Artist: 21 Savage & Metro Boomin
Album: SAVAGE MODE II
Song Title: No Opp Left Behind
概要
2020年にリリースされた21 SavageとMetro Boominのコラボアルバム『SAVAGE MODE II』に収録された、極めて冷酷でストイックなトラップ・チューンである。タイトルの「No Opp Left Behind」は、2001年にアメリカで制定された教育法「No Child Left Behind Act(落ちこぼれ防止法:一人も置き去りにしない)」をもじったものであり、ここでは「敵(Opp)は一人も残さず皆殺しにする」という恐ろしいギャングスタの信条として反転させられている。Metro Boominによる不気味なメロディとタイトなドラムの上で、21 Savageは一切の感情を交えずに殺人やストリートの掟をラップする。さらにアウトロでは、モーガン・フリーマンが「賢者は敵を作らないが、可能ならば全滅させるべきだ」というマキャヴェリズム的な格言を語り、アルバムの持つ映画的な冷徹さを完璧な形で締めくくっている。
和訳
[Intro]
Metro in this bitch goin' brazy
メトロがこの場所でイカれたビートを鳴らしてるぜ
[Verse 1]
Made it out the dirt, I was head first
泥沼から抜け出した、真っ先にな
A nigga used to rob, ayy, and I used to serve
昔は強盗もしてたし、クスリも捌いてたんだ
Couldn't go to work, school was the worst
まともに働きにも行けなかった、学校は最悪だったからな
Pussy tried to play me, ayy, put him on a shirt
俺をナメようとした臆病者は、Tシャツの上にプリントしてやったよ
※「put him on a shirt」は敵を殺害し、遺族や仲間が着る追悼用Tシャツの顔写真にしてやるというヒップホップ特有の残酷な表現。
Lambo real fast, fell in love with cash
ランボルギーニはマジで速い、現金と恋に落ちたんだ
Fell in love with head, ayy, I fell in love with ass
フェラに恋に落ちて、ケツと恋に落ちた
Science, I was 'sleep, ayy, I fell in love with math
理科の時間は寝てたが、数学には恋に落ちたんだ
※「math(数学)」は金を数えることのメタファー。
She was at the club, ayy, I made her take a bath
彼女はクラブにいた、だから風呂に入らせたのさ
※ストリートの女を抱く前に体を洗わせるというハスラーの生々しい描写。
Ayy, I'm King Smoke, so I got a drum on the stick
俺はキング・スモークだ、だからスティックにドラムを付けてるんだ
※「Smoke」は抗争。「stick」はアサルトライフル、「drum」は装弾数の多いドラムマガジンのこと。
Gang was in there, I can't put my tongue on that shit
ギャングの連中がそこに入ってたから、俺はそこに舌を入れることなんてできないぜ
※仲間たちとヤッた(穴兄弟になった)女性に対して、クンニ(put my tongue)は絶対にしないというルール。
He was talkin' crazy 'til that hollow hit his lip
あいつは狂ったように喚いていた、ホローポイント弾が唇をブチ抜くまではな
※「hollow」は人体内で砕けて殺傷力を高める弾丸。
Ayy, Big 4L, even the killers gettin' killed
ビッグ・4Lだ、殺人鬼でさえ殺される世界だぜ
※「4L」は21 Savageのクルー。
All you see is Pateks and APs in my clique
俺のクルーにいるのはパテックとAPを身につけた奴らばかりだ
※Patek PhilippeやAudemars Piguetといった超高級時計。
Wе got all the bottles and the hookah in thе VIP
VIP席にはボトルとシーシャがすべて揃ってる
I might be a rapper, but it's thirty in this clip
俺はラッパーかもしれないが、このクリップには30発入ってるぜ
※芸能人になっても、護身用(あるいは襲撃用)の拡張マガジンを手放していないという事実。
Ayy, Zone 6, we get niggas buried 'round this bitch
ゾーン6だ、この辺りじゃ野郎どもを土に埋めてるんだ
[Chorus]
Pitbull the way I walk, way I talk
歩き方も話し方もピットブルみたいだろ
Loose lips sink ships, yellow tape, white chalk
口は災いの元だ、黄色いテープに白いチョーク
※「Loose lips sink ships(不用意な発言が船を沈める)」は第二次世界大戦中の標語で、密告や余計な口叩きが命取りになるというストリートの掟。結果として警察の規制線(黄色いテープ)と死体の輪郭(白いチョーク)が描かれることになる。
