Artist: JPEGMAFIA
Album: EXPERIMENTAL RAP
Song Title: The Ghost of Emmett Till
概要
JPEGMAFIA(通称ペギー)の「The Ghost of Emmett Till」は、アメリカの暗部である人種差別の歴史と、現代のポップカルチャーやストリートの暴力性をシームレスに交差させた問題作である。タイトルの「エメット・ティル」とは、1955年に白人女性キャロリン・ブライアントの虚偽の証言によって凄惨なリンチを受け殺害された14歳の黒人少年のこと。ペギーは、法裁きを受けずに天寿を全うしたキャロリンへの直接的な怒りと呪いをラップに乗せながらも、同時にWWEのプロレスラー(JBL)や元大統領夫人の下品なネットゴシップ、CNNのアンカーなどを容赦なくネームドロップしていく。コンシャスな怒りとインターネット・トロール的な不謹慎さが同居する、ペギーの「攻撃的なオタク」としてのペルソナが極まったハードコアなバンガーだ。
和訳
[Verse 1]
Triggers bustin', you niggas duckin', I need to repent (How'd you feel?)
引き金を引く、お前らは身をすくめる、俺は懺悔しなきゃな (How'd you feel?)
Hold the heat like I harbor hate for the high-income tenants
高所得の住人たちに憎悪を抱くように、熱を保持するぜ
※「heat」は銃。ジェントリフィケーションによってフッドに住み着いた富裕層(high-income tenants)への怒りと、銃を懐に忍ばせることを掛けている。
Serving Venus and get Serena to pitch up the tennis (Feel alright?)
ビーナスにサーブして、セリーナにテニスを盛り上げさせる (Feel alright?)
※「Serving」はドラッグを売ることとテニスのサーブのダブルミーニング。テニス界のレジェンドであるビーナスとセリーナのウィリアムズ姉妹を引用。
Niggas don't be ballin', ya numbers looking like Anthony Bennett (Y'all feel like that?)
お前らは稼いじゃいねえ、その数字はアンソニー・ベネットみたいだぜ (Y'all feel like that?)
※「ballin'」はバスケをプレイすることと大金を稼ぐこと。アンソニー・ベネットはNBAドラフト1位指名ながら全く活躍できずにリーグを去り、史上最大の「バスト(失敗作)」と呼ばれる選手。
Fuck Carolyn Bryant, my niggas dying, it's R.I.P. Emmett
キャロリン・ブライアントなんてクソ喰らえ、俺の仲間たちが死んでいく、安らかに眠れエメット
※キャロリン・ブライアントは、1955年に14歳の黒人少年エメット・ティルが白人たちにリンチされ惨殺された事件の元凶となった白人女性。彼女の嘘の証言が惨劇の引き金となった。
She did the crime but ain't do the time, she in Hell with no helmet
あの女は罪を犯したのに服役すらしなかった、今頃はヘルメットもなしで地獄にいるだろうよ
※キャロリンは法的に裁かれることなく天寿を全うし、2023年に死亡した。彼女が地獄の業火に焼かれているであろうという強烈な皮肉。
I'm in her mouth, got her biting down on the crown like a dentist
俺は彼女の口の中にいる、歯医者みたいにクラウンを強く噛ませてやる
※オーラルセックスの隠語。「crown」は歯の被せ物(クラウン)と王冠を掛けている。
You in the field but you playing 'round, you ain't ready to scrimmage
お前はフィールドにいるが遊び半分だ、練習試合の準備すらできてねえ
※「field」はストリートとスポーツの競技場の掛詞。「scrimmage」はアメフトなどの練習試合。
I feel likе Popeye exposing you niggas' bitchеs to spinach
俺はポパイになった気分だ、お前らのビッチどもにほうれん草を味あわせてやる
※ポパイのパワーの源である「ほうれん草(spinach)」は、ストリートでは大麻や札束を意味するスラング。
I heard that bitch got that Nancy Reagan, the head is the illest
あのビッチはナンシー・レーガンばりのテクを持ってるって聞いたぜ、最高のフェラだ
※「Nancy Reagan」は元アメリカ大統領夫人。彼女がハリウッドの女優時代に界隈で「フェラチオの女王(Throat GOAT)」として有名だったという、ネット上で広く拡散された都市伝説(ミーム)を引用した極めて不謹慎なパンチライン。「head」はフェラチオ。
I'm breaking bread with the killers, fighting my demons on Triller (Y'all feel like that?)
俺はキラーたちと食事を共にする、トリラーで俺の悪魔たちと戦ってるんだ (Y'all feel like that?)
※「break bread」は食事を共にする、または利益を分け合うこと。「Triller」はボクシングや格闘技のイベントを配信するプラットフォーム。
When I hit your bitch from the back, she going from sprinter to quitter
俺がお前のビッチを後ろから突くと、彼女はスプリンターからリタイア組に変わる
She on her knees for the Lord, but she bending over for sinners
彼女は主のためにひざまずくが、罪人たちのためにも身を屈めるんだ
I'm in her lips like some filler, you in the basement like Tigger
俺はフィラーみたいに彼女の唇の中にいる、お前はティガーみたいに地下室にいる
※「filler」は唇を分厚くするヒアルロン酸注入。「Tigger」はBETの伝説的なヒップホップ番組『Rap City: Tha Basement(地下室)』のホストを務めたBig Tiggerのネームドロップ。
Yo' bitch wanna fuck with a winner, I'm finna fuck 'round and let her (Alright, one, two—!)
