Artist: Wu-Tang Killa Beez (feat. Solomon Childs)
Album: The Sting
Song Title: Out Think Me Now
概要
Wu-Tang Clanの傘下プロジェクトであるWu-Tang Killa Beez名義で2002年にリリースされたコンピレーションアルバム『The Sting』に収録された一曲。本作はスタテンアイランド出身のラッパー、Solomon Childsのソロ・ショーケース的な役割を果たしている。ソウルフルで不穏なボーカルサンプルがループするミニマルなトラックの上で、Solomon Childsがストリートでの過酷なサバイバル、ハスラーとしての哲学、そしてWu-Tang周辺特有のFive-Percent Nation(5% Nation)の思想を織り交ぜたリリックを展開している。フェイクなストリートの住人や偽物のブランド品に対する強い不信感を露わにしつつ、自らを「2000年代のニューヨークのルーキー」と称して覇権を握る野心をむき出しにしている。彼の荒削りだが熱量のあるフロウとミリタントなスタンスは、Wu-Tang特有のアンダーグラウンドな美学を完璧に体現しており、コアなヘッズたちの間で高く評価されている。
和訳
[Sampled singer]
The storm is..
嵐が…
[Chorus 2X: Solomon Childs]
Females better try to trick me now
女どもは今すぐ俺を騙してみるがいいさ
Cats better try and Out Think Me Now
野郎どもは今すぐ俺の裏をかいてみるがいいさ
※「Cats」は男たちやストリートの連中を指すスラング。「Out Think」は思考で上回ること、出し抜くことを意味する。
Stick me now, maybe even kill me now
今すぐ俺を襲って、なんなら殺してみろよ
※「Stick」は強盗に入る、銃を突きつけること。
Let me dominate for two years strong
きっちり2年間、俺に支配させろ
You motherfuckers'll never stop the storm
お前らクソ野郎どもにこの嵐は止められないぜ
※「storm」はSolomon Childs自身、あるいは彼がシーンに巻き起こす変革や破壊のメタファー。
[Solomon Childs]
What? Yeah..
Uh-huh, what? Yeah..
You cowards follow, I'ma lead
お前ら臆病者はついてこい、俺が先導する
Millenium speed, Jeopardy, Greed
ミレニアムのスピード、危険、そして強欲
Golden seed, militant breed
黄金の種、好戦的な血統
This is all a real thug need
これが真のサグに必要なすべてだ
Science of life dunn, black Oriental
生命の科学だぜ、ブラック・オリエンタル
※「dunn」はNY特有のスラングで「仲間」の意。「Science of life」はFive-Percent Nationの教義であるSupreme Mathematics(最高数学)に基づく生き方を指す。
Forever bronze to star, day room war
永遠にブロンズからスターへ、デイルームの戦争
※刑務所の娯楽室(day room)での争い、あるいはストリートレベルの抗争を示唆している。
Apocalypse raw
生のままの黙示録
Limit the sky, let me simplic-ify
空を限界にしろ、俺に単純化させろ
Mama said, "God should never cry"
ママは「神は決して泣くべきじゃない」と言った
※「God」はFive-Percent Nationにおいて黒人男性(自身)を指す。自分自身が神であるため、弱さを見せてはならないというストリートの教え。
War with The Source, ya girl know me, straight live
ソース誌との戦争、お前の女は俺を知ってるぜ、完全に生放送だ
※ヒップホップ誌『The Source』への言及。当時のヒップホップメディアとの軋轢や評価に対する不満を仄めかしている。
Found out swine was in Pop Tarts in '85
85年にポップターツに豚肉が入ってるって気付いたんだ
※Five-Percent Nationやイスラムの教義では豚肉(swine)を不浄として避ける。アメリカの一般的な菓子であるPop Tartsにゼラチン(豚由来)が含まれていることを知り、幼い頃からシステムや社会の裏側に気付いていたという意識の高さをアピールしている。
You old school cats is talkin jive
お前らオールドスクールの連中は戯言ばかり抜かしてる
※「talkin jive」は中身のない嘘やデタラメを話すこと。
320 E, bumping Tony Starks shit
320Eに乗って、トニー・スタークスの曲をガンガン鳴らす
※メルセデス・ベンツ320E。「Tony Starks」はWu-Tang ClanのメンバーであるGhostface Killahの別名。
I don't trust a soul
俺は誰も信用しねえ
I don't trust Canal Street gold
キャナル・ストリートのゴールドも信用しねえ
※NYのキャナル・ストリートは偽物のブランド品や安物のジュエリーが売られていることで有名。フェイクなものへの不信感。
I don't trust Timberland's double sole
ティンバーランドのダブルソールも信用しねえ
I don't trust cats on the block who done told
ブロックで密告した連中も信用しねえ
※「done told」は警察に情報を売った(snitchした)連中。ストリートの掟を破る者への激しい嫌悪。
I don't trust Avirex leathers when it be cold
寒い時のアヴィレックスのレザーも信用しねえ
※Avirexは90年代から00年代初頭にかけてNYのストリートで大流行したレザージャケットのブランド。流行の服を着ているだけの見掛け倒しの連中へのディス、あるいは寒さをしのぐには実用的ではないという経験則。
Settin fire to ya rap books
お前らのラップのノートに火をつける
Frontin you could get punched in ya mouth
イキってると口を殴られるぜ
King of New York, this is what a thug about
ニューヨークの王、これがサグってやつだ
[Chorus 2X]
Females better try to trick me now
女どもは今すぐ俺を騙してみるがいいさ
Cats better try and Out Think Me Now
野郎どもは今すぐ俺の裏をかいてみるがいいさ
Stick me now, maybe even kill me now
今すぐ俺を襲って、なんなら殺してみろよ
Let me dominate for two years strong
きっちり2年間、俺に支配させろ
You motherfuckers'll never stop the storm
お前らクソ野郎どもにこの嵐は止められないぜ
[Solomon Childs]
Uh.. yeah..