Multitask, use the pistol and the fork
マルチタスクだ、ピストルとフォークを使いこなす
※銃での抗争(pistol)と、クラックコカインの精製(fork)を同時にこなすトラッパーの日常。
Screamin', "No opp left behind," nigga, we gon' kill 'em all
「一人の敵も残すな」と叫ぶ、俺たちは全員皆殺しにするんだ
Ain't no cap in my rap, ain't no flaw
俺のラップに嘘はない、欠陥もない
You could tell it when I rap, ain't no cut, this shit raw
俺がラップすればわかるだろ、混ぜ物はない、こいつは純度100%の生だ
※ドラッグの純度(cut/raw)と自分のラップのリアルさを掛けている。
Cut him off if he talkin' to the law
もし警察と話すような奴がいれば、縁を切る(切り捨てる)
I'm with Draco 'cause he quiet 'til he hit you in the jaw
俺はドラコと一緒だ、奴はお前の顎を撃ち抜くまで静かだからな
※「Draco」はAK-47の短銃身モデル。余計な口を叩かず、確実に仕事を遂行する相棒(銃)への信頼。
[Verse 2]
My lil' niggas don't wanna trap, they wanna spin
俺の若い衆はトラップなんかしたくない、スピンしたがってるんだ
※「trap」は麻薬密売、「spin」は車で敵のシマを襲撃すること。下の世代が金稼ぎよりも暴力を渇望しているというストリートの現実。
Ayy, spin, fill the choppas up, then spin again
スピンして、チョッパーに弾を込めて、またスピンする
Free my dawg, he not ink, so why he in a pen'?
俺のダチを解放しろ、あいつはインクじゃないのに、なんでペンの中にいるんだ?
※「pen」は刑務所(penitentiary)と文房具のペンを掛けた言葉遊び。
From Atlanta, not Vegas, but I still sin
アトランタ出身だ、ベガスじゃないが、それでも罪を犯すのさ
※ラスベガスの異名である「Sin City(罪の街)」と掛けている。
Ayy, chain like a yo-yo, ride me like a pogo
チェーンはヨーヨーみたいに揺れ、ホッピングみたいに俺に乗る
※「pogo」はホッピング(Pogo stick)のこと。女性がまたがる様子。
She from out of D.C., when she fuck me, she play go-go
彼女はD.C.出身だ、俺とヤる時はゴーゴーを流すんだ
※「go-go」はワシントンD.C.発祥のファンク/R&Bのサブジャンル。
Used to sip lines, now a nigga sippin' Fours, though
昔は数ラインを啜ってたが、今じゃ4オンスを啜ってるぜ
※咳止めシロップ(リーン)の量。金持ちになり大量のドラッグを消費できるようになったこと。
Niggas rappin' gangsta, but they really hoes, though
野郎どもはギャングスタぶってラップしてるが、本当はただのビッチだ
Street niggas, streets don't talk, but you told, though
ストリートの野郎ども、ストリートは喋らないが、お前は喋った(密告した)だろ
Rattail hangin' in the hood, boy, you bold bold
フッドでラットテールを垂らして歩くなんて、お前は本当に度胸があるな
※「Rattail」は襟足だけを長く伸ばす髪型だが、ここでは「裏切り者のネズミ(Rat)の尻尾」と掛けて、密告者がのうのうと地元を歩いていることを皮肉っている。
We ain't tryna hear 'bout all the bricks that you sold sold
お前が捌いたというブリックの話なんて聞きたくないね
※「brick」はキロ単位のコカイン。ラップの中だけの虚勢。
They don't need a badge, but them niggas still the po-po
バッジは持ってなくても、あの野郎どもは警察と同じだ
※警察に情報を売るスニッチ(密告者)は、実質的に警察(po-po)の犬であるというディス。
Focused on my bag, focused on my money
自分のバッグに集中し、自分の金に集中する
I done had some dark days, I done had some sunny
暗い日々もあれば、晴れの日もあった
Niggas think they hot, I think niggas funny
奴らは自分がイケてると思ってるが、俺から見たら滑稽だね
Ayy, yellow baguette, VV-VVS's look like honey
黄色いバゲットカット、VVSダイヤがハチミツみたいに見える
All my diamonds pissed on, ayy, Andre Drummond
