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All I’ve Got to Do - The Beatles 【和訳・解説】

Artist: The Beatles

Album: With the Beatles

Song Title: All I’ve Got to Do

概要

ビートルズの2作目のアルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』に収録された、ジョン・レノンの単独作である。本作は、ジョンが当時深く傾倒していたアメリカのR&B、特にスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズの音楽スタイルを明確に模倣しようとした野心的な試みとして知られる。1963年9月のセッションにおいて録音され、ライブでは一度も演奏されなかった隠れた名曲だ。音楽的には、不穏でジャジーな和音の響きから幕を開ける点が非常に斬新であり、初期ビートルズのコード進行の急速な洗練を示している。歌詞の面では、「電話をかけるだけで君は飛んでくる」という強気な態度と、「僕だって同じさ」という従順さが交錯しており、虚勢の裏に隠されたジョンの繊細な本質が垣間見える。また、当時のイギリスの労働者階級の若者にとって家に専用の電話があることは珍しく、アメリカのティーン・カルチャーへの強い憧れが反映された世界観とも言える。

和訳

[Verse 1: John Lennon, John Lennon & Paul McCartney]

Whenever I want you around, yeah
君のそばにいてほしい時はいつだって、yeah
※スモーキー・ロビンソンの影響を色濃く受けた、ジョンの艶やかでソウルフルなボーカル表現が光る。

All I got to do
俺がしなきゃならないのは

Is call you on the phone
電話をかけることだけさ
※1960年代初頭のイギリスにおいて、若者が私室から気軽に電話をかけるというシチュエーションは現実的ではなく、アメリカのR&Bレコードから輸入された「豊かなティーンエイジャーの恋愛」という空想的な設定であると研究者の間では指摘されている。

And you'll come running home
そうすれば君は急いで家へ飛んでくる

Yeah, that's all I got to do
そうさ、俺はそれだけでいいんだ

[Verse 2: John Lennon, John Lennon & Paul McCartney]

And when I, I want to kiss you, yeah
それから、俺が君にキスしたくなった時も、yeah
※ジョンの「I, I」という言葉のつっかえ(スタッター)は、感情の昂ぶりを表現するブラック・ミュージックのテクニックを意図的に取り入れたものである。

All I got to do
俺がしなきゃならないのは

Is whisper in your ear
君の耳元で囁くことだけさ

The words you long to hear
君がずっと待ち望んでいた言葉をね

And I'll be kissin' you
そうすれば俺は君にキスできる

[Bridge: John Lennon, John Lennon, Paul McCartney & George Harrison]

And the same goes for me
そしてそれは、俺だって同じことさ
※ヴァース部分の「電話一本で君を呼びつける」という男性優位で強気な態度から一転し、ブリッジでは「君に呼ばれれば俺も飛んでいく」という従順さを露わにする。この強がりと脆さの同居こそが、ジョン・レノンの精神性の核であり、彼の書くラブソングに特有のリアリティを与えている。

Whenever you want me at all
君が俺を少しでも求めてくれるならいつだって

I'll be here, yes, I will
俺はここにいる、あぁ、ここにいるよ

Whenever you call
君が呼んでくれる時はいつだって

You just got to call on me, yeah
君はただ俺を呼べばいいんだ、yeah

You just got to call on me
君はただ俺を呼べばいい

[Verse 3: John Lennon, John Lennon & Paul McCartney]

And when I, I want to kiss you, yeah
それから、俺が君にキスしたくなった時も、yeah

All I got to do
俺がしなきゃならないのは

Is call you on the phone
電話をかけることだけさ
※本来はVerse 2の「囁く(whisper)」に続く歌詞展開になるはずが、ここではVerse 1の「電話をかける(call you on the phone)」というフレーズが混ざってしまっている。レコーディング時のジョンのミスであるという説が濃厚だが、彼らはライブ感のある自然なテイクとしてそのまま採用した。

And you'll come runnin' home
そうすれば君は急いで家へ飛んでくる

Yeah, that's all I got to do
そうさ、俺はそれだけでいいんだ

[Bridge: John Lennon, John Lennon, Paul McCartney & George Harrison]

And the same goes for me
そしてそれは、俺だって同じことさ

Whenever you want me at all
君が俺を少しでも求めてくれるならいつだって

I'll be here, yes, I will
俺はここにいる、あぁ、ここにいるよ

Whenever you call
君が呼んでくれる時はいつだって

You just got to call on me, yeah
君はただ俺を呼べばいいんだ、yeah

You just got to call on me
君はただ俺を呼べばいい

Oh, you just got to call on me
あぁ、君はただ俺を呼べばいいんだ
※最後はポールの弾くベースラインが牽引しつつ、ジョンの気怠くも情熱的なフェイクと共にフェードアウトしていく。このアルバムを通じて、彼らが単なるロックンロールのカバーバンドから脱却し、黒人音楽のグルーヴを完全に自らの血肉としたソングライター集団へと決定的な進化を遂げたことが証明されている。