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Night Job - Dreamville & Bas (feat. J. Cole) 【和訳・解説】

Artist: Dreamville & Bas (feat. J. Cole)

Album: Revenge of the Dreamers II

Song Title: Night Job

概要

2015年末にサプライズリリースされたコンピレーションアルバム『Revenge of the Dreamers II』に収録された本作は、Dreamvilleレーベルの屋台骨を支えるBasとレーベル創設者J. Coleによる、ストリートの過酷さと音楽業界の虚飾を鋭く突くバンガーだ。タイトルの「Night Job」は、深夜のスタジオセッションというラッパーとしての仕事と、ストリートでの非合法なハッスルという二つの意味を持つ。不穏でミニマルなビートに乗せ、Basはフッドでの生活から脱却し世界を飛び回る現在を語り、J. Coleは過去のミックステープ時代のようなハングリー精神(2009年のマインドセット)を取り戻したことを宣言する。高度なダブルミーニングとスポーツやジャズの名盤へのリファレンスが散りばめられており、単なるフレックスを超えたコンシャスな知性を感じさせる、現代ヒップホップ屈指のリリシズムを堪能できる一曲である。

和訳

[Intro: Jeremih]

I won't let it out until you let me know if you love it
君が愛してるって教えてくれるまで、俺は絶対に出さないぜ
※R&BシンガーJeremihのボーカルをサンプリングしており、直後のBasのバースへと繋がる官能的かつ不穏なムードを作り出している。

Ayy, baby, I'ma take it low
エイ、ベイビー、低く沈み込んでいくぜ

[Verse 1: Bas]

I'm on my night job, my niggas riding, my city understand us
俺は夜の仕事中だ、ダチらは乗り込んでる、俺の街は俺らを理解してる
※「night job」は音楽制作のための深夜のスタジオワークと、麻薬の売買などのストリートの夜のハッスルを掛けている。

See a hundred bandits, each put a hundred bands up
100人の無法者を見てみろ、それぞれが10万ドルを積み上げる
※「bands」は1000ドルの札束を束ねるゴムバンドのこと。100 bandsで10万ドル。

They can't call us bandits no more
奴らはもう俺らのことを無法者とは呼べない
※かつてはストリートの不良(bandits)だったが、今はラップゲームで正当に大金を稼ぐ成功者になったという宣言。

Same hood, same corner store
同じフッド、同じ角の店

But them same old hoes ain't wearing panties no more
だが昔馴染みのあのビッチたちはもうパンティーを穿いてない

I'm on my night job, slim waist with them fat thighs
俺は夜の仕事中だ、スリムなウエストに極太の太もも

Never been baptized, but she soak me all in her holy water
洗礼を受けたことはないが、あの子は俺をホーリーウォーターでびしょ濡れにする
※キリスト教の洗礼(baptized)と聖水(holy water)という神聖な宗教用語を、女性の愛液(WAP)という極めて性的なメタファーとして使用するヒップホップ特有の冒涜的な言葉遊び。

I'm one of five, she the only daughter
俺は5人兄弟の一人、あの子は一人娘

She ain't used to sharing, I ain't used to caring
あの子は分かち合うことに慣れてない、俺は気遣うことに慣れてない

Let's play truth or dare, 'cause lately my lifestyle's like dynamite
トゥルース・オア・デアをやろうぜ、最近の俺のライフスタイルはダイナマイトみたいだからな
※「truth or dare」は王様ゲームのような真実か挑戦かを選ぶパーティーゲーム。危険で爆発的な日常を楽しんでいることを示唆。

I'ma go lights out, Black Dynamite, smoke one, that I might
明かりを消してやるよ、ブラック・ダイナマイトだ、一服する、そうするかもな
※『Black Dynamite』は1970年代のブラックスプロイテーション映画をパロディした2009年のカルト映画。主人公のようにタフでクールな振る舞いを気取っている。

I'm on my night job
俺は夜の仕事中だ

Always knew how to play these cards of mine
自分の手札の切り方はいつだって分かってた

Fuck rap, we seen harder times
ラップなんてクソくらえだ、俺らはもっと過酷な時代を見てきた

Jump back like Vinny Carter prime
全盛期のビンス・カーターみたいにジャンプバックするぜ
※NBAの伝説的プレイヤー、ビンス・カーター(Vinny Carter)の代名詞である驚異的なジャンプ力と、ストリートの過酷な状況から大きく跳躍(成功)した自分を掛けている。

I'm on my—
俺は—

[Bridge: Jeremih]

I won't let it out until you let me know if you love it
君が愛してるって教えてくれるまで、俺は絶対に出さないぜ

