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Noble Lies - Awich & RZA 【和訳・解説】

Artist: Awich & RZA

Album: Okinawan Wuman

Song Title: Noble Lies

概要

本作『Noble Lies』は、Awichの研ぎ澄まされた社会批評と、RZAおよびWu-Tang Clanの根幹を成す「Five-Percent Nation(ファイブ・パーセンターズ)」の深遠な哲学が完璧に融合したコンシャス・ヒップホップの到達点である。タイトルの「Noble Lies(高貴な嘘)」は古代ギリシャの哲学者プラトンが提唱した概念であり、エリート層(支配者)が社会の秩序を保つために大衆に信じ込ませる虚構を指す。情報操作、ディープフェイク、SNSのランキング至上主義など、現代社会にはびこる「虚像」を次々と暴き出しながら、ヒップホップの真の探求者だけが辿り着ける「真理(Supreme Mathematics)」への道を提示している。Wu-Tangイズムの最深部のスラングが散りばめられ、現代の偽りのマトリックスからリスナーを覚醒させるような、強烈で知的なメッセージ性を持ったマスターピースである。

和訳

[Verse]

Billion-dollar scheme turned to billion-dollar dream
10億ドルの陰謀が、10億ドルの夢へと変わる

Reality spun from a deep fake meme
現実はディープフェイクのミームから紡ぎ出される

Truth is no longer power but the “Power” is the “Truth”
真実が力なのではない、「力」こそが「真実」になったんだ
※かつては「真実を知ること」が力であったが、現代のポスト・トゥルース社会では「権力者(Power)」が都合よく作り上げた物語が「真実」としてまかり通っているという鋭い社会風刺。

All them 85s being the savage in pursuit
あの85の連中が、野蛮に追い求めている
※「85s」はファイブ・パーセンターズの教義における「85ers」へのリファレンス。彼らの思想では、人類の85%は真理を知らず支配者に操られる「盲目な大衆」であり、10%が彼らを搾取する「支配者」、残りの5%が真理を伝える「哀れで正しき教師(Poor Righteous Teachers)」であると定義されている。ここでは盲目な大衆を指す。

Top 5, top 9, top 10, top 100
トップ5、トップ9、トップ10、トップ100
※ヒップホップコミュニティで絶えず議論される「歴代ラッパーランキング(Top 5 dead or aliveなど)」や、チャートの順位といった表面的な数字への執着を皮肉っている。

Everything perception we're shown what we wanted
すべては認知の問題、うちらは見たいものを見せられているだけだ

Everything deception you know what the plot is
すべては欺瞞、陰謀が何なのか分かっているはずだ

Beef is the only thing that makes us feel bonded
ビーフだけが、うちらに絆を感じさせる唯一のものだ
※SNS社会において、共通の敵を作ったりヒップホップの「Beef(揉め事・対立)」を消費することでしか連帯感(bond)を得られなくなっている現代のリスナーやシーンの歪みを突いたパンチライン。

Run it. the best selling stories
やりな、一番売れてる物語を

From the humans to the flunkies to the secret laboratory
人間から下っ端、そして秘密の実験室まで

From the thoughts to idеas to the money to the glory
思考からアイデア、そして金から栄光まで

From thе nation to the streets to the flags to the hommies
国家からストリート、そして国旗からホーミーたちまで

The molecules, to the atoms to the quarks
分子から原子、そしてクォークまで

To the math, to the codes, to the colors, to the Gods
数学から暗号、色、そして神々まで
※「math」はファイブ・パーセンターズにおける「Supreme Mathematics(至高の数学)」。「Gods」は同教義で至高の存在とされる黒人男性自身、あるいは真理に到達した者(5%)を指す、RZAの精神的ルーツに直結するワード。

To the home To the throne in your dome, it’s a story
家から、あんたの頭の中にある王座まで、それは一つの物語だ
※「dome」は頭(脳)を意味するスラング。すべては人間の思考によって作られた物語(虚構)であるという哲学的な境地。

I got the truth, what you got for me?
私は真実を手に入れた、あんたは私に何を提示できる?

[Chorus]

The world goes around on the noblest lies
世界は最も高貴な嘘に乗って回っている
※プラトンの「高貴な嘘(Noble Lie)」。社会の秩序を保つためにエリート層が大衆につく統治のための作り話を指す。

And the ice and the idols that we glorify
そしてうちらが崇拝するアイスやアイドルたちも
※「ice」はダイヤモンドなどの高級ジュエリー。物質主義や、作られた虚像(アイドル)の崇拝を批判している。

Cross out the X for those who ask Y
Yを問う奴らのためにXを消し去る
※「ask Y」は「ask why(なぜと問う)」の見事なワードプレイ。「真実を求める者(Why)」のために、システムが隠す「未知数・偽り(X)」を排除するという意味。同時にマルコムXやファイブ・パーセンターズにおける「X(未知)」の教義的な意味も内包する高度なダブルミーニング。

So the Zig Zag Zig will never be popularized
だからジグ・ザグ・ジグが大衆化されることは決してない
※「Zig Zag Zig」はファイブ・パーセンターズおよびWu-Tang界隈の最高峰の隠語。「Z-I-G-Z-A-G-Z-I-G」は「Knowledge, Wisdom and Understanding(知識、知恵、そして理解)」の頭文字からなる神(Allah)への到達プロセスを意味する。真理は一部の探求者(5%)にしか理解されず、決して大衆(85%)の娯楽にはならないという究極のコンシャス・パンチライン。

[Post-Chorus]

Noble lie
高貴な嘘

Normalize
標準化する

Run it up
稼ぎまくる

Tun it up
ブチ上げる

Hustlers
ハスラーたち

Smugglers
密輸業者たち

Informers
密告者たち

In corners
街角で

Deep fake
ディープフェイク

Shallow truth
浅はかな真実

Bleed hate
憎しみを出血させる

Battle proof
実戦証明済み

Sweepstakes
宝くじ

Troubled youth
問題を抱えた若者

Peace GOD
ピース、ゴッド
※ファイブ・パーセンターズ同士の挨拶。真理に到達した者への最大のリスペクトを示す言葉。

Show and prove
示して証明する
※「Show and prove」はヒップホップおよびファイブ・パーセンターズにおける最重要の行動原理。口だけでなく、自らの行いによって真理や実力を証明すること。

[Chorus]

The World goes around on the noblest lies
世界は最も高貴な嘘に乗って回っている

And the ice and the idols that we glorify
そしてうちらが崇拝するアイスやアイドルたちも

Cross out the X for those who ask Y
Yを問う奴らのためにXを消し去る

So the Zig Zag Zig will never be popularized
だからジグ・ザグ・ジグが大衆化されることは決してない

The World goes around on the noblest lies
世界は最も高貴な嘘に乗って回っている

And the ice and the idols that we glorify
そしてうちらが崇拝するアイスやアイドルたちも

Cross out the X for those who ask Y
Yを問う奴らのためにXを消し去る

So the Zig Zag Zig will never be popularized
だからジグ・ザグ・ジグが大衆化されることは決してない