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Hold It Down - Awich & RZA (feat. Westside Gunn) 【和訳・解説】

Artist: Awich & RZA (feat. Westside Gunn)

Album: Okinawan Wuman

Song Title: Hold It Down

概要

日本のヒップホップクイーンAwichが、Wu-Tang Clanの総帥RZAのプロデュースのもと、NYアンダーグラウンドの覇王にしてGriselda Recordsの首領Westside Gunnを客演に迎えた、あまりにも重厚でパーソナルなバンガー。Awichはヴァース1にて、インディアナポリスで銃殺された亡き夫(U-AZatic Allah)との記憶、彼が残した「Hold It Down(ここを仕切れ、耐え抜け)」という遺言、そして彼の連れ子たちまで含めた「家族」を背負って日本の頂点に立った壮絶な人生をスピットする。対するWestside Gunnは、高級ブランドと凄惨なストリートの殺し合い、そして彼が敬愛する日本のプロレスを交差させた特異なアート・ラップを展開。日米の全く異なるフッドの痛みと美学が、RZAの埃っぽいブーンバップ・ビート上で激突する、ヒップホップ・ドキュメンタリーの極致とも言える一曲である。

和訳

[Verse 1: Awich]

The god told me hold it down
神が私に「ここを仕切れ」と言った
※「The god」はAwichの亡き夫を指す。彼が帰依していたNY黒人層の思想「Five-Percent Nation(ファイブ・パーセンターズ)」において、黒人男性自身を至高の存在(God/Allah)と呼ぶことに由来する。「hold it down」は「場を保つ、家族や縄張りを守り抜く」というストリートの重要な掟。

I was Young from Oki
私はオキ出身の若者だった
※「Oki」は彼女の地元である沖縄(Okinawa)のこと。

Mixing lowkey
ひっそりとミックスしながら

Screaming ご機嫌だぜ
「ご機嫌だぜ」と叫びながら

Listening to da pumped
DA PUMPを聴きながら
※Awichと同郷である沖縄出身の伝説的ダンス&ボーカルグループ「DA PUMP」の代表曲『ごきげんだぜっ! 〜Nothing But Something〜』への言及。青春時代の無邪気な沖縄での情景を描いている。

He said fuck that you in the states better learn how to hold that pump
彼は「そんなもんクソくらえだ、お前はアメリカにいるんだから、ポンプアクションの撃ち方を覚えな」と言った
※音楽グループの「DA PUMP」と、ショットガンの「ポンプアクション(Pump)」を見事に掛けた秀逸なワードプレイ。アメリカという過酷なストリートに身を置く以上、身を守るための銃の扱いを知らなければならないという夫からのハードコアな教え。

Shockwave 590 birds head
ショックウェーブ590、バーズヘッド
※米国モスバーグ社製のポンプアクション・ショットガン「Mossberg 590 Shockwave」のこと。「バーズヘッド(鳥の頭)」は、この銃の独特な形状のグリップを指す。極めて具体的でマニアックな銃器のネームドロップ。

They shot up our Cadillac in Indianapolis
奴らはインディアナポリスでうちらのキャデラックを銃撃した
※インディアナ州インディアナポリスで実際に起きた、Awichの夫が銃殺された痛ましい事件の描写。

Scars on my heart pain turned to calluses
心の傷、痛みはタコに変わった
※消えない心の痛みが、徐々に硬いタコ(calluses)のように無感覚になり、彼女を強くした(防具になった)という深いリリシズム。

A young widow, trying hard to hold it down
若き未亡人、懸命に踏みとどまろうとしていた

When I came out, I came out on top of Tokyo Metropolis
抜け出した時、私は東京という大都市の頂点に立っていた
※絶望の底から這い上がり、日本の首都・東京のヒップホップシーンのクイーンとして君臨した現在の姿。

I got a stepson in Collins doing time
コリンズで服役してる義理の息子がいる
※亡き夫の連れ子(Awichの義理の息子)が、現在NY州のコリンズ刑務所(Collins Correctional Facility)で服役しているという重いストリートの現実。

He said he’s coming home 2029
彼は2029年に帰ってくると言った

He’s only three years younger than me with two stripes
彼は私よりたった3歳下なだけで、2本のストライプを持ってる
※刑務所の囚人服のストライプ(階級や前科の象徴)、あるいはギャングのランクなどを意味する。

Just like his daddy even without him
父親がいなくても、まさに父親そっくりだ

And I send for all his kids so they can see the life
だから私は彼の子供たち全員を呼び寄せて、この人生を見せてあげるんだ
※血の繋がりを超えて、夫の残した子供たち全員をフッドから引き上げ、成功した自分の背中(新たな可能性)を見せるという、ボスとしての圧倒的な包容力。

Pure gold flakes on the Wagyu slicе
スライスした和牛に乗った純金の金箔
※どん底から這い上がり、最高級の和牛と金箔を喰らうまでの贅沢(フレックス)を手に入れた描写。

I’m not only fly, but my daughter fly
私がイケてるだけじゃない、私の娘もイケてる
※娘のToyomiへのシャウトアウト。

She’s not only fly but she organizе
あの子はイケてるだけじゃなく、物事をまとめるんだ

All these youngins in the city, she a young leader
街の若者たち全員にとって、彼女は若きリーダーだ

Can you see us?
私たちの姿が見える?
※天国にいる亡き夫への問いかけ。

Making worldwide connection from Okinawa to Buffalo
沖縄からバッファローへ、世界的なコネクションを作ってる
※Awichのフッドである沖縄と、客演のWestside GunnのフッドでありGriselda Recordsの拠点であるNY州バッファローを線で結んでいる。

That’s where some of your families from
そこはあなたの家族の一部が出身の場所でもある
※亡き夫の親族やルーツがバッファロー方面にも繋がっていたことを示唆している。

I’m connecting dots on my own
私は自力で点と点を繋ぎ合わせている

[Chorus: Awich]

When you told me hold it down
あなたが私に「ここを仕切れ」と言った時

Ain’t this what you mean?
こういう意味だったんでしょ?

