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Tabloid Junkie - Michael Jackson 【和訳・解説】

Artist: Michael Jackson

Album: HIStory: Past, Present And Future - Book I

Song Title: Tabloid Junkie

概要

1995年のアルバム『HIStory: Past, Present And Future - Book I』に収録された本作は、メディアの捏造とそれを無批判に消費する大衆心理に対する、マイケル・ジャクソンからの痛烈なカウンターパンチである。マイケル自身のヒューマン・ビートボックスを基調とした緊迫感のあるファンク・ビートに乗せ、彼が「Wacko Jacko(奇人ジャッコ)」として扱われてきたタブロイド紙のデタラメな見出し(酸素カプセルでの睡眠など)のサンプリングから楽曲は幕を開ける。そこから怒りはJFK暗殺事件やマリリン・モンローのゴシップなど、歴史的にメディアが事実を捻じ曲げ、人々を洗脳してきたアメリカ社会の病理全体へと向けられていく。特筆すべきは、メディアを糾弾するだけでなく、「それを買う大衆こそが奴らに餌を与えている」と、ゴシップ中毒(タブロイド・ジャンキー)に陥った読者の共犯関係をも鋭く指摘している点である。マイケルのキャリアにおける最も攻撃的でジャーナリスティックなプロテストソングの一つである。

和訳

[Intro]

In the news today from the strange and weird fact file
今日のニュースは、奇妙で不気味な事実のファイルからお伝えします
※実際のニュース音声を模したサンプリング。マイケルを怪物扱いした当時のメディアの異様な報道姿勢を再現している。

Singer Michael Jackson sleeps in a oxygen chamber
歌手のマイケル・ジャクソンは、酸素カプセルの中で眠っています

The singer says that the hyperbaric chamber has the benefits of reversing the aging process
この歌手は、高気圧酸素カプセルには老化の進行を逆転させる効果があるのだと語っています
※1980年代に実際にタブロイド紙を賑わせた有名なゴシップ。マイケル自身がメディアをからかうために意図的に流したとも言われているが、結果的に彼の「奇人」としてのパブリックイメージを決定づけることになった。

(overlapping voices)
(重なり合う声)

This just in, singer Michael Jackson has a shrine to Elizabeth Taylor in his Encino home
たった今入った情報です。歌手のマイケル・ジャクソンはエンシノの自宅に、エリザベス・テイラーを祀る神棚を設けているとのことです
※これも当時実際に流布した荒唐無稽なゴシップ。

[Verse 1]

Speculate to break the one you hate
憎い相手を叩き潰すために憶測を巡らせる

Circulate the lie you confiscate
都合よくでっち上げた嘘を世間に拡散する

Assassinate and mutilate
暗殺し、ズタズタに切り刻む
※メディアによる人格攻撃(キャラクター・アサシネーション)を物理的な殺人や死体損壊に例えている。

It's the hounding media in hysteria
それがヒステリー状態の猟犬のようなメディアだ

Who's the next, for you to resurrect?
お前たちが次に過去から蘇らせて、標的にするのは誰だ?

JFK exposed the CIA
JFKはCIAの秘密を暴露しようとした

Truth be told the grassy knoll
真実はグラシー・ノールの丘にあるんだ
※ケネディ大統領暗殺事件における有名な陰謀論への言及。公式の発表(オズワルドの単独犯)ではなく、グラシー・ノール(草の生えた小丘)に真の狙撃手がいたという説を支持し、国家権力とメディアが結託して真実を隠蔽する構造を告発している。

It's the blackmail story in all your glory
それこそが、お前たちの栄光を飾る脅迫のストーリーだ

[Pre-Chorus]

It's slander
名誉毀損だ

You say it's not a sword
お前たちはそれが剣ではないと言う

But with your pen, you torture men
だがそのペンで、お前たちは人間を拷問にかけているんだ
※「ペンは剣よりも強し」ということわざを逆手に取り、言葉の暴力がいかに無実の人間を傷つけているかを非難している。

You'd crucify the Lord
お前たちはキリストさえも十字架に架けるだろう

And you don't have to read it (Read it)
読まなくたっていいんだ

And you don't have to eat it (Eat it)
鵜呑みにしなくたっていい

To buy it is to feed it (Feed it)
それを買うことは、奴らに餌を与えることだ
※ここから矛先はメディアの消費者(大衆)へと向かう。ゴシップ誌を買う行為自体が、非倫理的なジャーナリズムをビジネスとして成立させている最大の原因であると突いている。

Then why do we keep foolin' ourselves?
ならどうして、俺たちは自分自身を騙し続けるんだ?

