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Money (That’s What I Want) - The Beatles 【和訳・解説】

Artist: The Beatles

Album: With the Beatles

Song Title: Money (That’s What I Want)

概要

ビートルズのセカンド・アルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』(1963年)の最後を飾る本作は、1959年にバレット・ストロングが歌い、モータウン・レーベルに初の世界的ヒットをもたらしたR&Bナンバーのカバーである。前作アルバムを「Twist and Shout」の絶叫で締めくくったのと同様に、本作でもジョン・レノンが喉を掻き毟るような荒々しいシャウトを披露し、アルバムのフィナーレに相応しい圧倒的なエネルギーを放っている。音楽的には、プロデューサーのジョージ・マーティンが強烈なピアノのバッキングを担当しており、彼らの野性的なロックンロール・ビートに重厚な推進力を加えている。名声の階段を駆け上がり、後に莫大な富を築くことになる直前の彼らが「金が欲しい」と赤裸々に叫ぶ姿は、どこか皮肉めいた響きを持ちながらも、当時のリバプールの労働者階級出身の若者たちの切実な野心と欲望を見事に体現している。

和訳

[Verse 1: John Lennon]

The best things in life are free
人生で最高のものは、タダで手に入るって言うよな

But you can keep 'em for the birds and bees
だが、そんなものは鳥やミツバチにでもくれてやれよ
※「birds and bees」は自然の営みや、転じて「性教育(the birds and the bees)」を指す慣用句だが、ここでは「愛だの自然だのといった綺麗事」をシニカルに皮肉るための表現である。ジョンの反逆的で冷笑的なキャラクターと見事に合致している。

[Chorus: John Lennon, Paul McCartney & George Harrison]

Now, give me money (That's what I want)
だから、俺に金をくれよ(俺が欲しいのはそれさ)

That's what I want (That's what I want)
俺が欲しいのはそれなんだ(俺が欲しいのはそれさ)

That's what I want, oh yeah (That's what I want)
俺が欲しいのはそれなんだ、oh yeah(俺が欲しいのはそれさ)

That's what I want
俺が欲しいのはそれなんだ

[Verse 2: John Lennon]

Your lovin' give me a thrill
お前の愛は俺をゾクゾクさせてくれるけど

But your lovin' don't pay my bills
お前の愛じゃ、俺の請求書の支払いはできないんだよ
※「愛より金」という即物的なテーマを歌うこのフレーズは、後年の「Can't Buy Me Love(愛はお金じゃ買えない)」や「All You Need Is Love(愛こそはすべて)」というビートルズの代表的なメッセージと完全に相反している。この矛盾こそが、皮肉屋のジョンとロマンチストなポールの対比を際立たせ、初期のバンドのダイナミズムを生み出していた。

[Chorus: John Lennon, Paul McCartney & George Harrison]

Now, give me money (That's what I want)
だから、俺に金をくれよ(俺が欲しいのはそれさ)

That's what I want (That's what I want)
俺が欲しいのはそれなんだ(俺が欲しいのはそれさ)

That's what I want, oh yeah (That's what I want)
俺が欲しいのはそれなんだ、oh yeah(俺が欲しいのはそれさ)

That's what I want
俺が欲しいのはそれなんだ

[Verse 3: John Lennon]

Money don't get everything, it's true
金がすべてを手に入れられるわけじゃない、それは本当さ

What it don't get, I can't use
だが、金で買えないものなんて、俺には使い道がないんだよ
※原曲の秀逸なパンチラインを、ジョンはまるで自分自身の哲学であるかのように歌いこなしている。労働者階級のフラストレーションを爆発させるこの荒削りなボーカルは、当時のイギリスの若者たちの鬱屈したエネルギーを代弁していた。

[Chorus: John Lennon, Paul McCartney & George Harrison]

Now, give me money (That's what I want)
だから、俺に金をくれよ(俺が欲しいのはそれさ)

That's what I want (That's what I want)
俺が欲しいのはそれなんだ(俺が欲しいのはそれさ)

That's what I want, oh yeah (That's what I want)
俺が欲しいのはそれなんだ、oh yeah(俺が欲しいのはそれさ)

That's what I want, woah
俺が欲しいのはそれなんだ、woah

[Interlude: John Lennon]

Haa
ハァ!

[Verse 3: John Lennon]

Money don't get everything, it's true
金がすべてを手に入れられるわけじゃない、それは本当さ

What it don't get, I can't use
だが、金で買えないものなんて、俺には使い道がないんだよ

[Chorus: John Lennon, Paul McCartney & George Harrison]

Now, give me money (That's what I want)
だから、俺に金をくれよ(俺が欲しいのはそれさ)

That's what I want (That's what I want)
俺が欲しいのはそれなんだ(俺が欲しいのはそれさ)

That's what I want, oh yeah (That's what I want)
俺が欲しいのはそれなんだ、oh yeah(俺が欲しいのはそれさ)

That's what I want
俺が欲しいのはそれなんだ

[Outro: John Lennon, Paul McCartney & George Harrison, All]

Well, now, give me money (That's what I want)
さあ、俺に金をくれよ(俺が欲しいのはそれさ)

Whole lot of money (That's what I want)
ありったけの金をくれ(俺が欲しいのはそれさ)

Woah, yeah, I wanna be free (That's what I want)
Woah, yeah、俺は自由になりたいんだ(俺が欲しいのはそれさ)
※「I wanna be free(俺は自由になりたい)」は原曲にはない、ジョン独自の痛切なアドリブである。単なる「金銭欲」を歌う曲の中で突如放たれるこの叫びには、「富や成功を掴むことで、この階級社会の抑圧から解放されたい」という、当時のジョンの切実な精神状態と飢餓感が露呈していると研究者の間で高く評価されている。

Oh, a lot of money (That's what I want)
あぁ、大金さ(俺が欲しいのはそれさ)

That's what I want, oh yeah (That's what I want)
俺が欲しいのはそれなんだ、oh yeah(俺が欲しいのはそれさ)

That's what I want
俺が欲しいのはそれなんだ

Well, now, give me money (That's what I want)
さあ、だから俺に金をくれよ(俺が欲しいのはそれさ)

Whole lot of money (That's what I want)
ありったけの金を(俺が欲しいのはそれさ)

Woah, yeah, you know I need money (That's what I want)
Woah, yeah、俺には金が必要だってわかるだろ(俺が欲しいのはそれさ)

Oh, now, give me money, yeah (That's what I want)
あぁ、今すぐ俺に金をくれよ、yeah(俺が欲しいのはそれさ)

That's what I want, oh yeah (That's what I want)
俺が欲しいのはそれなんだ、oh yeah(俺が欲しいのはそれさ)

That's what I want
俺が欲しいのはそれなんだ
※セッションの終盤に録音されたであろう、極限までささくれたジョンのシャウトと、ポールのベース、ジョージ・マーティンの力強いピアノが混然一体となってフェードアウトしていく。凄まじい熱量と共に、世界制覇への野心を燃やすビートルズの第二章がここに締めくくられる。