お前のビッチは勝者とヤりたがってる、俺は適当に遊んで彼女にそうさせてやるつもりだ (Alright, one, two—!)
[Chorus]
Who in the fuck is telling you niggas to bet?
一体誰がお前らに賭けろなんて言ったんだ?
You niggas wet behind the ears, you should invest in a vest
お前らは耳の後ろが濡れたままだ、防弾チョッキに投資するべきだな
※「wet behind the ears」は未熟な青二才を意味するイディオム。「vest」は防弾チョッキ。
I'm so obsessed with success, I be making my reps
俺は成功に取り憑かれてる、自分のレップスを積み重ねてるんだ
※「reps」は筋トレの回数(reps)、ストリートでの評判(reputation)、フッドを代表すること(represent)のトリプルミーニング。
I never made it to the league and I still play with the best
俺はリーグには入らなかったが、それでも最高の奴らとプレイしてるぜ
※「the league」はNBAなどのプロリーグと、メジャーレーベルのこと。インディペンデントのままで業界のトップと肩を並べているという絶対的なフレックス。
I left a famous bitch on read and she still sending me texts (Y'all feel like that?)
有名なビッチを既読無視したのに、彼女はまだ俺にメッセージを送ってくる (Y'all feel like that?)
I'm switchin' rights, rights, and left, now you under arrest
俺は右、右、左とスイッチする、これでお前は逮捕だ
※ボクシングのコンビネーションパンチと、警察に制圧されて逮捕(under arrest)される様子。
They put a knife to your vest, now you under duress
奴らがお前のチョッキにナイフを突き立てる、これでお前は脅迫下にある
[Verse 2]
You don't wanna catch me stranded on a roadside
道端で立ち往生してる俺を見つけたくないだろうな
JBL, you goin' to Hell and catch a clothesline
JBL、お前は地獄へ落ちてクローズラインを食らうんだ
※「JBL」はプロレス団体WWEのレジェンドレスラー(ジョン・ブラッドショー・レイフィールド)。彼の必殺技が「クローズライン・フロム・ヘル(地獄からのクローズライン)」であることにかけた完璧なプロレス・リファレンス。
Baby wanna run it up, campaigning on a whole lie
ベイビーは稼ぎたがってる、完全な嘘っぱちでキャンペーンを打ってる
I'ma rent the whole park, bitches want no lines
俺は公園ごと貸し切るぜ、ビッチどもは行列なんて求めてねえ
Running off the hinges, I'm steady slippin' with other bitches
蝶番が外れて暴走する、俺は他のビッチどもと着実にヤりまくってる
It's 75 a ticket, it's double digits, we gotta flip it
チケットは75だ、2桁だ、俺たちはそれを転がさなきゃならねえ
I can never stick 'em, I gotta pick 'em, I want a ribbon
俺は奴らに固執することはねえ、選ばなきゃな、リボンが欲しいんだ
All these sticks up in my linen, they out the closet like Don Lemon (One, two–!)
リネンの中に隠したこの銃の数々、ドン・レモンみたいにクローゼットから出てくるぜ (One, two–!)
※「sticks」は銃。「out the closet」はクローゼットから出すことと、同性愛を公表する(カミングアウト)のダブルミーニング。CNNの元アンカーでゲイを公表しているドン・レモンをネームドロップしている。
Nigga
クソ野郎
[Chorus]
Who in the fuck is telling you niggas to bet? (How'd you feel?)
一体誰がお前らに賭けろなんて言ったんだ? (How'd you feel?)
You niggas wet behind the ears, you need to parlay with success
お前らは耳の後ろが濡れたままだ、成功と一緒にパーレイを組む必要があるな
※「parlay」はギャンブルの掛け金をそのまま次の賭けに回して利益を増やすこと、または交渉すること。
I'm so obsessed with success, I be making my reps (Y'all feel alright?)
俺は成功に取り憑かれてる、自分のレップスを積み重ねてるんだ (Y'all feel alright?)
I never made it to the league and I still play with the best
俺はリーグには入らなかったが、それでも最高の奴らとプレイしてるぜ
I left a famous bitch on read and she still sending me texts (Y'all feel like that?)
有名なビッチを既読無視したのに、彼女はまだ俺にメッセージを送ってくる (Y'all feel like that?)
I'm switchin' rights, rights, and left, now you under arrest
俺は右、右、左とスイッチする、これでお前は逮捕だ
They put a knife to your vest, now you under duress, uh
奴らがお前のチョッキにナイフを突き立てる、これでお前は脅迫下にある、uh
[Outro]
Y'all feel like that?
お前らもそう感じるか?
Alright, one, two–!
よし、ワン、ツー–!