Aye, baby, I'ma take it low
エイ、ベイビー、低く沈み込んでいくぜ

[Verse 2: J. Cole, Bas & J. Cole]

I'm on my night job, y'all niggas jivin', I'm back up in position
俺は夜の仕事中だ、お前らは戯言を言ってる、俺はポジションに戻ってきた

Earnhardt, I'ma catch some nigga slippin'
アーンハートだ、油断してる奴を捕まえてやる
※NASCARの伝説的レーシングドライバー、デイル・アーンハートへの言及。「slippin'」はストリートスラングで「油断する」の意味と、レースカーが「スリップする」ことを掛けている。

Burn hard on a track and get to whippin'
トラックの上で激しく燃やして、勢いよく飛ばすぜ
※「track」はレースのサーキットと音楽のビート、「whippin'」は車を飛ばすことと、コカインを調理すること、そして強烈なラップをかますことのトリプルミーニング。

I'm on my night job, why is it always blacks that get detention?
俺は夜の仕事中だ、なんでいつも居残りさせられるのは黒人なんだ?

For my nigga with the pass to get the flip in
フリップするためにパスを持ってる俺のダチにとって
※学校の居残り(detention)と廊下を通行する許可証(pass)、そしてストリートでコカインを転売(flip)するという文脈が交差している。

Boy, that trap is a accurate description
なあ、トラップってのは正確な表現だよな
※「Trap」は麻薬の密売所を指すスラングだが、システムによって黒人が抜け出せないように仕組まれた「罠(Trap)」であるというコンシャスな社会的批判。

I'm on my night job, finally got Bassy off the corner
俺は夜の仕事中だ、ようやくバシーをストリートの角から引きずり下ろした
※J. ColeがレーベルメイトのBas(Bassy)を、危険なストリートのハッスル(corner)から音楽の世界へと救い出した事実を語っている。

'010, niggas thought he was a goner
2010年、みんなあいつはもう終わりだと思ってた

He ducked shots, now it's "Bas, we got a phoner"
あいつは銃弾をかわした、今じゃ「バス、電話インタビューが入ってるぞ」だ
※かつてはストリートで命を狙われ銃弾を避けていた(ducked shots)Basが、今では多忙なアーティストとしてメディアの電話取材(phoner)に追われているという劇的な状況の変化。

I'm on my night job, flew the posse out to Rome and
俺は夜の仕事中だ、仲間をローマまで飛ばして

Won't tell you 'bout no Basquiat, don't want 'em
バスキアの話なんてするつもりはない、そんなもんいらねえよ
※成金になったラッパーたちが教養をアピールするためにこぞってジャン=ミシェル・バスキアの絵画を買う風潮(JAY-Zなどの影響)を、俺にはそんな見栄は不要だと一蹴している。

Nigga, word to Selassie I, I'm zonin'
なあ、セラシエ1世に誓って、俺はゾーンに入ってるぜ
※ハイレ・セラシエ1世はラスタファリ運動において神と崇められるエチオピアの元皇帝。スピリチュアルな高みに達していることの表現。

I'm on my night job
俺は夜の仕事中だ

[Verse 3: Bas]

Got old niggas tryna bite cause they can't capture
昔のスタイルをパクろうとする年老いた奴らがいる、あいつらは捕まえられないからな

The feeling from days 'fore the game passed 'em
ゲームが自分たちを追い越していく前の時代のフィーリングを

Niggas out here lookin' like a bunch of Dame Dashes
ここの奴らはまるでデイム・ダッシュの群れみたいに見えるぜ
※Damon DashはJAY-Zと共にRoc-A-Fella Recordsを創設したが、後に決裂し没落した人物。ヒップホップシーンにおいて「過去の栄光にすがりつき、時代遅れになった口うるさいおじさん」の代名詞としてネームドロップされている痛烈なディス。

Nicorette, that's patchwork
ニコレットだな、それはパッチワークだ

That ain't better than your last work
お前の前の作品より良くないぜ
※禁煙パッチの「Nicorette」と、ツギハギだらけの音楽「patchwork」を掛け合わせ、さらに「last work(前作)」を繋げた巧妙なワードプレイ。

Cigarette, let the ash burn
シガレットだ、灰を燃やし尽くせ

Omen said don't worry 'bout the last word
オーメンが言った、最後の言葉なんて気にするなと
※OmenはDreamville所属のラッパー。

I'ma hit the gas, swerve on 'em—skrr!
アクセルを踏み込んで、奴らをかわしてやる(スカー!)
※「skrr」は車のタイヤが擦れる音のアドリブ。

