Artist: Dreamville (feat. Bas, J. Cole & KQuick)
Album: Revenge of the Dreamers
Song Title: Lit
概要
2014年リリースのコンピレーションミックステープ『Revenge of the Dreamers』に収録されたメロウで浮遊感のあるバンガー。プロデュースはJ. Coleと、Dreamvilleの最初期からのメンバーであるCed Brownらが手掛けた。楽曲の主役はDreamvilleの看板ラッパーであるBas。彼はウィードやドラッグ、ワンナイトの情事といった典型的なヒップホップ・トピックを、彼特有の滑らかでリズミカルなフロウで軽妙に描写する。後半にはJ. Coleが登場し、名声という「ドラッグ」の危うさや、ノースカロライナの田舎町からニューヨークへ上京した当時のカルチャーショック、そして成功の裏にある虚無感や葛藤を赤裸々に吐露する。快楽的な前半と内省的な後半のコントラストが、単なるパーティチューンに終わらないDreamvilleらしい深みを生み出している。
和訳
[Intro: Sample]
Do you still believe in love?
あなたはまだ愛を信じているの?
Or do you like drugs?
それともドラッグの方が好き?
※この楽曲全体のテーマである「愛と快楽(ドラッグや名声)の対比」を暗示する重要なサンプリング。
[Verse 1: Bas]
Ran into a night owl rollin' White Owls
ホワイトオウルを巻いてる夜遊び好きの女に出くわした
※「night owl(夜更かしする人)」と、葉巻(ブラント)の定番ブランドである「White Owl」を掛けた巧みな言葉遊び。
Girl it's been awhile since I hit a White Owl
ガール、ホワイトオウルを吸うのは久しぶりだぜ
I'm with it though, she a centerfold
でも俺は乗るぜ、あいつはグラビアモデル並みだからな
※「centerfold」は雑誌の中央見開きのピンナップガールのこと。
Big ol' blunt look like tentacles
クソでかいブラントは触手みたいだ
※ウィードをたっぷり詰めた太いブラントの形容。
She strip in Europe, Interpol
彼女はヨーロッパでストリップしてる、インターポールさ
※ヨーロッパを股に掛けるインターポール(国際刑事警察機構)と、ヨーロッパで働くストリッパーを掛けている。ポールダンスの「ポール(pole)」と「Interpol」で踏んでいる。
Don't remember her in her clothes
服を着た彼女のことは覚えてない
※常に裸でいるか、もしくはそういう行為しかしていないことの暗喩。
I fucked her friend, damn they was close
彼女の友達ともヤッた、クソ、あいつら親友だったのにな
Let's reunite, let's get em close
再会しようぜ、彼女たちを近づけてやろう
※スリーサム(3P)を誘っている。
Hit 'em twice in a row, hit a flight, and I'm ghost
立て続けに2回ヤッて、飛行機に乗って、俺はドロンさ
※「I'm ghost」は「消える、立ち去る」というスラング。
That's the last time I seen her though
それが彼女を見た最後だったけどな
She be gettin' too eager, ho
あのビッチ、ガッつきすぎなんだよ
Stamp it like it's my visa
俺のビザみたいにスタンプを押してやる
※女性との関係をパスポートの入国スタンプのように「済」として処理していくプレイボーイのスタンス。
Cheefin' off of these berries
このベリーを吸いまくってる
※「Cheefin'」はマリファナを吸うこと。「berries」はフルーティーな香りのする上質なウィードの品種(例:ブルーベリー系のストレイン)を指す。
When the world gets heavy and it hurts to carry
世界が重荷になって、背負うのが苦痛になった時
I'm her Midnight Mercenary, Fiend
俺は彼女の真夜中の傭兵さ、中毒者め
※「Fiend」はBasのレーベル名でありアパレルブランド名でもあり、「中毒者」や「熱狂的なファン」を意味する。
[Chorus: Bas]
It's lit, feel the buzz?
最高だろ、このバズを感じるか?
※「It's lit」は最高に盛り上がっている、またはガンギマリになっている状態。「buzz」はドラッグや酒による酔い、あるいは名声や評判による興奮のダブルミーニング。
That's a half? Shit it was
それで半分か?クソ、確かにそうだったな
※半分しか吸っていない(または半分しか飲んでいない)のに、すでに強烈にキマッている様子。
It's lit, feel the buzz?
最高だろ、このバズを感じるか?
