ain't even have no room to have our own space
俺たちには自分のパーソナルスペースを持つ部屋すらなかった
Look I gave everything I have to make my own way
見な、俺は自分の道を切り拓くために、自分の全てを捧げたんだ
And in three seconds I made a decision to let this clip off
そして3秒の間に、俺はこのクリップ(マガジンの銃弾)を撃ち尽くす決断を下した
This ain't even related, just some shit I had to get off
これは(今の話とは)関係ないかもしれないが、ただ俺が吐き出さなきゃならなかったことなんだ
※ストリートの報復殺人から、突如として話題を切り替える前フリ。
Repetition how we make decisions
俺たちがどう決断を下すか、その繰り返しだ
'Cause my brother doin' life, and the judge done told him he would never get off
だって俺の兄弟は終身刑を食らって、裁判官は彼が二度と釈放(get off)されることはないと言い渡したからな
The struggle like hand me downs, nigga one size fits all
この苦しみはお下がり(hand me downs)みたいなもんだ、なあ、ワンサイズで誰にでもフィットするんだよ
※貧しい黒人家庭で服をお下がりで着回すように、ストリートの「苦悩(struggle)」も世代を超えて全員が経験する(ワンサイズで全員に当てはまる)という痛烈な比喩。
Woke up sweatin', panic with deep and breathin'
汗だくで目を覚まし、深く息をしてパニックになる
Goin' through deep depression, wonderin' why I chose to live
深い鬱状態に陥り、なぜ俺は生きることを選んだのかと自問する
And the way with my freedom indecisive, it's on the fence
俺の自由の在り方は優柔不断で、フェンスの上(どちらに転ぶか分からない状態)にいる
When I been blessed with rappin', no wonder they call it gifts
俺がラップの才能に恵まれた時、奴らがそれを「ギフト(贈り物)」と呼ぶのも無理はない
Got up from that bed, picked up the phone like, "What I missed?"
あのベッドから起き上がり、電話を手に取って言った、「俺、何か見逃したか?」
Got a call from some Dreamers, said that they was out for revenge
ドリーマーたち(Dreamvilleのメンバー)から電話があって、奴らは「リベンジ(復讐)」に出るって言ったんだ
Excited then I thought about it, and started crying 'cause a year ago my cousin was killed searchin' for his, yeah
俺は興奮した、それから考え直して、泣き始めたんだ、だって1年前、俺の従兄弟は自分自身の「リベンジ」を探し求めて殺されたからな、イェー
※アルバムのタイトルでありテーマでもある「Revenge(Dreamvilleとしての音楽的な逆襲・成功)」という言葉を聞いて、最初は音楽での成功(ラップキャンプへの招待)に興奮したものの、ストリートにおける本物の「復讐(Revenge)」に取り憑かれて死んでいった従兄弟のことを思い出し涙を流すという、強烈でエモーショナルなどんでん返し。ヒップホップにおける「成功」と「ストリートの悲劇」を残酷なまでにリンクさせた完璧なアウトロである。