[Bridge: J. Cole]

Too high to riot, that's my best excuse for being lazy
暴動を起こすにはハイすぎる、それが俺が怠けてる時の最高の言い訳だ
※『Too High to Riot』は2016年にリリースされたBasの2ndアルバムのタイトル。サブリミナルなプロモーションを兼ねている。

Being an artist, that's the best excuse for being crazy
アーティストであること、それがイカれてる時の最高の言い訳だ

I've been so infatuated, went to Clark and graduated
俺はすっかり夢中になってた、クラークに行って卒業したんだ
※Clark Atlanta Universityはアトランタにある歴史的黒人大学(HBCU)。

Now she on my face time and, my nigga, she just masturbated
今、彼女は俺のフェイスタイムに出てる、そしてなあ、彼女はマスターベーションしたばかりだ

[Verse 4: J. Cole]

Fuck a album release party, I'm out in the streets, shawty
アルバムのリリースパーティーなんてクソくらえだ、俺はストリートに出てるぜ、ショウティ
※着飾った業界のパーティーよりも、ファンがいるリアルなストリートを重視するスタンス。

How many rappers I killed—counted at least forty
俺がどれだけのラッパーを殺してきたか、少なくとも40人は数えたぜ
※客演(フィーチャリング)で相手のラッパーを完全に喰ってしまう(Renegadeする)ことへの絶対的な自信。

Nah, I ain't God, but shawty down on her knees for me
いや、俺は神じゃない、だがショウティは俺のためにひざまずく
※祈りを捧げるための「ひざまずき」と、フェラチオをするための「ひざまずき」を掛けた下世話ながら秀逸なライン。

I'm horny like that Coltrane album
あのコルトレーンのアルバムみたいにホーニーになってるぜ
※「horny」は性的に興奮している状態と、ジョン・コルトレーンが吹くサックスなどの「管楽器(horn)」を掛けたダブルミーニング。

A Love Supreme, that's Cole fav' album
至上の愛、あれはコールのフェイバリットアルバムだ
※『A Love Supreme(至上の愛)』はジャズの巨匠ジョン・コルトレーンの歴史的名盤。

Lately, I've been dancing like a Soul Train album lately
最近、俺はソウルトレインのアルバムみたいに踊ってるんだ
※『Soul Train』はアメリカの伝説的な黒人音楽ダンス番組。

Silly making songs talkin' 'bout how they hate me
バカみたいに俺をどれだけ嫌いか語る曲を作ってる奴ら

They've been loving me this whole time
奴らはずっと俺を愛してきたんだ
※ヘイターたちの執着は、裏を返せば強烈なファン心理(Fan behavior)であるというヒップホップの古典的なマインドセット。

My only adversary was my own mind
俺の唯一の敵は、俺自身の心だった

Killed my ego now I'm snappin' like it's '09
エゴを殺した今、俺は2009年のようにブチギレてるぜ
※2009年はJ. Coleがブレイクのきっかけとなった名作ミックステープ『The Warm Up』をリリースした年。成功による慢心(エゴ)を捨て、当時の無名時代のようなハングリーな鋭さを取り戻したという宣言。

With a goldmine of inspiration for y'all
お前らのためのインスピレーションの金鉱を持ってな

Fuck your co-sign, that nigga can't fuck with Cole neither
お前のフックアップなんてクソくらえだ、あいつもコールには敵わない
※「co-sign」は大物アーティストからの推薦や保証のこと。誰の権威も借りずとも自分は頂点にいるという自負。

Don't ask for a feature, we bring a whole liter of ether
客演なんて頼むな、俺らは1リットル丸ごとのエーテルを持っていくぜ
※「Ether(エーテル)」は引火性の強い液体だが、ここではNasがJAY-Zを完膚なきまでに叩きのめした伝説のディス曲「Ether」を指している。相手の曲に客演で呼ばれても、相手のキャリアを焼き尽くすほど強烈なバースを蹴るという脅し。

To eat ya, we got heat for niggas, keep reachin'
お前を食い殺すためにな、俺らは奴らに向けて熱を持ってる、手を伸ばし続けな

If these bullets was heat-seeking
もしこの弾丸が熱感知式だったとしても

They wouldn't even reach you niggas
お前らには届きすらしないだろうな
※「heat-seeking」は熱感知式の追尾ミサイル等のこと。相手のラッパーたちには「熱(人気、実力、ストリートでの影響力)」が全くないため、熱感知式の弾丸を撃っても反応すらしないという、J. Coleのキャリア屈指の冷酷で知的なパンチライン。

I'm on my...
俺は...