It's lit, feel the buzz?
最高だろ、このバズを感じるか?
[Verse 2: Bas]
She take me to a place that I never would discover
彼女は俺が決して見つけられないような場所へ連れて行ってくれる
Might never have another, so I had to fuck her
もう二度とチャンスはないかもしれない、だから俺は彼女を抱くしかなかった
Reach into my pockets, damn I ain't got a rubber
ポケットに手を入れたが、クソ、コンドームを持ってねえ
See my nigga Ron like L. Ron Hubbard, he be outta space
ダチのロンはL・ロン・ハバードみたいだ、あいつは宇宙にイッちまってる
※L・ロン・ハバードは新宗教サイエントロジーの創始者でありSF作家。友人のRonがドラッグで宇宙レベルにハイになっている(outta space)様子をSF的に例えている。
Say he got a case of straps at the back of the hotel cupboard
ホテルの戸棚の奥にコンドームのケースを持ってるってさ
※「straps」は通常「銃」を意味するスラングだが、ここでは文脈上「コンドーム(ゴム)」の隠語として使われている。
Room 508, check by the safe, she say "Boy you got it made
508号室、金庫の横をチェックしろ、彼女は言う「ボーイ、大成功ね
Do you got a cape?", I ain't with the games ma, do I gotta wait?
マントでも持ってるの?」、俺は駆け引きはしないぜ、待たなきゃダメか?
※女性から「スーパーヒーロー(マントを持つ)みたいね」とからかわれているが、Basは焦らされるのを嫌がっている。
I'm quite impatient, intoxication got me feelin' like procreating
俺はかなりせっかちだ、酔いのせいで子作りしたくなってる
※「intoxication(酩酊)」によって性欲が増しているという直接的な表現。
Girl I'm the baker, you surely caking
ガール、俺はパン屋だ、君のケツは間違いなく極上だな
※「baker(パン屋/パイを焼く人)」と「cake(大きくて魅力的なお尻)」を掛けたワードプレイ。「caking」には「金を稼ぐ」や「イチャイチャする」という意味もある。
Stand back, catch my amazing graces
下がってな、俺の驚異の恩寵を受け取れ
※「Amazing Grace(アメイジング・グレイス=神の恵み)」という神聖な言葉を、射精やオーガズムという露骨な性的行為のメタファーとして不敬に引用している。
Photo finish and fornication
際どいフィニッシュと姦淫
※「Photo finish」は競馬などの僅差の決着を示す言葉だが、ここでは絶頂(フィニッシュ)のギリギリのタイミングのこと。
Photo finish and fornication, fiend
際どいフィニッシュと姦淫、中毒者め
[Chorus: Bas]
It's lit, feel the buzz?
最高だろ、このバズを感じるか?
That's a half? Shit it was
それで半分か?クソ、確かにそうだったな
It's lit, feel the buzz?
最高だろ、このバズを感じるか?
It's lit, feel the buzz?
最高だろ、このバズを感じるか?
[Bridge: KQuick]
Feel the buzz
バズを感じろ
Can you feel the buzz?
このバズを感じるか?
Feel the buzz, ohh-whoa, yeah
バズを感じろ、ohh-whoa, yeah
Do you believe in love?
愛を信じているか?
What's your drug? What's your drug?
お前のドラッグは何だ?お前のドラッグは何だ?
※イントロのサンプリングのテーマを復唱。ドラッグだけでなく、セックス、金、名声など、人が依存するあらゆるものを指している。
Ohh-whoa
[Interlude: J. Cole]
Take it all the way from the beginning
最初から全部やり直そう
※J. Coleによるスタジオでのメタ的な独白。レコーディングのプロセス自体を曲の中に組み込む手法。
Yea, yea, yea
Now comes the question of which intro do you use?
さて問題は、どのイントロを使うかだ
Do you use this intro or the other intro I was talkin' on?
このイントロにするか、俺が喋っていたもう一つのイントロにするか?
But, then that lets people know I had more than one take
だが、そうすると俺が何テイクも録ったことがみんなにバレちまう
※ラップゲームにおける「一発録り(ワンテイク)」の美学への言及。
So maybe we should just not use this and use the other intro
だから、これは使わずに、もう一つのイントロを使った方がいいかもしれないな
So people would think I just took it straight through
そうすれば、俺が通しで一発で録ったって思わせられるからな
※ラッパーの虚栄心(フェイクな部分)をあえてユーモラスに自己暴露している。
Yea, let's do that...
