Artist: 2nd Generation Wu (feat. 5th PXWER)
Album: Hereditary
Song Title: Shotgun
概要
Wu-Tang Clanの血脈を受け継ぐ2nd Generation Wuのプロジェクトにおいて、Method Manの実の息子である5th PXWER(PXWER)のソロスキルが爆発するドープな一曲である。本作は、父親譲りのザラついたハスキーボイスと、90年代ニューヨーク・アンダーグラウンドの空気をそのままパックしたかのようなブーンバップ・ビートが特徴的だ。サビではWu-Tang Clanの歴史的名曲『It's Yourz』におけるU-Godのアイコニックなイントロフレーズを大胆にサンプリング・引用しており、グループのDNAが細胞レベルで継承されていることを提示している。さらに、アメコミヒーロー(ルーク・ケイジ、アクアマンなど)や格闘ゲーム(モータルコンバット)といったオタクカルチャーとストリートの生々しいメタファーを融合させるリリシズムは、まさにWu-Tangが90年代に確立したヒップホップの美学そのものであり、二世としての重圧を跳ね除け自らの実力を証明する強烈なステートメントとなっている。
和訳
[Intro: PXWER]
It's P
Pだ
We gon' make money
俺たちは金を稼ぐ
We gon' take money
俺たちは金を奪い取る
※「Make money, take money」は、90年代の東海岸ヒップホップ(Biggie等の楽曲など)で頻出するストリートのハスラーにおける絶対的なスローガン。
We go' make money
俺たちは金を稼ぐ
Or we gon' take money
さもなきゃ金を奪い取る
We go' make money
俺たちは金を稼ぐ
Or we gon' take money
さもなきゃ金を奪い取る
We go' make money
俺たちは金を稼ぐ
Or we gon' take it
さもなきゃ奪い取るんだ
[Verse 1]
I got roaches, nah really I got roaches
俺のところにはローチがいるぜ、いやマジでローチを持ってるんだ
※「Roach」は害虫のゴキブリ(劣悪な環境のストリートライフの象徴)と、最後まで吸い詰めたマリファナの吸い殻のダブルミーニング。ストリートの貧困とウィード漬けの日常を掛けている。
Cause niggas always smoking, niggas really be towing
だってダチはいつもハッパを吸い続けてるし、マジで引っ張ってるからな
As of late, I look more like him every day in this mirror
最近じゃ、鏡を見るたびに日に日に「彼」に似てきている
※「彼(him)」は実の父親であるMethod Manのこと。容姿や声、ラッパーとしての振る舞いが伝説的な父親に近づいていく二世としての自覚と誇り。
Hold up, how you want that face smacked? Nigga I don't hear ya
待てよ、どんな風にその顔面を引っぱたかれたいんだ? お前の言うことなんか聞こえねえよ
A good kid, only in my parent's eyes
良い子だったさ、両親の目から見ればな
Lil nigga running 'round to antagonise, I ain't listen
反抗して走り回るガキだった、俺は言うことなんて聞かなかったんだ
He eat your food, throw the plate, I ain't do the dishes
アイツはお前の飯を食い散らかして、皿を投げ捨てる、俺は皿洗いなんてしねえ
※「飯を食う(eat your food)」は、ヒップホップ用語で「相手のシマや利益、リスペクトを奪い取る」という攻撃的なスラング。
Dial for the link, give a fuck cause I don't know you bitches
取引のために電話をかけな、知ったこっちゃねえよ、お前らビッチのことなんか知らねえからな
I'm this ender with my madness kicking mad shit
俺はこの狂気でヤバいシットを蹴り飛ばす、終止符を打つ存在だ
Up for hours, writing these classics, I'm that sick
何時間も起き続けて、このクラシックを書き上げてる、俺はそれくらい病的にヤバいんだ
I'm bastard to these rappers, y'all don't father my style
俺はこのラッパーどもにとっての私生児だ、お前らが俺のスタイルを生み出したわけじゃねえ
※「bastard(私生児・厄介者)」と「father(父親・生み出す)」の言葉遊び。シーンにおいて俺は誰の真似でもない独自のスタイルを持っているという宣言。
Was born to go wild like a child who never smiled off this OG on the mic
マイクを握るこのOGの元で、一度も笑わなかった子供のように荒れ狂うために生まれてきたんだ
※「OG」は父親であるMethod Man、あるいはWu-Tangというオリジナル・ギャングスタたちの環境を指す。
I'm talking shit again, niggas know me
俺はまたクソみたいな口を叩いてる、連中は俺のことを分かってるぜ
I'm 'bout this bread and this lettuce, niggas just baloney
俺はこのパンとレタスに懸けてる、お前らはただのボローニャソーセージだ
※「bread」と「lettuce(緑色)」はどちらも「金(ドル札)」のスラング。自分は本物の金を稼ぐが、フェイクなラッパーたちはサンドイッチの具(baloney)のような中身のない戯言(baloney=たわ言のダブルミーニング)だとディスしている。
You perpetrating, how you do it fool?