[Chorus]

Just because you read it in a magazine
雑誌で読んだからといって

Or see it on the TV screen
テレビの画面で見たからといって

Don't make it factual
それが事実だとは限らない

(Though everybody wants to read all about it)
誰もがその詳細を読みたがっているとしても

Just because you read it in a magazine
雑誌で読んだからといって

Or see it on the TV screen
テレビの画面で見たからといって

Don't make it factual, actual
それが事実であり、現実だとは限らないんだ

They say he's homosexual
奴らは彼が同性愛者だと言う
※当時のメディアが執拗に書き立てたマイケルのセクシュアリティに関する根拠のない憶測への強烈な皮肉。

[Verse 2]

In the hood, frame him if you could
フッドで、できるものなら彼を罠にはめろ
※「フッド(スラム街などの黒人居住区)」という言葉を使い、権力側が無実の黒人に罪を着せる社会構造に言及している。

Shoot to kill, to blame him if you will
射殺しろ、好き勝手に彼に罪を着せろ

If he dies, sympathize
彼が死ねば、同情するふりをする

Such false witnesses, damn self-righteousness
そんな偽りの目撃者たち、忌々しい独善主義

In the black, stab me in the back
闇に紛れて、俺の背中を刺し

In the face, to lie and shame the race
面と向かって嘘をつき、人種を辱める
※黒人であるマイケルへの人種差別的な偏見が報道の根底にあることを示唆している。

Heroine and Marilyn
ヒロイン、そしてマリリン
※マリリン・モンローを引き合いに出し、メディアによって作られたイメージに苦しみ、死後もゴシップとして消費され続ける悲劇のアイコンへの共感を示している。

It's the headline stories of all your glory
それがお前たちの栄光を飾る見出しのストーリーだ

[Pre-Chorus]

It's slander
名誉毀損だ

With the words you use
お前たちが使うその言葉で

You're a parasite in black and white
お前たちは白黒の紙面に潜む寄生虫だ
※"black and white" はタブロイド紙の活字や新聞紙を指す。他人の不幸を糧にして生き延びるメディア産業を寄生虫(parasite)と痛烈に批判したパンチライン。

Do anything for news
ニュースのためなら何だってする

And you don't go and buy it (Buy it)
買いに行かなくたっていい

And they won't glorify it ('Fy it)
そうすれば奴らが美化されることもない

To read it sanctifies it ('Fies it)
読むことが、その嘘を正当化してしまうんだ

Then why do we keep foolin' ourselves?
ならどうして、俺たちは自分自身を騙し続けるんだ?

[Chorus]

(Baby! Baby!)
ああ

Just because you read it in a magazine
雑誌で読んだからといって

Or see it on the TV screen
テレビの画面で見たからといって

Don't make it factual
それが事実だとは限らない

(Everybody wants to read all about it)
誰もがその詳細を読みたがっている

Just because you read it in a magazine
雑誌で読んだからといって

Or see it on the TV screen (Believe it, baby)
テレビの画面で見たからといって、信じ込んでしまうんだ

Don't make it factual
それが事実だとは限らない

(See, but everybody wants to believe all about it)
誰もがそのすべてを信じたがっている

Just because you read it in a magazine (Release me)
雑誌で読んだからといって、俺を解放してくれ

Or see it on the TV screen (Somebody release me)
テレビの画面で見たからといって、誰か俺を解放してくれ
※ゴシップによって作られた虚像という檻に閉じ込められているマイケルの、息の詰まるような苦悩の吐露。