ああ、そうしよう…
[Verse 3: J. Cole]
You'd be surprised how many truths you can hide in flows
フロウの中にどれだけ多くの真実を隠せるか、お前は驚くはずだ
※リズミカルなラップの中に、深いメッセージや私小説的な真実を忍ばせるというJ. Coleのリリシズムの核心。
I'm listenin' to this beat with my eyelids closed
俺はまぶたを閉じてこのビートを聴いている
Thoughts keep flashin' and I keep laughin
様々な考えがフラッシュバックして、俺は笑い続けている
※過去の記憶が走馬灯のように蘇っている。
I never thought that I would fuck Irish hoes
アイルランド系の女とヤる日が来るなんて思いもしなかったぜ
※ノースカロライナの田舎出身の黒人青年が、世界的スターになり、地元では出会えなかったような異国の女性と関係を持つことへの驚き。
Maybe Asian bitches or Caucasian bitches
アジア系のビッチや、白人のビッチとな
Remember when I got to New York I was lost
ニューヨークに着いた時、迷子になったのを覚えている
※大学(セント・ジョーンズ大学)進学を機に上京した当時のカルチャーショック。
Because all I ever saw was Jamaican bitches
だって俺の目に映るのはジャマイカ系のビッチばかりだったからな
※NYのクイーンズやブルックリンにはカリブ海系(ジャマイカ系)の移民が多く、彼の地元とは全く違う人種のるつぼだった。
I ain't barely know what Jamrock was
「ジャムロック」が何なのかすら、ほとんど知らなかったんだ
※「Jamrock」はジャマイカの愛称(Damian Marleyの曲「Welcome To Jamrock」でも有名)。
Lil' country nigga God damn I was
田舎者のチビ黒人だったんだよ、ガッデム
To you niggas talkin online until you make it this high
ネット上で文句ばかり言ってるお前ら、この高みまで登りつめるまでは
※SNSで批判ばかりしているヘイターに対する忠告。
Then you could never understand this buzz, well
お前らにはこの「バズ」を絶対に理解できないだろうな、まあ
※成功による名声という強烈な「バズ(高揚感)」は、実際にスターになった者にしか分からないという孤独。
Maybe if you put yourself in the shoes
もしお前が、この靴を履いてみたら分かるかもしれないが
※「put yourself in my shoes(他人の立場に立つ)」という慣用句。
Of a nigga comin' straight out the South
南部から真っ直ぐに出てきた黒人の靴をな
※南部のノースカロライナ出身である自身のルーツの強調。
No gold grill just a east coast feel
金のグリルズはしてない、ただ東海岸のフィーリングを持ってる
※南部出身でありながら、ステレオタイプな南部のラッパー(グリルズを着けるトラップ系など)ではなく、NasやJay-Zなどの東海岸(NY)のブーンバップ・スタイルに影響を受けたというJ. Coleの特異な立ち位置。
And a set of crooked teeth in his mouth
そして口の中には不揃いな歯が並んでる
※J. Coleのトレードマークである「矯正していない自然な歯並び(crooked teeth)」。ハリウッドスマイルを手に入れるのではなく、ありのままの自分を保つという彼のコンシャスなスタンスの象徴。
Make them hoes bounce, that can't get enough
女たちをバウンスさせてやる、あいつらは満足を知らない
Niggas say I made it I ain't make it enough
奴らは「お前は成功した」と言うが、俺にはまだ十分じゃない
※現状に満足せず、さらに高みを目指すハスラー精神。
Man hang that nigga, you a real lame ass nigga
おい、あいつを吊し上げろ、お前は本当にダサい野郎だぜ
If you ain't got my tape in your truck
もしお前のトラックに俺のミックステープが入ってないならな
※自分の作品を聴いていない奴はリアルじゃないという強気な宣言。
Cole, um world don't you forget that
コール・ワールドだ、それを忘れるなよ
※自身のデビューアルバムのタイトル『Cole World: The Sideline Story』であり、世界は自分のものだというシグネチャーフレーズ。
I think I lost my mind round the same time I lost my six pack
シックスパックを失ったのと同じ頃に、俺は正気を失った気がする
※売れる前は鍛えていたが、成功による過労や不摂生で体型が崩れ、同時に精神的なバランス(lost my mind)も崩し始めたという悲哀。
