Artist: The Beatles
Album: Please Please Me
Song Title: P.S. I Love You
概要
ビートルズの記念すべきデビュー・シングル「ラヴ・ミー・ドゥ」のB面に収録され、後にデビュー・アルバムにも収められた初期の重要曲である。主にポール・マッカートニーによってハンブルク巡業時代に書かれたとされ、「離れ離れになった恋人への手紙」という古典的でロマンチックなテーマが扱われている。ポール本人は特定の誰かへ宛てた曲ではないと語っているが、研究者やファンの間では当時の恋人であったドット・ローヌへの想いが投影されているという見方が根強い。録音において最も議論を呼ぶのはドラムの人選である。1962年9月11日のセッションでは、プロデューサーのジョージ・マーティンの指示によりセッション・ドラマーのアンディ・ホワイトがドラムを叩き、加入直後であったリンゴ・スターは屈辱感を抱えながらマラカスを担当させられた。しかし結果として、リンゴのマラカスとウッドブロックが楽曲に軽快なラテン・フレイバーを与え、ポールの甘いメロディとジョンやジョージの複雑なコーラス・ワークを見事にまとめ上げている。
和訳
[Chorus: Paul McCartney, John Lennon & George Harrison]
As I write this letter
この手紙を書きながら
Send my love to you
君に僕の愛を送るよ
Remember that I'll always
覚えておいてほしい、僕はずっと
Be in love with you
君を愛し続けるってことを
※曲の冒頭から手紙の文面を思わせる言葉で始まり、リスナーを瞬時にプライベートな世界へと引き込む構成。ビートルズ特有の緻密な3声コーラスが、離れた恋人を想う切なさと温かさを同時に表現している。当時、電話よりも手紙が主要な遠距離通信の手段であった時代背景が、この曲のロマンチシズムを際立たせている。
[Verse 1: Paul McCartney]
Treasure these few words till we're together
僕たちがまた一緒になるまで、この短い言葉を大切にしてほしい
Keep all my love forever
僕のありったけの愛を、永遠に持っていて
P.S. I love you
追伸、君を愛しているよ
※「P.S.(追伸)」という、手紙の最後に添えられる言葉をサビのキラーフレーズとして用いるポールの作詞センスが光る。本編の文章では書ききれなかった溢れる想いが、この短い2文字に凝縮されていると解釈できる。
You, you, you
君を、君を、君を
※リンゴ・スターによるマラカスのチャカチャカとしたリズムが、このセクションで特に心地よく響き、初期のビートルズが単なるロックンロールだけでなく、ラテンやルンバの要素も巧みに取り入れていたことを示している。
[Verse 2: Paul McCartney]
I'll be coming home again to you, love
また君の待つ家へ帰るからね、愛しい人よ
And till the day I do, love
そしてその日が来るまで、愛しい人よ
※ハンブルクでの過酷なクラブ出演のために、リバプールに残してきた恋人や家族を想うメンバーたちのリアルな望郷の念が重なるフレーズである。
P.S. I love you
追伸、君を愛しているよ
You, you, you
君を、君を、君を
[Chorus: Paul McCartney, John Lennon & George Harrison]
As I write this letter
この手紙を書きながら
Send my love to you
君に僕の愛を送るよ
Remember that I'll always
覚えておいてほしい、僕はずっと
Be in love with you
君を愛し続けるってことを
[Verse 3: Paul McCartney]
Treasure these few words till we're together
僕たちがまた一緒になるまで、この短い言葉を大切にしてほしい
Keep all my love forever
僕のありったけの愛を、永遠に持っていて
P.S. I love you
追伸、君を愛しているよ
You, you, you
君を、君を、君を
[Chorus: Paul McCartney, John Lennon & George Harrison, John Lennon, Paul McCartney, George Harrison]
As I write this letter (Oh)
この手紙を書きながら (Oh)
Send my love to you
君に僕の愛を送るよ
(You know I want you to)
(君にもそうしてほしいって、わかってるだろ)
Remember that I'll always (Yeah)
覚えておいてほしい、僕はずっと (Yeah)
Be in love with you
君を愛し続けるってことを
※バックコーラスの合いの手が入り、曲の情感がさらに高まっていく。ジョンの少し皮肉めいた、しかし愛情深い声質が重なることで、単なる甘いだけのラブソングに終わらない深みが与えられている。
[Verse 4: Paul McCartney]
I'll be coming home again to you, love
また君の待つ家へ帰るからね、愛しい人よ
And till the day I do, love
そしてその日が来るまで、愛しい人よ
P.S. I love you
追伸、君を愛しているよ
You, you, you
君を、君を、君を
[Outro: Paul McCartney, John Lennon & George Harrison]
You, you, you
君を、君を、君を
I love you
愛しているよ
※ジャズ・コードを用いた洗練されたエンディング。荒削りなビート・バンドであった彼らが、すでに高度な音楽的教養とアレンジ能力を持ち合わせていたことを如実に証明し、静かに幕を閉じる。
