Artist: 21 Savage
Album: american dream
Song Title: american dream
概要
2024年にリリースされた21 Savageの3rdソロアルバム『american dream』の幕開けを飾るタイトルトラックにして、極めて感動的なスポークンワード(語り)である。語り手は、21 Savageの実の母親であるHeather Carmillia Joseph。21 Savageはイギリスのロンドンで生まれ、7歳の時に母親と共にアメリカのアトランタへ移住したが、ビザの失効により不法移民状態となっていた。2019年にICE(移民関税執行局)に拘束され強制送還の危機に瀕したが、数年にわたる法的な闘いを経て、2023年についにアメリカの永住権(グリーンカード)を獲得し、自由に海外へ渡航できるようになった。このトラックでは、海を渡って見知らぬ土地へやってきた母の苦悩、自己犠牲、そして息子が真の自由と「アメリカンドリーム」を掴み取ったことへの誇りが語られている。冷酷なトラップスターの裏にある、一人の移民としての壮絶な背景と家族愛を提示し、アルバム全体のテーマを決定づける歴史的なイントロダクションである。
和訳
[Interlude: Heather Carmillia Joseph]
My dreams have always gone beyond the crossing of a pond
私の夢は常に、池を渡る以上のものだった
※「crossing of a pond(池を渡る)」は、イギリスとアメリカを隔てる大西洋を「池(Pond)」に例えるイギリス特有の表現。単に海を渡って移住するだけでなく、その先にある真の成功を夢見ていたということ。
As a mother, every path I walked was for my son
母親として、私が歩んだすべての道は息子のためのものだった
Challenges were a part of the journey
困難はこの旅の一部だった
※見知らぬ国での生活、貧困、そして不法移民という過酷な状況下での子育て。
And what I wanted was an afterthought
そして私が望んだことは、いつも後回しにされた
※自分の個人的な幸せや欲求を犠牲にして、息子の未来を最優先にしてきたという母の無償の愛。
The idea of providing him proper chances
彼に適切なチャンスを与えるという思いが
Helped me to never stop moving forward
私が決して前進を止めないための支えになっていた
Forever confronting whatever transitions that needed to be endured
耐え忍ぶ必要のあるあらゆる変化に、永遠に立ち向かい続けながら
To make his position as a winner more secured
勝者としての彼の地位を、より確固たるものにするために
Now I smile, feeling assured
今、私は確信を持って微笑んでいる
My choices wеre not in vain
私の選択は無駄ではなかったと
※イギリスからアトランタのゲットーへ移住したことは多くの苦難を伴ったが、結果として息子が世界的ラップスターとして大成功を収めたことで、その選択が正しかったと証明された。
Locations and situations constantly change
場所や状況は常に変化する
But my unwavering hеart remains
しかし、私の揺るぎない心は残り続ける
For all the trials and all the pain
すべての試練とすべての痛みを経て
The mission is as it's always been
使命はこれまでと何一つ変わらない
For my son to become a man and live free in his American dream
私の息子が一人前の男になり、彼のアメリカンドリームの中で自由に生きることだ
※「live free(自由に生きる)」。ICEに拘束され、国から追い出される恐怖に怯える日々を乗り越え、ついに永住権を獲得して「法的な自由」を手に入れた息子への、究極の祝福の言葉。