But no sit-ups for me, long as my dick still get up for me
だが腹筋運動なんてしないさ、俺の息子がまだ立ってくれる限りはな
※体型がどうであれ、男としての機能(=スターとしての魅力)が衰えない限りは問題ないというジョーク。
Long as a ho still give up for me
ビッチがまだ俺に体を許してくれる限りは
She usually charge but she get us for free
彼女は普段は金を取るが、俺たちにはタダでさせてくれる
※ラッパーとしてのステータスがあるため、プロの女性も無料で抱けるというフレックス。
Woah, that's TMI, lil' something like TMZ
おっと、それは情報過多(TMI)だな、TMZみたいにちょっとやりすぎた
※「TMI (Too Much Information)」とゴシップメディアの「TMZ」で韻を踏む。プライベートを喋りすぎたと苦笑している。
Scared of the days you'll be seeing me
俺の姿を見られる日が来るのが怖いよ
※ゴシップやスキャンダルに晒されることへの恐怖。
Cause my girl do not play, coach DNP
だって俺の女は容赦しないからな、コーチのDNPだ
※「play(ふざける/試合に出る)」と、バスケットボール用語の「DNP (Did Not Play=出場せず)」を掛けた見事なパンチライン。浮気がバレたら彼女から試合出場停止(=関係の断絶)を食らうという恐れ。
That's something for the hoop fans
これはバスケファン向けのネタさ
※バスケ好きで知られるColeからの目配せ。
Just copped her the coupe man
彼女にクーペを買ってやったんだ
※罪滅ぼし、あるいは愛の証明としての高級車のプレゼント。
No drop top but a slot on the roof that can slide out
オープンカーじゃないが、ルーフにはスライドして開くスロットがある
※サンルーフ付きの車であることの描写。
And get a little sun while you ride out
ドライブしながら少し日差しを浴びられるやつだ
Ced on the beat let me vibe out
Cedが作ったビートだ、バイブスに浸らせてくれ
※この曲を共同プロデュースしたCed Brownへのシャウトアウト。
We was 15 with a ASR up in my house
俺たちが15歳の時、俺の家にはASRがあった
※「ASR(Ensoniq ASR-10)」は、Kanye WestやPharrell Williamsも愛用したヒップホップの名機サンプラー/キーボード。15歳から機材を揃え、ビートメイクに没頭していた青春時代の回想。
Writin' rhymes out, momma made it happen
ライムを書き出してた、母さんがそれを叶えてくれたんだ
※高価な機材を買ってくれた母親への深い感謝。J. Coleの楽曲では頻繁に母親への愛が語られる。
Could've been a lawyer but I made it rappin'
弁護士にもなれただろうが、俺はラップで成功した
※成績優秀でセント・ジョーンズ大学を優秀な成績で卒業したColeは、インテリな道を歩むこともできたが、あえて困難なヒップホップの道を選んで結果を出した。
He made it rappin', now at the shows he the main attraction
彼はラップで成功した、今じゃライブで彼はメイン・アトラクションだ
※自分自身を客観視(三人称)して、現在のスターとしての地位を確認している。
Another shot of Henny so I'm faded askin'
もう一杯ヘネシーのショットを飲んで、酔っ払って問いかけるんだ
※「Henny」はヒップホップ定番の酒、コニャックのヘネシー。
How long do this drug called fame be lastin'?
「名声」という名のこのドラッグは、いったいどれくらい続くんだろうか?ってな
※曲のサンプリングテーマ(Drugs)への最終的な回答。単なる薬物ではなく、名声やスターダムという最も危険で中毒性のある「ドラッグ」の虚無感と、いつか終わるかもしれない恐怖を吐露してバースを締める。
(It's lit, feel the buzz?)
(最高だろ、このバズを感じるか?)
Another shot of Henny so I'm faded askin'
もう一杯ヘネシーのショットを飲んで、酔っ払って問いかけるんだ
How long do this drug called fame be lastin'?
「名声」という名のこのドラッグは、いったいどれくらい続くんだろうか?ってな
That's deep
深いな
※自分自身の真理を突いたリリックに対する、J. Coleらしい思索的なつぶやき。
[Outro: Bas]
Feel the buzz?
バズを感じるか?
It's lit, feel the buzz?
最高だろ、バズを感じるか?
Feel the buzz?
バズを感じるか?