When you told me hold it down
あなたが私に「ここを仕切れ」と言った時

Ain’t this what you mean?
こういう意味だったんでしょ?

If not then I don’t know, God
もし違うなら、私には分からないよ、神様
※夫の遺言通りに家族を守り、ヒップホップの頂点まで登り詰めた。もしこれがあなたの望んだ「Hold It Down」じゃないと言うなら、もうこれ以上どうすればいいのか分からないという、痛切なまでの愛と証明の叫び。

If not then I don’t know, God
もし違うなら、私には分からないよ、神様

[Verse 2: Westside Gunn]

Hey, yo, Prada gloves on the pocket
Hey, yo、ポケットにはプラダのグローブ
※ハイブランド(プラダ)のアイテムと、これから手を汚す(殺しやドラッグの計量)ための手袋を掛け合わせる、Westside Gunn特有の「凶悪なストリート・アート」の美学。

Rocket cocked it back, kicked the door down
ロケットをコッキングして、ドアを蹴り破る
※「Rocket」は大口径の銃器のスラング。

I seen 3 niggas at the table chopping
テーブルでチョップしてる3人の野郎どもを見た
※「chopping」はコカインの塊(ブリック)を売り捌くために細かく切り分ける(チョップする)作業のこと。敵のトラップハウス(麻薬密売所)を強襲した光景。

I locked eyes with a cookie in the mirror
鏡越しに可愛い女と目が合った
※ドラッグを捌いているテーブルの奥の鏡越しに、現場にいた魅力的な女(cookie)と目が合ったという映画のような緊迫したシーンの描写。

And shot the first nigga that moved and made myself clearer
そして最初に動いた奴を撃ち抜き、自分の意思をはっきりと伝えた

My whole enterprise wise men
俺の組織全体が賢者たちで構成されている
※力だけでなく、知恵でストリートのエンタープライズ(Griselda Records)を築き上げたことの誇示。

It's time for you to realize, done with the heaven gates, I snuck the nine in
お前らもそろそろ気づく時間だ、天国の門は済ませた、俺は9ミリを忍び込ませたんだ
※天国の門を潜る時でさえ、9ミリ拳銃を密かに持ち込んでいるという、死してなお武装を解かない筋金入りのギャングスタ・スタンス。

Lick a shot for the blazer, C.O.'s pop the locker, grab my knife on the wake up
ブレザーのために一発撃ち放つ、看守がロッカーを開ける、目を覚ましてナイフを掴む
※刑務所内での過酷なライフスタイル。「C.O.」は刑務官。朝起きて看守が独房の鍵を開けた瞬間に、襲撃に備えて隠し持っていた自作のナイフ(シャンク)を握りしめるという描写。

All we know is blakka, blakka
俺たちが知ってるのはブラッカ、ブラッカってことだけだ
※「blakka」は銃声を模したGriselda界隈でお馴染みのアドリブ。

Shooting out the black badge in Osaka
大阪でブラックバッジの中から撃ちまくる
※「black badge」は超高級車ロールス・ロイスの高性能モデル「ブラック・バッジ」。日本(大阪)の街中でロールス・ロイスからドライブバイ(車からの銃撃)を行うというフレックス。

You need ten, I got you, shells hit you like Okada
10キロ必要か、任せろ、弾丸はオカダみたいにお前を打ちのめす
※「ten」は10キロのコカイン。そして「Okada」は新日本プロレスのスター選手、オカダ・カズチカへの熱烈なネームドロップ。大のプロレスファンであるWestside Gunnは、オカダの必殺技(レインメーカー)のように強烈な弾丸(shells)を食らわすというパンチラインをここで落としている。

Headshots, you can't duck the red dots
ヘッドショットだ、赤い照準器からは逃れられない

Leave the spot, the feds watch
その場を離れろ、サツが見張ってる
※「feds」はFBIなどの連邦捜査局。

Everything go dead, stop
すべてが死に絶え、停止する

The one who made hell hot
地獄をさらに熱くした男だ

The one who made the streets go
ストリートを動かした男だ

The flyest nigga on my soul. WOW
俺の魂にかけて、最高にイケてる野郎だ。WOW

Me and Awich, lay shit, my bracelet tasteless
俺とAwich、ブチかますぜ、俺のブレスレットは悪趣味だ
※「tasteless(悪趣味)」とは、常識を逸脱するほどダイヤが敷き詰められたバカげた金額のジュエリーをつけているという、最高級のフレックス。

No money, no make sense. No, no, no
金にならないなら、意味がない。No, no, no

[Chorus: Awich]

When you told me hold it down
あなたが私に「ここを仕切れ」と言った時

Ain’t this what you mean?
こういう意味だったんでしょ?

When you told me hold it down
あなたが私に「ここを仕切れ」と言った時

Ain’t this what you mean?
こういう意味だったんでしょ?

If not then I don’t know, God
もし違うなら、私には分からないよ、神様

If not then I don’t know, God
もし違うなら、私には分からないよ、神様