お前は偽ってるだけだ、どうやって誤魔化してるんだ、愚か者め?
True to this shit, I'm in the booth like a super suit
このシットに忠実さ、俺はスーパースーツを着たみたいにブースにいるんだ
I mean, "Ayo honey" (What?), "Where's my super suit?"
つまり、「おいハニー」(何よ?)、「俺のスーパースーツはどこだ?」ってことだ
※ピクサー映画『Mr.インクレディブル』に登場するヒーロー、フロゾン(サミュエル・L・ジャクソンが声を担当)の超有名なコミカルな名台詞からのサンプリング。
And If I can't pop, I'm underground like the sewers do
もし俺がポップに売れないなら、下水道みたいにアンダーグラウンドを這い回ってやるよ
※ポップスのメインストリームで売れなくても、Wu-Tangが体現したような泥臭いアンダーグラウンドのヒップホップで生き抜くという決意表明。
I come bearing these arms like Goro or the trooper dude
ゴローやトルーパー野郎みたいに、こいつら(腕/武器)を携えてやって来たぜ
※「arms」は「腕」と「武器」のダブルミーニング。ゴロー(Goro)は残虐格闘ゲーム『モータルコンバット』に登場する4本腕のボスキャラクター。俺は普通のラッパーの何倍もの武器(スキル)を持っているというボースト。
Always stand out, you just around like a hula-hoop
俺は常に際立っているが、お前はフラフープみたいにただ周りを回ってるだけだ
Nigga
ニガ
Spit the flame, dump the beat in my own stores, right
炎を吐き出し、俺の縄張りでビートをぶっ放す、そうだろ
I don't bang, but what's popping for the night?
俺はギャングバンガーじゃねえが、今夜は何が起きるんだ?
They don't like how I talk shit when I'm on the mic
俺がマイクでクソみたいな口を叩くのが、奴らは気に入らないみたいだな
You niggas dyke, tough bitch in my sight, now pull your skirt up
お前らはダイクだ、俺の目にはタフなビッチにしか見えねえ、さあスカートをめくり上げな
※ストリートでタフぶっているだけのフェイクなラッパーたちを、女々しい奴らだと嘲笑している強烈なディス。
[Pre-Chorus: PXWER]
Make money
金を稼ぐ
Take money
金を奪い取る
We gon' make money
俺たちは金を稼ぐ
Or we gon' take money
さもなきゃ金を奪い取る
We gon' make money
俺たちは金を稼ぐ
Or we gon' take money
さもなきゃ金を奪い取る
We gon' make money
俺たちは金を稼ぐ
Or we gon' take it
さもなきゃ奪い取るんだ
[Chorus: PXWER]
Is it real, son, is it really real, son?
それはリアルか、兄弟、本当にリアルなのか?
If it's really real son, then it's really real
もしそれがマジでリアルなら、本物のリアルってことだ
※Wu-Tang Clanのセカンドアルバム『Wu-Tang Forever』収録のクラシック曲「It's Yourz」のイントロにおける、U-Godの歴史的なセリフを完全引用している。Wuの正統後継者であることをファンに見せつける最高のトリビュート。
Something I could feel, son, you load it up and kill one
俺が感じ取れる何かだ、兄弟、お前はそいつを装填して一人仕留めるんだ
You want it raw deal, son, is it really real?
生々しい取引を望んでるんだろ、兄弟、それは本当にリアルなのか?