Don't make it factual
それが事実だとは限らない

(See, but everybody wants to believe all about it)
誰もがそのすべてを信じたがっている

Just because you read it in a magazine
雑誌で読んだからといって

Or see it on the TV screen
テレビの画面で見たからといって

Don't make it factual, actual
それが事実であり、現実だとは限らない

She's blonde and she's bisexual
彼女はブロンドで、バイセクシャルだ
※タブロイド紙が好んで売り物にする、女性セレブリティのステレオタイプなスキャンダル報道を揶揄している。

[Bridge]

(Overlapping voices)
(重なり合う声)
※人々の無責任な噂話やゴシップが飛び交うノイズ。

Everybody got something to read about
誰もが何か読むものを欲しがっている

Everybody got something rude to say
誰もが無礼なことを言いたがっている

Everybody got some vicious scandal
誰もが悪意に満ちたスキャンダルを欲している

Everybody's got some news to handle
誰もが話題にするニュースを求めている

I despise what they’re talking about
俺は奴らが話している内容を軽蔑する

Everybody's talkin' 'bout every scandal
誰もがあらゆるスキャンダルの話をしている

Then we got something to for someone to hold
そして誰かが食いつくためのネタが提供される

A scandal and something for the news to say
スキャンダル、ニュースが語り継ぐための何かが

[Pre-Chorus]

Scandal
スキャンダル

With the words you use
お前たちが使うその言葉で

You're a parasite in black and white
お前たちは白黒の紙面に潜む寄生虫だ

Do anythin' for news
ニュースのためなら何だってする

And you don't go and buy it (Buy it)
買いに行かなくたっていい

And they won't glorify it ('Fy it)
そうすれば奴らが美化されることもない

To read it sanctifies it ('Fies it)
読むことが、その嘘を正当化してしまうんだ

Why do we keep foolin' ourselves?
どうして俺たちは自分自身を騙し続けるんだ?

Slander! You say it's not a sin
名誉毀損だ! お前たちはそれが罪ではないと言う

But with your pen, you torture men
だがそのペンで、お前たちは人間を拷問にかけている

But why do we keep foolin' ourselves?
どうして俺たちは自分自身を騙し続けるんだ?

[Chorus]

(Baby! Baby!)
ああ

Just because you read it in a magazine (Believe it, baby!)
雑誌で読んだからといって、信じ込んでしまうんだな

Or see it on the TV screen
テレビの画面で見たからといって

Don't make it factual (Baby!)
それが事実だとは限らない

Though everybody wants to read all about it (Yeah, oh-oh)
誰もがその詳細を読みたがっているとしても

Just because you read it in a magazine
雑誌で読んだからといって

Or see it on the TV screen
テレビの画面で見たからといって

Don't make it factual
それが事実だとは限らない

See, but everybody wants to read all about it (You better believe it)
誰もがそのすべてを読みたがっている、よく覚えとけ

Just because you read it in a magazine (Baby!)
雑誌で読んだからといって

Or see it on the TV screen (Believe it, baby!)
テレビの画面で見たからといって、信じ込んでしまうんだな

Don't make it factual (See, the Sunday Times are not a friend of mine)
それが事実だとは限らない、サンデー・タイムズは俺の味方なんかじゃない
※イギリスの有名紙「サンデー・タイムズ」を名指しで批判。彼らはマイケルの私生活を執拗に追いかけ、彼に対するネガティブなキャンペーンを展開していた。

Just because you read it in a magazine (Somebody, release me!)
雑誌で読んだからといって、誰か俺を解放してくれ

Or see it on the TV screen (Believe it, baby!)
テレビの画面で見たからといって、信じ込んでしまうんだな

Don't make it factual (You better believe it, yeah, yeah)
それが事実だとは限らない、よく覚えとけ

[Outro]

Just because you read it in a magazine (Yeah, yeah)
雑誌で読んだからといって

Or see it on the TV screen (Baby!)
テレビの画面で見たからといって

Don't make it factual, actual (Believe it, baby! Oh-oh)
それが事実であり、現実だとは限らない

You're so damn disrespectable
お前たちは本当にどうしようもなく無礼だ
※楽曲を締めくくるマイケルの痛烈な吐き捨て。一人の人間の尊厳を金に換えるメディアへの、怒りと軽蔑が込められている。