Apocalypse gifted storm, eyes of Islam
黙示録がもたらした嵐、イスラムの瞳
※「eyes of Islam」は、物事を真理(Five-Percentの教え)の視点で見透かすこと。
Pain inside Maria eyes
マリアの瞳の中の痛み
Money low got the Gods in the streets heated
金が底を突き、ストリートの神々が熱狂している
※「Gods」はFive-Percent Nationのメンバー(黒人男性たち)。貧困がストリートの緊張感を高めている様子。
Left the Queens in the world seated
世界中のクイーンたちを座らせたままにした
※「Queens」はFive-Percent Nationにおいて黒人女性を指す。
Two kids my baby mom's speeded
2人の子供、俺のベイビーママはスピードを上げた
Poverty, swears Allah cheated
貧困、アラーが裏切ったと誓いたくなる
Keep it strawberry, catchin cancer
ストロベリーのままでいろ、ガンを患う
※「strawberry」は売春婦、特にドラッグ(クラック)欲しさに体を売る女性を指すストリートスラング。
Missin the World Series
ワールドシリーズを見逃す
Solomon Childs extraordinaire
非凡なるソロモン・チャイルズ
Power of the dollar
ドルの力
Body Brighton, Allah body
ブライトンの体、アラーの体
※「Brighton」はスタテンアイランドの地域であるNew Brightonを指すと考えられる。
Thugged out, ready to flip
サグアウトして、弾ける準備はできてる
※「flip」は怒りでブチ切れること、あるいはドラッグを転売して利益を出すこと。
2000 New York rookie
2000年のニューヨークのルーキー
Hard to hit, who want beef?
当てるのは難しいぜ、ビーフを望むのは誰だ?
Put 'em on the murder cross, imperial laws
あいつらを殺人の十字架にかけろ、帝国の法だ
※Wu-Tang帝国(imperial)の絶対的なルール。
Consider me bein top rank
俺がトップランクだとみなせ
With Pony and Frank
ポニーとフランクと共にな
Yo what the deal, Lunar?
ヨォ、調子はどうだ、ルナー?
No more small cookies
小さなクッキーはもういらねえ
※小銭稼ぎや小規模なシノギからの脱却を意味する。
Rather get paid and crush rookies
金をもらってルーキーどもを潰す方がマシだ
Me and Mama gettin land with this voice box
俺とママはこの声帯で土地を手に入れる
※ラップ(voice box)で稼いで不動産(land)を買うという野心。
Tracks hotter than the Red Sox
レッドソックスよりも熱いトラック
※ボストン・レッドソックス。NYのラッパーが宿敵ボストンのチームを引き合いに出すのは珍しいが、極めて熱狂的であるという比喩として使われている。
Who ever had doubts..
誰が疑ってたって…
Yo Baby Boy, this is what a thug about
ヨォ、ベイビー・ボーイ、これがサグってやつだ
[Chorus 2X]
Females better try to trick me now
女どもは今すぐ俺を騙してみるがいいさ
Cats better try and Out Think Me Now
野郎どもは今すぐ俺の裏をかいてみるがいいさ
Stick me now, maybe even kill me now
今すぐ俺を襲って、なんなら殺してみろよ
Let me dominate for two years strong
きっちり2年間、俺に支配させろ
You motherfuckers'll never stop the storm
お前らクソ野郎どもにこの嵐は止められないぜ
[sampled singer]
The storm is..
嵐が…