[Verse 2: PXWER]
I say
俺は言うぜ
"Hey, you, you not a challenge
「おい、お前、お前なんか相手にならねえよ
When you spit, that applause be silent, fuck outta here"
お前がラップを吐いても、拍手は鳴りやしねえ、さっさと失せな」
Load a big clip up, leave a fuck nigga outta here
デカい弾倉を装填して、クソ野郎どもをここから追い出すんだ
Or the snuff 'ling you like, grandma rocking chair
それともお前が好きな鼻息を鳴らすか、ばあちゃんのロッキングチェアみたいにな
Sha in the physical, PXWER on my best day
肉体としてはシャだ、最高の日はPXWERになる
※「Sha」は自身の名前、あるいは地元スタテンアイランド(Shaolin)のこと。普段は肉体を持つ一人の人間だが、マイクを握って最高の状態に入ると、アーティスト「PXWER」として超次元的な存在になることを意味する。
5th dimension surfing when the booth get set ablaze
ブースが炎に包まれたとき、俺は5次元をサーフィンするんだ
※自身の名前である「5th(5番目)」と掛けた表現。
I'm top rhyming, you top ramen, two minute made
俺は最高のライム(トップ・ライミング)だが、お前はトップ・ラーメンだ、2分で出来上がりさ
※ヒップホップにおける非常に古典的で秀逸な言葉遊び。「Top Ramen(アメリカで流通する安価なインスタントラーメン)」と「Top Rhyming(極上のライミング)」で韻を踏み、相手のラップがインスタント食品のように薄っぺらく安っぽいことを揶揄している。
Sweet Christmas, he tried to hit me, but I been a Cage
スウィート・クリスマスだ、アイツは俺を撃とうとしたが、俺はケイジだったからな
※「Sweet Christmas!」はマーベル・コミックの黒人ヒーロー「ルーク・ケイジ(Luke Cage)」の有名な決め台詞。彼は銃弾を弾き返す「鋼の皮膚」を持つため、「敵の攻撃(hit)を一切受け付けない」というストリートとオタクカルチャーが融合した極上のパンチライン。
Like fuck rapping, I'm bout to put this pencil through you
ラップなんて知るかよ、俺はこの鉛筆でお前を突き刺してやる
※『ダークナイト』におけるジョーカーの有名な手品(鉛筆を頭に突き刺す)を彷彿とさせるバイオレントな表現。
I want static like nigga I can't hear my bluetooth
俺はスタティック(乱闘)を求めてるんだ、ブルートゥースが聞こえねえようなノイズみたいにな
※「Static」は電波のノイズと、ストリートにおける「ビーフ(揉め事・乱闘)」のダブルミーニング。
I take it back like wave caps
ウェーブキャップみたいに後退させてやるぜ
※「wave caps(ドゥーラグのような黒人のヘアケア用品)」と波(wave)を掛けている。
You get thrown in the tide when King Arthur start pushing waves back
キング・アーサーが波を押し返し始めたら、お前は潮の流れに飲み込まれるぜ
※「King Arthur」はアーサー王伝説と同時に、DCコミックスの海の王者「アクアマン(本名アーサー・カリー)」を指している。俺がアクアマンのように波(ウェーブ)を操れば、お前らフェイクラッパーは飲み込まれて消えるという高度なメタファー。
[Pre-Chorus: PXWER]
Make money
金を稼ぐ
Take money
金を奪い取る
We gon' make money
俺たちは金を稼ぐ
Or we gon' take money
さもなきゃ金を奪い取る
We gon' make money
俺たちは金を稼ぐ
Or we gon' take money
さもなきゃ金を奪い取る
We gon' make money
俺たちは金を稼ぐ
Or we gon' take it
さもなきゃ奪い取るんだ
[Chorus: PXWER]
Is it real, son, is it really real, son?
それはリアルか、兄弟、本当にリアルなのか?
If it's really real son, then it's really real
もしそれがマジでリアルなら、本物のリアルってことだ
It's something I could feel, son, you load it up and kill one
俺が感じ取れる何かだ、兄弟、お前はそいつを装填して一人仕留めるんだ
You want it raw deal, son, is it really real?
生々しい取引を望んでるんだろ、兄弟、それは本当にリアルなのか?
Lemme hear it?
聞かせてくれよ?
[Outro: Method Man + GZA]
Blackberry squeeze, bitch you a tease
ブラックベリーの果汁だ、ビッチ、お前は焦らしてくるな
※ここからは父親であるMethod Manらの初期のフリースタイルや生々しいシャウトアウトのサンプリングアウトロ。90年代当時の荒削りで猥雑な空気感がそのままパッケージされている。
Titties small, I got used to the squeeze
胸は小さいが、揉むのには慣れたぜ
Fuck that shit, I'm through with this bitch
あんなクソ知るかよ、このビッチとはもう終わりだ
Oh yeah, please
ああ、頼むぜ
Here, get the crease off these welfare cheese
ほら、この生活保護のチーズのシワを伸ばしな
※「welfare cheese」はアメリカの低所得者向けに配給されていた政府支給のプロセスチーズ。貧困層のゲットーライフを象徴する単語。
And I could blow 50Gs overseas
そして俺は海外で5万ドルを吹き飛ばすことだってできるんだ
I could blow 50Gs overseas
海外で5万ドルを散財してやるさ
I do with the breeze if I ain't Pimp tease
俺がピンプのティーズじゃねえなら、風と共に去るぜ