俺のダイヤは小便をかけられたみたいだ、アンドレ・ドラモンドさ
※イエローダイヤモンドを「小便をかけられた(pissed on)」と表現するスラング。さらに、当時NBAのデトロイト・ピストンズ(Pistons)に所属していたAndre Drummondの名前を出し、「Pissed on」と「Pistons」で韻を踏むという極めて高度な言葉遊び。
My playa won't even pull inside the 'partments 'cause they haunted
俺の仲間はアパートの中に車を停めようともしない、そこには幽霊が出るからな
※かつての抗争で大勢が死んだため、ゲットーの団地(アパート)が「呪われている(haunted)」というストリートの血生臭い歴史。
My dawg could've passed me the ball, but he punted
俺のダチは俺にボールをパスすることもできたのに、あいつはパントしやがった
※アメフトで攻撃権を放棄してボールを蹴り飛ばす「パント」。仲間がチャンスを不意にした、あるいは裏切ったことへの比喩。
Got my turn, did a onside kick, that's how I'm comin'
俺の番が来た、オンサイドキックをしてやった、それが俺のやり方だ
※アメフトで自らボールを短く蹴って自ら確保しにいく奇襲「オンサイドキック」。他人のパスを待つのではなく、自らの手で強引にチャンスを掴み取ったというハスラーとしてのスタンス。
[Chorus]
Pitbull the way I walk, way I talk
歩き方も話し方もピットブルみたいだろ
Loose lips sink ships, yellow tape, white chalk
口は災いの元だ、黄色いテープに白いチョーク
Multitask, use the pistol and the fork
マルチタスクだ、ピストルとフォークを使いこなす
Screamin', "No opp left behind," nigga, we gon' kill 'em all
「一人の敵も残すな」と叫ぶ、俺たちは全員皆殺しにするんだ
Ain't no cap in my rap, ain't no flaw
俺のラップに嘘はない、欠陥もない
You could tell it when I rap, ain't no cut, this shit raw
俺がラップすればわかるだろ、混ぜ物はない、こいつは純度100%の生だ
Cut him off if he talkin' to the law
もし警察と話すような奴がいれば、縁を切る(切り捨てる)
I'm with Draco 'cause he quiet 'til he hit you in the jaw
俺はドラコと一緒だ、奴はお前の顎を撃ち抜くまで静かだからな
[Outro]
Multitask, use the pistol and the fork
マルチタスクだ、ピストルとフォークを使いこなす
Screamin', "No opp left behind," nigga, we gon' kill 'em all
「一人の敵も残すな」と叫ぶ、俺たちは全員皆殺しにするんだ
Multitask, use the pistol and the fork
マルチタスクだ、ピストルとフォークを使いこなす
Screamin', "No opp left behind," nigga, we gon' kill 'em all
「一人の敵も残すな」と叫ぶ、俺たちは全員皆殺しにするんだ
Ain't no cap in my rap, ain't no flaw
俺のラップに嘘はない、欠陥もない
You could tell it when I rap, ain't no cut, this shit raw
俺がラップすればわかるだろ、混ぜ物はない、こいつは純度100%の生だ
Cut him off if he talkin' to the law
もし警察と話すような奴がいれば、縁を切る(切り捨てる)
I'm with Draco 'cause he quiet 'til he hit you in the jaw
俺はドラコと一緒だ、奴はお前の顎を撃ち抜くまで静かだからな
[Skit: Morgan Freeman]
A wise man knows not to have a lot of enemies
賢い男は、多くの敵を持たないことを知っている
The friction of constant conflict is a distraction in life
絶え間ない闘争の摩擦は、人生の妨げとなる
And left unchecked can end up being what subtracts him from life
そしてそれを放置しておけば、最終的に彼の人生を終わらせる(差し引く)ことになりかねない
If possible, all enemies should be eliminated
可能であれば、すべての敵は排除されるべきである
※モーガン・フリーマンによるアウトロ。争いを避けるのが賢明だと説きながらも、最後の最後で「すべての敵を排除(No Opp Left Behind)しろ」というマキャヴェリズム的な残酷な結論へと着地させる、見事なシネマティック・ギミック。
